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14.痛恨の一撃
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「私と妹は愛人の子だ」
正妻には娘しかおらず、私達が引き取られた。
だが、それから2年で男子が生まれた。私達は必要なくなったんだ。
「それでも追い出されることも無く、一応はイニエスタ子爵の子として生活できていたのだから悪い親では無かったよ。
妹が10歳の時、私達を置いて彼等は避暑地に長期で出掛けていた。そんなに時に妹は熱病に罹り、あっという間に亡くなった。不運だったとしか言えなかった」
そう、淡々と語りながらも繋いだ手に少し力が入る。
彼の顔を伺うと、ニコリと笑われた。
「それから何となく生きる目標が無くなって。でも自暴自棄になってしまったら、あの子に叱られる気がして。
だから、あの子の代わりの何かを守ろうと思って騎士団に入った。
我武者羅に働いて、気が付けば王女様の護衛に推薦された。ただそれは、能力では無く気難しいお姫様という面倒事の押し付けだった。
でも、気難しいと噂の王女様は、ただの小生意気で達観した女の子にしか思えなくて、素直じゃないところが妹に似ていて微笑ましかった」
思い出しているのか、クスクスと笑っている。
「ある日、それを言ったら扇で殴られた」
「え!」
「どちらにも失礼だってさ」
デルフィナ様ったらさすがです。
「……私は高貴なお猫様だと思っていました」
「どうかな、それなら叱られないのかな?」
まだクスクスと笑い続けている。
「まあ切っ掛けなだけで、あんまり意味はないんだ。
今ではあの気位の高さと不器用さが気に入ってるし、慣れてしまえば案外楽だからここまで付いてきた。それだけだよ」
「可愛らしい方ですよね」
「可愛いと言ってしまえる君が可愛い」
なぜ不意打ちの攻撃が来るの?
「私のことはいいんです!」
「そうか?私には大切なことだ」
繋いだ手を持ち上げ口付けてくる。
「ちょっ、離してっ!」
「気持ち悪い?なら止める」
「~~っ、狡いわ!なぜ2択なのよ。そこは5段階評価くらいにしてちょうだいっ!」
「臆病な女の子には多少強引にしないと先に進めないからね」
「……進まないでよ」
「だって気持ち悪くは無いのだろう?それなら頑張るさ。出掛けるのはOK。手を繋ぐのも平気。手にキスも有り。うん、大収穫だ」
そう言われると困ってしまう。確かに。短期間で許し過ぎでは?
「……顔がいいのが狡いわ」
「そうか。父に感謝しよう。私の方がいい男だと思うけどね」
「貴方も恨んではいないのね」
「そうだな。あの子の死の原因は病だった。彼等がいても助かったか如何かは分からない。
それに、人生たらればを言い出したらキリがない」
「そうね」
確かに、あの時こうしていたらと悲しくなる時はある。でも、どれだけ嘆こうとも時が戻る事はないから。
だから、せめて後悔の少ない人生を送りたい。
「……恋人に昇格してもいいわよ?」
「本当に?」
あ、さっきまでとはまた違う顔だ。
「伯爵への恋はもういいのか?」
今日一番の攻撃を受けてしまった。
正妻には娘しかおらず、私達が引き取られた。
だが、それから2年で男子が生まれた。私達は必要なくなったんだ。
「それでも追い出されることも無く、一応はイニエスタ子爵の子として生活できていたのだから悪い親では無かったよ。
妹が10歳の時、私達を置いて彼等は避暑地に長期で出掛けていた。そんなに時に妹は熱病に罹り、あっという間に亡くなった。不運だったとしか言えなかった」
そう、淡々と語りながらも繋いだ手に少し力が入る。
彼の顔を伺うと、ニコリと笑われた。
「それから何となく生きる目標が無くなって。でも自暴自棄になってしまったら、あの子に叱られる気がして。
だから、あの子の代わりの何かを守ろうと思って騎士団に入った。
我武者羅に働いて、気が付けば王女様の護衛に推薦された。ただそれは、能力では無く気難しいお姫様という面倒事の押し付けだった。
でも、気難しいと噂の王女様は、ただの小生意気で達観した女の子にしか思えなくて、素直じゃないところが妹に似ていて微笑ましかった」
思い出しているのか、クスクスと笑っている。
「ある日、それを言ったら扇で殴られた」
「え!」
「どちらにも失礼だってさ」
デルフィナ様ったらさすがです。
「……私は高貴なお猫様だと思っていました」
「どうかな、それなら叱られないのかな?」
まだクスクスと笑い続けている。
「まあ切っ掛けなだけで、あんまり意味はないんだ。
今ではあの気位の高さと不器用さが気に入ってるし、慣れてしまえば案外楽だからここまで付いてきた。それだけだよ」
「可愛らしい方ですよね」
「可愛いと言ってしまえる君が可愛い」
なぜ不意打ちの攻撃が来るの?
「私のことはいいんです!」
「そうか?私には大切なことだ」
繋いだ手を持ち上げ口付けてくる。
「ちょっ、離してっ!」
「気持ち悪い?なら止める」
「~~っ、狡いわ!なぜ2択なのよ。そこは5段階評価くらいにしてちょうだいっ!」
「臆病な女の子には多少強引にしないと先に進めないからね」
「……進まないでよ」
「だって気持ち悪くは無いのだろう?それなら頑張るさ。出掛けるのはOK。手を繋ぐのも平気。手にキスも有り。うん、大収穫だ」
そう言われると困ってしまう。確かに。短期間で許し過ぎでは?
「……顔がいいのが狡いわ」
「そうか。父に感謝しよう。私の方がいい男だと思うけどね」
「貴方も恨んではいないのね」
「そうだな。あの子の死の原因は病だった。彼等がいても助かったか如何かは分からない。
それに、人生たらればを言い出したらキリがない」
「そうね」
確かに、あの時こうしていたらと悲しくなる時はある。でも、どれだけ嘆こうとも時が戻る事はないから。
だから、せめて後悔の少ない人生を送りたい。
「……恋人に昇格してもいいわよ?」
「本当に?」
あ、さっきまでとはまた違う顔だ。
「伯爵への恋はもういいのか?」
今日一番の攻撃を受けてしまった。
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