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「自分でできますのであちらで待っていてください」

「なぜ?番の世話をするのは当然だろう?」

「一緒に入浴なんて無理です!まだ夫婦ではありません!」

「番ならこれくらいさせてくれてもいいはずだ」

「恥ずかしくて死にそうだから無理です!」

「じゃあ夜は一緒に寝るよ?」

「なんでそうなるんですか!?」

「だめ。これは譲れない。
本当なら今頃ふたりで睦み合っていたはずなんだ。
抱きしめて眠るくらいさせてくれ」

「~~抱きしめるのはダメですっ」

「ならおやすみのキスをお前からしてくれ」

「どうしてそうなるんですか!」


そんなに潤んだ瞳で見てきたらダメだろう? 
いや、わざとなのか?私を煽って本能のまま行動するのを望んでいるのか? 
兄上の言うことなど聞かなくても問題はないが、無理をして怪我をさせたくはない。トロトロに甘やかせたい…でも初めての痛みに泣く姿もみたいな。


「……何か怖いことを考えていますか……」

「いや、泣き顔も可愛いだろうなと想像していた」

「ひっ!」


おや、怯えさせてしまった。本当に可愛らしい。
早く私のものにしたいなぁ。


「とりあえずお風呂に行っておいで。
そして夜一緒のベッドで眠るのは決定事項だ。
抱きしめるかどうかはおいおいだな」

「……お風呂に行ってきます」


しょんぼりしていて可愛いが何がショックだったんだ?
やはりもう1歩強く出てほしかったのか。
よし、やはり抱きしめて眠ろう。



主に彼女は私の寝室で過ごす。
私が一緒の時は庭園を散歩したり、東屋でティータイムを楽しんだりした。
彼女を抱いて歩き、膝に座らせ、手ずからお菓子を食べさせてあげる。なんとも幸せな時間だ。
夜は抱きしめて眠る。
少しずつふれあいを増やしていった。最初は恥ずかしがって泣かれてしまったが今は素直に受け入れてくれている。
最後までは致していないから兄上に叱られることはないだろう。







私達の挙式はとても素晴らしいものとなった。
短い準備期間に文句も言わず奔走してくれたみなに改めて感謝を伝えなくてはいけないな。


あぁ、なんて綺麗なんだ…


あっという間の3ヶ月だった。
公爵家で磨き上げられた我が番は、出会ったときより一層美しくなった。私に愛されて女性としての魅力に煽れてしまったからか…
姿を見せない対策を施しておいて本当によかった。

つつがなく式も終わった。
みなが番を迎えたことを祝ってくれた。
花嫁を隠す私のことを、番とはそれほど大切なのだろうと理解してくれた。
私は本当に恵まれている。


「アデルバート様、どうされました?」

「あぁ、今日の幸せに浸っていたんだ。
こちらにおいで。今日は疲れただろう?」

「いえ、少しお話をしたいです」

「はなし?」


珍しいな。彼女から話がしたいと言われたのは初めてではないだろうか。


「もちろんいいよ。お茶を準備させようか」

「いいえ、このままで。
まずお聞きしたいことがあります。
私達は本日婚姻を結びました。
それにより、私のすべての責任は男爵家ではなくアデルバートが持ってくださるということですよね?」

「そうだね。番の責任はもちろん私のものだ」

「私は夫婦とは対等な立場だと思っています。
お互いに思っていることを正直に打ち明け、理解を求め合うべきであると思っています。
同意していただけますか?」

「あぁ、素敵だね。
思っていることはなんでも話してほしい。
遠慮などしないでくれ、我が番よ」

「同意してくださりありがとうございます。
これで話しやすくなります。

ではよろしいですか?




アデルバート様

私はあなたが大っっっ嫌いです!!」



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