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15. (1/24改稿)

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「もうよろしいですか?」

「え?」

「ですから、クラウディア様がおっしゃりたいことはもうありませんか?無いのでしたら私ももう結構ですので、早くセシリオを連れて来てください」


勝手に来てくだらない事をべらべらと。そんなものにいつまでも付き合っていられないわ。


「……本当なの?」

「何がですか」

「さっきあなたが言ったことよ!」

「さあ、私の想像です」

「あなた!私を馬鹿にしているの?!」


なぜ私が知っていると思うの?私はこの国の役人でも無いのに。自分で考える頭は無いのかしら。


「ですが、間違ってはいないと思いますよ。この国がよっぽど寛大か愚かじゃなければ、ですけど」

「そんな……」

「でもなぜ私の言う事を信じるのですか?ハッキリ言って私はクラウディア様に酷いことをされていますよ。そんな人間の言う事を頭から信じるっておかしいでしょう。
なぜ自分で考えないのですか?なぜ調べようとしないのですか?そんなことでは、今後もずっと利用されるだけの駒ですよ。なんの為に王妃教育を受けたんですか」

「……」


え、なんで反論しないの?


「まさか王妃教育を受けていないのですか?!」

「受けたわよ!ただちょっと難しくて……お父様には終わったって誤魔化してもらったのよ」

「恋してる場合ですか!」

「だって!セシリオの妻になるのに勉強なんて「料理も洗濯も掃除もできない!勉強もできない!ただの馬鹿が何を言ってるんです?!」

「そんなっ、ひどいわ……」


うわ、シクシク泣き出した。子供か。いや、子供の方が賢い。ラファの方が善悪の判断がつくもの。



「私の妻をずいぶんといじめているね?」


勝手に部屋に入っておきながら、わざとらしくドアをノックして見せる。出たな腹黒王子め。
錆色の髪に薄墨の瞳。泣きぼくろが色っぽい。


「王太子殿下、初めてお目にかかります。ウルタード国、医療魔法士のルシア・オルティスと申します」

「はは!まったくひるまないね」

「理由がありませんから」

「妻がずっと泣いているけど?」

「遅い思春期では?」

「なるほど。君は面白いね」


クラウディア様は殿下を見て固まっている。
さっきの話におびえてるのかしら。


「失礼ですが、奥様をきちんと管理して下さい。巻き込まれて凄く迷惑ですから」


さっきの光景がチラついて口調がキツくなる。腹黒王子はどこまで把握しているの。どこまで貴方が手を回していたの?


「妻が誘惑したから怒っているのか?だが、その程度のことで駄目になるならやめておいた方いい。そういう人間は何度でも繰り返すよ」


もっともな意見を言われ、何も言い返せない。


「さて、妻は連れて行こう。クルス卿を呼ぶかい?」

「はい、もともと呼んでいたのは彼だけです」

「わかった。ああ、それ。その誓約書が有効なのは今だけだよ。最後に何か言いたいことはない?」

「そうですね、ではクラウディア様に1つだけ」


じっと彼女を見つめる。言いたいことはたくさんある。でもきりがないから1つだけ。


「もっと勉強しなさい!!」

「!」

「ハハハッ、最後に言うのがそれなの?もっと恨み言とかを言うと思ったのに!君は本当に面白いな!」


クラウディア様なんてどうでもいい。このまま関わらないでほしいだけよ。


「じゃあこのままここで待ってて。すぐ向かうように伝えよう」

「分かりました。……今度は盗み聞きしないで下さいね」

「ふっ、分かったよ。生意気はそこまでね。クルス卿には防音結界の使用許可を出すよ」

「ありがとうございます」


やっと腹黒王子が出て行った。あの人どこから聞いていたのかしら。失礼よね。





しばらく待っているとノック音がした。

「はい」

「……俺だ」


俺って誰よ。名乗りなさいよ。


「どうぞ、入って」


静かにセシリオが入ってくる。
やっと会えたわね。





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