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51.どうして?
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カチャッ!
「父さま?」
「あっ、コニー!いいですよって言われてないのに入ったら駄目なのよ?」
そう言いながらもフェミィ様も入って来てしまいました。
まさかの子供達二人の登場に、ダイアナ様の涙も止まってしまったようです。
「母さま、えんえんしたの?」
どストレートですね。超ど直球の質問が来ました。
「……もしかして、お母様のこれからのお話をしていたの?」
ああ!ここにも直球なお方がいます。
「そなの?」「そうなのでしょう?」
「……そうだ」
旦那様?どこまでも狡猾になれると悪振っていたくせに、子供達には嘘ひとつつけないのですか。そうですか。
「母さま、どうしてえんえんなの?」
「…あ、……あの、ね?お母様、は……」
「悪いことをしちゃって泣いてるのかしら」
「えー!そうなの?わるいことしちゃったの?どうして姉さまはわかるの?すっごいね!」
何でしょう、これは。止めるべき?でも、どうやって?
「えっとね、ぼくがおしえてあげるね?まずはね、『ごめんなさい』をするんですよ?」
なぜ敬語なのでしょう。可愛すぎるのですけど。
「母さま、ちゃんといった?ごめんなさいよ?」
「……どう、だったかしら……」
「だったらもう一度ちゃんと言えばいいじゃない。言わないのは駄目だけど、多めに言っても問題ないでしょう?」
そう言ってフェミィ様が私をチラリと見ました。
「……そうですね。覚えていないということは、心からの謝罪では無かったのでしょう。
言うだけなら簡単です。でも、その言葉には本当に申し訳なかったという思いを込めなくては意味が無いのです。
心からの謝罪──ごめんなさいをするべきなのではありませんか?」
「だってそんな……今更謝罪したって何の意味もないじゃない」
子供達がきょとんとしています。
「ごめんなさいはごめんなさいよ?」
「そうね。ごめんなさいって言葉に、他の意味なんかあるの?」
あどけない顔で心底不思議そうに見つめられて、かなり気不味くなってしまったようです。
少し俯きながら、ボソボソと、
「……だって、何も変わらないでしょう?」
「なんで?」
「今更だからよ」
「どして?」
「……もう決まってしまったから」
「ん~?ぼく、わかんない。わるいことしたらね、ごめんなさいなの。もうしないねっておやくそくなのよ」
「そうよね。コニーが合ってるわ。どうしてそれと、その決まったこと?が同じになるの?」
純粋に疑問に思われると辛いですね、ダイアナ様。
だって、彼女にとって謝罪とは許される為にするものなのでしょう。だから、許されないのにやる意味は無いと言いたいのに、子供達は悪いと気付いたらすぐにごめんなさいが基本なのです。まったく話しが噛み合いません。
「ダイアナ様。これは貴方様が子供達に教えたことですよね?」
「そだよ?母さまがね、ごめんなさいすると、すぐにいえてえらいねってほめてくれたの」
子供にはしっかり教えていたのね。なのにどうしてご自分では出来ないのでしょうか。
「なのに、どうして?どうして母さまはごめんなさいっていわないの?」
「そうね。私達に嘘を教えたの?」
これは……コニー様はひたすら純粋に疑問に思って聞いていますが、フェミィ様はお母様の真実を見極めようとしているのではないでしょうか。
「……違うの、あのね?大人には色々あるのよ」
「いろいろってなぁに?」
「それは……その、子供に聞かせることじゃなくて」
「どうして?」
「……少し難しいの」
「ぼくね、おっきくなったよ!だからね、つよいの。むずかしいのだいじょぶよ?」
「私も知りたいわ、お母様。教えて下さらない?お母様に何が起きて、これからどうなるのか。だって、私達は家族でしょう?助け合わなきゃ。ね?」
あぁ、小悪魔が降臨してしまったようです。
「父さま?」
「あっ、コニー!いいですよって言われてないのに入ったら駄目なのよ?」
そう言いながらもフェミィ様も入って来てしまいました。
まさかの子供達二人の登場に、ダイアナ様の涙も止まってしまったようです。
「母さま、えんえんしたの?」
どストレートですね。超ど直球の質問が来ました。
「……もしかして、お母様のこれからのお話をしていたの?」
ああ!ここにも直球なお方がいます。
「そなの?」「そうなのでしょう?」
「……そうだ」
旦那様?どこまでも狡猾になれると悪振っていたくせに、子供達には嘘ひとつつけないのですか。そうですか。
「母さま、どうしてえんえんなの?」
「…あ、……あの、ね?お母様、は……」
「悪いことをしちゃって泣いてるのかしら」
「えー!そうなの?わるいことしちゃったの?どうして姉さまはわかるの?すっごいね!」
何でしょう、これは。止めるべき?でも、どうやって?
「えっとね、ぼくがおしえてあげるね?まずはね、『ごめんなさい』をするんですよ?」
なぜ敬語なのでしょう。可愛すぎるのですけど。
「母さま、ちゃんといった?ごめんなさいよ?」
「……どう、だったかしら……」
「だったらもう一度ちゃんと言えばいいじゃない。言わないのは駄目だけど、多めに言っても問題ないでしょう?」
そう言ってフェミィ様が私をチラリと見ました。
「……そうですね。覚えていないということは、心からの謝罪では無かったのでしょう。
言うだけなら簡単です。でも、その言葉には本当に申し訳なかったという思いを込めなくては意味が無いのです。
心からの謝罪──ごめんなさいをするべきなのではありませんか?」
「だってそんな……今更謝罪したって何の意味もないじゃない」
子供達がきょとんとしています。
「ごめんなさいはごめんなさいよ?」
「そうね。ごめんなさいって言葉に、他の意味なんかあるの?」
あどけない顔で心底不思議そうに見つめられて、かなり気不味くなってしまったようです。
少し俯きながら、ボソボソと、
「……だって、何も変わらないでしょう?」
「なんで?」
「今更だからよ」
「どして?」
「……もう決まってしまったから」
「ん~?ぼく、わかんない。わるいことしたらね、ごめんなさいなの。もうしないねっておやくそくなのよ」
「そうよね。コニーが合ってるわ。どうしてそれと、その決まったこと?が同じになるの?」
純粋に疑問に思われると辛いですね、ダイアナ様。
だって、彼女にとって謝罪とは許される為にするものなのでしょう。だから、許されないのにやる意味は無いと言いたいのに、子供達は悪いと気付いたらすぐにごめんなさいが基本なのです。まったく話しが噛み合いません。
「ダイアナ様。これは貴方様が子供達に教えたことですよね?」
「そだよ?母さまがね、ごめんなさいすると、すぐにいえてえらいねってほめてくれたの」
子供にはしっかり教えていたのね。なのにどうしてご自分では出来ないのでしょうか。
「なのに、どうして?どうして母さまはごめんなさいっていわないの?」
「そうね。私達に嘘を教えたの?」
これは……コニー様はひたすら純粋に疑問に思って聞いていますが、フェミィ様はお母様の真実を見極めようとしているのではないでしょうか。
「……違うの、あのね?大人には色々あるのよ」
「いろいろってなぁに?」
「それは……その、子供に聞かせることじゃなくて」
「どうして?」
「……少し難しいの」
「ぼくね、おっきくなったよ!だからね、つよいの。むずかしいのだいじょぶよ?」
「私も知りたいわ、お母様。教えて下さらない?お母様に何が起きて、これからどうなるのか。だって、私達は家族でしょう?助け合わなきゃ。ね?」
あぁ、小悪魔が降臨してしまったようです。
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