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~第一章~
27話
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何日かぶりのタヌカとの再会にすこし、安心する。
今は執務室でお母様の残してくれた遺言書と父がやらかした事をまとめた紙を並べ見直している所だ。
まずもう遺言で残された中で父に当てはまらない事がいくつかある、私が成人する同時にお母様.....と言うかリュシャド家の婿養子としての役目を終えて離縁となり、これまで一応婿養子としての約束を果たしてくれた報酬として公爵領の土地に建てた家と遺族年金を払うと言う一文はもう当てはまらなくなった!!
私の成人まではリュシャド家の為に尽くした謝礼のつもりの土地と遺族年金なのだから、すでに勝手に離縁し再婚まで相談もなく、してしまったのだ......よってこの約束は無効だ!!!!
父の言うとおり再婚をしてはならないと言う遺言はなかったがそれは、再婚なんてしてしまえばそれこそ公爵家の跡取りと継承権がある子供達の親権を持つ本当にただの平民になってしまうからだ!リュシャド家の婿養子だったからこそこの家に残れただけの事........
この事でもうすでに父は終わっている.....
お母様が用意した最後の救済措置まで自分でけったのだ。
弁護士様いわくこれだけでもう家を追い出す理由になるのだと言う
正直、後見人を今からでも探してその方の承認を得られたら親権しか持っていないこの父に必要性皆無らしい.....
そして、私を本邸から追い出す原因となった継母の連れ子を不敬罪にも問えると言う事で、その継母も娘を止められなかったと言うことで両方同時に捕える事も出来るみたいだ。
この事を聞いた私が出した結論は..........
もうそれでいいんじゃないの?だった!
もう後見人になってくれる方を探してさっさと父とあの継母と連れ子を一網打尽にしてしまうのが手っ取り早いんじゃないの?
親がいた方が貴族である以上離縁せずに家に置いた方がいいとお母様は考えたのだろうけど、今の父はただの公爵家に毎日泥をブチ投げて、この家の評判を落とす一方の役立たずでなのでそれならいない方がマシ。
父をさっさと追い出してその後、名誉を回復した方が話が早いと思うのだけれど、お兄様はまだ迷っているようだ.....
たぶんどんな父親でも家を追い出す事にいい顔をしない貴族達もいるだろうと言うのが、お兄様の見解のようで弁護士様もそうなる可能性もあると言う。
やっぱりそんな簡単な話ではないかぁ.........
弁護士様いわく、今の状況でも他貴族からどう言う事だと文句を言われるし、家を追い出しても親を追い出すとわ、と言って文句を言われる可能性がある。どちらにしてもリスクが多少なりともあるなら出来るだけ傷の少なくて済むように考えるしかないと言うのだ。
もう!ややこしいわ!!!!
自分も当事者なのに分からなくなってくるほどややこしいじゃないの!!!
くっそ、あの乙女ゲームがかなり作りこまれた設定をしていたおかげでこの世界でとてもやり難くなっているじゃないのよ!!!!
弁護士様もこれはエスリト公爵に相談しておさめ方を教えて貰うしかないと言うので、もうこれ以上はあのご夫妻をまつしかないと一旦今の話はまとまった。
休憩を入れる為、タヌカがお茶を用意してくれているが何故かお屋敷から私がこちらにいるからとデュリコがレラリーヌを使ったお茶菓子をわざわざ用意して届けてくれたそうで、そのお茶菓子を弁護士様が見てこれは王都でも見た事ない物ですね!!と喜んでいる。
そんなにすごい物をデュリコは作れるの!?私付きにしていていい人なの!?と心配になる!
しかもレラリーヌは王都でも有名になりつつあるらしく、この間王妃様も気に入り定期的に仕入れが決まったとさらっとお兄様が言うので私は固まってしまう。
うちの庭師もデュリコも実はめっちゃすごい人なんじゃないの!?
なんだかもう一人一人のキャラが濃すぎてツッコんでいられないわ。
私は、二人の会話にツッコむのをやめ、ルーシーに抱っこをねだり眠たくなった体をまかせる。
この体の欠点は自分の意思に反して睡眠欲には勝てない事だ.......
エスリト公爵様ご夫妻が来るまでにはルーシーが起こしてくれるのを分かっていて眠りの世界に入っていく。
そんな私の姿を見てお兄様がルーシーに対して自分より懐かれているなんてっ!!と意味の分からない感情を視線でぶつけてるなんて知るよしもない.......
しばらくして心地のいい眠りからルーシーの優しい声で起こされる。
どうやらエスリト公爵様ご夫妻がご到着したと言う事で、お兄様とお出迎えしに正面扉に向かう。
公爵家どうしお兄様と正式な挨拶を交わしてから、固いのはこの挨拶だけにしようと砕けた様子で接してくれるご夫妻は本当に理想の夫婦だなぁと私は思う。
そして、少しづつではあるが日々成長している私をお二人が交代で抱き上げてくれるが、少し大きくなったかなぁとお笑顔で高い高いしてくれるエスリト公爵に、すこし照れくさい気持ちになる.......
だって、今の父があれなんですもの!本来の父親象をエスリト公爵に対して感じてしまうのは仕方ないじゃないの!
そして、一通り再開の挨拶をおえて私は公爵夫人のスティーナ様に抱っこされながら応接室に向かう
公爵ご夫妻にも弁護士様にしたお話を説明して、その後執務室で話し合った内容も報告する。
やはり、エスリト公爵様も同じ考えなようでここまで来たらどちらにせよ他の貴族に何かしら言われるだろうと言うことだった。
どうしようかと悩むのかと思いきやこの為に我々はやってきたんだよ!とお兄様に言って下さる公爵様に本当に来て下さってありがとうございますとお兄様は改めて頭をさげる。
そこからがこの大人達とお兄様との本格的な相談会が始まり、話を聞いていくとすごい解決策がどんどんできてやっぱり貴族社会でやってこられた方々がこれだけ集まると凄い案ができくるんだなぁと思う。
そして一番びっくりしたのはエスリト公爵家にはまだお子さんがいないと言う事だ........
奥様ではなく公爵様に少し問題があったようで、こんな話を私達に言ってしまっていいのかとお兄様が心配して聞くと、そこでお二人の顔が今までよりももっと真剣な顔となる。
どうやら公爵様の方に問題があると言うのはスティーナ様とご結婚されてからしばらくたってからだと言う。
子供がなかなか出来ない事に悩んだスティーナ様がお姑様であられる前公爵夫人様にご相談されたらしく、まだまだ時間はたっぷりあるのだからもう少し新婚気分で二人で過ごしてもいいのではないかと言って頂けたらしいのですが、本当に落ち込んでしまっている奥様を心配になった公爵様が一緒に病院に行ったみたいで.........
その時に分かったのだと言う。
前公爵ご夫妻は息子の事で落ち込んでしまい、スティーナ様は自分の夫にこんな思いをさせてしまった自分の騒動を恨み一時期はエスリト公爵家全体が沈んだ空気になったのだが、公爵様ご自身が別に貴族でも養子をとって後継者にする事も珍しいことではないのだからそれでいいではないかと、自分の子供でなくても、親になる事は出来るではないかといいみんなを納得させたと言うのだ!!!
そして今回の話を聞いた時、エスリト公爵家で話し合いここに来てくれたのだと言う。
「ラス君.......いや、リュシャド公爵家次期御当主のラスウィータ様、私達エスリト公爵家のご提案の話をどうか聞いて頂けないでしょうか」
そう改まって頭を下げてくる。
お兄様も表情を変え、話を聞きましょう。と答える
そうして、エスリト公爵様ご夫妻からの提案はこうだった。
自分達は公爵家の位を持つ一柱でもあり、同じ公爵家でも臣籍降下なども行われるリュシャド公爵家にこのような提案をするのは間違っているのかもしれないが、話だけでも聞いて貰いたいと言う。
一つめは、自分達にはこれから子供を望むことができない。その事を踏まえてお母様の友人であり、幼馴染でもあったエスリト公爵夫婦で後見人になりたいと言うこと
これは同じ公爵家である自分達だからこそ出来る事であると、それも前エスリト公爵夫妻にも許可もとってあり、むしろ小さい時から可愛がってきたお母様の子供達を守れるなら進んで後見人になってあげなさいと言って下さったのだと。
二つめは、もし後見人にして貰えるのであれば........と言うよりもこちらは出来てばと言う事なのだが、私をエスリト公爵家の養子ししたいと言う。
もちろんこれは絶対ではなく提案の一つで、後見人になってやるから妹をよこせと言っているのではなく、私本人に決めて貰ってかまわないと言ってきた.......
私には継承権があるもののお兄様がいるので何処かの家に嫁ぐ事にいつかはなり、お母様の言う自由恋愛だとしても、少しでもいい暮らしをしてもらう為お兄様も色々思うところもあるだろうと。そこでエスリト公爵家の養子となり、婿を貰う形での結婚となれば爵位は私にあり、暮らしに困ることもなければリュシャド家を見ているので政略結婚をさせるつもりもないと。
自分たちは公爵家ではあるが臣籍降下が行われるわけでもなく昔から王家に仕え地道に功績を上げてきただけの家なので、正直どんな血が混じっても良いそうだ
実際、何代か前のご当主が平民のパン屋の娘を見染めて奥様にされたそうで、そのせいもあって公爵家にも関わらず考え方が固くなくどんな血が入ってもこの家に入ればこの家の人間になるのだからと大切にしてきたと言う
後見人になるならばお兄様も私も自分の子の様に思いたいし、幸せになってほしい、お兄様はリュシャド公爵家の跡取りなので心配はないが、私を利用しようと狙う家も出てくるかもしれないと心配になり、この事を思いついたらしい...
しかも用意がいい事にこの話を持ってくる際にいい返事が貰えるならと、他の貴族達も納得させてきたと言うのだ!
もちろん後見人の話も、自分たちの考えで養子も自分たちの願いなので、まだリュシャド家に答えは貰えてはいないがそうなった場合に備えて色んな上位貴族を抑えてくれたようだ。
公爵家どうしの養子縁組など力を強めすぎると言う声もあったが、エスリト公爵家は平民の血も一度入れている為、リュシャド公爵家の方が養子になって跡継ぎになっても、強くなりすぎる事もないしむしろリュシャド家が他の家の者に利用されるような事が減りそれこそ力の偏りを無くす機会ではないかと、納得させてきたのだと言う。
その際に今のリュシャド公爵家の現状をスティーナ様が涙ながら伝え広め親を切り捨てる際に文句がでないよう奥様方の顔の広さや噂話の広まりを利用して、どれだけひどい扱いを私達が受けているか・これは親であっても切り捨てるべきことなのだと攻撃材料も無くして来てくれたのだと言ってくださったのだ!!!!
まさか私達の為に前もってそこまで動いて下さっているなど知らなかったお兄様は驚きのあまり声も出なくなって固まっており私も本当に突然の養子話に困惑している。
そしてここまで黙って話を聞いていた弁護士様が口を開く
「これはこれは.......とても考えて動いてくださっていたのですね。
法的には問題ありません。
本来親戚や親類の方が後見人に選ばれるのですがこの家は調べた所によりますと親類も親戚も、もういらっしゃらない、いるのはネルノイ様のご両親の方々ですが、すでに貴族位を国王陛下に返上なされ、ご隠居なされてしまっていると言う事でありまして。
例外....と言うよりも実の父があのような方と言うのを訴えればお家同士が昔からの繋がりで仲も良好な上、前ご当主様であらせられたタヴィア様の幼馴染の家との事もきちんと報告し、さらにエスリト公爵家の現状とルフレーラ様のご意志次第ではありますが養子になられると言う話であれば、後見人の話は問題なく僕に任せて頂いて大丈夫でございます」
そう言うとあとはお兄様次第でここで決めて貰ってかまわないとエスリト公爵ご夫妻は優しく微笑まれた。
「後見人の話、とても嬉しく感謝いたします。
本当にエスリト公爵家の方々が良いと言って貰えてるのであればこちらからお願いしたく思います」
そう言って嬉しそうに微笑みながら頭をさげるお兄様にエスリト公爵ご夫妻がお互いの顔を見合わせてぱぁっと表情を嬉しそうにし、手を取り合っている
その姿をみてお兄様が話を続ける.......
「その..........養子縁組の話なのですが......
もし、レーラが断ればどうなるのでしょう........」
そう言って不安そうにご夫妻に聞くお兄様に、ふふっっとスティーナ様が微笑まれ答える
「ご安心ください、ラスウィータ様。
もしルフレーラ様が断られたとしても私たちの関係は変わりません、私達は後見人としてあなた様達の親のつもりでこれからも見守らさせて頂きますよ.........
もしルフレーラ様に養子になって貰えるならこれほど嬉しい話はないですが、こればかりはご本人の意思を尊重しない訳にはいきません。
断られたらその時、また別の養子になってくださる子を探せばいいだけの話しでございます
それでも、私達夫婦はできればルフレーラ様に来てもらえると嬉しいと思っている事だけは本心でございます」
そう言ってお兄様になるべく安心してもらえるように話しかけてくださるスティーナ様になんて心の広い方々なんだろうと心の底から尊敬し、お兄様も安心したようにほっとした顔をしている。
「もし、よければでありますがルフレーラ様のご意志を確認する時期さえ決めて頂けたらと有難いのですがそれは可能でしょうか?」
そう言うエスリト公爵に弁護士様も、その方がよろしいと思われますと賛成する。
養子となるとエスリト公爵家の今後の事も関わって来るし私が断った際にその次を決める為の時間も関係してくるので、そこだけははっきりさせておいた方が互いの家の為になると弁護士様が進言し、それにはお兄様も賛成なようだ。
こうして父の事をどうにかする打開策から、まさか養子話にまで発展するなんて思っていなかった私はなんかもう困惑しすぎて全然話に付いていけてなく、ストーリーは!?シナリオは!?とそんな事ばかり気になってまったく集中できないまま養子になる時期の事についての話が始まろうとしていた........
今は執務室でお母様の残してくれた遺言書と父がやらかした事をまとめた紙を並べ見直している所だ。
まずもう遺言で残された中で父に当てはまらない事がいくつかある、私が成人する同時にお母様.....と言うかリュシャド家の婿養子としての役目を終えて離縁となり、これまで一応婿養子としての約束を果たしてくれた報酬として公爵領の土地に建てた家と遺族年金を払うと言う一文はもう当てはまらなくなった!!
私の成人まではリュシャド家の為に尽くした謝礼のつもりの土地と遺族年金なのだから、すでに勝手に離縁し再婚まで相談もなく、してしまったのだ......よってこの約束は無効だ!!!!
父の言うとおり再婚をしてはならないと言う遺言はなかったがそれは、再婚なんてしてしまえばそれこそ公爵家の跡取りと継承権がある子供達の親権を持つ本当にただの平民になってしまうからだ!リュシャド家の婿養子だったからこそこの家に残れただけの事........
この事でもうすでに父は終わっている.....
お母様が用意した最後の救済措置まで自分でけったのだ。
弁護士様いわくこれだけでもう家を追い出す理由になるのだと言う
正直、後見人を今からでも探してその方の承認を得られたら親権しか持っていないこの父に必要性皆無らしい.....
そして、私を本邸から追い出す原因となった継母の連れ子を不敬罪にも問えると言う事で、その継母も娘を止められなかったと言うことで両方同時に捕える事も出来るみたいだ。
この事を聞いた私が出した結論は..........
もうそれでいいんじゃないの?だった!
もう後見人になってくれる方を探してさっさと父とあの継母と連れ子を一網打尽にしてしまうのが手っ取り早いんじゃないの?
親がいた方が貴族である以上離縁せずに家に置いた方がいいとお母様は考えたのだろうけど、今の父はただの公爵家に毎日泥をブチ投げて、この家の評判を落とす一方の役立たずでなのでそれならいない方がマシ。
父をさっさと追い出してその後、名誉を回復した方が話が早いと思うのだけれど、お兄様はまだ迷っているようだ.....
たぶんどんな父親でも家を追い出す事にいい顔をしない貴族達もいるだろうと言うのが、お兄様の見解のようで弁護士様もそうなる可能性もあると言う。
やっぱりそんな簡単な話ではないかぁ.........
弁護士様いわく、今の状況でも他貴族からどう言う事だと文句を言われるし、家を追い出しても親を追い出すとわ、と言って文句を言われる可能性がある。どちらにしてもリスクが多少なりともあるなら出来るだけ傷の少なくて済むように考えるしかないと言うのだ。
もう!ややこしいわ!!!!
自分も当事者なのに分からなくなってくるほどややこしいじゃないの!!!
くっそ、あの乙女ゲームがかなり作りこまれた設定をしていたおかげでこの世界でとてもやり難くなっているじゃないのよ!!!!
弁護士様もこれはエスリト公爵に相談しておさめ方を教えて貰うしかないと言うので、もうこれ以上はあのご夫妻をまつしかないと一旦今の話はまとまった。
休憩を入れる為、タヌカがお茶を用意してくれているが何故かお屋敷から私がこちらにいるからとデュリコがレラリーヌを使ったお茶菓子をわざわざ用意して届けてくれたそうで、そのお茶菓子を弁護士様が見てこれは王都でも見た事ない物ですね!!と喜んでいる。
そんなにすごい物をデュリコは作れるの!?私付きにしていていい人なの!?と心配になる!
しかもレラリーヌは王都でも有名になりつつあるらしく、この間王妃様も気に入り定期的に仕入れが決まったとさらっとお兄様が言うので私は固まってしまう。
うちの庭師もデュリコも実はめっちゃすごい人なんじゃないの!?
なんだかもう一人一人のキャラが濃すぎてツッコんでいられないわ。
私は、二人の会話にツッコむのをやめ、ルーシーに抱っこをねだり眠たくなった体をまかせる。
この体の欠点は自分の意思に反して睡眠欲には勝てない事だ.......
エスリト公爵様ご夫妻が来るまでにはルーシーが起こしてくれるのを分かっていて眠りの世界に入っていく。
そんな私の姿を見てお兄様がルーシーに対して自分より懐かれているなんてっ!!と意味の分からない感情を視線でぶつけてるなんて知るよしもない.......
しばらくして心地のいい眠りからルーシーの優しい声で起こされる。
どうやらエスリト公爵様ご夫妻がご到着したと言う事で、お兄様とお出迎えしに正面扉に向かう。
公爵家どうしお兄様と正式な挨拶を交わしてから、固いのはこの挨拶だけにしようと砕けた様子で接してくれるご夫妻は本当に理想の夫婦だなぁと私は思う。
そして、少しづつではあるが日々成長している私をお二人が交代で抱き上げてくれるが、少し大きくなったかなぁとお笑顔で高い高いしてくれるエスリト公爵に、すこし照れくさい気持ちになる.......
だって、今の父があれなんですもの!本来の父親象をエスリト公爵に対して感じてしまうのは仕方ないじゃないの!
そして、一通り再開の挨拶をおえて私は公爵夫人のスティーナ様に抱っこされながら応接室に向かう
公爵ご夫妻にも弁護士様にしたお話を説明して、その後執務室で話し合った内容も報告する。
やはり、エスリト公爵様も同じ考えなようでここまで来たらどちらにせよ他の貴族に何かしら言われるだろうと言うことだった。
どうしようかと悩むのかと思いきやこの為に我々はやってきたんだよ!とお兄様に言って下さる公爵様に本当に来て下さってありがとうございますとお兄様は改めて頭をさげる。
そこからがこの大人達とお兄様との本格的な相談会が始まり、話を聞いていくとすごい解決策がどんどんできてやっぱり貴族社会でやってこられた方々がこれだけ集まると凄い案ができくるんだなぁと思う。
そして一番びっくりしたのはエスリト公爵家にはまだお子さんがいないと言う事だ........
奥様ではなく公爵様に少し問題があったようで、こんな話を私達に言ってしまっていいのかとお兄様が心配して聞くと、そこでお二人の顔が今までよりももっと真剣な顔となる。
どうやら公爵様の方に問題があると言うのはスティーナ様とご結婚されてからしばらくたってからだと言う。
子供がなかなか出来ない事に悩んだスティーナ様がお姑様であられる前公爵夫人様にご相談されたらしく、まだまだ時間はたっぷりあるのだからもう少し新婚気分で二人で過ごしてもいいのではないかと言って頂けたらしいのですが、本当に落ち込んでしまっている奥様を心配になった公爵様が一緒に病院に行ったみたいで.........
その時に分かったのだと言う。
前公爵ご夫妻は息子の事で落ち込んでしまい、スティーナ様は自分の夫にこんな思いをさせてしまった自分の騒動を恨み一時期はエスリト公爵家全体が沈んだ空気になったのだが、公爵様ご自身が別に貴族でも養子をとって後継者にする事も珍しいことではないのだからそれでいいではないかと、自分の子供でなくても、親になる事は出来るではないかといいみんなを納得させたと言うのだ!!!
そして今回の話を聞いた時、エスリト公爵家で話し合いここに来てくれたのだと言う。
「ラス君.......いや、リュシャド公爵家次期御当主のラスウィータ様、私達エスリト公爵家のご提案の話をどうか聞いて頂けないでしょうか」
そう改まって頭を下げてくる。
お兄様も表情を変え、話を聞きましょう。と答える
そうして、エスリト公爵様ご夫妻からの提案はこうだった。
自分達は公爵家の位を持つ一柱でもあり、同じ公爵家でも臣籍降下なども行われるリュシャド公爵家にこのような提案をするのは間違っているのかもしれないが、話だけでも聞いて貰いたいと言う。
一つめは、自分達にはこれから子供を望むことができない。その事を踏まえてお母様の友人であり、幼馴染でもあったエスリト公爵夫婦で後見人になりたいと言うこと
これは同じ公爵家である自分達だからこそ出来る事であると、それも前エスリト公爵夫妻にも許可もとってあり、むしろ小さい時から可愛がってきたお母様の子供達を守れるなら進んで後見人になってあげなさいと言って下さったのだと。
二つめは、もし後見人にして貰えるのであれば........と言うよりもこちらは出来てばと言う事なのだが、私をエスリト公爵家の養子ししたいと言う。
もちろんこれは絶対ではなく提案の一つで、後見人になってやるから妹をよこせと言っているのではなく、私本人に決めて貰ってかまわないと言ってきた.......
私には継承権があるもののお兄様がいるので何処かの家に嫁ぐ事にいつかはなり、お母様の言う自由恋愛だとしても、少しでもいい暮らしをしてもらう為お兄様も色々思うところもあるだろうと。そこでエスリト公爵家の養子となり、婿を貰う形での結婚となれば爵位は私にあり、暮らしに困ることもなければリュシャド家を見ているので政略結婚をさせるつもりもないと。
自分たちは公爵家ではあるが臣籍降下が行われるわけでもなく昔から王家に仕え地道に功績を上げてきただけの家なので、正直どんな血が混じっても良いそうだ
実際、何代か前のご当主が平民のパン屋の娘を見染めて奥様にされたそうで、そのせいもあって公爵家にも関わらず考え方が固くなくどんな血が入ってもこの家に入ればこの家の人間になるのだからと大切にしてきたと言う
後見人になるならばお兄様も私も自分の子の様に思いたいし、幸せになってほしい、お兄様はリュシャド公爵家の跡取りなので心配はないが、私を利用しようと狙う家も出てくるかもしれないと心配になり、この事を思いついたらしい...
しかも用意がいい事にこの話を持ってくる際にいい返事が貰えるならと、他の貴族達も納得させてきたと言うのだ!
もちろん後見人の話も、自分たちの考えで養子も自分たちの願いなので、まだリュシャド家に答えは貰えてはいないがそうなった場合に備えて色んな上位貴族を抑えてくれたようだ。
公爵家どうしの養子縁組など力を強めすぎると言う声もあったが、エスリト公爵家は平民の血も一度入れている為、リュシャド公爵家の方が養子になって跡継ぎになっても、強くなりすぎる事もないしむしろリュシャド家が他の家の者に利用されるような事が減りそれこそ力の偏りを無くす機会ではないかと、納得させてきたのだと言う。
その際に今のリュシャド公爵家の現状をスティーナ様が涙ながら伝え広め親を切り捨てる際に文句がでないよう奥様方の顔の広さや噂話の広まりを利用して、どれだけひどい扱いを私達が受けているか・これは親であっても切り捨てるべきことなのだと攻撃材料も無くして来てくれたのだと言ってくださったのだ!!!!
まさか私達の為に前もってそこまで動いて下さっているなど知らなかったお兄様は驚きのあまり声も出なくなって固まっており私も本当に突然の養子話に困惑している。
そしてここまで黙って話を聞いていた弁護士様が口を開く
「これはこれは.......とても考えて動いてくださっていたのですね。
法的には問題ありません。
本来親戚や親類の方が後見人に選ばれるのですがこの家は調べた所によりますと親類も親戚も、もういらっしゃらない、いるのはネルノイ様のご両親の方々ですが、すでに貴族位を国王陛下に返上なされ、ご隠居なされてしまっていると言う事でありまして。
例外....と言うよりも実の父があのような方と言うのを訴えればお家同士が昔からの繋がりで仲も良好な上、前ご当主様であらせられたタヴィア様の幼馴染の家との事もきちんと報告し、さらにエスリト公爵家の現状とルフレーラ様のご意志次第ではありますが養子になられると言う話であれば、後見人の話は問題なく僕に任せて頂いて大丈夫でございます」
そう言うとあとはお兄様次第でここで決めて貰ってかまわないとエスリト公爵ご夫妻は優しく微笑まれた。
「後見人の話、とても嬉しく感謝いたします。
本当にエスリト公爵家の方々が良いと言って貰えてるのであればこちらからお願いしたく思います」
そう言って嬉しそうに微笑みながら頭をさげるお兄様にエスリト公爵ご夫妻がお互いの顔を見合わせてぱぁっと表情を嬉しそうにし、手を取り合っている
その姿をみてお兄様が話を続ける.......
「その..........養子縁組の話なのですが......
もし、レーラが断ればどうなるのでしょう........」
そう言って不安そうにご夫妻に聞くお兄様に、ふふっっとスティーナ様が微笑まれ答える
「ご安心ください、ラスウィータ様。
もしルフレーラ様が断られたとしても私たちの関係は変わりません、私達は後見人としてあなた様達の親のつもりでこれからも見守らさせて頂きますよ.........
もしルフレーラ様に養子になって貰えるならこれほど嬉しい話はないですが、こればかりはご本人の意思を尊重しない訳にはいきません。
断られたらその時、また別の養子になってくださる子を探せばいいだけの話しでございます
それでも、私達夫婦はできればルフレーラ様に来てもらえると嬉しいと思っている事だけは本心でございます」
そう言ってお兄様になるべく安心してもらえるように話しかけてくださるスティーナ様になんて心の広い方々なんだろうと心の底から尊敬し、お兄様も安心したようにほっとした顔をしている。
「もし、よければでありますがルフレーラ様のご意志を確認する時期さえ決めて頂けたらと有難いのですがそれは可能でしょうか?」
そう言うエスリト公爵に弁護士様も、その方がよろしいと思われますと賛成する。
養子となるとエスリト公爵家の今後の事も関わって来るし私が断った際にその次を決める為の時間も関係してくるので、そこだけははっきりさせておいた方が互いの家の為になると弁護士様が進言し、それにはお兄様も賛成なようだ。
こうして父の事をどうにかする打開策から、まさか養子話にまで発展するなんて思っていなかった私はなんかもう困惑しすぎて全然話に付いていけてなく、ストーリーは!?シナリオは!?とそんな事ばかり気になってまったく集中できないまま養子になる時期の事についての話が始まろうとしていた........
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長年の恋人の言葉よりもあざとい秘書官の言葉を信頼する近頃の彼にどれほど傷ついただろう。
「はー、もういいわ」
皇帝という立場の恋人は、仕事仲間である優秀な秘書官を信頼していた。
彼女の言葉を信じて私に婚約パーティーの日に「尻軽」だと言った彼。
「公女様は、退屈な方ですね」そういって耳元で嘲笑った秘書官。
だから私は悪女になった。
「しつこいわね、見て分かんないの?貴方とは終わったの」
洗練された公女の所作に、恵まれた女性の魅力に、高貴な家門の名に、男女問わず皆が魅了される。
「貴女は、俺の婚約者だろう!」
「これを見ても?貴方の言ったとおり"尻軽"に振る舞ったのだけど、思いの他皆にモテているの。感謝するわ」
「ダリア!いい加減に……」
嫉妬に燃える皇帝はダリアの新しい恋を次々と邪魔して……?
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