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~第一章~
10話
しおりを挟むあのお母様が倒れた日から1ヶ月たった。
お兄様は執務に慣れタヌカの手を借りる事も少なくなってきてるようでとても頑張られてるようです!
相変わらず私は覗き見勉強したり、歩く練習をしたり、お兄様を筆頭に暇を見て私を構いに来てくれる侍女や執事達、料理長のデュリコに庭師のおじいちゃんが届けてくれる花、本当に沢山の人に可愛がって貰っている。
みんなあれだけ毎日忙しそうにしていたのに、慣れと言うものは凄いし人の適応能力を垣間見たひと月だったかもしれない。
お母様は相変わらず体調が良くなる事はなく、悪化する一方で薬がだんだん効きにくくなっているとお医者様が言っていた。
見た目でも体調の悪さが出るようになってしまい、私が大好きだったお母様とお揃いの色をした白銀の髪もパサパサでツヤもなく顔色も真っ青になり、綺麗だったお顔も頬がこけてしまい体も随分痩せてしまった.....
お薬も効きにくいからと少しずつ強い薬に変わってしまい副作用もでてしまってるようで、お食事も食べられない時もあると心配そうにタヌカが言っていた。
お母様は私たち兄妹の為、公爵家に関わるみんなの為に必死に頑張ってくれている。どうにか良くなるように沢山薬も飲んでいるし、辛くてもご飯も食べるようにしてくれているとお兄様が言っていた
そう言う事を聞いてしまうとまだまだ一緒に居たいし、やりたい事も沢山ある。だけど乙女ゲームの記憶がある私にはお母様が亡くなってしまう事が分かっているので、もしこれが変わらない現実ならば、それならば誰でもいいからもう頑張らなくていい、そんなに辛い思いをしなくてもいいとお母様に言ってあげて欲しい。そんな悲しい事を考えてしまうのを止められなくなる事がある。
最近良く泣いてしまう私にルーシーが心配してずっと付きっ切りで居てくれている、この幼児の体は本当に扱いずらい。泣きたくないのに、心配させたくないのに涙が止まらなくなり、困らせてしまうのだ。
こんなにお母様を追い詰めた元凶の父ネルノイは未だに帰ってこない。きっとお母様が倒れた事聞いたから家に帰ってこなくなったんだろう。
父は何故そこまでお母様や私たち兄妹を嫌い、外に女まで作ったのか。
いくら国が不貞を許さないと言っても貴族社会には政略結婚と言う物があり、それ故に抜け道も用意されている。
お互いの同意のがあれば政略結婚はしたし義務として後継ぎも作り子供を大切にするが別の愛人を囲ったりするのはよくある事らしいのだ。
この政略結婚には愛情はないが家を守ると言う名目で友愛や、戦友のように尊敬し合い上手くやっている貴族のご夫婦もいる
そう言うのは公にされないがある意味とても美しい関係だと賛美される事もあると言うのだから、当主になる為の婿養子ではなく後継者の為の婿養子だったにしてもそれは政略結婚であって父であるネルノイの実家に利点も沢山あったはず、なのにここまでお母様を邪険にする意味が分からない。
それに後継者であるお兄様がお産まれになった時点でその政略結婚の義務を果たしたのだからお母様に許可をとり愛人を囲えばいいだけの話。お母様との政略結婚前からの付き合いだったとしてもそう言う存在がいると言っておけばいい物をきっとネルノイは隠し通して来たのだと思う。
何故そう思うかと言うと、お母様は家令のタヌカを絶対的に信用し、タヌカも信頼している。あの2人は信頼関係として嘘偽りなくなんでも話すのが信頼の証と言う約束もしていたはず。そのタヌカが父のやった不貞行為をあの日まで知らなかったと言うのだ。
お兄様とも同じような約束をしていたのできっと本当に知らなかったのだと思う
そしてもっと疑問なのが後継者が居るのに何故私を作ったのか。それはお兄様に何かあった時の為の予備なのだと思ったのですぐに解決したが、それなら何故私に会う事すら拒否していたが分からなくなる。
お兄様が次期当主である事は変わりないが、私も同じ教育を受け家を出るまではお兄様の片腕となる事は産まれた時から決まっているし、そんな事は嫌だがもし万が一お兄様に何かあった時は私が次期当主になるのだ、なら修道院に追いやると言った意味が分からなくなる。
とにかく父ネルノイの事を考えると、きりがなくずっと同じ考えをグルグルしていまうので今は考えるのをやめておく。
それもいずれ理由がわかる時が来るかもしれないと期待はしておくけれども、ネルノイ本人に直接聞く事は出来ないかもと思う。
あれ?そう言えばルーシーが帰ってこないな
何故思い出したかのように言うのかというと、実は今私が色々と頭の中で考え事をしている時ルーシーがいなかったのだ!
誰かがそばにいる時はなるべく考え事に没頭する事を最近は避けている!だって今までは赤ちゃんだったし寝転んでじっとしていても大人しいんだなー、くらいだったけれど、今の私はもう年齢的には1歳半になっているし動きが活発になる時期なのだもの!!!
いくら大人しいとしてもあまりにじっと何処を見てるか分からない目で動かなかったら心配させてしまうでしょう?!だから最近は寝る前とか少しの1人の時間などにだけ頭の中を整理する意味も含めて考え事をするようにしているのだけれど
私が最近お兄様に頂いた大きなウサギのぬいぐるみを抱っこして遊んでいるから今のうちにと思ったのか飲み物を持って来ますね、デュリコがルフレーラ様に朝から作っていたんですよーとそれを取りに行ったのだ。
いつもなら数分で戻ってくるのに何故かルーシーが戻ってこない!!!
どうしたんだろうか、何かあったのかな?!
もしかして最近私がよく泣くせいで、ずっと私に付きっ切りだったからあまりの過労に途中で倒れてたりしない?!
足を踏み外して階段から落ちていたり?!
だんだん焦りが出て来てしまい、ぬいぐるみを抱きしめながら部屋の中をグルグル歩き回る
あーー、ダメだ!考えがだんだん最悪の状況を想像してしまっている!!
廊下で倒れてるルーシーや、階段を踏み外し落ちてしまうルーシーの映像が何故か頭の中で再生されてどんどん不安になってきてしまう!!!
このあと少しだけ遅れてやってくる侍女が目にしてのはぬいぐるみを抱きしめ青ざめて泣きそうな顔でぐるぐると部屋の中を歩き回るルフレーラの姿であった。
そしてこの時何故ただ飲み物を取りに行っただけのはずのルーシーが戻ってこないのか、部屋に来たのが別の侍女だったのか
ルフレーラの知らない所でこの家に大事件が起こっていたなんてこの時はまだ知るよしもない。
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