ちぃちゃんと僕

みやぢ

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ちとせ、21歳<2>

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天城島へ引っ越してしばらくして、ちとせは運転免許を取りに教習所に通い始めていた。

高校を卒業する前に「はるかぜ」のアルバイトを詰め込んでいたのは教習所の授業料を貯めるためでもあったようだ。

以前より発展したとはいえやはり島での生活には車は必需品だと言える。

無事に教習所を卒業したちとせは学科試験のために朝日市にある試験場へ行くことになった。

ちょうど有給休暇を消化しなければいけなかった僕は休みをとって付き添うことにした。

ちとせが試験を受けているあいだ、僕は試験場のロビーで手持ち無沙汰にしていた。
目の前を試験を受ける人たちが行き交っていたが、本当にたくさんの人が試験を受けに来ている。
10年ほど前には僕もあの中にいたわけだ。

やがて試験が終わってちとせが出てきた。

「おつかれ、試験どうだった?」
「大丈夫だと思うけどまだわかんない…」

しばらくして電光掲示板にちとせの受けた回の合格者の番号が表示され始めた。

「あった!合格してる‼︎」

ちとせは飛び上がって喜んだ。

「うれしい~」
「よかったね」

真新しい免許証を受け取ったちとせは帰りの道中ずっとご機嫌で免許証を眺めていた。

「お祝いに晩ごはん食べて帰ろうか?」
「やったー!」

その夜は二人で少し豪華な夕食をとった。

それからちとせは家の周りで少しずつ運転の練習をするのが日課になった。



少し車の運転に慣れたある日の朝、
ちとせが「少し調子よくないから今日お医者さん行ってくるね」と言った。

普段ちとせはあまりそういうことを言わないので少し気になりながら僕は出勤していった。



そして夕方帰ってくるとちとせがいつになく上機嫌で迎えてくれた。

「けんごさんおかえり~!」
「どうしたの?ご機嫌で」
「あのね、赤ちゃんできたの…」
「ほんとに⁉︎」
「うん、お医者さんで診てもらったら妊娠してるって」
「やったー!」
僕は嬉しさのあまりちとせを抱きかかえていた。

「ちょっと、けんごさん危ないって」
「ごめん、あまりにも嬉しくって…」

「お義母さんには言った?」
「うん、帰ってきてすぐに言ったよ、ものすごくよろこんでくれた」

ついに僕たちの子供ができた、生まれるのはまだ先だけど、なんだか興奮していた。

安定期に入るまではまだまだ安心はできないけど元気で生まれてきてほしい。

それからちとせははるかさんに教わりながら出産の準備を始めた。


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