ちぃちゃんと僕

みやぢ

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ちとせ、17歳<1>

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高校受験も終わり、ちぃちゃんは志望校に無事合格した。

これで僕のアパートに下宿することが確定したのだ。

一緒に住む以上、僕の両親に黙っておくというわけにもいかないのでちぃちゃんを連れて実家に帰った。

両親は最初は驚いていたが、僕の話を聞いて納得してくれた。

そして父が
「お前の決めた事だ、好きにしなさい、ただし責任も自分にかかってくることを忘れるなよ」
と送り出してくれた。

家に帰って実家に溜まっていた郵便物の束を広げていた、ほとんどが開ける必要もないダイレクトメールの類だったが、あいだから葉書が一枚はらりと落ちてきた。

「なんだ?」

ウエディングドレス姿の写真と文面には「結婚しました」とだけある、同級生の誰かかと思って読んでみて僕は息を呑んだ…

あおいからだった、消印の日付を見ると一週間ほど前だからつい最近だ。

新郎の名前に見覚えはないから大学に進んで以降に知り合ったのか…住所は県外のものだった。

そうか…結婚…したのか…

僕は胸につかえていたものが一気に消えていった気がして不思議と笑みがこぼれていた。

「お兄ちゃんどうしたの?わっ!ウエディングドレス!お友達?」
「あぁ、高校の同級生だよ」

ちぃちゃんは葉書を見てうっとりしていた。
「きれいだなーわたしも早く着たいなー」

…なんのことはない、結局僕の一人相撲だったってことだ。

そう心の中でつぶやいた。


数日後、ちぃちゃんの引っ越しの日がきた。

引っ越しといっても家具類は新しく買ったので家具屋から直接届くからちぃちゃんの衣類くらいでそんなに多くはない。

たけしさんが普段畑で使ってる軽トラックで運び込んでくれた。

「じゃあけんごくん、ちとせのことよろしく頼むよ」

そう言ってたけしさんは帰っていった。

ひと通り運び込んでひと休みしていると、ちぃちゃんが僕の前に座り、

「これからお世話になります」

と三つ指を付いた。

「ちぃちゃんが勉強に集中できるように気をつけるよ」

「もうわたしも子供じゃないからこれからはちとせって呼んでください、わたしもこれからはお兄ちゃんじゃなくてけんごさんって呼びます」…と言った。

それもそうかもしれないな、もう子供じゃない。

「お兄ぃ…けんごさん、晩ごはんどうします?」
「そうだね、まだ荷物片付いてないし、せっかくだから引っ越し祝いを兼ねてどこか食べに行こうか」
「わーい!」

こういうリアクションを見てるとまだ子供だなぁと思うけどこの先どうなるのか…

こうして僕たち二人の共同生活が始まった。





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