ちぃちゃんと僕

みやぢ

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ちとせ、15歳<4>

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ちぃちゃんは中学三年生になった。
だけど進学の話を振っても曖昧な答えをするだけだった。

そんなある日、はるかさんから電話がかかってきた。

「けんごくん、ちとせの学校の進路相談があったんだけどあの子が困ったことを言い出してね…話が長くなるから今度うちまで来てくれないかしら」

そう言われて僕は次の休みの日「さんらいず」へと向かった。

「せっかくのお休みにごめんね」

「いえ、大丈夫ですよ」

「実はね…」

はるかさんによると、学校の進路相談でちぃちゃんは島外の高校へ進学したいと言ったらしい。
それ自体は珍しいことではなく、実際僕の同級生も何人か天城島から通学していた。
先生も成績に問題はないから無理ではないと言ったらしい。

しかし問題はちぃちゃんは僕の家に下宿してそこから通うというのだ。

これにはさすがにはるかさんも驚いたらしい。

いずれ島から出て行くのは仕方ないがいくらなんでも早すぎるのはないかというのがはるかさんの意見だった。

だが、ちぃちゃんは頑として僕と一緒に暮らしたいというのだ。

これにははるかさんも困り果てたようで、僕の意見も聞きたいというわけだった。

確かに夏祭り以降、たびたび泊まりにきてはいたが、それとは話が違う。

「わたしお兄ちゃんのお嫁さんになる!」
あのときのちぃちゃんの言葉が頭をよぎった、でも今はまだ時期じゃない…

少なくとも高校卒業までは見守るつもりだったがそういう状況ではなくなってきてる。

考え込んでいるとはるかさんが切り出した。

「もうずいぶん長い付き合いになってるけど、けんごくんはちとせのことどう思ってるの?」

「それは…」

僕は意を決して今までの出来事をはるかさんに話した上で言った。

「僕は彼女の期待に応えたい、少なくとも高校卒業するまでは見守るつもりです、その先は本人の意思に任せます」

「そう、ちとせももう子供じゃなくなってるというわけね…」

「ちとせちゃんはまっすぐないい子ですよ、はるかさん達がそう育ててくれた、僕はそう思っています」

「わかったわ、主人にもそう話しておくわ、ちとせのことお願いね」

「たけしさんはなんて言ってるんですか?」

「いずれは嫁に出さなきゃならないんだから、あとは遅いか早いかだけの問題だ、って、わたしは早すぎると思ってたんだけどね」

「それに何処の馬の骨かわからん人間に嫁にやるよりけんごくんなら安心だって」

「そうですか…」

ご両親にここまで信頼されている、うれしいと思う反面、責任も重大だとあらためて思った。

とにかくちぃちゃんは僕の住む街の高校を受験することになった。

合格発表から入学式まではそんなに日がないから物置にしている空き部屋を片付けておかないとな…



ちとせ、15歳  <了>







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