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ちとせ、13歳<3>
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3月、ちぃちゃんは小学校を卒業した。
春休み中はずっと「さんらいず」の手伝いをしていたそうだ。
お店は地域のお年寄りの社交場となっていて、ちぃちゃんは明るい性格でお年寄り達にアイドルのように可愛がられている。
そんな彼女もこの春から中学生になる。
僕は約束通り入学式に参列することにした。
たけしさんは組合の用事があって行けないのではるかさんとちぃちゃんを車に乗せて中学校へ行くことになった。
中学校は海が見える高台の上にある。
ちぃちゃんは自転車で通うことになるそうだ。
「さんらいず」へ着くと真新しいセーラー服姿のちぃちゃんが店から飛び出してきた。
「お兄ちゃーん、待ってたよー」
ちぃちゃんが抱きついてくる。
「どう、制服似合ってる?」
ちぃちゃんがくるりと一回りした。
「よく似合ってる、かわいいよ」
街の学校のようなおしゃれな制服ではないがよく似合っている。
「けんごくん、無理言ってごめんね」
スーツ姿のはるかさんが店から出てきた。
「お安いご用ですよ、じゃあ行きましょうか」
僕は中学校へ向かって車を走らせた。
入学式はつつがなく終わり、父兄達が帰りはじめた。
ちぃちゃんが教室で説明を受けている間、僕とはるかさんは駐車場に停めた車で待っていた。
「ちとせももう中学生なんだから少しは落ち着いてくれるといいんだけど…」
はるかさんはそうつぶやいた。
「大丈夫ですよ、ちぃちゃんは同世代の子たちと比べればずいぶんしっかりしてますよ」
「そうかしら…」
天真爛漫だけど筋の通った真っ直ぐな子だ、少なくとも僕はそう思う。
やがて校舎から新入生たちが出てきた。
ちぃちゃんは僕の車のところまで小走りでやってくる。
「おまたせ、終わったよー」
「お疲れさま、学校どうだった?」
「クラスの半分くらいは同じ小学校の知ってる子だからね、あんまり変わらないかなぁ…」
ほとんどが校区内の二つの小学校から進学してくるのだからそんなものだろう。
「部活どうするの?」
「まだ考えてないよ、お店の手伝いもしたいし、お兄ちゃんと遊ぶ時間も欲しいから入らないかも」
「そうなんだ…」
そんな会話をしながら車を走らせた。
やがてちぃちゃんは緊張の糸が切れたのか助手席でうとうとし始めた。
「ちぃちゃん、寝ちゃいましたよ」
「やっぱりこの子なりに緊張してたのかしらね…」
そう言ってはるかさんは笑った。
「さんらいず」に着く頃ちぃちゃんは目を覚ました。
「…おはよう」
「わたし、寝ちゃってた⁈」
「気持ちよさそうにね」
ちぃちゃんはバツの悪そうな顔をしている。
こうして、ちぃちゃんの入学式は終わり、中学生としての新しい生活が始まった。
春休み中はずっと「さんらいず」の手伝いをしていたそうだ。
お店は地域のお年寄りの社交場となっていて、ちぃちゃんは明るい性格でお年寄り達にアイドルのように可愛がられている。
そんな彼女もこの春から中学生になる。
僕は約束通り入学式に参列することにした。
たけしさんは組合の用事があって行けないのではるかさんとちぃちゃんを車に乗せて中学校へ行くことになった。
中学校は海が見える高台の上にある。
ちぃちゃんは自転車で通うことになるそうだ。
「さんらいず」へ着くと真新しいセーラー服姿のちぃちゃんが店から飛び出してきた。
「お兄ちゃーん、待ってたよー」
ちぃちゃんが抱きついてくる。
「どう、制服似合ってる?」
ちぃちゃんがくるりと一回りした。
「よく似合ってる、かわいいよ」
街の学校のようなおしゃれな制服ではないがよく似合っている。
「けんごくん、無理言ってごめんね」
スーツ姿のはるかさんが店から出てきた。
「お安いご用ですよ、じゃあ行きましょうか」
僕は中学校へ向かって車を走らせた。
入学式はつつがなく終わり、父兄達が帰りはじめた。
ちぃちゃんが教室で説明を受けている間、僕とはるかさんは駐車場に停めた車で待っていた。
「ちとせももう中学生なんだから少しは落ち着いてくれるといいんだけど…」
はるかさんはそうつぶやいた。
「大丈夫ですよ、ちぃちゃんは同世代の子たちと比べればずいぶんしっかりしてますよ」
「そうかしら…」
天真爛漫だけど筋の通った真っ直ぐな子だ、少なくとも僕はそう思う。
やがて校舎から新入生たちが出てきた。
ちぃちゃんは僕の車のところまで小走りでやってくる。
「おまたせ、終わったよー」
「お疲れさま、学校どうだった?」
「クラスの半分くらいは同じ小学校の知ってる子だからね、あんまり変わらないかなぁ…」
ほとんどが校区内の二つの小学校から進学してくるのだからそんなものだろう。
「部活どうするの?」
「まだ考えてないよ、お店の手伝いもしたいし、お兄ちゃんと遊ぶ時間も欲しいから入らないかも」
「そうなんだ…」
そんな会話をしながら車を走らせた。
やがてちぃちゃんは緊張の糸が切れたのか助手席でうとうとし始めた。
「ちぃちゃん、寝ちゃいましたよ」
「やっぱりこの子なりに緊張してたのかしらね…」
そう言ってはるかさんは笑った。
「さんらいず」に着く頃ちぃちゃんは目を覚ました。
「…おはよう」
「わたし、寝ちゃってた⁈」
「気持ちよさそうにね」
ちぃちゃんはバツの悪そうな顔をしている。
こうして、ちぃちゃんの入学式は終わり、中学生としての新しい生活が始まった。
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