ちぃちゃんと僕

みやぢ

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ちとせ、13歳<2>

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年末商戦を終えて、正月三ヶ日はお店も倉庫もお休みなのでゆっくりできる。

天城島へ渡った僕は三ヶ日の間、ちぃちゃんの家で過ごすことにした。

初詣から帰って居間でテレビを見ているとちぃちゃんがやってきて、

「お兄ちゃんお風呂先にどうぞ」
「ありがとう、先に入らせてもらうよ」

僕は風呂場へ向かった。

ちぃちゃんの家のお風呂は僕のアパートと違って結構広い、湯船に浸かっていると脱衣所で何か物音がしたが気にも留めずにいた。

身体を洗おうと湯船から出ると突然風呂場の扉が開いた。

「お兄ちゃん、背中流してあげる~」

バスタオルを巻いたちぃちゃんが入ってきた。

「ちょ…ちょっとちぃちゃん、その格好は⁈」

「いいから座って」

ちぃちゃんに気押されて椅子に座って背中を流してもらった。

石鹸を洗い流し終わったのでちぃちゃんに、
「ありがとう」
と言おうとするとちぃちゃんが抱きついてきた。
「えっ?」
「振り向いちゃダメ…恥ずかしいから」

バスタオル越しとはあきらかに違う柔らかな感触にすべてを察した。

「ダメだよちぃちゃん」
「子供扱いしないで…わたし決めたんだ」
「なにを?」
「お兄ちゃんのお嫁さんになる」
「それはうれしいけどきみはまだ小学生…」
「わかってるよ、でもお兄ちゃんのことが好きでたまらないの!」
「お母さんはなんて言ってるの?」
「まだ言ってないよ、言ったら反対されるに決まってる」
「そうか、わかったよ」
そう言って肩越しにちぃちゃんの手を握った。
「でも少なくとも結婚するには16歳まで待たないとダメだし、ご両親に同意してもらわないといけない」
「うん」
「それにしっかり勉強しないと世の中に付いていけなくなる、せめて高校卒業してからだよ」
「でも…」
「その気持ちは受け取ったよ、高校を卒業するまでその気持ちが揺らがなかったらその時は…」
そう言って僕は手を離した。
「とにかく服着よう、風邪ひいちゃうよ」
ちぃちゃんが出ていってからもう一度湯船に入って僕は考えた…彼女の思いを受け止められるのか、正直自信はなかった。

お風呂から上がるとケロッとした顔でちぃちゃんは言った、
「わたし、中学生になったら勉強がんばる!」
「うん、楽しみにしてるよ」
「お兄ちゃん、約束してね」
そう言ってちぃちゃんは小指を差し出した。

たぶん一生で一番大事な約束になるだろう。
僕はそう思った。

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