13 / 36
ちとせ、13歳<2>
しおりを挟む
年末商戦を終えて、正月三ヶ日はお店も倉庫もお休みなのでゆっくりできる。
天城島へ渡った僕は三ヶ日の間、ちぃちゃんの家で過ごすことにした。
初詣から帰って居間でテレビを見ているとちぃちゃんがやってきて、
「お兄ちゃんお風呂先にどうぞ」
「ありがとう、先に入らせてもらうよ」
僕は風呂場へ向かった。
ちぃちゃんの家のお風呂は僕のアパートと違って結構広い、湯船に浸かっていると脱衣所で何か物音がしたが気にも留めずにいた。
身体を洗おうと湯船から出ると突然風呂場の扉が開いた。
「お兄ちゃん、背中流してあげる~」
バスタオルを巻いたちぃちゃんが入ってきた。
「ちょ…ちょっとちぃちゃん、その格好は⁈」
「いいから座って」
ちぃちゃんに気押されて椅子に座って背中を流してもらった。
石鹸を洗い流し終わったのでちぃちゃんに、
「ありがとう」
と言おうとするとちぃちゃんが抱きついてきた。
「えっ?」
「振り向いちゃダメ…恥ずかしいから」
バスタオル越しとはあきらかに違う柔らかな感触にすべてを察した。
「ダメだよちぃちゃん」
「子供扱いしないで…わたし決めたんだ」
「なにを?」
「お兄ちゃんのお嫁さんになる」
「それはうれしいけどきみはまだ小学生…」
「わかってるよ、でもお兄ちゃんのことが好きでたまらないの!」
「お母さんはなんて言ってるの?」
「まだ言ってないよ、言ったら反対されるに決まってる」
「そうか、わかったよ」
そう言って肩越しにちぃちゃんの手を握った。
「でも少なくとも結婚するには16歳まで待たないとダメだし、ご両親に同意してもらわないといけない」
「うん」
「それにしっかり勉強しないと世の中に付いていけなくなる、せめて高校卒業してからだよ」
「でも…」
「その気持ちは受け取ったよ、高校を卒業するまでその気持ちが揺らがなかったらその時は…」
そう言って僕は手を離した。
「とにかく服着よう、風邪ひいちゃうよ」
ちぃちゃんが出ていってからもう一度湯船に入って僕は考えた…彼女の思いを受け止められるのか、正直自信はなかった。
お風呂から上がるとケロッとした顔でちぃちゃんは言った、
「わたし、中学生になったら勉強がんばる!」
「うん、楽しみにしてるよ」
「お兄ちゃん、約束してね」
そう言ってちぃちゃんは小指を差し出した。
たぶん一生で一番大事な約束になるだろう。
僕はそう思った。
天城島へ渡った僕は三ヶ日の間、ちぃちゃんの家で過ごすことにした。
初詣から帰って居間でテレビを見ているとちぃちゃんがやってきて、
「お兄ちゃんお風呂先にどうぞ」
「ありがとう、先に入らせてもらうよ」
僕は風呂場へ向かった。
ちぃちゃんの家のお風呂は僕のアパートと違って結構広い、湯船に浸かっていると脱衣所で何か物音がしたが気にも留めずにいた。
身体を洗おうと湯船から出ると突然風呂場の扉が開いた。
「お兄ちゃん、背中流してあげる~」
バスタオルを巻いたちぃちゃんが入ってきた。
「ちょ…ちょっとちぃちゃん、その格好は⁈」
「いいから座って」
ちぃちゃんに気押されて椅子に座って背中を流してもらった。
石鹸を洗い流し終わったのでちぃちゃんに、
「ありがとう」
と言おうとするとちぃちゃんが抱きついてきた。
「えっ?」
「振り向いちゃダメ…恥ずかしいから」
バスタオル越しとはあきらかに違う柔らかな感触にすべてを察した。
「ダメだよちぃちゃん」
「子供扱いしないで…わたし決めたんだ」
「なにを?」
「お兄ちゃんのお嫁さんになる」
「それはうれしいけどきみはまだ小学生…」
「わかってるよ、でもお兄ちゃんのことが好きでたまらないの!」
「お母さんはなんて言ってるの?」
「まだ言ってないよ、言ったら反対されるに決まってる」
「そうか、わかったよ」
そう言って肩越しにちぃちゃんの手を握った。
「でも少なくとも結婚するには16歳まで待たないとダメだし、ご両親に同意してもらわないといけない」
「うん」
「それにしっかり勉強しないと世の中に付いていけなくなる、せめて高校卒業してからだよ」
「でも…」
「その気持ちは受け取ったよ、高校を卒業するまでその気持ちが揺らがなかったらその時は…」
そう言って僕は手を離した。
「とにかく服着よう、風邪ひいちゃうよ」
ちぃちゃんが出ていってからもう一度湯船に入って僕は考えた…彼女の思いを受け止められるのか、正直自信はなかった。
お風呂から上がるとケロッとした顔でちぃちゃんは言った、
「わたし、中学生になったら勉強がんばる!」
「うん、楽しみにしてるよ」
「お兄ちゃん、約束してね」
そう言ってちぃちゃんは小指を差し出した。
たぶん一生で一番大事な約束になるだろう。
僕はそう思った。
10
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI



極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

疲れる目覚まし時計
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
朝、僕が布団の中でまどろんでいると、姉さんが起こしに来た。
まだ時間が早いから寝ようとする僕を、姉さんが起こそうとする。
その起こし方がとても特殊で……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる