30 / 31
河童の里の龍神<1>
しおりを挟む
宿に戻った僕たちはひとまず部屋へ戻った、もう一泊する予定だったからだ。
今までにないくらい気を込めて祝詞を唱えたせいですごく疲れていた。
部屋に戻った後のことはほとんど覚えていない、気がつくとにあに膝枕されていた。
「たける、よかった気がついた…」
心配そうな顔でにあが覗き込んでいた。
「ごめん…どのくらい眠ってた?」
「3時間くらいかな、宿の人がお昼ご飯用意してくれてるから食べる?」
そう言えばすごくお腹が空いて目が覚めたんだった。
宿のご主人が気を遣ってお膳を用意してくれていた。
そのお膳をにあと二人で食べた、そうしているとにあがぽつりと呟いた。
「叔父さまも言ってたけど良い神さまばかりじゃないのね…」
「もともと人間にとって災厄をもたらす神さまもいるわけだからね、付喪神だってそうだよ。
たまは物分かりが良かったけど、怨念に凝り固まってると今回みたいなことになりかねないもの」
しばらくして宿のご主人が部屋にやってきた。
「失礼します、たけるさん大丈夫ですか?帰ってきて倒れる込むように眠られれたとお聞きしたので…」
「ご心配をおかけしてすみません、まだ少し気だるさはありますけど大丈夫です」
「そうですか、ゆっくりお休みください、夕食はお部屋までお持ちするよう伝えておりますので」
そう言ってご主人は部屋から出て行った。
結局その日は観光どころではなくなり、宿でのんびりすることになった。
本来はにあの心身を休めるための旅行でもあったから目的通りになったといえばそうだけれども…
そして仲居さんが夕食を運んできた時、宿のご主人も一緒にやってきて僕の様子を気にかけてくれていた。
そして早めに床に着いた僕は不思議な夢を見た…
「龍神の子よ…我が眷属よ…我の力、其方に授けよう」
「…あなたはいったい?」
「多くは語るまい…明朝、山の社に取りに参れ」
何故かそこだけはっきりと覚えていた…
翌朝、僕は朝食を済ませたあと、宿のご主人にその話をして昨日の場所以外に龍神にまつわる場所がないか尋ねてみた。
山の反対側に龍神を祀るお社があるそうで、そこまでご主人が車で連れて行ってくれることになった。
山裾にある古びた神社、無人だけれど近郊の人々の信仰を集めているそうで、小綺麗に草などは刈られていた。
僕はご主人に車で待ってもらうようにして、にあとふたりで一礼して鳥居をくぐった。
その時急に空気が変わった気がした。
「これは…?」
すると僕の頭の中に誰かが話しかけてきた。
「よくぞ参った我が眷属よ…案ずるな、我は其方に危害を与えようとは思っておらぬ。」
「昨日の禍津神はあなたの…?」
「おそらくは我が分身が変化した物だが我の力が衰えて抑えが効かなくなってしまってな」
「そうだったんですね…」
「其方はまだ自身の力に目覚めておらぬ、その娘に分け与えてしまっておるからな…」
「…」
「案ずるな、其方が生きておる間はその娘は消えぬ、だがそれでは身が持たぬ」
「どうすれば…」
「我の力を使うが良い…」
そういうが早いか、あたりは白い煙のようなものに包まれてしまった…
今までにないくらい気を込めて祝詞を唱えたせいですごく疲れていた。
部屋に戻った後のことはほとんど覚えていない、気がつくとにあに膝枕されていた。
「たける、よかった気がついた…」
心配そうな顔でにあが覗き込んでいた。
「ごめん…どのくらい眠ってた?」
「3時間くらいかな、宿の人がお昼ご飯用意してくれてるから食べる?」
そう言えばすごくお腹が空いて目が覚めたんだった。
宿のご主人が気を遣ってお膳を用意してくれていた。
そのお膳をにあと二人で食べた、そうしているとにあがぽつりと呟いた。
「叔父さまも言ってたけど良い神さまばかりじゃないのね…」
「もともと人間にとって災厄をもたらす神さまもいるわけだからね、付喪神だってそうだよ。
たまは物分かりが良かったけど、怨念に凝り固まってると今回みたいなことになりかねないもの」
しばらくして宿のご主人が部屋にやってきた。
「失礼します、たけるさん大丈夫ですか?帰ってきて倒れる込むように眠られれたとお聞きしたので…」
「ご心配をおかけしてすみません、まだ少し気だるさはありますけど大丈夫です」
「そうですか、ゆっくりお休みください、夕食はお部屋までお持ちするよう伝えておりますので」
そう言ってご主人は部屋から出て行った。
結局その日は観光どころではなくなり、宿でのんびりすることになった。
本来はにあの心身を休めるための旅行でもあったから目的通りになったといえばそうだけれども…
そして仲居さんが夕食を運んできた時、宿のご主人も一緒にやってきて僕の様子を気にかけてくれていた。
そして早めに床に着いた僕は不思議な夢を見た…
「龍神の子よ…我が眷属よ…我の力、其方に授けよう」
「…あなたはいったい?」
「多くは語るまい…明朝、山の社に取りに参れ」
何故かそこだけはっきりと覚えていた…
翌朝、僕は朝食を済ませたあと、宿のご主人にその話をして昨日の場所以外に龍神にまつわる場所がないか尋ねてみた。
山の反対側に龍神を祀るお社があるそうで、そこまでご主人が車で連れて行ってくれることになった。
山裾にある古びた神社、無人だけれど近郊の人々の信仰を集めているそうで、小綺麗に草などは刈られていた。
僕はご主人に車で待ってもらうようにして、にあとふたりで一礼して鳥居をくぐった。
その時急に空気が変わった気がした。
「これは…?」
すると僕の頭の中に誰かが話しかけてきた。
「よくぞ参った我が眷属よ…案ずるな、我は其方に危害を与えようとは思っておらぬ。」
「昨日の禍津神はあなたの…?」
「おそらくは我が分身が変化した物だが我の力が衰えて抑えが効かなくなってしまってな」
「そうだったんですね…」
「其方はまだ自身の力に目覚めておらぬ、その娘に分け与えてしまっておるからな…」
「…」
「案ずるな、其方が生きておる間はその娘は消えぬ、だがそれでは身が持たぬ」
「どうすれば…」
「我の力を使うが良い…」
そういうが早いか、あたりは白い煙のようなものに包まれてしまった…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる