花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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河童の里の龍神<1>

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宿に戻った僕たちはひとまず部屋へ戻った、もう一泊する予定だったからだ。

今までにないくらい気を込めて祝詞を唱えたせいですごく疲れていた。

部屋に戻った後のことはほとんど覚えていない、気がつくとにあに膝枕されていた。

「たける、よかった気がついた…」

心配そうな顔でにあが覗き込んでいた。

「ごめん…どのくらい眠ってた?」

「3時間くらいかな、宿の人がお昼ご飯用意してくれてるから食べる?」

そう言えばすごくお腹が空いて目が覚めたんだった。

宿のご主人が気を遣ってお膳を用意してくれていた。

そのお膳をにあと二人で食べた、そうしているとにあがぽつりと呟いた。

「叔父さまも言ってたけど良い神さまばかりじゃないのね…」

「もともと人間にとって災厄をもたらす神さまもいるわけだからね、付喪神だってそうだよ。
たまは物分かりが良かったけど、怨念に凝り固まってると今回みたいなことになりかねないもの」

しばらくして宿のご主人が部屋にやってきた。

「失礼します、たけるさん大丈夫ですか?帰ってきて倒れる込むように眠られれたとお聞きしたので…」

「ご心配をおかけしてすみません、まだ少し気だるさはありますけど大丈夫です」

「そうですか、ゆっくりお休みください、夕食はお部屋までお持ちするよう伝えておりますので」

そう言ってご主人は部屋から出て行った。

結局その日は観光どころではなくなり、宿でのんびりすることになった。

本来はにあの心身を休めるための旅行でもあったから目的通りになったといえばそうだけれども…

そして仲居さんが夕食を運んできた時、宿のご主人も一緒にやってきて僕の様子を気にかけてくれていた。

そして早めに床に着いた僕は不思議な夢を見た…

「龍神の子よ…我が眷属よ…我の力、其方に授けよう」
「…あなたはいったい?」
「多くは語るまい…明朝、山の社に取りに参れ」

何故かそこだけはっきりと覚えていた…

翌朝、僕は朝食を済ませたあと、宿のご主人にその話をして昨日の場所以外に龍神にまつわる場所がないか尋ねてみた。

山の反対側に龍神を祀るお社があるそうで、そこまでご主人が車で連れて行ってくれることになった。

山裾にある古びた神社、無人だけれど近郊の人々の信仰を集めているそうで、小綺麗に草などは刈られていた。

僕はご主人に車で待ってもらうようにして、にあとふたりで一礼して鳥居をくぐった。

その時急に空気が変わった気がした。

「これは…?」

すると僕の頭の中に誰かが話しかけてきた。

「よくぞ参った我が眷属よ…案ずるな、我は其方に危害を与えようとは思っておらぬ。」

「昨日の禍津神はあなたの…?」

「おそらくは我が分身が変化した物だが我の力が衰えて抑えが効かなくなってしまってな」

「そうだったんですね…」

「其方はまだ自身の力に目覚めておらぬ、その娘に分け与えてしまっておるからな…」

「…」

「案ずるな、其方が生きておる間はその娘は消えぬ、だがそれでは身が持たぬ」

「どうすれば…」

「我の力を使うが良い…」

そういうが早いか、あたりは白い煙のようなものに包まれてしまった…


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