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僕とにあの二人旅<2>
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宿までの道中、車の中で宿のご主人、三太くんのお父さんからこの周辺に伝わる伝説のことなど色々な話を聞かせてもらった。
面白おかしい話からすこしほろりとする話まで、宿に着くまでの時間があっという間に感じるほど楽しかった。
そして宿に到着し、チェックインを済ませた僕たちは部屋でくつろいでいた。
「思ってた以上にいいところだね」
「そうね、人混みもないし、静かでいいところね」
「先にお風呂入ってくるよ」
そう言って立ちあがろうとする僕の腕をにあが掴んだ。
「どうしたの?」
「あの…一緒に入っちゃ…ダメかな?」
にあは顔を赤らめてそう言って恥ずかしそうに顔をそむけた。
部屋に付いてる内湯なのだから誰が咎めるわけではないけれど…
「いいけど…」
そう言うとにあの表情がぱぁっと明るくなった。
「すぐ行くから先に入ってて」
そう言われて僕はお風呂場へ向かった。
湯船に浸かっているとにあが入ってくる気配がした。
「お待たせ…やっぱりちょっと恥ずかしいね」
バスタオルを巻いたにあがそう言いながら僕の横に入ってきた。
湯船の中で体を寄せ合っていると、
「背中流してあげる」とにあが言った。
「あらためてだと照れるな…」
そう言って僕は洗い場の椅子に座った。
そして背中を流してもらった後、にあがぽつりと言った…
「たける、いつもわたしのこと心配してくれてありがとう、わたしはどう応えたらいいのかわからない」
「にあ…」
「きゃっ!見ちゃダメ‼︎」
思わず振り向いた僕ににあは洗面器のお湯をぶっかけた。
「ごめん…」
前を向き直したの背中ににあが抱きついてきて、その感触に僕はドキッとした。
バスタオル越しではない柔らかな感触、にあの大きくはないけどしっかりとある胸が直に背中に触れている…
「たける、好き…」
そして二人はしばらく黙ったままだった。
「くしゅん!」
突然にあがくしゃみをした。
「ごめん、冷えたねもう一回浸かろう」
「うん…」
湯船の中で僕たちはこれからの話をした、専門学校はあと一年ほど、そうすれば僕は晴れて神職となる。
その時には神社の近くの集落に家を借りてにあと住もうと思っていた。
にあ自身も神楽舞の教室を通じて地域の人たちに溶け込んで行きつつあったからだ。
村の人たちはみんないい人だから今もよくお世話をしてくれている。
そろそろ湯当たりしそうだったのでお風呂から出ると仲居さんがお布団の支度をしてくれていた。
「どうぞごゆっくり」
そう言って仲居さんが部屋から出て行った。
見るとひとつの布団に枕が二つ並べてあった。
僕とにあは顔を見合わせてちょっと照れくさくなった。
「たける…私の身体のことだけどね…」
そうにあが切り出した。
「みずきさんが言うには限りなく人の身体に近いらしいの、だから一人の人間として扱ってほしい…」
そう、みどりさんやうろこちゃんが言った通り、にあは僕が生み出した存在だと言える、僕の分身といってもいだろう。
「わかってるよ、にあは僕の分身、そして恋人だ」
「嬉しい!」
にあは抱きついて唇を重ねてきた。
この夜、僕とにあは初めて身体を重ねた。
お互い初めてのはずなのにぎこちなさはまるでなかった…そう、昔から知ってるような。
面白おかしい話からすこしほろりとする話まで、宿に着くまでの時間があっという間に感じるほど楽しかった。
そして宿に到着し、チェックインを済ませた僕たちは部屋でくつろいでいた。
「思ってた以上にいいところだね」
「そうね、人混みもないし、静かでいいところね」
「先にお風呂入ってくるよ」
そう言って立ちあがろうとする僕の腕をにあが掴んだ。
「どうしたの?」
「あの…一緒に入っちゃ…ダメかな?」
にあは顔を赤らめてそう言って恥ずかしそうに顔をそむけた。
部屋に付いてる内湯なのだから誰が咎めるわけではないけれど…
「いいけど…」
そう言うとにあの表情がぱぁっと明るくなった。
「すぐ行くから先に入ってて」
そう言われて僕はお風呂場へ向かった。
湯船に浸かっているとにあが入ってくる気配がした。
「お待たせ…やっぱりちょっと恥ずかしいね」
バスタオルを巻いたにあがそう言いながら僕の横に入ってきた。
湯船の中で体を寄せ合っていると、
「背中流してあげる」とにあが言った。
「あらためてだと照れるな…」
そう言って僕は洗い場の椅子に座った。
そして背中を流してもらった後、にあがぽつりと言った…
「たける、いつもわたしのこと心配してくれてありがとう、わたしはどう応えたらいいのかわからない」
「にあ…」
「きゃっ!見ちゃダメ‼︎」
思わず振り向いた僕ににあは洗面器のお湯をぶっかけた。
「ごめん…」
前を向き直したの背中ににあが抱きついてきて、その感触に僕はドキッとした。
バスタオル越しではない柔らかな感触、にあの大きくはないけどしっかりとある胸が直に背中に触れている…
「たける、好き…」
そして二人はしばらく黙ったままだった。
「くしゅん!」
突然にあがくしゃみをした。
「ごめん、冷えたねもう一回浸かろう」
「うん…」
湯船の中で僕たちはこれからの話をした、専門学校はあと一年ほど、そうすれば僕は晴れて神職となる。
その時には神社の近くの集落に家を借りてにあと住もうと思っていた。
にあ自身も神楽舞の教室を通じて地域の人たちに溶け込んで行きつつあったからだ。
村の人たちはみんないい人だから今もよくお世話をしてくれている。
そろそろ湯当たりしそうだったのでお風呂から出ると仲居さんがお布団の支度をしてくれていた。
「どうぞごゆっくり」
そう言って仲居さんが部屋から出て行った。
見るとひとつの布団に枕が二つ並べてあった。
僕とにあは顔を見合わせてちょっと照れくさくなった。
「たける…私の身体のことだけどね…」
そうにあが切り出した。
「みずきさんが言うには限りなく人の身体に近いらしいの、だから一人の人間として扱ってほしい…」
そう、みどりさんやうろこちゃんが言った通り、にあは僕が生み出した存在だと言える、僕の分身といってもいだろう。
「わかってるよ、にあは僕の分身、そして恋人だ」
「嬉しい!」
にあは抱きついて唇を重ねてきた。
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