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山の祠の守り神<2>
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数日後、僕は電話の相手、芝右衛門社長に車で迎えに来てもらって祠へ向かった。
もちろんおばあさんにも来てもらって話を聞くためだ。
「大体のお話はわかりました、こういう関連のことなら私の会社でたくさん扱っていますので任せていただければ」
「ところで社長さん、人を動かす以上費用はもちろんかかるわね、どのくらいかかるか大体のところ教えてもらえんかね?」
おばあさんにそう言われて面食らった表情で社長は電卓を叩き始めた。
「大体このくらいかかりそうですねぇ…」
「わかった、それならなんとかなりそうだからこの話、村の自治会にもっていくわね」
「正直言って助かります…」
「死んだ旦那も小さい会社を経営してたからね、そういうことはきちんとしとかないとね」
「おそれいります」
そしてしばらくして芝右衛門社長から連絡があって祠へ行くと社長が背広姿のお役人らしき人たちと来ていた。
「たけるさん、ここの工事をした業者、杜撰な手続きで工事してたらしくていろいろと問題があるみたいだから関係のお役所と調査することになりましてね」
「どういうことですか?」
「同業者としてお恥ずかしい話ですが、かなりいいかげんな事をしてたようでしてね、見過ごせないのでお役所の方々にも来ていただきました」
社長と一緒に来ていたお役人さんにもらった名刺を見ると建設関係の役所の人たちと警察の人も来ていた。
「ですからしばらく時間がかかりそうです、祠を壊した件についてもしかるべき処置を取りたいと思いますので」
専門外のことなのでよくわからないが、役所を巻き込んで大変なことになるみたいだ…
社長さんたちが帰った後、僕は一人で祠に手を合わせていた、すると頭の中に誰かが話しかけてくる気がした。
「我が眷属よ…」
「誰?」
するとにあと出会った時のように白い煙のようなものがあたりに立ち込めてきた…
「わっ!」
しばらくして煙が晴れると巫女装束を着た少女が姿を現した。
「みずきさん?…いや、小さい?」
「本体と比べるな、わたしの霊力ではこの姿が精一杯なのだ!」
みずきさんをそのまま小さくしたような少女はそう言って口を尖らせた。
「本体ってどういうこと?」
「わたしはこの祠に祀られている龍神の鱗の化身なのだよ、おそらくお主のいうみずきという龍神が本体だろうな」
「どうしてここに?」
「遠い昔のことでよく覚えてはおらんがこの山のお社と関係があるのだよ、だがお社は打ち棄てられ、この祠はかろうじて村人に守られてきた」
そこで僕はふと気がついた。
「にあ…猫又のことは覚えている?」
「ここに住み着いていた猫のことだな、もう生命朽ち果てる寸前だったから少しだけ力を貸してやっただけだ」
そう言って僕の顔をみてはたと気がついた。
「そうか!あの猫の世話をしていたのはお主だったか、どうりで感じるものがあったわけだ」
そう言って小さなみずきさんは微笑んだ。
もちろんおばあさんにも来てもらって話を聞くためだ。
「大体のお話はわかりました、こういう関連のことなら私の会社でたくさん扱っていますので任せていただければ」
「ところで社長さん、人を動かす以上費用はもちろんかかるわね、どのくらいかかるか大体のところ教えてもらえんかね?」
おばあさんにそう言われて面食らった表情で社長は電卓を叩き始めた。
「大体このくらいかかりそうですねぇ…」
「わかった、それならなんとかなりそうだからこの話、村の自治会にもっていくわね」
「正直言って助かります…」
「死んだ旦那も小さい会社を経営してたからね、そういうことはきちんとしとかないとね」
「おそれいります」
そしてしばらくして芝右衛門社長から連絡があって祠へ行くと社長が背広姿のお役人らしき人たちと来ていた。
「たけるさん、ここの工事をした業者、杜撰な手続きで工事してたらしくていろいろと問題があるみたいだから関係のお役所と調査することになりましてね」
「どういうことですか?」
「同業者としてお恥ずかしい話ですが、かなりいいかげんな事をしてたようでしてね、見過ごせないのでお役所の方々にも来ていただきました」
社長と一緒に来ていたお役人さんにもらった名刺を見ると建設関係の役所の人たちと警察の人も来ていた。
「ですからしばらく時間がかかりそうです、祠を壊した件についてもしかるべき処置を取りたいと思いますので」
専門外のことなのでよくわからないが、役所を巻き込んで大変なことになるみたいだ…
社長さんたちが帰った後、僕は一人で祠に手を合わせていた、すると頭の中に誰かが話しかけてくる気がした。
「我が眷属よ…」
「誰?」
するとにあと出会った時のように白い煙のようなものがあたりに立ち込めてきた…
「わっ!」
しばらくして煙が晴れると巫女装束を着た少女が姿を現した。
「みずきさん?…いや、小さい?」
「本体と比べるな、わたしの霊力ではこの姿が精一杯なのだ!」
みずきさんをそのまま小さくしたような少女はそう言って口を尖らせた。
「本体ってどういうこと?」
「わたしはこの祠に祀られている龍神の鱗の化身なのだよ、おそらくお主のいうみずきという龍神が本体だろうな」
「どうしてここに?」
「遠い昔のことでよく覚えてはおらんがこの山のお社と関係があるのだよ、だがお社は打ち棄てられ、この祠はかろうじて村人に守られてきた」
そこで僕はふと気がついた。
「にあ…猫又のことは覚えている?」
「ここに住み着いていた猫のことだな、もう生命朽ち果てる寸前だったから少しだけ力を貸してやっただけだ」
そう言って僕の顔をみてはたと気がついた。
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そう言って小さなみずきさんは微笑んだ。
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