花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

文字の大きさ
上 下
13 / 31

にあと僕の夏祭り<2>

しおりを挟む
僕が迷子の捜索をしていた頃、にあは参拝客の応対で授与品を渡したり、御神酒の振る舞いをしたりと大忙しだった。

やがて落ち着いたころ、浴衣を着た小さな女の子が授与所の横に座り込んでいるのに気がついて声をかけた。

「どうしたの?」

「…¿@♪」

まだ言葉が出ないようでよくわからない。

そのうちにあの袴の裾にしがみついてきた。

「困ったな…」

「あら、その子どうしたの?」

ちぐささんが気づいて声をかけてきた。

「どうも迷子みたいなんだけど…」

「そうみたいね、詰め所にたけるくんがいるからその子連れて行ってあげて」

女の子は動こうとしないのでしかたなくにあは抱きかかえて詰め所へ向かい始めた。

抱っこされるのが嬉しいのか女の子はニコニコしてご機嫌になっていた。

しかし人混みで子供を抱きかかて歩くのは大変でにあは何度も転びそうになっていた。

「たける、助けて!」

にあが心の中でそう叫んだ時、彼女の首輪の鈴がちりんと鳴った…

一方僕は人混みをかき分けながら小さい子を探していた。

「ちりん」

ふと鈴の音が聞こえた気がした、

「にあ?」

よくわからないけど頭の中に浮かんだ方へ進むとそこに小さな女の子を連れたにあが立ちすくんでいた。

「たける!」

「にあ!その子は?」

「迷子みたい、どうしよう…」

「たぶん僕が探してた子だよ、詰め所にお母さんが待ってるから連れて行くよ」

そう言って女の子を抱きかかえると突然泣き出した…

「困ったなぁ」

「わたしが替わるよ」

不思議なことににあが抱きかかえるとぴたりと泣き止んだ。

「仕方ないなぁ、そのまま詰め所まで来てくれる?」

僕たちは二人で詰め所まで戻った。

「ありがとうございました!」

お母さんに女の子を渡すと深々と頭を下げて手を繋いで帰っていった。

親子を見送って僕たちは詰め所でへたりこんだ。

「ふぅ…無事に見つかって良かった」

「あの時なんでわたしがわかったの?」

「頭の中でにあの声が聞こえたんだ」

あの祠の時と同じだった、やはり僕とにあには不思議な繋がりがあるようだ。

「そうなんだ…ところでたける」

「なに?」

「子供っていいね、わたしも欲しくなった…」

そう言ってにあは顔を赤くした。

「そうだね、いつかは僕たちも…」

そこまで言って僕もなんだか照れ臭くなった。

やがてお祭りは終わり、後片付けを終えた僕たちは次の日家に戻った。

「おかえり、お祭りどうだった?」

「いろいろ大変だったよ、でも楽しかった」

「そう、よかったわね」

そう言うと母さんは嬉しそうに笑った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...