花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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にあと僕の夏祭り<1>

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僕とにあがお社で見習いとして奉仕するようになってしばらくして、夏祭りの時期がやってきた。

僕は氏子のみなさんとの打ち合わせに出ることになった。

祭りのことはまだわからないのでみんなの話を聞いているだけだけど…

おじいちゃんと氏子のおじさんたちがお役目の割り振りをして大体のことが決まる。

僕は詰所で落とし物や迷子の対応を手伝うお役目を割り振られた。

にあも巫女として参加するのだけど、基本的にちぐささんの補佐といった役回りだ。

そしてお祭りの前日、準備を終えた僕とにあはお社で泊まることになっていた。

「いよいよだね、楽しみだよ」
「わたしにつとまるのだろうか…」
「大丈夫だよ、ちぐささんがちゃんと見てくれるから」

僕は不安そうにしているにあの肩を抱いてそう言った。

お社で見習いを始めてから、にあは一生懸命に神社のいろいろなことを学んでいった。

現代の人間としての生活にも慣れなければいけないので苦労は尽きなかっただろう。

僕の前ではこうやって弱音を吐くこともあったがむしろ僕が見習わなければいけないこともたくさんある。

布団に横になっているとにあが、

「たける、そっち行ってもいい?」

そう言って僕の布団に潜りこんできてぴったりとくっついてきた。

「やっぱりたけるのそばが落ち着く…」

やがてにあが寝息をたてはじめた、僕はにあの寝顔をながめながら、

「ずっとこのままでいたいな…」

心からそう思った。

翌朝、朝食を済ませて社務所へ行き、お祭りの準備が始まった。

昨日のうちにだいたいのことは済ませてあったので最終的な確認がほとんどだ。

そして和楽器の音色がスピーカーから流れ始めてお祭りは始まった。

みずきさんの神楽舞が始まって参拝客はみなそちらへ集まっていた。

僕は詰め所で氏子のおじさんたちと雑談しながら待機していた。

「たけるくん、どうだい?初めてのお祭りは」

「裏方の仕事がこんなに大変だなんて知らなかったですよ…」

「まぁそういうもんだ、毎年やってるとそのうち慣れてくるよ」

「そんなものですか…」

氏子の人たちはほとんどが漁師で気さくで豪快な人たちだ。

ときどき落とし物が持ち込まれたりする程度で大きなトラブルもなく終わりそうだなと思っていた頃、浴衣姿の女性が詰め所に駆け込んできた。

「すみません!うちの子が見当たらなくなって…」

その女性は泣きそうな顔でそう言った。

「落ち着いて…子供さんの特徴を教えてください」

一歳半の女の子、まだよちよち歩きでちょっと目を離した隙にどこかへ行ってしまったらしい。

おじさんは警備会社の人に特徴を伝えて無線で周辺の警備員に連絡してもらった。

「たけるくん、周辺を見回ってきてくれないか…お母さんはここにいてください」

僕は詰め所から飛び出して周辺を見回りに行った。
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