花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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龍神さまと海のお社<1>

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社務所に入った僕たちは大広間に通されてそこで待つことになった。

「少しここで待っていなさい、お茶を入れさせるから」

そう言っておじいちゃんは出て行った。

しばらくして巫女装束の女性がお茶を持ってやってきた。

みずきさんだった、ちぐささんと同じようにこの神社で奉仕している。

「お久しぶりねたけるくん、お元気そうね」
「みずきさんもお変わりないですね」
「ふふっ、ゆっくりしていってね」

そう言ってみずきさんは微笑んだ。

みずきさんが出て行ったあと、にあが少し緊張した様子で言った。

「いったいここの神社はどうなってるんだ?さっきの巫女、正体はわからないがものすごい力を感じたぞ…」
「うん、みずきさんに関しては正直僕もよくわからない…」

やがておじいちゃんとみずきさんが戻ってきた。

「さて、かずまとちぐさがまだ戻ってないが、まずたけるたちの話をあらためて聞こうか」

僕はにあとの出会いをおじいちゃんたちに話し始めた…

「…そうか、にあちゃんも苦労したのだな」
「我…わたしはたけるに救われた、本当に感謝している」

そういうとにあは僕に頭を下げた。
そしておじいちゃんにこう切り出した。

「ところで宮司様、このお社の由来についてお聞きしたいのだが…」
「そうだな、いい機会かもしれない、いずれたけるにも話さなければならなかったことだ」

そう言っておじいちゃんはお社の由来について話し始めた。

海辺の小高い丘の上にあるお社、かつては麓に小さな漁村がありそこの住民を氏子として栄えていたそうだ、しかしあるとき村を大津波が襲い、村のすべてが流された。
わずかに生き延びた村人たちはこの地を捨て他所へ移り住み、お社も打ち捨てられてしまった。

そして時が流れ、かつて村だった場所にふたたび人が住み始めた頃、一人の若者がお社に住み着いた。

それがおじいちゃんの父、つまり僕にとってはひいおじいちゃんにあたる人だった。

ひいおじいちゃんはお社に残っていた文献を読み、村人たちの助けを得てお社を再興させていった。

そうしてお社を建て直したひいおじいちゃんのそばににいつしか女の人が寄り添うようになっていた。

どこから来たのか、村人も知らないその女の人はひいおじちゃんの身の回りの世話をするようになり、やがて子供を身ごもった。

「そして生まれたのがわたしというわけだ」

そう言っておじいちゃんは一息ついた。

「ここからはたける、お前のこれからのことにもかかわる大事なことだからよく聞きなさい」

その女の人が現れる少し前、ひいおじいちゃんは村人の助けで海に沈んでいた祠を引き揚げた、それはかつて海辺にあって大津波の時に海に流されたものだった。

その祠の中にあった御神体をお社に安置した頃にどこからともなく現れたのがその女の人だったのだ。

「その女の人がここにいるみずきさんだ」
「ええぇー⁉︎」

僕とにあは飛び上がらんばかりに驚いた。

「みずきさんは龍神さまの化身でな、わたしの父が引き揚げた祠に祀られていたのだ」

みづきさんが言葉をつないだ

「たけふみさんの父ひろふみさんが引き揚げてくれなければわたくしは海の底で朽ち果てるのを待つだけだった、だからわたくしはひろふみさんの恩に報いるために彼の亡き後もこのお社に奉仕しているのです」

そう言ってみずきさんは微笑んだ。



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