花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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拝み屋、来たる<1>

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にあが僕の家で暮らすようになって数ヶ月が経った、日中僕が学校へ行っている間、にあはテレビを見て現代の話し方を学んだり、母さんの手伝いのようなことをしたりしている。

そして僕が休みの日は一緒に街に出かけて少しずつ人混みに慣らすようにしている。

そんなある日のことだった…
僕とにあが家に帰ると玄関に見慣れない男性用の靴があった。

誰か来てるのかな?
そう思いながらリビングに入るとかずま叔父さんが居た。

「かずま叔父さん、いらっしゃい」
「やぁたける、お邪魔してるよ……!」

にあに気づいた叔父さんが身構えた…

「たける、そいつから離れろ…」
「叔父さん違うんだ!この子は…」

叔父さんが呪文のようなものを唱えた瞬間、僕はにあの身体に覆い被さった。

「うぐっ…‼︎」
「たけるっ‼︎」

次の瞬間全身に雷に撃たれたような痛みが走って僕は意識が遠のいていった…

どのくらい時間が経ったのか分からないけど、気がつくとにあが心配そうに覗き込んでいた。

「良かった、身体は大丈夫か?」
「まだ痺れてるけど大丈夫だよ」
「たける、すまなかった…」

かずま叔父さんが申し訳なさそうに頭を下げた。

「姉さんから詳しい話は聞いた、俺の早とちりだった」
「いいよ叔父さん、もう大丈夫だから」

にあが心配そうに僕に寄り添ってくれていた。

「拝み屋なんて仕事してるとつい身体が反応してしまってな…」

かずま叔父さんはおじいちゃんの神社の跡を継ぐのを嫌がって拝み屋をしながら全国を転々としている、時々うちにも寄ってくれるのだ。

「しかし、たけるもあやかしに縁があるとはつくづくうちの一族は…」
「ほんとにね、あなたといい父さんと言い…」

キッチンから母さんが戻ってきて言った。

「たける、もう大丈夫なの?」
「うん、まだちょっと痺れてるけどね」
「しばらく部屋で横になってなさい、階段登れそう?」
「うん、なんとかね…」
よたよたと歩き出すとにあが支えてくれた。
「たける、無理するな…」
「にあ…ごめん」
「気にするな…」

僕がベッドに横になるとにあも寄り添って横になった。

一方階下では母さんとかずま叔父さんが話していた。

「たけるまであやかしに魅入られるとはな…」
「そうね、私もまさかと思ったけど、血は争えないってことね」
「あの猫又はどうするんだい」
「どうするも何も今はうちの居候以外の何者でもないわ、とくに人に危害を加えるわけではないし…」
「そうか…」
そう言ってかずま叔父さんはため息をついた。

「かずま、あなたこそちぐさちゃんとのこと、どうけじめをつけるつもり?」
「それは…」

叔父さんは口ごもった…

「一度実家へ帰って話しなさい、彼女も待ってるはずよ」
「できれば帰りたくないんだけどな…」

そしてその夜…
僕は昼間のダメージで眠ってしまっていたが、にあはかずま叔父さんが寝ている隣の部屋から感じる気配に気を張っていた。

コトコトという小さな音が壁越しに聞こえてくる…

「叔父さまは付喪神を幾つか連れてきているようだな…」

そして母さんもその気配に気づいていた。

「まったく、仕方のない子ね」

母さんはそっと階段を登って叔父さんの寝ている部屋の扉にお札を貼った、すると物音はぴたりと止んだ。
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