花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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猫又、街へ<2>

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翌日、学校は休みなのでにあを連れて買い物ついでに街に遊びに行くことにした。

僕の家は郊外にあるけれど、幹線道路に近いのでバスは頻繁に走っている。

歩いて5分ほどのバス停で10分も待っていれば最寄駅までのバスがやってくるので不便はない。

目の前を行き交う車を見てにあが言った。
「たける、あの鉄の箱はなんだ?」
「あぁ、あれは自動車だよ、あれに乗って出かけるんだ」
「乗る?」
「まぁ見てればわかるよ」

しばらくしてバスが滑り込んできた。

「さぁ、乗ろうか」
「箱の中へ入るのか?なにやら不安だな…」
「大丈夫だって!」

不安げなにあの手を引いて僕はバスに乗り込んだ。

車内は比較的空いていたのでにあを窓際に座らせた。

にあにとって見るもの全てが初めてなので少し緊張しているのか僕の腕にずっとしがみついていた。

やがてバスは駅前のロータリーで止まった。

「さぁ着いた、降りるよ」

僕たちはバスを降りて繁華街の方へ向かった。

「これが街…」
「そうだよ」
「人が多くて人の気に酔いそうじゃな…」

休日というのもあって結構な人出だった。

「さぁ行こう」

僕はにあの手を引いて歩き始めた。

とりあえず僕は母さんに頼まれた買い物をしに手芸店へ行った。

にあの服を作るのに必要なものを買うためだ。

「こんにちはー」
「いらっしゃい、たける君」

いつも母さんの買い物をするので手芸店の店員さんとも顔馴染みだ。

「珍しいわね、今日は彼女連れ?」
「えぇまぁ…」
「まぁたける君もお年頃だもんね」

レジのお姉さんはそう言って笑った。

買い物を済ませて店を出て、僕はにあに「何か食べに行こう」と言った。

少し歩いてたまに行く公園にソフトクリームの屋台が出ていた。

にあの分と二つ買ってベンチに座って食べ始めると、にあが素っ頓狂な声を上げた。

「美味い!これはなんじゃ‼︎」
「ソフトクリームだよ」
「そふとくりーむ…こんなに美味いものは初めてじゃ!」

にあの驚いた顔を見て僕はなんだか嬉しくなった。

そのあと僕たちはゲームセンターへ行ったのだけど、にあが「大きい音は苦手じゃ」と言ったのでまた近くの公園へ行った。

ふたりでベンチに腰掛けると、
「こっちの方が落ち着く」
「にあはずっと山の祠にいたものね」
「たける、感謝している」
「何を?」
「あの祠にいるときはこうしてたけるといられる日が来るとは思いもしなかった」

そう言うとにあは僕に抱きついてきた。

「わっ!ダメだよこんなところで‼︎」
「今の我にできることはこれが精一杯だ」

そう言われると僕は黙ってにあを抱き返した。

この時間がいつまでも続くといいな、僕はそう思った。
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