花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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にあと僕と山の祠<1>

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不思議な夢を見た…
黒い猫と少女が交互に出てきて何かを伝えようとしている。

赤い首輪…にあに僕が付けてあげた首輪と同じだった。

そして首輪に付いた鈴がちりんと鳴り、それが目覚まし時計の音と重なってそこで目が覚めた。

階下に降りると母さんが朝ご飯の支度をしてくれていた。

「おはよう、たける」
「母さんおはよう」
「今日は買い物お願いね、納期が近いからちょっと忙しいの、買うものメモしておいたから」
「うん、わかった」

母さんは若い頃から服飾関係の仕事をしていて、今も家でミシンを使って服の仕立ての仕事をしている。

一階の大半のスペースは母さんの仕事関係の作業台などで占められている。

父さんは単身赴任で遠くにいるのでうちは実質母子家庭みたいなものだ。

朝ご飯を食べて学校へ行く準備をしているときに夢のことを考えていた。

やっぱり気になるよな…帰りに寄ってみようか。

僕は自転車で学校へ向かう。

中学生になって通学に使う道が変わってしまったのであの祠にはあれから行ってなかった。

高校は全く反対方向になったのでなおさらだ。

学校が終わって母さんに頼まれた買い物を済ませ、あの祠へ向かった。

工事用のフェンスは無くなっていて、山肌は切り開かれて太陽光発電のパネルがずらりと並んでいた。

祠のあるところには入れるようになっていたが、僕はそこで茫然と立ちつくしてしまった。

祠は見るも無惨に破壊されていた。

何かに押し潰されたような感じでぐしゃりと倒れてしまっていたのだ。

「ひどい…どうしてこんなことに…」

それしか言葉は出なかった。

にあの手がかりがないか潰れた祠の中を覗き込んでみるが薄暗くてよく見えない。

しばらく辺りを見て回るが何一つ手がかりはなかった。

そのときだった、
夢で聞いたのと同じ鈴の音が「ちりん」と鳴った気がした…

「にあ?」

辺りを見まわすがそれらしき姿はない。

僕はもう一度祠に戻った、
「…すけて…たす…」
頭の中に声が響いた気がして僕は祠の中へ潜り込んだ。

そこには黒い猫がうずくまっていた、にあに違いない!

僕はさらに身体を奥へ進めた、そしてにあに手が触れたとき、辺りが白い煙とも霧ともつかないものに包まれた。

「わっ!なんだ⁈」

とにかくにあと思しきものを力任せに引っ張り出して僕はその場にへたり込んだ。

とにかくあたりは真っ白で何も見えない…

しばらくするとよくわからない白い煙のようなものが晴れてきた、そして僕の前には黒髪の少女がうずくまっていた。

「にあ…なのか?」

ゆっくりと顔を上げた少女はいきなり僕に抱き付いてきた。


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