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School days<2>
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講堂の客席の後ろの方に僕は陣取った。
僕の母校、運動部は今ひとつ目立った活躍はないが文化部、特に演劇や音楽の部活動はかなりレベルが高く、プロの道へ進む卒業生も多い。
学園長の挨拶に続いて軽音楽部の演奏が始まった。
合間を見て模擬店の様子を見に行くと順調に捌けてるようだ。
校内をぶらついていると突然声を掛けられた。
「センパーイ!」
振り返るとありすとさくらがいた。
「模擬店はいいんですか?」
「うん、上手くいってるみたいだから手持ち無沙汰でね」
「よかったら一緒に見て回りませんか?」
「いいよ、模擬店も気になるから途中で抜けるけどいいかな」
「わーい❤️」
二人と校内の展示などを見てまわっているとあっという間に時間が過ぎていった。
「ありがとう、一度模擬店の様子を見に戻るよ、後片付けもあるしね」
「はーい!楽しかったです♪」
模擬店へ戻るとほぼ完売に近く、食材も残りわずかだった。
「良く売れたみたいだね、大したもんだ」
僕は模擬店の生徒たちに声をかけた。
「ありがとうございます、いい経験ができました」
こうやって飲食業に触れることで興味を持つ子が出てきてくれたらうれしいかぎりだ。
しばらくしてまどかさんの声で終了を知らせるアナウンスが入り、模擬店の後片付けを始めた。
後片付けが終わり、講堂へ行ってみるとまどかさんのほうもほぼ片付けは終わっていた。
「まどかさん、おつかれさま」
「翔太郎くんもおつかれさま、模擬店どうだった?」
「無事完売」
「すごいわね、あなたの指導が良かったのよ」
「そんなことないよ、生徒さんたちがんばってたからね」
重い機材を車まで運ぶのを手伝って片付けは終わった。
「さて、ゆき姉にあいさつして帰ろうか」
「ねぇ、その前にひさしぶりにあそこ行ってみない」
「そうだね、卒業してから行ってなかったよね」
僕たちは学生時代よくたまり場にしていた渡り廊下へ行った、まどかさんや仲間たち、あやちゃんも入学してから仲間に加わった。
「懐かしいな、みんなどうしてるだろうなぁ、卒業してから見事にバラバラになっちゃったもんな」
「そうね、みんな街から出て行ったものね」
「翔ちゃん、覚えてる?」
「なにを?」
「ここで初めてキスしたよね…」
そうだった…まどかさんのご両親が亡くなったあと元気付けたくて放課後にここに連れてきてみんなと話してたんだ。
みんなが三々五々帰っていって二人きりになったときになんとなくそんな雰囲気になり、お互いに言葉にすることもなく自然にキスしていた。
「…そうだったね」
「ねぇ、もう一回しようか?」
「今?」
「なんてね、冗談よ」
まどかさんはいたずらっぽく笑った。
その時一瞬、学生時代のまどかさんが重なって見えた気がした。
職員室のゆき姉にすべて無事に終わったことを報告しにいく。
「まどかちゃんも翔ちゃんもご苦労さまでした、模擬店の子たち、自分たちで食べようと思ってた分まで売れちゃって悔しがってたわよ」
「そうなんだ、よく売れてたもんね」
「来年もよろしくね、ありがとう」
そう言ってゆき姉は笑顔で見送ってくれた。
まさか卒業してからも母校のイベントに関われるとは思わなかった。
そういう面ではゆき姉に感謝しないとな…
まどかさんは事務所の車で先に帰路につき、僕は調理器具を抱えて家へと向かった、帰ってお風呂入って夕食の支度しないとな。
夕焼け雲を眺めて学生時代のあれこれを思い出しながらゆっくり歩いていた。
School days <了>
僕の母校、運動部は今ひとつ目立った活躍はないが文化部、特に演劇や音楽の部活動はかなりレベルが高く、プロの道へ進む卒業生も多い。
学園長の挨拶に続いて軽音楽部の演奏が始まった。
合間を見て模擬店の様子を見に行くと順調に捌けてるようだ。
校内をぶらついていると突然声を掛けられた。
「センパーイ!」
振り返るとありすとさくらがいた。
「模擬店はいいんですか?」
「うん、上手くいってるみたいだから手持ち無沙汰でね」
「よかったら一緒に見て回りませんか?」
「いいよ、模擬店も気になるから途中で抜けるけどいいかな」
「わーい❤️」
二人と校内の展示などを見てまわっているとあっという間に時間が過ぎていった。
「ありがとう、一度模擬店の様子を見に戻るよ、後片付けもあるしね」
「はーい!楽しかったです♪」
模擬店へ戻るとほぼ完売に近く、食材も残りわずかだった。
「良く売れたみたいだね、大したもんだ」
僕は模擬店の生徒たちに声をかけた。
「ありがとうございます、いい経験ができました」
こうやって飲食業に触れることで興味を持つ子が出てきてくれたらうれしいかぎりだ。
しばらくしてまどかさんの声で終了を知らせるアナウンスが入り、模擬店の後片付けを始めた。
後片付けが終わり、講堂へ行ってみるとまどかさんのほうもほぼ片付けは終わっていた。
「まどかさん、おつかれさま」
「翔太郎くんもおつかれさま、模擬店どうだった?」
「無事完売」
「すごいわね、あなたの指導が良かったのよ」
「そんなことないよ、生徒さんたちがんばってたからね」
重い機材を車まで運ぶのを手伝って片付けは終わった。
「さて、ゆき姉にあいさつして帰ろうか」
「ねぇ、その前にひさしぶりにあそこ行ってみない」
「そうだね、卒業してから行ってなかったよね」
僕たちは学生時代よくたまり場にしていた渡り廊下へ行った、まどかさんや仲間たち、あやちゃんも入学してから仲間に加わった。
「懐かしいな、みんなどうしてるだろうなぁ、卒業してから見事にバラバラになっちゃったもんな」
「そうね、みんな街から出て行ったものね」
「翔ちゃん、覚えてる?」
「なにを?」
「ここで初めてキスしたよね…」
そうだった…まどかさんのご両親が亡くなったあと元気付けたくて放課後にここに連れてきてみんなと話してたんだ。
みんなが三々五々帰っていって二人きりになったときになんとなくそんな雰囲気になり、お互いに言葉にすることもなく自然にキスしていた。
「…そうだったね」
「ねぇ、もう一回しようか?」
「今?」
「なんてね、冗談よ」
まどかさんはいたずらっぽく笑った。
その時一瞬、学生時代のまどかさんが重なって見えた気がした。
職員室のゆき姉にすべて無事に終わったことを報告しにいく。
「まどかちゃんも翔ちゃんもご苦労さまでした、模擬店の子たち、自分たちで食べようと思ってた分まで売れちゃって悔しがってたわよ」
「そうなんだ、よく売れてたもんね」
「来年もよろしくね、ありがとう」
そう言ってゆき姉は笑顔で見送ってくれた。
まさか卒業してからも母校のイベントに関われるとは思わなかった。
そういう面ではゆき姉に感謝しないとな…
まどかさんは事務所の車で先に帰路につき、僕は調理器具を抱えて家へと向かった、帰ってお風呂入って夕食の支度しないとな。
夕焼け雲を眺めて学生時代のあれこれを思い出しながらゆっくり歩いていた。
School days <了>
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