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サヴァリッシュ王国
お礼の挨拶
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リカーフと話しながら貴族街に入る。
「そういえばシヅルって誰にお世話になってるの?」
「アレフガート・ノルク・ヴァラムフィールド様だよ」
「へぇ~。って、ヴァラムフィールドってあの公爵家⁉うわぁそれは…なんていうか、すごいね」
「え?すごいって?」
「知らないの?あの家は一家全員が竜人の血を引いていることから発揮できる並の魔獣じゃ太刀打ちできない凄まじい運動神経と、究極の番主義で番以外に対する常に冷たい態度から『鬼竜の一家』と呼ばれているんだよ。」
「だから冷たい表情をするのかな…。でも僕は公爵様のご嫡男であるアレフガート様しか知らないけど、あまり表情が動かなくてもどんな人にも優しい方だよ。」
あっあれはジェームスさん?見間違いか、いや、明らかにこっちを向いて手を振っている。
「ごめん、僕知り合いがいたからここで」
「わかった。…ねぇまた会えるよね?」
「大丈夫。僕らはちゃんとやったよ。リーフも最後らへんは魔獣倒しまくったじゃん。合格してるよ」
そう、リーフの動きは一次試験を突破しただけあって強い。剣の腕がよく、これから土魔法を極めていけばもっと戦術に幅ができて強くなるだろう。ひとつ気がかりなのは土魔法をあまり誇りに思っていないというか、良くないものだと思っている気がする。今度何気なく聞いてみようかな。
「なんか、シヅルかっこいい。」
「えっそう…?ありがと」
「じゃあね」
そして僕らは分かれた。しかし、その時にみせたリーフの顔は少し強張っていた。やっぱり気になる。
「おかえりなさいませ!!シヅル様!」
「はい、そういえばアレフガートさんはご在宅ですか?」
「えぇいらっしゃいますよ」
もし屋敷にいるならばお世話になった挨拶をしたい。お礼をするならなんか買ってこればよかった。だけど僕から何かもらってもゴミが増えるだけで迷惑か。何も返すことはできないけど、早く屋敷から出ていこう。挨拶をしたら荷物(といってもローブと今借りている服を返し着てきた服に着替えるだけだけど)を片付けて出ていこう。
「坊ちゃまに何か話すことでもできましたか?」
「話すことといってもお世話になった挨拶をしようと思いまして」
「シヅル様から話しかけるなんてきっと坊ちゃまはお喜びになりますよ。」
馬車に揺られること早10分ほど。公爵邸に着いた。すると、門をくぐったあとの大きな扉の前にメイドさんたちだけでなくアレフガートさんがいる。仁王立ちだ。
「シヅル!」
「アレフガートさん、あの」
「中に入れ」
腰をつかまれ屋敷の中に入る。その後すぐに部屋に行かせてもらった。
『シヅル!』
急に声を掛けられる。シリル様だ。久しぶりに声を聴いた感じがする。僕の前に姿を見せてくださる。
『お疲れ様、騎士団候補生の試験。最近会えてなかったし、もうシヅルがいい子すぎて僕泣きそうになったよ。』
『本当にお久しぶりです。シリル様。それと僕の家を守っていただきありがとうごさいます。』
『ほんとうに頑張ったね。』
シリル様が僕の頭を撫でる。なんだか安心する。アレフガートさんのそばにいるときとは違う、なんだろう、父性のような前の世界では感じなかった感覚だ。心地いい。
『何かあったのですか?僕にできることならなんでもお申し付けください。』
『なんもないよ。ただ元気か見て会いたかっただけ。そうだっ、家に帰りたいときは本当に言ってよ?僕なら一っ飛びだから。』
『はい』
しばらく念話で話した後シリル様は森へと帰っていった。僕はもともと着ていた自分の服に着替え、ローブを羽織る。夕食ができたそうなので、僕の分まで作ってくれたのだからと夕食までお世話になることにする。
今日はアレフガートさんとの食事だ。最近は所作にも気遣っていたから慣れてきた。いい傾向だ。
この屋敷を歩くのが今日で最後になると思うと、なんだか胸が苦しくなる。まさかもう少しここにいたいと思ってしまったのか。貪欲だなぁ。外に漏れないようにしないと。
今日のアレフガートさんはよく話す。僕に騎士団候補生のテストについて聞いてくる。やはり新しいテスト内容が気になるのだろう。できるだけ思い出して伝える。リーフについて友人ができたことも伝えると怖い顔をしながら身元を確認された。聞こえなかったが、そこまで険しい顔出なかったから政治的に対立しているとかはないはずだがなにかボソッと言っていた。
「坊ちゃま、シヅル様をそう質問攻めにしないでください。シヅル様には何か話したいことがあるらしいですよ」
「なんだ?」
デザートまで食べ終えた後、ジェームスさんが僕がお礼を言える場を用意してくれた。背筋を伸ばし、前髪のせいで彼にはあまり目が見えていないと思うが、見せたほうが不愉快にさせるだろうから真摯さが伝わるように心がける。
「えっとその…ここまで面倒を見てくださりありがとうございます。お礼は何もできないですがせめて国のために働きます。本当にお世話になりました。それでは失礼します。」
静寂が訪れる。言うことを言い、アレフガートさん達から背を向ける。返事がないうちに未練がないよう僕は部屋を出た。
「そういえばシヅルって誰にお世話になってるの?」
「アレフガート・ノルク・ヴァラムフィールド様だよ」
「へぇ~。って、ヴァラムフィールドってあの公爵家⁉うわぁそれは…なんていうか、すごいね」
「え?すごいって?」
「知らないの?あの家は一家全員が竜人の血を引いていることから発揮できる並の魔獣じゃ太刀打ちできない凄まじい運動神経と、究極の番主義で番以外に対する常に冷たい態度から『鬼竜の一家』と呼ばれているんだよ。」
「だから冷たい表情をするのかな…。でも僕は公爵様のご嫡男であるアレフガート様しか知らないけど、あまり表情が動かなくてもどんな人にも優しい方だよ。」
あっあれはジェームスさん?見間違いか、いや、明らかにこっちを向いて手を振っている。
「ごめん、僕知り合いがいたからここで」
「わかった。…ねぇまた会えるよね?」
「大丈夫。僕らはちゃんとやったよ。リーフも最後らへんは魔獣倒しまくったじゃん。合格してるよ」
そう、リーフの動きは一次試験を突破しただけあって強い。剣の腕がよく、これから土魔法を極めていけばもっと戦術に幅ができて強くなるだろう。ひとつ気がかりなのは土魔法をあまり誇りに思っていないというか、良くないものだと思っている気がする。今度何気なく聞いてみようかな。
「なんか、シヅルかっこいい。」
「えっそう…?ありがと」
「じゃあね」
そして僕らは分かれた。しかし、その時にみせたリーフの顔は少し強張っていた。やっぱり気になる。
「おかえりなさいませ!!シヅル様!」
「はい、そういえばアレフガートさんはご在宅ですか?」
「えぇいらっしゃいますよ」
もし屋敷にいるならばお世話になった挨拶をしたい。お礼をするならなんか買ってこればよかった。だけど僕から何かもらってもゴミが増えるだけで迷惑か。何も返すことはできないけど、早く屋敷から出ていこう。挨拶をしたら荷物(といってもローブと今借りている服を返し着てきた服に着替えるだけだけど)を片付けて出ていこう。
「坊ちゃまに何か話すことでもできましたか?」
「話すことといってもお世話になった挨拶をしようと思いまして」
「シヅル様から話しかけるなんてきっと坊ちゃまはお喜びになりますよ。」
馬車に揺られること早10分ほど。公爵邸に着いた。すると、門をくぐったあとの大きな扉の前にメイドさんたちだけでなくアレフガートさんがいる。仁王立ちだ。
「シヅル!」
「アレフガートさん、あの」
「中に入れ」
腰をつかまれ屋敷の中に入る。その後すぐに部屋に行かせてもらった。
『シヅル!』
急に声を掛けられる。シリル様だ。久しぶりに声を聴いた感じがする。僕の前に姿を見せてくださる。
『お疲れ様、騎士団候補生の試験。最近会えてなかったし、もうシヅルがいい子すぎて僕泣きそうになったよ。』
『本当にお久しぶりです。シリル様。それと僕の家を守っていただきありがとうごさいます。』
『ほんとうに頑張ったね。』
シリル様が僕の頭を撫でる。なんだか安心する。アレフガートさんのそばにいるときとは違う、なんだろう、父性のような前の世界では感じなかった感覚だ。心地いい。
『何かあったのですか?僕にできることならなんでもお申し付けください。』
『なんもないよ。ただ元気か見て会いたかっただけ。そうだっ、家に帰りたいときは本当に言ってよ?僕なら一っ飛びだから。』
『はい』
しばらく念話で話した後シリル様は森へと帰っていった。僕はもともと着ていた自分の服に着替え、ローブを羽織る。夕食ができたそうなので、僕の分まで作ってくれたのだからと夕食までお世話になることにする。
今日はアレフガートさんとの食事だ。最近は所作にも気遣っていたから慣れてきた。いい傾向だ。
この屋敷を歩くのが今日で最後になると思うと、なんだか胸が苦しくなる。まさかもう少しここにいたいと思ってしまったのか。貪欲だなぁ。外に漏れないようにしないと。
今日のアレフガートさんはよく話す。僕に騎士団候補生のテストについて聞いてくる。やはり新しいテスト内容が気になるのだろう。できるだけ思い出して伝える。リーフについて友人ができたことも伝えると怖い顔をしながら身元を確認された。聞こえなかったが、そこまで険しい顔出なかったから政治的に対立しているとかはないはずだがなにかボソッと言っていた。
「坊ちゃま、シヅル様をそう質問攻めにしないでください。シヅル様には何か話したいことがあるらしいですよ」
「なんだ?」
デザートまで食べ終えた後、ジェームスさんが僕がお礼を言える場を用意してくれた。背筋を伸ばし、前髪のせいで彼にはあまり目が見えていないと思うが、見せたほうが不愉快にさせるだろうから真摯さが伝わるように心がける。
「えっとその…ここまで面倒を見てくださりありがとうございます。お礼は何もできないですがせめて国のために働きます。本当にお世話になりました。それでは失礼します。」
静寂が訪れる。言うことを言い、アレフガートさん達から背を向ける。返事がないうちに未練がないよう僕は部屋を出た。
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