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サヴァリッシュ王国
騎士団候補生、試験一日目
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さぁ、今日は騎士団候補生の試験だ。
朝は公爵邸の馬車で送ってくれるらしい。徒歩で行くといったのにアレフガートさんに断固拒否された。
ジェームスさんには騎士団候補生の試験の概要を教わった。例年では一日で試験を行うらしいが、今回は二日に分かれているらしい。だからか参加者も例年以上に鍛錬を積んでくるだろうともいわれた。最後にはあまり心配していませんがと付け加えられた。心配するに値しないということだ。親切にしていただいた分、少し悲しく感じた。
「大丈夫だとは思うが困ったら俺の名を出せ。どんなときもだ」
「ありがとうございます」
「何事もなければいいのですが…」
「大丈夫です。レナードさんたちもそんなに危険なものじゃないとおっしゃっていましたし」
「そういう問題じゃない。とにかく気をつけろ」
騎士団候補生の試験ってそんな危険なものなのか?簡単に合格するって言ってたのに。まさか僕の勉強のできなさを想定しきれていなかったとか?
というか俺の名を出せって公爵家の権威を借りる羽目にならないといいけど。完全にフラグ立てた感がある。
しかし今の僕は、まさかほんとにそのフラグを回収するとは思っていなかった。
会場まで送ってくれた御者さんにお礼を言い、馬車を後にする。
会場は赤燐騎士団の詰め所だ。そこでは何人かの騎士達が待っていて、試験を受けに来た子を集合場所まで案内している。受験生は中学生か高校生くらいか。僕を案内してくれた人によると、筆記と面接を行い、その後訓練場で一次試験を、そして通過した者のみが二次試験の実地試験に行けるのだという。
「諸君、よく集まった。私は誉ある赤燐騎士団団長、ガシス・ディスマンド。こういっちゃあなんだが、この場に集まった者は強いともてはやされてきた奴らだろう。だが、自分の能力に慢心するな。この世界は全然甘くなどない。精々思い知れ。」
赤燐騎士団の団長さんはそういうとマントを翻し去っていった。団長さんの分かりやすい挑発に周りには緊張した顔でいる人、余裕そうな顔をしている人など様々いる。どうなるんだろうか。
まずは筆記。大丈夫、勉強した。周りの人達より勉強時間は短かったが、それでも可能な限りやった。そう思い、望む。
「始め!!」
できることはやった。基本情報は昨日洗いなおしたし、計算もでたがそれもできた。最後の記述は高校の記述模試レベルで少し焦ったが、できたはずである。
続く面接もアレフガートさんに言われた恋人問題はでなかったが、心意気を問われた。前の世界で高校受験したときの面接と似たような感じだったので、まずい発言はしていないはずだ。
次は実技の一次試験。内容は得意な技一つを的に向かって打つことと騎士団員と実際に剣を交えることだ。どちらも試験官の騎士団長さんや白や赤、黒の騎士団員の服を着た大勢の人々と受験生に見られながらの状況で試験するようだ。ますます緊張する。あぁ待機時間が長く感じる。こうしている間にも試験は進んでいく。皆、様々な技を見せていく。気のせいだろうか、火魔法が多い。
「次!シヅル!」
まずい、気を紛らそうとしているうちに呼ばれた。深呼吸だ。
「はい!よろしくお願いします。」
得意の技は決めていた。体の周りに風をまとわせ手の中に小さな台風をつくり一気に放出する。名前は知らないから適当にサイクロンと名付けた技だ。
ドッカーンっ!
思ったよりも粉々になった。壁までやってしまったがまぁ、的を直せる魔術師がいたから大丈夫としよう。少し申し訳ない。
次は騎士団員との対戦。
「双方、礼!」
礼をし、構える。神様からもらったスキルと訓練した時の感覚を思い出す。勝敗は相手の急所に模擬剣が当たった時だ。ならば、先手必勝。一気に首をつく!
「ッ!」
やはりうまくはいかない。防衛一線になる。わかっている。熟練の騎士と剣を持って戦う年数が足りない僕。場数が違う。だが違う。
相手の意表を突き、足を蹴り重心を崩す。一瞬の間に崩し、正拳付きの型のような形で剣を潜り込ませる。
「しょ、勝者、シヅル!」
あたりがざわつく。よかった。勝てた…。
「これから、実地試験に移る。一次試験を切り抜けてきたお前らだ。期待している。」
団長さんが言う。ここからが一番僕が不安なところだ。おそらく例年と変わったことは二次試験の実地試験ができたことだろう。大丈夫。誰も経験したことない試験だ。
「実地試験は以下のように行う。今夜から明日の昼にかけて『魔境の森』ですごしてもらう。様々な面で試験を行うが、あくまで試験。脱落する者、したい者は当然いる。その時は指笛を鳴らせ。迎えが来る。くれぐれも無理はするな!」
『魔境の森』…。聞いたとたんに受験生たちは騒ぎ出す。
たしか『魔境の森』って、公爵邸の本にもあったな。魔物がたくさんいるところだよな。というか夜の森っていうだけで危険じゃないか⁉それをまだ成人もしていない子供にさせるって異世界の騎士すごいな。
朝は公爵邸の馬車で送ってくれるらしい。徒歩で行くといったのにアレフガートさんに断固拒否された。
ジェームスさんには騎士団候補生の試験の概要を教わった。例年では一日で試験を行うらしいが、今回は二日に分かれているらしい。だからか参加者も例年以上に鍛錬を積んでくるだろうともいわれた。最後にはあまり心配していませんがと付け加えられた。心配するに値しないということだ。親切にしていただいた分、少し悲しく感じた。
「大丈夫だとは思うが困ったら俺の名を出せ。どんなときもだ」
「ありがとうございます」
「何事もなければいいのですが…」
「大丈夫です。レナードさんたちもそんなに危険なものじゃないとおっしゃっていましたし」
「そういう問題じゃない。とにかく気をつけろ」
騎士団候補生の試験ってそんな危険なものなのか?簡単に合格するって言ってたのに。まさか僕の勉強のできなさを想定しきれていなかったとか?
というか俺の名を出せって公爵家の権威を借りる羽目にならないといいけど。完全にフラグ立てた感がある。
しかし今の僕は、まさかほんとにそのフラグを回収するとは思っていなかった。
会場まで送ってくれた御者さんにお礼を言い、馬車を後にする。
会場は赤燐騎士団の詰め所だ。そこでは何人かの騎士達が待っていて、試験を受けに来た子を集合場所まで案内している。受験生は中学生か高校生くらいか。僕を案内してくれた人によると、筆記と面接を行い、その後訓練場で一次試験を、そして通過した者のみが二次試験の実地試験に行けるのだという。
「諸君、よく集まった。私は誉ある赤燐騎士団団長、ガシス・ディスマンド。こういっちゃあなんだが、この場に集まった者は強いともてはやされてきた奴らだろう。だが、自分の能力に慢心するな。この世界は全然甘くなどない。精々思い知れ。」
赤燐騎士団の団長さんはそういうとマントを翻し去っていった。団長さんの分かりやすい挑発に周りには緊張した顔でいる人、余裕そうな顔をしている人など様々いる。どうなるんだろうか。
まずは筆記。大丈夫、勉強した。周りの人達より勉強時間は短かったが、それでも可能な限りやった。そう思い、望む。
「始め!!」
できることはやった。基本情報は昨日洗いなおしたし、計算もでたがそれもできた。最後の記述は高校の記述模試レベルで少し焦ったが、できたはずである。
続く面接もアレフガートさんに言われた恋人問題はでなかったが、心意気を問われた。前の世界で高校受験したときの面接と似たような感じだったので、まずい発言はしていないはずだ。
次は実技の一次試験。内容は得意な技一つを的に向かって打つことと騎士団員と実際に剣を交えることだ。どちらも試験官の騎士団長さんや白や赤、黒の騎士団員の服を着た大勢の人々と受験生に見られながらの状況で試験するようだ。ますます緊張する。あぁ待機時間が長く感じる。こうしている間にも試験は進んでいく。皆、様々な技を見せていく。気のせいだろうか、火魔法が多い。
「次!シヅル!」
まずい、気を紛らそうとしているうちに呼ばれた。深呼吸だ。
「はい!よろしくお願いします。」
得意の技は決めていた。体の周りに風をまとわせ手の中に小さな台風をつくり一気に放出する。名前は知らないから適当にサイクロンと名付けた技だ。
ドッカーンっ!
思ったよりも粉々になった。壁までやってしまったがまぁ、的を直せる魔術師がいたから大丈夫としよう。少し申し訳ない。
次は騎士団員との対戦。
「双方、礼!」
礼をし、構える。神様からもらったスキルと訓練した時の感覚を思い出す。勝敗は相手の急所に模擬剣が当たった時だ。ならば、先手必勝。一気に首をつく!
「ッ!」
やはりうまくはいかない。防衛一線になる。わかっている。熟練の騎士と剣を持って戦う年数が足りない僕。場数が違う。だが違う。
相手の意表を突き、足を蹴り重心を崩す。一瞬の間に崩し、正拳付きの型のような形で剣を潜り込ませる。
「しょ、勝者、シヅル!」
あたりがざわつく。よかった。勝てた…。
「これから、実地試験に移る。一次試験を切り抜けてきたお前らだ。期待している。」
団長さんが言う。ここからが一番僕が不安なところだ。おそらく例年と変わったことは二次試験の実地試験ができたことだろう。大丈夫。誰も経験したことない試験だ。
「実地試験は以下のように行う。今夜から明日の昼にかけて『魔境の森』ですごしてもらう。様々な面で試験を行うが、あくまで試験。脱落する者、したい者は当然いる。その時は指笛を鳴らせ。迎えが来る。くれぐれも無理はするな!」
『魔境の森』…。聞いたとたんに受験生たちは騒ぎ出す。
たしか『魔境の森』って、公爵邸の本にもあったな。魔物がたくさんいるところだよな。というか夜の森っていうだけで危険じゃないか⁉それをまだ成人もしていない子供にさせるって異世界の騎士すごいな。
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