駄目な奴でもなんとか生きていこうと思います

アオ

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出会い

人を拾う

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転移してからだいたい3か月、僕はいつものように自堕落な生活を送っている。朝ゆっくり起きて好きなだけ本を読み漁り、たまに食欲がわいたときになにかをつまむ。そんな生活のせいで、せっかく習得したスキルを使う場面がなく、体力は落ちていくばかりだ。そして、ふと思った。
 …さすがにまずいのでは!?
いやだって客観的に見て僕、やばくない?今世界で一番楽に生きてるんじゃない?というかこのままこんな生活を続けたら1年後にはトドかなんかにでもなってるんじゃ…。うん、ゾッとする。
よし!一念発起、外にでてみよう!!
まあかといってすぐに外に出られるわけじゃない。前の世界で根っからのインドア系根暗系男子高校生だった僕に、神様のおかげでいくら安全といえど森の散策は難しい。
そんなときこそ、風魔法!何気にこの世界に来てからの初めての魔法じゃないか?家の周りに風をまとわせ、動植物の気配、動きを察知してみる。うん、特に大きな問題もないし、大丈夫だろ。とりあえず剣を持ち、この世界に来たときから愛用しているローブを羽織る。さぁ、異世界初の外出だ!!

「うわぁ…!」
なんだここは。前の世界でもみたことのない、幻想的な景色だ。美しい小鳥の囀りに木々の間から漏れ出る太陽の光、木々や草を通ってきた風の不思議な香り。あそこのふわふわしているのは神様のいっていた精霊なのかな。なんかすごいいい。よし、歩いてもっと見てみよう。風魔法で察知しながら進んでいく。その時、信じがたいものを目にした。

「え?」
えっ、ちょっちょっと待って、これ…人!?一見すると、騎士みたいだ。どうしてこんなところに人が?神様は人があんま来ないとこに転移させるって言ってたのに。倒れてるけど生きてるのかな?放っておく?あれ、でもこれで生きてて僕が助けなかったら人道的にヤバくない?僕のせいで今生きてるのに死んだら僕は最早人殺しなんじゃ…。
えぇい、やるっきゃない!
風魔法でその人を持ち上げ家まで運ぶ。ベットは1個しかないから、自分のベットに寝かせて服を脱がせる。すごい傷だな、いや、だけどよく見ると背中の大きな傷以外はかすり傷だ。家に置いてあった応急処置の手順本に従い、治療をしてみる。風魔法の応用で固まりかけている血や汚れを取り、背中を止血する。
ふう、多少荒いけどやれることはやった。
ん?あれ、なんで僕こんなできたんだ?保健委員だった頃はもうやるなって怒られるぐらいだったのに。もしかして神様ができるようにしてくれたのかな。きっとそうだ、神様はこんな僕にでも優しいから。
あれ、なんか安心したら眠くなってきた…
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