罪状は【零】

毒の徒華

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第5章 理念の灯火

第130話 協力

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 ユニオールの首都・リユニオンに着いたどー!

 道中は魔物と遭遇する事もなく、国境超えもギルドカードのおかげで問題なくパス。平和なものだった。……揺り返しが怖いくらい平和だったんだが、これマジで大丈夫なのか?

「何をビクビクしていますの? 不審者と間違われても文句言えませんわよ」

 と、言われましても……。お前はこの何も問題の無い現状に思うところは無いのか? 平和すぎるんだぞ!?

「貴方こそ何を仰っているのか……。平和ならそれに越したことはないでしょうに」
「とりあえず魔物エンカウント率が異常すぎるんだよ! 無ぇよ二週間、昼どころか夜さえ遭遇しないとか!」

 普通は魔物避けの香とか焚かないと野宿とか無理って本で読んだぞ! いくらダンマスのダンジョンを宿にしてるからって襲撃が一度も無いとかおかしいだろ!

 ……レベル上げてぇのに獲物が来ない。待ちの姿勢がイカンのか? 攻めの姿勢で行かないと駄目なのか? 討伐依頼の時みたいに。

「絶対に何か巻き込まれるフラグだこれ……」
「単に私達に魔物が恐れをなしただけではありませんの?」
「駆け出しのくせになんでそう自信満々なんだ……このお嬢様は!」

 俺らのレベルどんくらいだと思ってんだ? 少なくとも俺のレベルはまだ20にも行ってないぞ。ゴブリンの巣潰しは戦闘訓練には適してたんだが、レベル上げにはそれほど役立たなかった件ェ……。まあ、某RPGでいうところのスライムだもんな。

 それにしてもエンカウント無しの原因を……原因を誰か教えてくれ――


 スキル『威圧』発動中。(発動者:神山龍司)
 発動者のレベルプラス5以下の害意ある魔物や獣を近寄らせない様にする。自動発動スキルのため、オフにするには『まりょく』が10以上必要。


 なんか森羅さんのお陰でアッサリ解決……この二週間悶々としてた俺の気苦労って一体……?

 いつの間にか新たなスキルをゲットしていたらしい。最近、ステータスのスキル欄見てなかったから気付かなかった……。それにしても俺って、気配遮断といいこの威圧といい、非戦闘スキル多くない? 戦うなって事なん?





 冒険者ギルドは首都にあるだけあって、めっちゃ広い役所のような場所だった。

 一階が総合受付カウンター。二階が図書室。三階より上は関係者以外立ち入り禁止の詳細不明スペースな四階建て。お約束の酒場はとなりに併設されていた。ほかにも訓練場とか学習塾まである。広い街なので支部とかもあるらしい。都心の冒険者ギルド、まじですごいな。

 俺たちはとりあえず、受けられそうな依頼が無いか探すために総合カウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ! 本日は依頼をお探しですか?」

 にこやか営業スマイル! すげえ、某ファーストフード店もビックリなマニュアル対応だ! ファンタジー世界なのに!!

「あの……?」

 驚愕のあまり俺が動かなくなったので、戸惑う受付嬢。

「彼は無視して良いですわ。何か初心者向けの依頼はあって?」

 俺の代わりにシータが手続きを進めた。なんだかんだいって彼女の度胸は俺以上なのだ。

「あ、はいっ。それでしたらこちらになります」

 受付嬢が取り出したのは、やたら重量感のある分厚いファイル。流石におののくシータさん。俺もちょっと引いた。|初心者向け依頼(おつかい)だけでも、こんなにあるのかよ! 軽く人が殺せるぞ、これ!?

「……ぶ、分厚いんですのね」
「何しろ大きな街ですから!」

 雑用が多いんですね、わかります。でもって処理速度が追いついてないのな。この街、近場にダンジョンがあるから、みんなそっちに流れるんだろうなー。雑用よりは実入りがいいっぽいし。

「とりあえず俺は荷運び系かねぇ。こんな大きな街には草刈りとか需要なさそうだ」
「いやにこだわりますわね、草刈り」
「そらまー、はじめて受けて成功させた依頼だからな。思い入れもあるさ」

 あと報酬が割とオイシイんだよなー。みんなやりたくねーけど、いつかはやらなきゃいけない系だから。

「――草刈りをご所望……なんですか!?」

 ――ん? どうしたんだ受付嬢さんよ。なんか目がキラキラし始めてるが。え、なにその意外な反応。

「――貴方が神か!!」

 カウンターから乗り出し、俺の手をガシッと掴む受付嬢。目がらんらんとしていてヤベぇ。

 ――というか…………………はい? いや確かに俺、神さまですけど。


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