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第四章
カミラの毒 2 毒を含んで
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カミラと井戸を中心に10m程距離を置き、円になって騎士達が取り囲んでいる。イフリートが告げる。
「カミラ、もう逃げられないぞ! おとなしくこちらへ来い!」
「縛り首になるのにおとなしく従うと思う?」
カイトは騎士達の後ろを回って、目立たないようにイフリートの傍にいるサイラスに近付いた。小さい声で背後からサイラスに声を掛ける。
「副団長、ロングボウを持ってきました」
サイラスも前を向いたまま小さい声で返事をした。
「ご苦労。でも今俺が少しでも動いたらすぐカミラに分かってしまう。お前が分からないように反対側に回って、用意して待て、合図したらカミラの背後から左胸、心臓を狙って矢を放て」
「分かりました」
カイトはまた後ろを通りカミラの背後に回った。察しのいい騎士達がカイトを隠してくれる。
イフリートが声を張り上げた。
「その右手の小瓶は何だ?」
カミラは井戸に寄りかかり、高く上げた右手の先を仰ぎ見た。
「これ? これはある毒を濃縮した物よ――知ってる? 南にあったある城と町に住んでた人達が、一ヶ月でほぼ死滅した件。これはそれに使われたのと同じ毒・・・。この井戸に落としたらどうなるかしら?」
井戸の水は地下の水脈で繋がっている。まず城の井戸は全滅だ。町の井戸にも被害は及ぶだろう。そして水がなければ生きていけない。
「何が望みだ?」
「ヴィルヘルム国王陛下!!」
騎士達が道をあける。ヴィルヘルムは繰り返した。
「言ってみろ。何が望みだ? 助かりたいのか?」
「ふん! 姫君を誘拐して今更助かる訳ないじゃない!」
「修道院ではどうだ?」
「どうせ、厳寒の地にある修道院で厳しい監視付きなんでしょう!? そんな所に入るくらいなら死んだほうがマシよ! 私はカイトと話したいの! 彼を出してちょうだい!!」
今、自分がここで出ていいものだろうか、カミラを余計刺激してしまったら? カイトはイフリートとサイラスに視線を合わせた。二人共考えあぐねているようだ。
「出さなかったら、これを井戸に落とすわよ!!」
矢をつがえてカミラを狙ったまま、カイトは前に進み出た。
「あら、そこにいたの?私の愛しい騎士のカイト・・・貴方に射られるなら本望だわ。ほら、よく狙ってね、ちゃんと事切れるように外さないで、この小瓶が落ちても構わないなら・・・」
右手は井戸の真上に伸びている。射抜いたら確実に小瓶は井戸の中へ落ちるだろう。
カイトはつがえた矢を下ろした。
「何が望みなんだ?」
カミラは両目を見開いた。
「リリアーナを!! あの小娘を!! 私の前で殺してちょうだい! ズタズタに切り裂いて! あの美しい瞳が閉じるまで!」
「・・・それはできない」
「知ってるわよそんな事、何も貴方でなくてもいいのよ、やるのは他の人でも。カイト・・・貴方の苦しむ姿を見たいだけだもの」
カミラは口角を上げてクスッと笑い、カイトがカミラを睨みつける。
「愛憎は紙一重って本当ね。あんなに愛しかったのに、今は憎くて憎くて堪らない・・・さあ、どうするの?」
カミラが笑い声をあげた。一瞬できた隙。今なら――!!カイトは弓矢を捨ててカミラへと走った。カミラが気付き、井戸に小瓶を投げた。弧を描いて落ちていくそれに地面を蹴って手を伸ばす。届いた!が身体は井戸に。つるべに手を伸ばしたが、落ちていくのを止められなかった。一瞬の内に考える。小瓶を持ったまま落ちてはいけない! 割れるかもしれないし、毒が漏れるかもしれない。覚悟を決めると口に含んだ。
そして水に落ちる――
深く身体は沈んだが、すぐ水面に顔を出し一緒に落ちたつるべに小瓶を吐き出した。
「カイト!! 大丈夫か!?」
イフリート達の声がする。
「つるべに小瓶を入れました!! すぐ引き上げて下さい!!」
次の瞬間、口に広がるぴりぴりした感触に気が付いた。
『漏れていたのか――!?』
どれほど濃縮してあるのだろう?少量でも井戸の水は汚せない! 吐き出すこともうがいも無理だ。意識が朦朧としてきた。せめて仰向けにならなければ・・・口から毒が漏れるかもしれない・・・・・・
「カイト、今ロープを下ろしたぞ! それを伝って上がって来い!」
スティーブが声を掛けたが、反応がない。
「カイト?」
覗きこむとカイトが仰向けで浮かんでいる。見る限り意識がなさそうに見える。
「カイト!! どうした!! 今行くぞ!!」
飛び込もうとした所をイフリートに首根っこを押さえつけられた。
「デニス、お前が行け!」
「はい!」
騎士見習いで身が軽いデニスがするするとロープを伝って降りていく。
「団ちょー! 何故止めるんですか!?」
「お前が飛び込んだらカイトの上に落ちるだろう」
「あ・・・」
井戸の中から声がした。
「カイト先輩の身体にロープを縛り付けました!」
「よし!すぐ引き上げるぞ!」
カイトの身体を井戸から引きずり出すと、意識はあったが混濁していていきなり吐いた。
「じいや!! 早く!!」
騎士のおんぶでじいやが到着した。
「一体どうなってるんじゃ!?」
まずカイトの口を開かせる。。
「この臭いは・・・そっちの小瓶を見せろ!!」
そして、つるべの中にある小瓶の臭いを嗅いだ。
「まだ意識はあるな!? 吐けるか!? カイト! イフリート!! すぐカイトの喉に指を突っ込んで吐くの手伝ってやれ!! これは吐かしても大丈夫な毒だ!!(毒には吐かせたらいけない物もあります)こやつ・・・毒が漏れないように小瓶を口に含んだな」
ざわめきが走る中、イフリートがすぐ処置を始めた。
「吐かせ切ったら、今度は水じゃ――くそっ!この世界の設備では胃洗浄ができない」
じいやが悔しそうにしている。
胃洗浄――? カイトは朦朧とする意識の中で、前世で使われてる言葉を聞いた。だが、すぐにまた指を突っ込まれ、考える事ができなくなった。
カミラの前ではサイラスが剣を振りかざしていた。
「やめろ、サイラス!」
「止めないで下さい国王陛下。こいつの為にカイトが!」
普段は冷静沈着なサイラスの珍しい光景だ。
「簡単に殺してしまっていいのか?」
「はい・・・?」
「カミラは火あぶりだ」
カミラが息を呑んだ。サイラスは剣を鞘に収める。火あぶりは、死ぬまでに時間が掛かり、熱さと苦しさが長時間続く筆舌に尽くし難い刑である。
リリアーナ達は中庭に入るのを止められていた。じいやが運ばれて行くのを見て嫌な予感が胸をよぎる。中庭から出てきた女性騎士が、リリアーナを見て顔色を変えた。すぐいつもの顔に戻ったが、リリアーナは走り出した。
「リリアーナ様!行っては駄目です!!」
その言葉に益々足を速める。中庭に入ってすぐに他の女性騎士に止められた。
「離して!!」
女性騎士に二人掛かりで止められる。顔を上げた視線の先には必死に処置をしているじいや達と、青ざめて今はもう意識のないカイトが横たわっていた。
「いやぁぁぁー!!」
パニックに陥ってカイトの傍に行こうとするリリアーナを女性騎士達が押しとどめる。後からクリスティアナ達が追いついてきた。尚もカイトの所に行こうとするリリアーナの頬をクリスティアナが叩いた。
「ねぇさま・・・」
「リリアーナ、私達が今行っては邪魔になるわ」
優しく抱きしめるクリスティアナにリリアーナは縋って泣いた。
「カミラ、もう逃げられないぞ! おとなしくこちらへ来い!」
「縛り首になるのにおとなしく従うと思う?」
カイトは騎士達の後ろを回って、目立たないようにイフリートの傍にいるサイラスに近付いた。小さい声で背後からサイラスに声を掛ける。
「副団長、ロングボウを持ってきました」
サイラスも前を向いたまま小さい声で返事をした。
「ご苦労。でも今俺が少しでも動いたらすぐカミラに分かってしまう。お前が分からないように反対側に回って、用意して待て、合図したらカミラの背後から左胸、心臓を狙って矢を放て」
「分かりました」
カイトはまた後ろを通りカミラの背後に回った。察しのいい騎士達がカイトを隠してくれる。
イフリートが声を張り上げた。
「その右手の小瓶は何だ?」
カミラは井戸に寄りかかり、高く上げた右手の先を仰ぎ見た。
「これ? これはある毒を濃縮した物よ――知ってる? 南にあったある城と町に住んでた人達が、一ヶ月でほぼ死滅した件。これはそれに使われたのと同じ毒・・・。この井戸に落としたらどうなるかしら?」
井戸の水は地下の水脈で繋がっている。まず城の井戸は全滅だ。町の井戸にも被害は及ぶだろう。そして水がなければ生きていけない。
「何が望みだ?」
「ヴィルヘルム国王陛下!!」
騎士達が道をあける。ヴィルヘルムは繰り返した。
「言ってみろ。何が望みだ? 助かりたいのか?」
「ふん! 姫君を誘拐して今更助かる訳ないじゃない!」
「修道院ではどうだ?」
「どうせ、厳寒の地にある修道院で厳しい監視付きなんでしょう!? そんな所に入るくらいなら死んだほうがマシよ! 私はカイトと話したいの! 彼を出してちょうだい!!」
今、自分がここで出ていいものだろうか、カミラを余計刺激してしまったら? カイトはイフリートとサイラスに視線を合わせた。二人共考えあぐねているようだ。
「出さなかったら、これを井戸に落とすわよ!!」
矢をつがえてカミラを狙ったまま、カイトは前に進み出た。
「あら、そこにいたの?私の愛しい騎士のカイト・・・貴方に射られるなら本望だわ。ほら、よく狙ってね、ちゃんと事切れるように外さないで、この小瓶が落ちても構わないなら・・・」
右手は井戸の真上に伸びている。射抜いたら確実に小瓶は井戸の中へ落ちるだろう。
カイトはつがえた矢を下ろした。
「何が望みなんだ?」
カミラは両目を見開いた。
「リリアーナを!! あの小娘を!! 私の前で殺してちょうだい! ズタズタに切り裂いて! あの美しい瞳が閉じるまで!」
「・・・それはできない」
「知ってるわよそんな事、何も貴方でなくてもいいのよ、やるのは他の人でも。カイト・・・貴方の苦しむ姿を見たいだけだもの」
カミラは口角を上げてクスッと笑い、カイトがカミラを睨みつける。
「愛憎は紙一重って本当ね。あんなに愛しかったのに、今は憎くて憎くて堪らない・・・さあ、どうするの?」
カミラが笑い声をあげた。一瞬できた隙。今なら――!!カイトは弓矢を捨ててカミラへと走った。カミラが気付き、井戸に小瓶を投げた。弧を描いて落ちていくそれに地面を蹴って手を伸ばす。届いた!が身体は井戸に。つるべに手を伸ばしたが、落ちていくのを止められなかった。一瞬の内に考える。小瓶を持ったまま落ちてはいけない! 割れるかもしれないし、毒が漏れるかもしれない。覚悟を決めると口に含んだ。
そして水に落ちる――
深く身体は沈んだが、すぐ水面に顔を出し一緒に落ちたつるべに小瓶を吐き出した。
「カイト!! 大丈夫か!?」
イフリート達の声がする。
「つるべに小瓶を入れました!! すぐ引き上げて下さい!!」
次の瞬間、口に広がるぴりぴりした感触に気が付いた。
『漏れていたのか――!?』
どれほど濃縮してあるのだろう?少量でも井戸の水は汚せない! 吐き出すこともうがいも無理だ。意識が朦朧としてきた。せめて仰向けにならなければ・・・口から毒が漏れるかもしれない・・・・・・
「カイト、今ロープを下ろしたぞ! それを伝って上がって来い!」
スティーブが声を掛けたが、反応がない。
「カイト?」
覗きこむとカイトが仰向けで浮かんでいる。見る限り意識がなさそうに見える。
「カイト!! どうした!! 今行くぞ!!」
飛び込もうとした所をイフリートに首根っこを押さえつけられた。
「デニス、お前が行け!」
「はい!」
騎士見習いで身が軽いデニスがするするとロープを伝って降りていく。
「団ちょー! 何故止めるんですか!?」
「お前が飛び込んだらカイトの上に落ちるだろう」
「あ・・・」
井戸の中から声がした。
「カイト先輩の身体にロープを縛り付けました!」
「よし!すぐ引き上げるぞ!」
カイトの身体を井戸から引きずり出すと、意識はあったが混濁していていきなり吐いた。
「じいや!! 早く!!」
騎士のおんぶでじいやが到着した。
「一体どうなってるんじゃ!?」
まずカイトの口を開かせる。。
「この臭いは・・・そっちの小瓶を見せろ!!」
そして、つるべの中にある小瓶の臭いを嗅いだ。
「まだ意識はあるな!? 吐けるか!? カイト! イフリート!! すぐカイトの喉に指を突っ込んで吐くの手伝ってやれ!! これは吐かしても大丈夫な毒だ!!(毒には吐かせたらいけない物もあります)こやつ・・・毒が漏れないように小瓶を口に含んだな」
ざわめきが走る中、イフリートがすぐ処置を始めた。
「吐かせ切ったら、今度は水じゃ――くそっ!この世界の設備では胃洗浄ができない」
じいやが悔しそうにしている。
胃洗浄――? カイトは朦朧とする意識の中で、前世で使われてる言葉を聞いた。だが、すぐにまた指を突っ込まれ、考える事ができなくなった。
カミラの前ではサイラスが剣を振りかざしていた。
「やめろ、サイラス!」
「止めないで下さい国王陛下。こいつの為にカイトが!」
普段は冷静沈着なサイラスの珍しい光景だ。
「簡単に殺してしまっていいのか?」
「はい・・・?」
「カミラは火あぶりだ」
カミラが息を呑んだ。サイラスは剣を鞘に収める。火あぶりは、死ぬまでに時間が掛かり、熱さと苦しさが長時間続く筆舌に尽くし難い刑である。
リリアーナ達は中庭に入るのを止められていた。じいやが運ばれて行くのを見て嫌な予感が胸をよぎる。中庭から出てきた女性騎士が、リリアーナを見て顔色を変えた。すぐいつもの顔に戻ったが、リリアーナは走り出した。
「リリアーナ様!行っては駄目です!!」
その言葉に益々足を速める。中庭に入ってすぐに他の女性騎士に止められた。
「離して!!」
女性騎士に二人掛かりで止められる。顔を上げた視線の先には必死に処置をしているじいや達と、青ざめて今はもう意識のないカイトが横たわっていた。
「いやぁぁぁー!!」
パニックに陥ってカイトの傍に行こうとするリリアーナを女性騎士達が押しとどめる。後からクリスティアナ達が追いついてきた。尚もカイトの所に行こうとするリリアーナの頬をクリスティアナが叩いた。
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