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第十二章
腕(かいな)の中のリリアーナ 75 いっそこの腕の中で、滅茶苦茶にしてしまいたい――
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「リリアーナはちゃんと状況を把握しているのか? まさか、カイトが元に戻ったと勘違いしているのではあるまいな?」
「いや、わしもそこは確認をした。頭ははっきりとしているし”元々今日話し合う予定だった”と言っているのじゃが…」
「そういえば……」
アレクセイは”きちんと向き合って、素直な気持ちを話し合うの”と落ち着いた物腰で言っていたリリアーナを思い出した。
「分かった。カイトを探してすぐに連れてこさせよう」
「兄様、話の続きは?」
ソファから立ち上がるアレクセイに”きっと取り止めになるだろう――”と期待に輝くサファイアの瞳。
「別室に移って続行だ」
「う……へぇ……」
げんなりするサファイアを引き連れて、アレクセイはイフリートに命じるために廊下へ出た。イフリートはエドモントにカイトを探すよう命じ、自分も捜索指揮を取る為に屋外へ向かう。ラザファムは警護の為に残り、アレクセイは向かいの空き部屋へサファイアを連れて(引きずって)入った。
暫くしてエドモントがカイトを伴って帰ってきた。ラザファムが驚きの声を上げる。
「どうした、カイト! お前、戻れなかったのがそんなにショックだったのか……!?」
カイトの顔は色を失い、平静ではない様子が窺えた。
「大丈夫です……リリアーナ様は部屋でお待ちですか……?」
「あっ、ああ……ちょっと待て」
ラザファムがノックをすると、フランチェスカが顔を出し、目の前のカイトを確認して一度引っ込む。代わりにクリスティアナが姿を現し、顔を俯けたカイトへ優しい眼差しを向けてからエドモントを従え去っていった。
カイトは顔を上げ深く息を吸ってから部屋に入る。
「カイト、こちらへ……そこのソファに座ってちょうだい」
リリアーナは落ち着いた様子で奥のソファに座っている。
カイトは胸に手を当て礼の形を取り、リリアーナに従って向かいのソファに腰を掛けた。彼の具合の悪さにリリアーナも気付く。
「どうしたの? 酷い顔色――急がせてしまったのね、ごめんなさい。話は後にしましょう。フランチェスカ、空き部屋の寝室を整えて」
「いえ、大丈夫です。日光に長く当たって少し気分が悪くなっただけです」
「でも……」
騎士であるカイトが、長い時間とはいえ日光に当たったくらいで、ここまで気分が悪くなるものだろうか?
「お気になさらずに、話をお願いします――」
切迫感さえ感じるカイトの真剣な様子に、リリアーナはソファに座りなおす。
「分かったわ……話を始めましょう。フランチェスカ」
フランチェスカは膝を折ると、扉を開けて退室した。部屋には二人だけとなった。
***
「サファイア、前にも言ったが…」
「分かっているわ、ルイスにも同じ事を言われたんですもの。次はよく考えてから口にする」
「分かっていても何度でも聞け!」
「………はい」
「よく考えてどころか、次はもう口にするな。この間の会議でも私の離席中、オルブライト公にやらかしたそうだな」
「だって! あいつジャネットの件を根に持って(16話 ジャネットの意見)未だに女性騎士やジャネットに嫌がらせをしてるのよ!? 逆恨みもいいところだわ! 兄様が席を外している隙に女性騎士を揶揄するような話をするから、私が注意したの」
サファイアが ”仕方がなかった” というようにツンと顎を上げる。
「何故、俺が席に戻るまで待たなかった?」
「兄様が戻ったら黙ってしまうんですもの」
「それでも待て! その場でなくても、後で俺に言えばいい」
「何で私が言ってはいけないの!? 私、何か間違っている!?」
「お前の言い方が悪い! カーディス(オルブライト公爵の名前)の息子を散々馬鹿にして、父親とそっくりだと言ったそうだな」
「事実じゃない! 酒と女に溺れて湯水のようにお金を使い、使うお金は領民が納める血税なのよ!」
「ああ、そうだ! それは事実だ! だからと言って人前で相手を貶めたら、お前もカーディスと変わらないじゃないか。言うんだったら女性騎士の話し限定にしろ!」
「でもそれでは言い争いに勝てないわ! あいつ、女性を馬鹿にしているし……ううん、女性は男性より劣っているという考えが、未だに深く根付いているんですもの。カーディスの偏見や、女性騎士の素晴らしさをいくら訴えたところで、皆が信じてくれるとは思えない。勝つにはあいつの弱みを叩かないと!」
「だからこそだ! 男尊女卑の世の中だからこそ、カーディスは皆の前で女に言い負かされ、恥をかかされた、と恨みを抱くんだ。その上あいつはプライドが高く粘着質ときている」
アレクセイが眉間に皺を寄せてサファイアをじっと見る。
「お前に対して良からぬ事を考えるかもしれない。今後は言動を慎め」
「まさか……! これでも私は姫君なのよ? 私に何かしたら首が飛ぶ事ぐらいカーディスも分かっているでしょう?」
「分かってくれている事を祈るばかりだ」
「あいつ、そこまで馬鹿なの?」
「………サファイア」
「次はよく考えてから口にする事を誓います」
右手の平を、顔の高さに掲げて誓いを立てるサファイアに、頭を抱え込むアレクセイ。
「だからもう喋るな……」
***
「カイト、私は貴方に謝らないと」
「……何故ですか?」
哀しみを湛えた瞳で、申し訳無さそうな表情を向けるリリアーナに、カイトが訝しげに聞き返した。
「ホーラ様を前にして話した時の事……12歳の貴方を否定するような態度を取ってごめんなさい」
「えっ……?」
カイトはリリアーナが言った意味を理解した後、溜息を吐いて、一度下に落とした視線をまた彼女へと戻す。
「リリアーナ様、貴方は優しすぎます。寧ろ責められるべきは私だと思いますが……」
「いいえ、私がいけないの……!」
「振られた相手に後から謝られるのは、却って腹立たしいものですよ?」
「そうな……の……?」
「時と場合に寄りますが、俺はそっとしておいてほしいです。悲しい現実を二度突きつけられる訳だし……それに下手すると相手に八つ当たりされます」
「ごめんなさい……考えが足りなかったわ」
しょぼんとするリリアーナにカイトが苦笑する。これではどちらが年上だか分からない。
(世間知らずの深窓の姫君……いや、箱入り娘と言ったほうがしっくりくるか)
カイトは思い直してまた注意をする。
「ほら、”ごめんなさい”などと、また八つ当たりされそうな事を言っている」
”あっ” とばかりに顔を上げるリリアーナに、カイトが続けて呟いた。
「そんな貴方だからこそ愛しいのですが……」
リリアーナが顔色を変えてすぐに顔を俯ける。多分、応えられないカイトの想いに胸を痛めているのだろう。カイトもまた報われない想いに胸を痛めていた。
「今後の……今後の事を話し合いたいの」
「はい――」
リリアーナは顔を上げてカイトを見据える。冷静に話を進めようとしているようだ。
「私は貴方にこのまま傍にいてほしい。婚約者として、私の騎士として――でも……」
そこで少しの躊躇いが入る。
「もしかしたら、そのうち貴方を愛せるようになるかもしれない……でも、それは分からないし、保障はできない。貴方にずっと18歳のカイトを重ねて見てしまうかもしれないし……」
カイトはふっと笑みを零した。優しくて素直で残酷な姫君。例え嘘でも ”愛せそう” と言ってほしかった。
「この話を断ったら……?」
「貴方は自由よ――私から離れて、好きな所に行けばいいわ」
その時にふと、リリアーナの伏せられた瞳を縁取る金の睫毛が、小さく震えていることに気付いた。両手もギュッとスカートを握り締めていて、カイトが自分から離れていってしまうのを恐れているのが見てとれた。
「貴方の傍にいます。ずっと……例え俺を愛せなくても――」
リリアーナは目を瞑り、自分の中でその言葉を噛み締める。目尻には真珠のような涙が滲み、ゆっくりと流れて零れ落ちた。
「ありがとうカイト――」
カイトは静かに頷いた。
優しくて素直で残酷な俺の姫君、貴方を手に入れられないのなら……
いっそこの腕の中で、滅茶苦茶にしてしまいたい――
「いや、わしもそこは確認をした。頭ははっきりとしているし”元々今日話し合う予定だった”と言っているのじゃが…」
「そういえば……」
アレクセイは”きちんと向き合って、素直な気持ちを話し合うの”と落ち着いた物腰で言っていたリリアーナを思い出した。
「分かった。カイトを探してすぐに連れてこさせよう」
「兄様、話の続きは?」
ソファから立ち上がるアレクセイに”きっと取り止めになるだろう――”と期待に輝くサファイアの瞳。
「別室に移って続行だ」
「う……へぇ……」
げんなりするサファイアを引き連れて、アレクセイはイフリートに命じるために廊下へ出た。イフリートはエドモントにカイトを探すよう命じ、自分も捜索指揮を取る為に屋外へ向かう。ラザファムは警護の為に残り、アレクセイは向かいの空き部屋へサファイアを連れて(引きずって)入った。
暫くしてエドモントがカイトを伴って帰ってきた。ラザファムが驚きの声を上げる。
「どうした、カイト! お前、戻れなかったのがそんなにショックだったのか……!?」
カイトの顔は色を失い、平静ではない様子が窺えた。
「大丈夫です……リリアーナ様は部屋でお待ちですか……?」
「あっ、ああ……ちょっと待て」
ラザファムがノックをすると、フランチェスカが顔を出し、目の前のカイトを確認して一度引っ込む。代わりにクリスティアナが姿を現し、顔を俯けたカイトへ優しい眼差しを向けてからエドモントを従え去っていった。
カイトは顔を上げ深く息を吸ってから部屋に入る。
「カイト、こちらへ……そこのソファに座ってちょうだい」
リリアーナは落ち着いた様子で奥のソファに座っている。
カイトは胸に手を当て礼の形を取り、リリアーナに従って向かいのソファに腰を掛けた。彼の具合の悪さにリリアーナも気付く。
「どうしたの? 酷い顔色――急がせてしまったのね、ごめんなさい。話は後にしましょう。フランチェスカ、空き部屋の寝室を整えて」
「いえ、大丈夫です。日光に長く当たって少し気分が悪くなっただけです」
「でも……」
騎士であるカイトが、長い時間とはいえ日光に当たったくらいで、ここまで気分が悪くなるものだろうか?
「お気になさらずに、話をお願いします――」
切迫感さえ感じるカイトの真剣な様子に、リリアーナはソファに座りなおす。
「分かったわ……話を始めましょう。フランチェスカ」
フランチェスカは膝を折ると、扉を開けて退室した。部屋には二人だけとなった。
***
「サファイア、前にも言ったが…」
「分かっているわ、ルイスにも同じ事を言われたんですもの。次はよく考えてから口にする」
「分かっていても何度でも聞け!」
「………はい」
「よく考えてどころか、次はもう口にするな。この間の会議でも私の離席中、オルブライト公にやらかしたそうだな」
「だって! あいつジャネットの件を根に持って(16話 ジャネットの意見)未だに女性騎士やジャネットに嫌がらせをしてるのよ!? 逆恨みもいいところだわ! 兄様が席を外している隙に女性騎士を揶揄するような話をするから、私が注意したの」
サファイアが ”仕方がなかった” というようにツンと顎を上げる。
「何故、俺が席に戻るまで待たなかった?」
「兄様が戻ったら黙ってしまうんですもの」
「それでも待て! その場でなくても、後で俺に言えばいい」
「何で私が言ってはいけないの!? 私、何か間違っている!?」
「お前の言い方が悪い! カーディス(オルブライト公爵の名前)の息子を散々馬鹿にして、父親とそっくりだと言ったそうだな」
「事実じゃない! 酒と女に溺れて湯水のようにお金を使い、使うお金は領民が納める血税なのよ!」
「ああ、そうだ! それは事実だ! だからと言って人前で相手を貶めたら、お前もカーディスと変わらないじゃないか。言うんだったら女性騎士の話し限定にしろ!」
「でもそれでは言い争いに勝てないわ! あいつ、女性を馬鹿にしているし……ううん、女性は男性より劣っているという考えが、未だに深く根付いているんですもの。カーディスの偏見や、女性騎士の素晴らしさをいくら訴えたところで、皆が信じてくれるとは思えない。勝つにはあいつの弱みを叩かないと!」
「だからこそだ! 男尊女卑の世の中だからこそ、カーディスは皆の前で女に言い負かされ、恥をかかされた、と恨みを抱くんだ。その上あいつはプライドが高く粘着質ときている」
アレクセイが眉間に皺を寄せてサファイアをじっと見る。
「お前に対して良からぬ事を考えるかもしれない。今後は言動を慎め」
「まさか……! これでも私は姫君なのよ? 私に何かしたら首が飛ぶ事ぐらいカーディスも分かっているでしょう?」
「分かってくれている事を祈るばかりだ」
「あいつ、そこまで馬鹿なの?」
「………サファイア」
「次はよく考えてから口にする事を誓います」
右手の平を、顔の高さに掲げて誓いを立てるサファイアに、頭を抱え込むアレクセイ。
「だからもう喋るな……」
***
「カイト、私は貴方に謝らないと」
「……何故ですか?」
哀しみを湛えた瞳で、申し訳無さそうな表情を向けるリリアーナに、カイトが訝しげに聞き返した。
「ホーラ様を前にして話した時の事……12歳の貴方を否定するような態度を取ってごめんなさい」
「えっ……?」
カイトはリリアーナが言った意味を理解した後、溜息を吐いて、一度下に落とした視線をまた彼女へと戻す。
「リリアーナ様、貴方は優しすぎます。寧ろ責められるべきは私だと思いますが……」
「いいえ、私がいけないの……!」
「振られた相手に後から謝られるのは、却って腹立たしいものですよ?」
「そうな……の……?」
「時と場合に寄りますが、俺はそっとしておいてほしいです。悲しい現実を二度突きつけられる訳だし……それに下手すると相手に八つ当たりされます」
「ごめんなさい……考えが足りなかったわ」
しょぼんとするリリアーナにカイトが苦笑する。これではどちらが年上だか分からない。
(世間知らずの深窓の姫君……いや、箱入り娘と言ったほうがしっくりくるか)
カイトは思い直してまた注意をする。
「ほら、”ごめんなさい”などと、また八つ当たりされそうな事を言っている」
”あっ” とばかりに顔を上げるリリアーナに、カイトが続けて呟いた。
「そんな貴方だからこそ愛しいのですが……」
リリアーナが顔色を変えてすぐに顔を俯ける。多分、応えられないカイトの想いに胸を痛めているのだろう。カイトもまた報われない想いに胸を痛めていた。
「今後の……今後の事を話し合いたいの」
「はい――」
リリアーナは顔を上げてカイトを見据える。冷静に話を進めようとしているようだ。
「私は貴方にこのまま傍にいてほしい。婚約者として、私の騎士として――でも……」
そこで少しの躊躇いが入る。
「もしかしたら、そのうち貴方を愛せるようになるかもしれない……でも、それは分からないし、保障はできない。貴方にずっと18歳のカイトを重ねて見てしまうかもしれないし……」
カイトはふっと笑みを零した。優しくて素直で残酷な姫君。例え嘘でも ”愛せそう” と言ってほしかった。
「この話を断ったら……?」
「貴方は自由よ――私から離れて、好きな所に行けばいいわ」
その時にふと、リリアーナの伏せられた瞳を縁取る金の睫毛が、小さく震えていることに気付いた。両手もギュッとスカートを握り締めていて、カイトが自分から離れていってしまうのを恐れているのが見てとれた。
「貴方の傍にいます。ずっと……例え俺を愛せなくても――」
リリアーナは目を瞑り、自分の中でその言葉を噛み締める。目尻には真珠のような涙が滲み、ゆっくりと流れて零れ落ちた。
「ありがとうカイト――」
カイトは静かに頷いた。
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