6 / 79
6 親友の私にも内緒だなんて!
しおりを挟む
「エリカ酷いわ! 親友の私にも内緒だなんて!」
昼下がり、こちらはバートレイ家のティールーム。
エリカは親友のミランダを、午後のお茶の時間に招待していた。
ミランダが駆け込んできた時、エリカは大好きなローズティーを口に含んだところだった。
「あなたとダニエル様。お付き合いしているんでしょう!? 社交界はこの話題で持ちきりよ!」
ぶーーーっ、と噴水のようにローズティーを吹いた。
メイドが慌ててナプキンを取り出す。
「エリカ様大丈夫ですか!? ミランダ様もかかりませんでしたか?」
「かかったって構うものですか!」
静かだったティールームが、一転して大騒ぎになる。
(まだ三日しか経ってないのに、もう噂になってるの?)
「ミランダ違うのよ。ダニエル様に”友達になりたい”と言われたから、それを受け入れただけ」
「何言ってんのよ! 健康ないい歳した男性が”友達になりたい”だなんて。そんな戯言をまさか信じたの? 下心があるに決まってるじゃない!」
(あ、はい。やっぱりそう思いますよね……かと言って、ダニエル様が実は女だってことは言えないし)
「でも、本当なの……」
うなだれるエリカを見て、ミランダは”口止めされているのね”と考えた。
「分かったわ、王室関係の話なんですもの、話せなくて当然よ」
「ごめんなさい……。そうだ! ミランダもダニエル様とお友達になればいいのよ、きっと喜ぶわ!」
「やめてよ、空気の読めないお邪魔虫になんてなりたくないわ」
ミランダは新しくメイドが入れてくれたローズティーのカップを持つ。
一口飲んではぁーーーと息を吐き、気持ちを落ち着けてから、また話し始めた。
「きっとあの時に一目惚れしたのよ。私が理不尽に責められた時に、エリカが猛然と立ち向かってくれたでしょう?」
――今なら分かる。あれはゲームにあったイベントだ。
ダニエルが”エリカとぜひ友達になりたい”と思うきっかけで、エリカはその出来事に思いを馳せた。
昼下がり、こちらはバートレイ家のティールーム。
エリカは親友のミランダを、午後のお茶の時間に招待していた。
ミランダが駆け込んできた時、エリカは大好きなローズティーを口に含んだところだった。
「あなたとダニエル様。お付き合いしているんでしょう!? 社交界はこの話題で持ちきりよ!」
ぶーーーっ、と噴水のようにローズティーを吹いた。
メイドが慌ててナプキンを取り出す。
「エリカ様大丈夫ですか!? ミランダ様もかかりませんでしたか?」
「かかったって構うものですか!」
静かだったティールームが、一転して大騒ぎになる。
(まだ三日しか経ってないのに、もう噂になってるの?)
「ミランダ違うのよ。ダニエル様に”友達になりたい”と言われたから、それを受け入れただけ」
「何言ってんのよ! 健康ないい歳した男性が”友達になりたい”だなんて。そんな戯言をまさか信じたの? 下心があるに決まってるじゃない!」
(あ、はい。やっぱりそう思いますよね……かと言って、ダニエル様が実は女だってことは言えないし)
「でも、本当なの……」
うなだれるエリカを見て、ミランダは”口止めされているのね”と考えた。
「分かったわ、王室関係の話なんですもの、話せなくて当然よ」
「ごめんなさい……。そうだ! ミランダもダニエル様とお友達になればいいのよ、きっと喜ぶわ!」
「やめてよ、空気の読めないお邪魔虫になんてなりたくないわ」
ミランダは新しくメイドが入れてくれたローズティーのカップを持つ。
一口飲んではぁーーーと息を吐き、気持ちを落ち着けてから、また話し始めた。
「きっとあの時に一目惚れしたのよ。私が理不尽に責められた時に、エリカが猛然と立ち向かってくれたでしょう?」
――今なら分かる。あれはゲームにあったイベントだ。
ダニエルが”エリカとぜひ友達になりたい”と思うきっかけで、エリカはその出来事に思いを馳せた。
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
悪役令嬢の残した毒が回る時
水月 潮
恋愛
その日、一人の公爵令嬢が処刑された。
処刑されたのはエレオノール・ブロワ公爵令嬢。
彼女はシモン王太子殿下の婚約者だ。
エレオノールの処刑後、様々なものが動き出す。
※設定は緩いです。物語として見て下さい
※ストーリー上、処刑が出てくるので苦手な方は閲覧注意
(血飛沫や身体切断などの残虐な描写は一切なしです)
※ストーリーの矛盾点が発生するかもしれませんが、多めに見て下さい
*HOTランキング4位(2021.9.13)
読んで下さった方ありがとうございます(*´ ˘ `*)♡
新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜
秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。
宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。
だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!?
※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】
霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。
辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。
王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。
8月4日
完結しました。
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる