上 下
65 / 94
第二章

40 無機質なグリフィス

しおりを挟む
「グリフィス様。ご説明いただきたいのですが」
「執務室で話そう」

アーネストの求めに応じ、身を翻して先頭に立つ。
背後からグリフィスを観察しながら、デイヴィッドは考えた。
上背があり、白いシャツと黒の細身のズボンが、肩幅の広い引き締まった身体を際立たせている。

男でさえ惚れ々れするよなぁ――

頭脳明晰で精悍で整った顔立ち、女性の誘いも引く手あまただった親友が、何故ここまでクリスに固執するかと考える。クリスは確かに美しいが、それ以上の美姫とのお見合いも全て断っていたのを知っている。
クリスは男女の駆け引きにも疎いし、恋愛年齢も低いと思うのだがあのアレクサンダーさえも陥落させた。
俺には分からない女の魅力を持っているのだろうか? 執務室の話し合いでそこらへんの事も分かるかもしれない。

その執務室では革張りの二人掛けのソファに、グリフィスが一人、向い側にアーネストとデイヴィッドが二人で腰を下ろした。
アーネストが口火を切る。

「グリフィス様。早速ですが、クリス様を部屋に閉じ込めているのではありませんか?」
「それの何が悪い? 新婚だ。許されるだろう?」
「……一週間だけですよね? その後は今まで通りの暮らしに戻りますね?」

念を押すアーネストに対して答えないグリフィスに業を煮やし、デイヴィッドが口を挟む。

「何で答えないんだ? 外に出さないわけにはいかないぞ! 二週間後に二人揃って参加する式典があるし、その後にはクリス一人での公務もある」
「二人のほうは参加する。一人のほうはキャンセルだ」

事も無げに即答をするグリフィスに、デイヴィッドが苦々しい表情になった。
アーネストも眉間に皺を寄せながらも、礼儀正しい態度は崩さずに問いかける。

「理由をお聞かせ願えますか? 何故クリス様一人だといけないのですか?」
「説明をする義務などない。それに夫である俺は、クリスに対する全ての権利を有しているのだから、例え部屋に閉じ込めたとしても非難を受けるいわれはない」
「グリフィス……まさか本気で言っているのか?」

デイヴィッドが顔色を変えて立ち上がっても、グリフィスは動じない。

「自分の妻を部屋から出さないで何が悪い? 実際に外出を許可しない夫も世間にはいるし、それは権利として認められている。公務も二人一緒の時は参加するし、完全に幽閉するわけではない。そうだ……! 城の敷地内に離宮を造ろう。庭園も、川も池も造るし、普段はそこにいれば問題はない」

「いや、問題大有りだって! 大体そんな事をしたらクリスに嫌われるぞ!!」

一瞬の沈黙の後に、彼はすぐ答えた。

「殆ど俺としか接しないのだから、嫌われるなんて事はあり得ない」
「グリフィス……!」
「デイヴィッド様、お座りください」

アーネストに言われ、渋々腰を下ろすデイヴィッド。

「どうしたのですか? グリフィス様。これではアレクサンダーとやっている事が同じですぞ?」
「俺とクリスは夫婦であり、愛し合っている上での行為だ。アレクサンダーのような奴に目をつけられないよう、人前に出さないほうが彼女の為になる」
「先ほどのクリス様のあの格好は、もしや……」
「俺のシャツ一枚だけなら外に出るような真似はしないだろうと考えたのだが甘く見ていた。次の手をまた考えなくては」
「グリフィス様。クリス様の何が貴方をこのような行動に駆り立てるのですか? ご自分で今の状況を異常だとは思わないのですか?」
「彼女は……この世に二人といない清らかな精神の持ち主で、美しく、人を魅了してしまう。彼女に心酔する奴がこれ以上増えないように、人前に出してはいけないんだ」
「いくらなんでもクリスを美化しすぎじゃないか? 俺がプリシラのほうがいいと思うように、人それぞれ好みがあるんだ」
「お前は本物が何であるかが分かっていない」
「何だと……! プリシラはお前の妹でもあるんだぞ!」
「デイヴィッド様、話しが逸れております。グリフィス様、解放する気がないのなら、私をクリス様に会わせて下さい」
「駄目だ――」

 グリフィスはにべもなく却下する。
「何故ですか? クリス様は私に助けを求めておりました。ヘルマプロディトスの宰相として、会わない訳には参りません。あの部屋から連れ出さないと約束も致します」
「夫の権限を行使する。アーネスト、お前に会わす訳にはいかない」
アーネストはグリフィスの少し殺気立った様子を見て、ふと腑に落ちる顔をした。

「グリフィス様……ひょっとして私めに……」
「クリスが心配だから部屋に帰る」
返答を避けるようにグリフィスは立ち上がり、ドアへと向かう。

「えっ、おい、待てよ! グリフィス!」

慌てて引き止めようとするデイヴィッドを相手にもせず、するりとかわして部屋の外に出てしまった。足音が部屋から遠ざかっていく。

「おい、アーネスト。止めなくていいのか!?」
「今止めても無駄です。頭に血がのぼっておいでですから」
「そうだったか? 言っている事はまともじゃないけど、終始冷静だったぞ」
「あれは見かけだけです。現に私に嫉妬しておいででした」
「へ……? 俺の聞き間違いか。今、何て言った?」
「嫉妬です。クリス様が私に助けを求めたのが気に食わなかったのでしょう」
「だって、アーネストはクリスの……」
「はい、親も同様の存在です。精神的にも年齢的にも」
「これって凄く、まずい状態じゃないか」
「いや、大丈夫だとは思います。グリフィス様は賢い方です。いずれは頭に上った血も下がり、落ち着きを取り戻して間違っている事に気付くでしょう。先程も、デイヴィッド様に`そんな事をしたらクリスに嫌われるぞ ‘ と言われて、一瞬ではありますが躊躇しておいででした。いけない事をしている自覚はあるのです。しかしクリス様の為にも時間が掛かるのはまずいですな」
「その考え楽天的すぎないか? 異常だぞあいつ」

「そうね。我が愚息は確かに異常ね」
「コーネリア王妃……!」
「二人共そんなに改まらないで。ちょっとした騒ぎがあったと耳に入ったので、急いで出向いたのだけど……グリフィスはもう部屋に引き上げたのね」

コーネリアは執務室を見渡すと、付き従っていた侍女に声を掛けた。

「お茶の用意をこちらに」
「かしこまりました」

侍女が扉の向こうに姿を消し、アーネストは慌ててコーネリアにソファを勧めた。

「ありがとう」

上品にグリフィスが座っていたソファに腰を下ろす。

「どこの執務室も、飾りがなくてつまらないものね」
「次にいらっしゃる時は花でも飾っておきましょう」

コーネリアが面白そうに微笑みを浮かべた。

「そうね……もうくることはないかもしれないけど……二人共座ってちょうだい」
「はい、失礼いたします」 
「あの子は初めて心の底から欲しいと思ったものが手に入って、それが期待通り、いえ、それ以上のものだったから傍に置いておきたいの。失うのも怖いのではないかしら……?」
「……しかし、心の底からと欲しいものといえども、初めてなのですか?」
「王子という立場上、大抵の物は望まずとも手に入ったし、元々物欲がない子だったから」

コーネリアがデイヴィッドに話を振った。

「学生時代のあの子はどうだったかしら?」
「心ここにあらずというか、本気じゃないというか……勉強も適当なのにいつも首席でした。根本的に頭がいいので、授業を受ければ事足りたのだと思います。そういえば彼が何かを欲しがっている印象なんてな…い……そうだ、クリスだ……! それで俺とも親しくなったんだ。クリスの話をやたら聞かれて珍しいな、と――」

興奮するデイヴィッドにコーネリアが頷く。

「グリフィスは幼い頃から妙に大人びた子供でした。」
「大体想像がつきますな」
「1教えたら10理解してしまう程に賢く、王子としての自分に媚びへつらう人間もすぐに見抜きました。私もそうなのですが、グリフィスは人の本質を見抜く才能があるのです」

アーネストはグリフィスと同じ銀髪とアイスブルーの瞳を持ち、かつては社交界で`銀の薔薇 ‘ として呼び名を馳せたコーネリアを見つめた。

「第二王子という立場が却って良くなかったのでしょう。優秀なグリフィスを利用して、第一王子のオズワルドを追い落とそうと考えている者達も多くいたのです」
「跡目争いですか」
「ええ。しかし、グリフィスは優しくて国や民を想うオズワルドを尊敬し、慕っていました。なので話しに乗った振りをして、そういった者達を排除していったのです」
「まさか子供の頃から?」

「もちろん、最初のうちは国王や私に相談をしていましたが、すぐに自分がどう立ち回ればよいか、相手を思うように動かすにはどうすればいいかを学び、コツを掴んでいったのです。頭が良く、秀麗な容姿も持ち合わせていたので、それらを活用して人心掌握術に磨きを掛けていったのでしょう。そして磨きが掛かる程に、人に幻滅をしていったのです。大学に入った頃にはもう人生を達観してしまい、感情も滅多に表さなくなり、自分の存在意義をも見出せなくなっていました。`賢すぎるのも考え物だ ‘ と国王と二人で頭を抱え込んだものです」

ノックの音がして、侍女がお茶の用意を持って入ってきた。薔薇の香りがする紅茶を各々の前に静かに置いていき、配り終わると静かに退室をする。
コーネリアが続きを話し始めた。

「それがあの日、パーティーでクリス王女に出会った時から、人形のように無機質だったグリフィスが、まるで命を吹き込まれたかのように生き生きとし始めて……」

「何故クリス様なんですか?」

「グリフィスが表彰されると聞いて、私もあのパーティーに出席をしていていました。クリス王女は大国の姫君として招かれていたにも拘らず、それを鼻にもかけずに控えめで自然体でいましたよね?」
「はい。それがクリス様のいいところです」
「ええ。奢らない姫君というのは、なかなかいないものです。それに彼女は建前を持っていないし、誰であろうと思った事を口にし、分け隔てがありません。心根が清らかであるために、その言葉は人の心に響くことも多々あり、話す内容からも人柄が窺われます」

「高評価ですね」
デイヴィッドが、従弟を褒められて少し嬉しそうに表情を緩めた。

「`地動説 ‘ でしたかしら? 難しい話も理解できて話も合うし、容姿などもきっと好みなのでしょう。それにグリフィスはお分かりでしょうが性格に黒い部分があります」
「上に立つ者はそうでなくては……」
「ええ、そうね。でも私が言いたいのはそういう事ではなくて、それに対して、クリス王女は……」
「白いですね。真っ白な位だ」
「そう、だから益々惹かれるかと、散々人の嫌な部分を見てきたグリフィスにとってクリス王女はきっと奇跡の女性なのでしょう。三年間も辛抱強く努力をして待ち、やっと手に入れた大切な宝物を、傍に置いて誰にも見せたくないのではないかしら? 貴方の言う通り、暫くしたら熱も冷めてもう少し落ち着くとは思うのだけど」
「グリフィス様のお気持ちがよくお分かりですね」
「私も国王陛下に恋をした時に同じように感じたから」

にっこりと微笑むコーネリアに対して、アーネストは一瞬不思議そうな表情を浮かべた。

「貴方の言いたいことはよく分かるわ。優しくて国も民も愛してはいるが、上に立つ者としては少し頼りないセオドアを何故? と考えたのでしょう?」
「いいえ、そのようなことは……」
「いいのよ、本当のことですもの。私とグリフィスは似ているの。あの純真で真っ直ぐなところに参ってしまったのよ」

「でも、閉じ込められたりしたら、百年の恋も一気に冷めないでしょうか? 早くまた説得に行ったほうが……」
デイヴィッドはクリスの身も心配ではあるが、グリフィスが三年掛けて実らせた恋も壊れてほしくない。

「グリフィスは私達の話しを聞かないと思うわ。きっとクリス王女を取り上げる人間にしか思えないでしょう」
「何かお考えがありますか?」
「4日後に、ヘルマプロディトスから援軍が着きます」
「援軍?」
「ええ、こうなりそうな予感はしていたので、先に書簡を送り呼び寄せていたの。今はこちらに向かう船の中だわ」

果たして4日後の港では、グリフィスの従姉でもありクリスの侍女をしていたトリシアが下り立っていた。


お読み頂きありがとうございます。今回はムーンとお話が一緒です。
しおりを挟む
感想 89

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる

佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます 「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」 なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。 彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。 私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。 それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。 そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。 ただ。 婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。 切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。 彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。 「どうか、私と結婚してください」 「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」 私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。 彼のことはよく知っている。 彼もまた、私のことをよく知っている。 でも彼は『それ』が私だとは知らない。 まったくの別人に見えているはずなのだから。 なのに、何故私にプロポーズを? しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。 どういうこと? ============ 番外編は思いついたら追加していく予定です。 <レジーナ公式サイト番外編> 「番外編 相変わらずな日常」 レジーナ公式サイトにてアンケートに答えていただくと、書き下ろしweb番外編をお読みいただけます。 いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。   ※転載・複写はお断りいたします。

人質姫と忘れんぼ王子

雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。 やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。 お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。 初めて投稿します。 書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。 初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。 小説家になろう様にも掲載しております。 読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。 新○文庫風に作ったそうです。 気に入っています(╹◡╹)

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

処理中です...