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後日談
21 涙目の君も……いい ☆
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みっちりと奥まで埋め尽くされたその感触に、クリスの腰がぶるぶると震える。
「なんでっ、…ぁっ……いまグリフィスも……んんっ…!」
「吐精したばかりだから、まだ萎えていない」
「寧ろ大きくなっているのは何故!?」
「気のせいだ」
「!!」
グリフィスはその後も衰えることを知らず、クリスは哭かされ続けた。
「いやぁっ、もう、ゆるしてぇ………!」
「違うだろう? 達するときは何て言うんだ?」
グラマラスなクリスの身体に背後から伸し掛かり、太い楔の先端でぐりぐりと奥を刺激しながら、耳元で呟く。
クリスの腰は甘く痺れ、濡れそぼった膣肉がグリフィスの雄に絡みつき、痙攣し始めた。
「イくぅっ、イっちゃうのっ! んーーー!」
教えたとおりの言葉を叫んで達したクリスに、グリフィスは満足気に微笑んだ。
「いい子だ」
圧し掛かったまま、頬にチュッとキスをする。
「グリフィス」
「ん……?」
「休ませて」
「ん……」
恐る恐る身体を離そうとするクリスを、グリフィスが繋がったまま、コロンと仰向けにひっくり返した。
「え、……」
「あと一回だけ」
「うそ、い、いやぁあああああ……!」
***
「それで……『やめて』と言うのも聞かずに、猿のように盛ったと……」
「その表現は女子としてどうかと……」
「間違ってると……?」
トリシアがグリフィスを、ギロリと睨みつける。
「合ってます……」
***
グリフィスが記憶を取り戻した翌朝……彼は愛しいクリスを腕の中にして、幸せな目覚めを迎えていた。
「クリス……」
「う……ん……」
(なんて愛らしいのだろう。夜鳴鶯のように澄んだ声に、姿かたちは美しく、中身は愛らし【以下略】)
グリフィスはクリスの頬にくちづける。
瞼を開けたクリスは初め寝ぼけ眼でいたが、グリフィスを認めると同時に蒼ざめた。
「どうした、クリス…」
「ばなじで、ずごじばなれで………わだじのごえ!」(放して、少し離れて………私の声!)
明け方近くまで、ヒィヒィ嬌声を上げさせられ続けていたので、声が(体力も)枯れ果ててしまったのだ。
力が入らない身体で、グリフィスの腕の中から抜け出そうとするクリスを、やすやすと彼が引き戻す。
「ぃゃ~」(小さな声しか出ない)
「大丈夫だ。何もしないから」
「ぼんどに……?」
涙目で見上げるクリスを見て、グリフィスが黙り込む。嫌な予感しかしないクリス。
グリフィスがクリスの顎を摘んで、顔を近づけてきた。
「涙目の君も……いい」
「だずげで~ドリジア~~~!」
ドカンッ!! と大きな音と共に扉が開き、居間から入る光をバックに、トリシアが仁王立ちしていた。
「チッ、もう来たか」
「ドリジア~~~」
「クリス様!」
すぐに駆け寄ってきてグリフィスからクリスを奪い取り、キッとグリフィスを睨みつける。
寝室突入時に尽力した騎士達は、扉が開くなり顔を背けて後ろに退いた。
万が一、クリスの(あられのない)姿でも目にしようものなら、(グリフィスとトリシアに)息の根を止められてしまうからだ。
「クリス様。遅くなり申し訳ございませんでした。鍵を壊すのに手間取ってしまい……」
「いいの。ぎでくれでありがどう」(いいの。来てくれてありがとう)
「そ、そのお声は……!」
ギッとまたグリフィスを睨みつけながら、親指と人差し指を口に咥え、ピーッと指笛を鳴らす。
途端にわらわらと、トリシア傘下の侍女達が寝室になだれ込んできた。
「何だこれは?」
クリスを連れて行こうとする侍女達を、グリフィスが睨んで声を荒げる。
「誰が連れて行くのを許可し――っ、」
バシッとトリシアに頭を叩かれ、言葉が途切れた。
「グリフィス! あんたはこっち!」
「呼び捨てか!」
「なんか文句でも……?」
「………」
首根っこを掴まれて、ずるずると引きずられていく。
「あの娘達がきちんと介抱するから、クリス様のことは諦めなさい」
本気で抗えば勝てる相手ではあるが、今回は反省するところもあり、グリフィスは大人しく引きずられていった。
結果、正座で延々と説教されることになる。
おまけにその後は二週間、クリスと共に寝るのを禁止された。
何の騒ぎだと駆けつけたアーネストとデイヴィッドに、一部始終を目撃される羽目にもなった。
***
「過ぎた事をいつまで笑っているんだ。仕事をしろ、デイヴィッド」
「あ、悪い。お前のあんな姿を見るの初めてだったろう? ついつい思い出しちゃうんだよなぁ」
ぷっ、とアーネストも吹き出したが、グリフィスが睨みつけた時には、何事もなかったように仕事に向かっていた。
レオナルドは現場を見ていないので興味津々だが、グリフィスが怖くて黙っている。
アーネストが席を立ち、笑顔でグリフィスに書類を渡した。
「良かったですな。今日でその二週間目ですぞ」
「ああ、だから早めに上がる。明日の朝は遅く……いや、午後になるだろう」
「前も言ったけど、独り身の前でそういう発言はやめてほしいんだよね」
デイヴィッドが顔を顰めたところでノックの音が響き、息せき切った定期船の使者が紙筒を手に入室してきた。
アクエリオスの袂を流れるアーデル川。そこを行き来する定期船は、アクエリオスが独占運航している。
彼はその定期船専用の使者――、まあ、連絡係である。
「早かったな。もう、入港したのか?」
「船長から至急の用件です。こちらの文書をグリフィス様にと、預かって参りました」
「そんなに急がずとも、船長とは昼に会う予定だが……」
「ご覧になったら、お考えが変わると思われます。あと道理に外れていますが、配達される前に抜き取った手紙もこちらに……」
「ん?」
使者は紙筒から文書と手紙を取り出して、グリフィスに手渡した。
読み始めたグリフィスの顔が、みるみる不機嫌になっていき、最後には鬼の形相に成り代わる。
「あの野郎……」
今回のムーンの題名は”満月の夜に高く、やがては細く……”になります
次話で終わりです!
「なんでっ、…ぁっ……いまグリフィスも……んんっ…!」
「吐精したばかりだから、まだ萎えていない」
「寧ろ大きくなっているのは何故!?」
「気のせいだ」
「!!」
グリフィスはその後も衰えることを知らず、クリスは哭かされ続けた。
「いやぁっ、もう、ゆるしてぇ………!」
「違うだろう? 達するときは何て言うんだ?」
グラマラスなクリスの身体に背後から伸し掛かり、太い楔の先端でぐりぐりと奥を刺激しながら、耳元で呟く。
クリスの腰は甘く痺れ、濡れそぼった膣肉がグリフィスの雄に絡みつき、痙攣し始めた。
「イくぅっ、イっちゃうのっ! んーーー!」
教えたとおりの言葉を叫んで達したクリスに、グリフィスは満足気に微笑んだ。
「いい子だ」
圧し掛かったまま、頬にチュッとキスをする。
「グリフィス」
「ん……?」
「休ませて」
「ん……」
恐る恐る身体を離そうとするクリスを、グリフィスが繋がったまま、コロンと仰向けにひっくり返した。
「え、……」
「あと一回だけ」
「うそ、い、いやぁあああああ……!」
***
「それで……『やめて』と言うのも聞かずに、猿のように盛ったと……」
「その表現は女子としてどうかと……」
「間違ってると……?」
トリシアがグリフィスを、ギロリと睨みつける。
「合ってます……」
***
グリフィスが記憶を取り戻した翌朝……彼は愛しいクリスを腕の中にして、幸せな目覚めを迎えていた。
「クリス……」
「う……ん……」
(なんて愛らしいのだろう。夜鳴鶯のように澄んだ声に、姿かたちは美しく、中身は愛らし【以下略】)
グリフィスはクリスの頬にくちづける。
瞼を開けたクリスは初め寝ぼけ眼でいたが、グリフィスを認めると同時に蒼ざめた。
「どうした、クリス…」
「ばなじで、ずごじばなれで………わだじのごえ!」(放して、少し離れて………私の声!)
明け方近くまで、ヒィヒィ嬌声を上げさせられ続けていたので、声が(体力も)枯れ果ててしまったのだ。
力が入らない身体で、グリフィスの腕の中から抜け出そうとするクリスを、やすやすと彼が引き戻す。
「ぃゃ~」(小さな声しか出ない)
「大丈夫だ。何もしないから」
「ぼんどに……?」
涙目で見上げるクリスを見て、グリフィスが黙り込む。嫌な予感しかしないクリス。
グリフィスがクリスの顎を摘んで、顔を近づけてきた。
「涙目の君も……いい」
「だずげで~ドリジア~~~!」
ドカンッ!! と大きな音と共に扉が開き、居間から入る光をバックに、トリシアが仁王立ちしていた。
「チッ、もう来たか」
「ドリジア~~~」
「クリス様!」
すぐに駆け寄ってきてグリフィスからクリスを奪い取り、キッとグリフィスを睨みつける。
寝室突入時に尽力した騎士達は、扉が開くなり顔を背けて後ろに退いた。
万が一、クリスの(あられのない)姿でも目にしようものなら、(グリフィスとトリシアに)息の根を止められてしまうからだ。
「クリス様。遅くなり申し訳ございませんでした。鍵を壊すのに手間取ってしまい……」
「いいの。ぎでくれでありがどう」(いいの。来てくれてありがとう)
「そ、そのお声は……!」
ギッとまたグリフィスを睨みつけながら、親指と人差し指を口に咥え、ピーッと指笛を鳴らす。
途端にわらわらと、トリシア傘下の侍女達が寝室になだれ込んできた。
「何だこれは?」
クリスを連れて行こうとする侍女達を、グリフィスが睨んで声を荒げる。
「誰が連れて行くのを許可し――っ、」
バシッとトリシアに頭を叩かれ、言葉が途切れた。
「グリフィス! あんたはこっち!」
「呼び捨てか!」
「なんか文句でも……?」
「………」
首根っこを掴まれて、ずるずると引きずられていく。
「あの娘達がきちんと介抱するから、クリス様のことは諦めなさい」
本気で抗えば勝てる相手ではあるが、今回は反省するところもあり、グリフィスは大人しく引きずられていった。
結果、正座で延々と説教されることになる。
おまけにその後は二週間、クリスと共に寝るのを禁止された。
何の騒ぎだと駆けつけたアーネストとデイヴィッドに、一部始終を目撃される羽目にもなった。
***
「過ぎた事をいつまで笑っているんだ。仕事をしろ、デイヴィッド」
「あ、悪い。お前のあんな姿を見るの初めてだったろう? ついつい思い出しちゃうんだよなぁ」
ぷっ、とアーネストも吹き出したが、グリフィスが睨みつけた時には、何事もなかったように仕事に向かっていた。
レオナルドは現場を見ていないので興味津々だが、グリフィスが怖くて黙っている。
アーネストが席を立ち、笑顔でグリフィスに書類を渡した。
「良かったですな。今日でその二週間目ですぞ」
「ああ、だから早めに上がる。明日の朝は遅く……いや、午後になるだろう」
「前も言ったけど、独り身の前でそういう発言はやめてほしいんだよね」
デイヴィッドが顔を顰めたところでノックの音が響き、息せき切った定期船の使者が紙筒を手に入室してきた。
アクエリオスの袂を流れるアーデル川。そこを行き来する定期船は、アクエリオスが独占運航している。
彼はその定期船専用の使者――、まあ、連絡係である。
「早かったな。もう、入港したのか?」
「船長から至急の用件です。こちらの文書をグリフィス様にと、預かって参りました」
「そんなに急がずとも、船長とは昼に会う予定だが……」
「ご覧になったら、お考えが変わると思われます。あと道理に外れていますが、配達される前に抜き取った手紙もこちらに……」
「ん?」
使者は紙筒から文書と手紙を取り出して、グリフィスに手渡した。
読み始めたグリフィスの顔が、みるみる不機嫌になっていき、最後には鬼の形相に成り代わる。
「あの野郎……」
今回のムーンの題名は”満月の夜に高く、やがては細く……”になります
次話で終わりです!
応援ありがとうございます!
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