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翌朝、目を覚ますと隣に男が寝ていた。しかも裸で。
「……?!」
驚いた薫が思わず飛び起きると、傍らの男は、まだ眠い、と一つ寝返りを打った。
そこでようやく薫は、隣で寝ている男が蝉だと気がついた。派手な衣装を脱ぎ去った彼は、大きな目ばかり目立っていっそ幼気で、昨日の晩見たド派手な男とは、到底印象が重ならなかったのである。
「うわぁ!」
今更すぎる薫の悲鳴に、蝉は目をこすりながら半身を起こした。
「なんなのよ、朝からおっきい声出して。」
「え!? いや、そっちこそなんでここで裸で寝てるんですか!?」
「言ったじゃない。あんた結構俺の好みなんだよねって。」
なんだそれ理由になってない。
うめいた薫は、まだ布団から起き上がろうともしない蝉の肩を揺すって問うた。
「なんもなかったですよね、昨日。」
「なんもって?」
「俺、よっぽど疲れてたみたいで、後半記憶が曖昧なんですけど、なにかありました?」
焦って問う薫に、蝉はにやにや笑いだけを返した。
そしてそのままなにも言わずに立ち上がり、枕元に投げ出してあったシャツを頭からかぶる。
立ち上がってみると、蝉が全裸ではなく派手なトランクス一枚を身に着けていたことが判明したが、それは薫にとってなんの救いにもなりはしなかった。
「朝は誰も風呂に入らないから、今のうち洗浄の仕方を教えるよ。」
蝉がけろりと言って、さっさと立ちな、と薫の腕を引っ張った。薫は引っ張られるままに身を起こしながら、まだ昨日の晩のことを訊こうと口を開きかけたが、なんだかバカバカしくなって途中でやめた。
どうせ一月後には金で見ず知らずの男に抱かれる身体だ。それが少し早まったからと言ってなにになる。
黙り込んだまま腕を引かれて立ち上がる薫を見て、蝉はさも嬉しそうに相好を崩した。
「いいなぁ。ますます好みだなぁ。」
立ち上がった薫は、黙ったまま手付きだけで蝉に廊下を示した。
蝉はひょいと笑って薫の手付きに従い、廊下へ出た。
「女の子たちは夕方の出勤前に湯を使うから、その前か後俺たちは湯を使うことになってる。慣れたら女の子たちの出勤後にちょちょっと洗浄すればいいけど、慣れないうちはなるべく早い時間に湯に行って焦らず洗浄したほうがいいぞ。」
まだ幾分眠たげに蝉が助言をする。薫は、はい、と素直に頷きながら、蝉の背について風呂場へ向かった。
湯で体内を洗う方法を蝉から習い、風呂場のタイルに蹲って呻きに呻き、俺の見込み違いだったかな、と蝉に笑われるまでが薫の今日の仕事だった。
「……?!」
驚いた薫が思わず飛び起きると、傍らの男は、まだ眠い、と一つ寝返りを打った。
そこでようやく薫は、隣で寝ている男が蝉だと気がついた。派手な衣装を脱ぎ去った彼は、大きな目ばかり目立っていっそ幼気で、昨日の晩見たド派手な男とは、到底印象が重ならなかったのである。
「うわぁ!」
今更すぎる薫の悲鳴に、蝉は目をこすりながら半身を起こした。
「なんなのよ、朝からおっきい声出して。」
「え!? いや、そっちこそなんでここで裸で寝てるんですか!?」
「言ったじゃない。あんた結構俺の好みなんだよねって。」
なんだそれ理由になってない。
うめいた薫は、まだ布団から起き上がろうともしない蝉の肩を揺すって問うた。
「なんもなかったですよね、昨日。」
「なんもって?」
「俺、よっぽど疲れてたみたいで、後半記憶が曖昧なんですけど、なにかありました?」
焦って問う薫に、蝉はにやにや笑いだけを返した。
そしてそのままなにも言わずに立ち上がり、枕元に投げ出してあったシャツを頭からかぶる。
立ち上がってみると、蝉が全裸ではなく派手なトランクス一枚を身に着けていたことが判明したが、それは薫にとってなんの救いにもなりはしなかった。
「朝は誰も風呂に入らないから、今のうち洗浄の仕方を教えるよ。」
蝉がけろりと言って、さっさと立ちな、と薫の腕を引っ張った。薫は引っ張られるままに身を起こしながら、まだ昨日の晩のことを訊こうと口を開きかけたが、なんだかバカバカしくなって途中でやめた。
どうせ一月後には金で見ず知らずの男に抱かれる身体だ。それが少し早まったからと言ってなにになる。
黙り込んだまま腕を引かれて立ち上がる薫を見て、蝉はさも嬉しそうに相好を崩した。
「いいなぁ。ますます好みだなぁ。」
立ち上がった薫は、黙ったまま手付きだけで蝉に廊下を示した。
蝉はひょいと笑って薫の手付きに従い、廊下へ出た。
「女の子たちは夕方の出勤前に湯を使うから、その前か後俺たちは湯を使うことになってる。慣れたら女の子たちの出勤後にちょちょっと洗浄すればいいけど、慣れないうちはなるべく早い時間に湯に行って焦らず洗浄したほうがいいぞ。」
まだ幾分眠たげに蝉が助言をする。薫は、はい、と素直に頷きながら、蝉の背について風呂場へ向かった。
湯で体内を洗う方法を蝉から習い、風呂場のタイルに蹲って呻きに呻き、俺の見込み違いだったかな、と蝉に笑われるまでが薫の今日の仕事だった。
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