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南部都市リンダール(12)
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「はぁ? 昨日バララムートが出た、って。何でそれを今言ったんですか」
相手の言葉を遮る様にして、一條の素っ頓狂な声が応接の間に響いた。
「ほんの僅か、目撃されただけだ」
遮られた当人である、ラースリフ・リギャルドは、いかにも気怠げな態度で応える。
「それに、言った所で仕方無い。街を日が照らし始めるかどうか、と言う頃合いでは、お前達の誰もが居なかったのだからな」
――じゃそれを最初に言え。
心中で突っ込みを入れた。
ともあれ、確かにリギャルドの言う通りだ。
一條達がリンダールへ到着したのは、既に日は傾き始めていた頃。
それから暫くして、鉱山組である紀宝らが帰ってきている。
明確な被害が出ていない以上、多少の目撃情報を伝えた所でそこまで劇的な変化は無いとの判断であろう。
それ以上に、
――昨日此処に来た時はただの一言で終わった。けど、それはこっちに気を使った、のかな。
思案。
付け加えるならば、
――今朝の話はしてない。って事は、今朝も警戒してたが現れなかった。だから、昼時に呼んだ上で報告だけ、って訳か。
冷静に考えるならそういう事である。
南部地域の統括者は、それ程鬼ではないらしい。
「いえ。出過ぎた事を言いました。……肝心のバララムートですが。姿は判明したのですか?」
「私が聞いた限りでは、これと言っては無い」
「……無い、とは?」
スフィの疑問は尤もだが、玉座にて悠々と構える男は、足を組み直しただけ。
「こればかりは、な。私が見た訳ではなし。目撃した、と言う者も、ヘッズロー大河近くを歩いていた所、遠くの水面に大きな水飛沫を見ただけ。……ただ、その際の音も大きく、他にも数人聞いてはいるが」
「直接見た者は居ない、か。ふぅむ。って事は、やっぱ巨大生物なのは間違い無し、だな」
「水中型ルマオーク?」
先日の夕飯時でお互いに出会った敵の姿形から軽い生態までは交換している。
今後役に立つかは置いておいて、全くの無駄知識と言う事はない筈だ。
「そんな人魚は勘弁願いたいね……」
しかし、紀宝の台詞に対し、一條はため息混じりに答えた。
全長五メートルを超す人型水中生物であれば、船の一隻や二隻は捻るのも訳無い。
が、そこまでいくと異形人種と言うより、竜の様な幻獣種、或いはもっと神話的な生物である。
可能性としては微妙な所であり、それならばもう少し襲撃等も効率良く行われて良いだろう。
それはそれで、手の打ちようがないのだが。
「所で人魚って肺呼吸? エラ?」
唐突な質問に、親友二人は揃って肩を竦めるだけである。
「あー、人の上半身と魚の下半身を持った生物の事です。空想の類いですね」
首を傾げていたアランに対しての説明だが、果たして彼の想像に応える事が出来たかどうか。
「……しかし、相手が水の中であれば、私達ではどうしようもないのでは?」
横目で此方を見たスフィには、曖昧な応えを返しておく。
三人共に泳ぎは可もなく不可もない。
とはいえ、水中で戦闘となると話は別だ。
「……相手が水の中、って言うなら、いっそ何か餌で釣るか?」
高井坂の台詞に、紀宝が眉根を詰める。
スフィやアラン、ウッドストックと言った面々も、似た表情をしていた。
「釣る……? 船を沈める様な生物をか? ……本気か?」
リギャルドのみが、心底呆れた表情で告げる。
その周囲からの反応に、高井坂は無言で此方を見た。
一條はそれを見て二度頷き、
「アタシも釣る、ってのはどうかと思う」
結果として彼の言に賛同した形になったが、高井坂は何やら信じられない物を見た様な顔。
ふと、玉座の方へ視線を飛ばせば、親友以上に驚いた様な顔をした領主が居た。
「えぇ……?」
面白い案だとは思うが、現実味がなさ過ぎる為に否定したのだが、何故だか不評を買ったらしい。
「ジャンヌ姉様なら、すぐにでも向かう所では……」
「ちょいちょい待て待て。そこまでアタシも考え無しで動かないんですけど? ……アランさん?」
小さく笑っていたアランが、咳払いして向き直った。
「いえ、すいません。私もてっきりシャラの考えに乗るものと」
「お? 何だ? 喧嘩か? うちのパーティでの脳筋担当はミラだぞ?」
「お? 何だ? ついでの様にディスったか今? また勝負すっか?」
「「……」」
「どーどー。美人二人がこんな所でメンチ切り合うな」
言葉と共に間に割って入られたので、矛を収める事となる。
「お前達を見ていると退屈しないな」
「それよりも、リギャルド殿の反応も何か納得いかないんですけど」
「私も、私と同じ意見とは思わなかったのでな。前の事もある」
「……」
図星である為、他に何か言おうかと口を開けたが、結局はそのまま閉ざす。
それを見て、リギャルドは話し出した。
「しかし、釣る、と来たか。相手故、難しいのではないか、ディノワ殿」
「まぁ……いや、そうなんですけどね。ただ、バララムートもリンダールの近くにまで来ている事を考えると、いつ街自体が襲われるとも限りませんし。案を出すだけでも、と」
「一理あるけど……釣りか」
「大きさも考えると、それこそ船やら何やらが要るわねぇ」
相手の大きさが分からない以上、今までの物と同じ規模で良いのかすら不明である。
「船の上でバララムートと、と言うのも難しいですね。船自体が壊されては同じ事です」
「数隻で挟む様にすれば? 釣りって言うか漁になるけど。今までやんなかったの? そういう事?」
紀宝の台詞に、リギャルドが渋い顔を見せた。
「検討の一つではある。言ったろう。此方も人手不足だ。ファートアラームからのラーライも途切れて久しい。鉱山が優先されるべきだからな」
――ラーライ?
聞き慣れない単語に、一條は首を捻ったが、隣の高井坂は眉間に皺が寄っている。
――何か知ってるなこいつ……。
思うものの、後回し。
「ミラの言う、数隻で囲むのは有りだね。んで、昔の鯨漁みたいに銛投げーみたいなのが一番現実味あるけど……」
代わりに考えを披露。
「船、二つ位どうにか?」
「少し前に壊されたのがそれだ。今はそこにあるのが最後のでな。出来る事なら、バララムートを退治した後でファートアラームへ向かう為に残しておきたい」
――ですよねー。
リギャルドの言う事も、当然である。
「となると、最悪小舟になるけどそれは流石にどうかと思うので……」
言葉を選びつつ高井坂へ目を向けた。
視線が合い、親指を上げたので無視しようかとも思ったが、ため息一つ。
「はいはい。釣りね、釣り。まぁ、時間帯としては、朝方に出現する様ならそこに合わせれば良いけど。後は餌、なんだけど。そもそもどんなのか分からんのに何用意すんだこれ。船そのもの、じゃないよな。乗ってる物?」
「人。若しくは交易品の中にバララムートの食料となるものが? 確かに可能性はありますが」
アランの言葉に反応したのはリギャルドだ。
「食料、か。此方からであれば、大抵は採掘した鉄や森からの木材。搭乗している者達。その者らの食料。ファートアラームからであれば、装飾品、家具、調度品の類い。後は多くがラーライだな」
一條は聞こえてくる単語には気にしない風を装いながら頷きつつ、
「なるほろ」
と前置き。
「微妙なラインナップだけど」
と続け、逡巡。
「…………。或いは、水面を通る物それ自体をバララムートが餌と認識している、って事も考えられる。乗せてる何かが餌、ではなく、動く物全てが餌」
「サメが人を襲う理由みたいだなそれ……。仮にそうなると、案外、釣り餌はダミーでも問題ねぇかも。ルアーか。釣り針作れば、それで事は足りるかも知れねぇな」
「糸どうすんの? かなり大きいんでしょ? しめ縄級のが必要だけど」
「しめ縄……。用意出来れば、釣りと言うか綱引きだなそれは……」
未確認生物との綱引き等、低予算映画でも今日日聞かない単語である。
昔でもやってる物は無いだろうが。
「疑似餌はとりあえず後回し。リギャルド殿。バララムートの釣りに使う糸……と言うか、縄を用意して頂きたい。長さは……長いほど良いんですけど」
「手配はさせよう」
言うが早いか、手振りで人を呼び、一言二言を掛けて終わりだ。
使用人と思しき人物は、脱兎の如く飛び出して行った。
――一瞬、こっちを見た様な……?
思うが、リンダールに知り合いは居ない。
「どした、ミラ」
「んー? 別にー。所で、疑似餌に関して一つ妙案があるんだけど。任せて貰って良い?」
紀宝の提案に、別段否やは無い為、頷くのみ。
「後はそれまで、出ない事を祈るのみかなぁ……スフィ?」
「……いえ。三人が居ると、意見が纏まり易いので。あまり私が挟む事が少ないな、と」
苦笑一つ。
「元々、こういうのはルリエが引き受けてくれてましたし」
「あー、頭の回転速いからなぁ、彼女」
二人共に今此処には居ない人物への評価に余念が無い中、一応の方向性を得た事で、報告会から軍事会議にまでなった場を終えようと視線を投げる。
「昨日から、ウッドストック殿の者らと私の警護達とでヘッズロー大河を見張っている。何かあれば、鐘の音で街全体に届く様にもな」
「仕事が早いようで助かります」
「私の領地だ。当然の事」
頬に手を当てながら、リギャルドがそう答えた。
偉そうではあるが、実際偉いのだ。
どうにも、言葉と真意は違う方を向いている様にも感じるが。
――好きなタイプではないけど。
思案。
頷きそうになってから、はた、と気付いて、
――いや、そう。友達にはなりたくないタイプだ。うん。
彼に対しての心象を、ほんの少しばかり追記した。
相手の言葉を遮る様にして、一條の素っ頓狂な声が応接の間に響いた。
「ほんの僅か、目撃されただけだ」
遮られた当人である、ラースリフ・リギャルドは、いかにも気怠げな態度で応える。
「それに、言った所で仕方無い。街を日が照らし始めるかどうか、と言う頃合いでは、お前達の誰もが居なかったのだからな」
――じゃそれを最初に言え。
心中で突っ込みを入れた。
ともあれ、確かにリギャルドの言う通りだ。
一條達がリンダールへ到着したのは、既に日は傾き始めていた頃。
それから暫くして、鉱山組である紀宝らが帰ってきている。
明確な被害が出ていない以上、多少の目撃情報を伝えた所でそこまで劇的な変化は無いとの判断であろう。
それ以上に、
――昨日此処に来た時はただの一言で終わった。けど、それはこっちに気を使った、のかな。
思案。
付け加えるならば、
――今朝の話はしてない。って事は、今朝も警戒してたが現れなかった。だから、昼時に呼んだ上で報告だけ、って訳か。
冷静に考えるならそういう事である。
南部地域の統括者は、それ程鬼ではないらしい。
「いえ。出過ぎた事を言いました。……肝心のバララムートですが。姿は判明したのですか?」
「私が聞いた限りでは、これと言っては無い」
「……無い、とは?」
スフィの疑問は尤もだが、玉座にて悠々と構える男は、足を組み直しただけ。
「こればかりは、な。私が見た訳ではなし。目撃した、と言う者も、ヘッズロー大河近くを歩いていた所、遠くの水面に大きな水飛沫を見ただけ。……ただ、その際の音も大きく、他にも数人聞いてはいるが」
「直接見た者は居ない、か。ふぅむ。って事は、やっぱ巨大生物なのは間違い無し、だな」
「水中型ルマオーク?」
先日の夕飯時でお互いに出会った敵の姿形から軽い生態までは交換している。
今後役に立つかは置いておいて、全くの無駄知識と言う事はない筈だ。
「そんな人魚は勘弁願いたいね……」
しかし、紀宝の台詞に対し、一條はため息混じりに答えた。
全長五メートルを超す人型水中生物であれば、船の一隻や二隻は捻るのも訳無い。
が、そこまでいくと異形人種と言うより、竜の様な幻獣種、或いはもっと神話的な生物である。
可能性としては微妙な所であり、それならばもう少し襲撃等も効率良く行われて良いだろう。
それはそれで、手の打ちようがないのだが。
「所で人魚って肺呼吸? エラ?」
唐突な質問に、親友二人は揃って肩を竦めるだけである。
「あー、人の上半身と魚の下半身を持った生物の事です。空想の類いですね」
首を傾げていたアランに対しての説明だが、果たして彼の想像に応える事が出来たかどうか。
「……しかし、相手が水の中であれば、私達ではどうしようもないのでは?」
横目で此方を見たスフィには、曖昧な応えを返しておく。
三人共に泳ぎは可もなく不可もない。
とはいえ、水中で戦闘となると話は別だ。
「……相手が水の中、って言うなら、いっそ何か餌で釣るか?」
高井坂の台詞に、紀宝が眉根を詰める。
スフィやアラン、ウッドストックと言った面々も、似た表情をしていた。
「釣る……? 船を沈める様な生物をか? ……本気か?」
リギャルドのみが、心底呆れた表情で告げる。
その周囲からの反応に、高井坂は無言で此方を見た。
一條はそれを見て二度頷き、
「アタシも釣る、ってのはどうかと思う」
結果として彼の言に賛同した形になったが、高井坂は何やら信じられない物を見た様な顔。
ふと、玉座の方へ視線を飛ばせば、親友以上に驚いた様な顔をした領主が居た。
「えぇ……?」
面白い案だとは思うが、現実味がなさ過ぎる為に否定したのだが、何故だか不評を買ったらしい。
「ジャンヌ姉様なら、すぐにでも向かう所では……」
「ちょいちょい待て待て。そこまでアタシも考え無しで動かないんですけど? ……アランさん?」
小さく笑っていたアランが、咳払いして向き直った。
「いえ、すいません。私もてっきりシャラの考えに乗るものと」
「お? 何だ? 喧嘩か? うちのパーティでの脳筋担当はミラだぞ?」
「お? 何だ? ついでの様にディスったか今? また勝負すっか?」
「「……」」
「どーどー。美人二人がこんな所でメンチ切り合うな」
言葉と共に間に割って入られたので、矛を収める事となる。
「お前達を見ていると退屈しないな」
「それよりも、リギャルド殿の反応も何か納得いかないんですけど」
「私も、私と同じ意見とは思わなかったのでな。前の事もある」
「……」
図星である為、他に何か言おうかと口を開けたが、結局はそのまま閉ざす。
それを見て、リギャルドは話し出した。
「しかし、釣る、と来たか。相手故、難しいのではないか、ディノワ殿」
「まぁ……いや、そうなんですけどね。ただ、バララムートもリンダールの近くにまで来ている事を考えると、いつ街自体が襲われるとも限りませんし。案を出すだけでも、と」
「一理あるけど……釣りか」
「大きさも考えると、それこそ船やら何やらが要るわねぇ」
相手の大きさが分からない以上、今までの物と同じ規模で良いのかすら不明である。
「船の上でバララムートと、と言うのも難しいですね。船自体が壊されては同じ事です」
「数隻で挟む様にすれば? 釣りって言うか漁になるけど。今までやんなかったの? そういう事?」
紀宝の台詞に、リギャルドが渋い顔を見せた。
「検討の一つではある。言ったろう。此方も人手不足だ。ファートアラームからのラーライも途切れて久しい。鉱山が優先されるべきだからな」
――ラーライ?
聞き慣れない単語に、一條は首を捻ったが、隣の高井坂は眉間に皺が寄っている。
――何か知ってるなこいつ……。
思うものの、後回し。
「ミラの言う、数隻で囲むのは有りだね。んで、昔の鯨漁みたいに銛投げーみたいなのが一番現実味あるけど……」
代わりに考えを披露。
「船、二つ位どうにか?」
「少し前に壊されたのがそれだ。今はそこにあるのが最後のでな。出来る事なら、バララムートを退治した後でファートアラームへ向かう為に残しておきたい」
――ですよねー。
リギャルドの言う事も、当然である。
「となると、最悪小舟になるけどそれは流石にどうかと思うので……」
言葉を選びつつ高井坂へ目を向けた。
視線が合い、親指を上げたので無視しようかとも思ったが、ため息一つ。
「はいはい。釣りね、釣り。まぁ、時間帯としては、朝方に出現する様ならそこに合わせれば良いけど。後は餌、なんだけど。そもそもどんなのか分からんのに何用意すんだこれ。船そのもの、じゃないよな。乗ってる物?」
「人。若しくは交易品の中にバララムートの食料となるものが? 確かに可能性はありますが」
アランの言葉に反応したのはリギャルドだ。
「食料、か。此方からであれば、大抵は採掘した鉄や森からの木材。搭乗している者達。その者らの食料。ファートアラームからであれば、装飾品、家具、調度品の類い。後は多くがラーライだな」
一條は聞こえてくる単語には気にしない風を装いながら頷きつつ、
「なるほろ」
と前置き。
「微妙なラインナップだけど」
と続け、逡巡。
「…………。或いは、水面を通る物それ自体をバララムートが餌と認識している、って事も考えられる。乗せてる何かが餌、ではなく、動く物全てが餌」
「サメが人を襲う理由みたいだなそれ……。仮にそうなると、案外、釣り餌はダミーでも問題ねぇかも。ルアーか。釣り針作れば、それで事は足りるかも知れねぇな」
「糸どうすんの? かなり大きいんでしょ? しめ縄級のが必要だけど」
「しめ縄……。用意出来れば、釣りと言うか綱引きだなそれは……」
未確認生物との綱引き等、低予算映画でも今日日聞かない単語である。
昔でもやってる物は無いだろうが。
「疑似餌はとりあえず後回し。リギャルド殿。バララムートの釣りに使う糸……と言うか、縄を用意して頂きたい。長さは……長いほど良いんですけど」
「手配はさせよう」
言うが早いか、手振りで人を呼び、一言二言を掛けて終わりだ。
使用人と思しき人物は、脱兎の如く飛び出して行った。
――一瞬、こっちを見た様な……?
思うが、リンダールに知り合いは居ない。
「どした、ミラ」
「んー? 別にー。所で、疑似餌に関して一つ妙案があるんだけど。任せて貰って良い?」
紀宝の提案に、別段否やは無い為、頷くのみ。
「後はそれまで、出ない事を祈るのみかなぁ……スフィ?」
「……いえ。三人が居ると、意見が纏まり易いので。あまり私が挟む事が少ないな、と」
苦笑一つ。
「元々、こういうのはルリエが引き受けてくれてましたし」
「あー、頭の回転速いからなぁ、彼女」
二人共に今此処には居ない人物への評価に余念が無い中、一応の方向性を得た事で、報告会から軍事会議にまでなった場を終えようと視線を投げる。
「昨日から、ウッドストック殿の者らと私の警護達とでヘッズロー大河を見張っている。何かあれば、鐘の音で街全体に届く様にもな」
「仕事が早いようで助かります」
「私の領地だ。当然の事」
頬に手を当てながら、リギャルドがそう答えた。
偉そうではあるが、実際偉いのだ。
どうにも、言葉と真意は違う方を向いている様にも感じるが。
――好きなタイプではないけど。
思案。
頷きそうになってから、はた、と気付いて、
――いや、そう。友達にはなりたくないタイプだ。うん。
彼に対しての心象を、ほんの少しばかり追記した。
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