116 / 136
第3章 ~よう
余談~あの日を続け~
しおりを挟む
――sideルピカ
私はずっとずっと…ずっとずっと走った。
「はぁはぁはぁ……」
ジャングルがこんなに長かっただろうか。リン様の匂いがまだついているからか襲われることはなかった。
《sideルピカ
それは私が使えていて、先代のお世話役からマニュアルを教えてもらったばかりのある日のことだった。
カラカラカラ……コンコンコン…
テーブルを廊下に置いて、ノックする。ながらノックは失礼だから、当然と言える。寝たきりのリンには、ノックも必要ないと言われるかもしれないが、グルバン様にも言われている上、礼儀としてしたいからする。
「失礼しま…え?」
リンが窓際の椅子に座っていた。グルバン様がお見舞いに来た際に座る椅子、だった。
<これまで目覚めたことがないはずなのに…ど、どうして…>
「……」
「ほら、することあるでしょ?リンが起きたのよ」
私に命令をしたのはケイト様が作り出した丸っこい自律ロボ『メハ』だ。
「準備します!」
「……」
元から、お薬と栄養補給のために伺ったのだが、こう言って起きることも想定して、いつでもご飯が用意できるようにテーブルの下の段には、いっぱい準備されていた。ただ、リンからの明確なアクションはない。顔は外に向いていた。
<眼が見えないって聞いたんだけどな…>
長らく使うことがなかった食器や食材をテキパキと準備するが、もちろん埃などはない。
<グルバン様も家で食べないからな…>
あえて質素で薄味なものから、お腹に優しく食べやすいようカットされたお肉、あらゆる味を揃えた飲み物に、錠剤や点滴と、簡単に用意できるものをまとめる。
コンコンコン
「…どうぞ」
「失礼します…」
テーブルを動かし、食べやすいように並べる。無心で、所作を意識していた。雑念が見透かされるような不思議な雰囲気がその場にはあった。
面接のような視線を、もっと…やんわりとした感じだ。
雑念を排除しようと試みていた。が、漏れる。
<…目覚めたのは…きっかけがあるのかな…>
「…ねてた」
「っ!?」
聞き間違いかと耳を疑った。リンは振り返る。
「…から?」
盲目なはずなのに、眼が合った気がした。
「…あー、やっぱり読めちゃうの?」
「ん…」
「……??」
メハとリンの会話についていけない。
「信じられないかもしれませんけど…リンはその、心が読めるんですよ…秘密にしてくださいよ?」
メハはロボらしくレンズを光らせる。私の人間性を疑っているのが見て取れる。
「もちろんですよ…!」
力強く答える。グルバン様への憧れや尊敬は本気だ。誰にも負けない自信があった。
<この心意気すら…読まれているってことだよな…?>
「……がんばって」
「……ぁ!」
リンはそう言って立ち上がる。息を飲む。それは通常立てるわけがない水面に直立するような不思議な錯覚を覚える。リンは歩くたびに波紋が小さく広がる。
錯覚だ
そう見えるほどに、不思議な力があった。余計な力が入ったり、ふらついたりすることがない。
「よ」
ボフン…
「リン。無理しないでね…」
「してない…」
ベッドまで移動しただけ、ゆっくりとしたただの歩みだけで、なにかの次元が違うことを確信する。食事には特に触られなかったが、久々に起きてお疲れなのだろう。眠った後に保存が利かないものの整理をしよう。
「ねぇ…」
「な、なんでしょうか」
リンはベッドにうつ伏せになったまま、続ける。
「100…歳だよ」
「そ、そんなわけ無いでしょう…!?」
メハは困ったような顔をする。
「脳は…起きてたんもんね…」
「しにたい…な」
!!!
「死んだらご両親が悲しみますよ!!」
反射的に口が答えていた。
「そう、かも…」
回答を間違えたような感覚に陥る。声色から感情が読みにくいのもある。でも、リンとメハには違う思惑があったように思えて仕方ない。
〈2人は親友〉〈2人でも相談はする。そこで解決するなら振られるものじゃない〉
〈…わざと振った話題?〉
〈私を試している?〉〈一番良い答えは…〉
「…話を聞かせてくれませんか…?」
何か裏があるんじゃないですか?と質問をぶつける。
「…ジョーダンですよ~~。ねぇ、リン?」
「しよ」
「…リン?」
リンはぎこちなく姿勢を変える。胡坐だろうか…、座り直している。正直、メハの声色はリンの何倍も読み易い。
<おそらく、リンがこの流れを望んでメハと芝居を打って、メハは冗談で言ったという保険を作った>
「あってる」
疑うつもりはなかったが、本当に心を読まれている。あのご両親の愛娘なのは伊達じゃない。
「……」
「私が考えるに…私の反応を試したい。もしくは、死んでもいいかもって少し思っている、からではないでしょうか?」
「…ちかい、ね」
渾身の推理だったが、少々違ったらしい。なんのためにやったのか傾聴しよう。
「…そういうもの、だから」
********************
<…へ?>
見え方が変わる。それは魔法にかけられたような空間だった。恐竜に、深海生物、ウィルスまでも生物の一生、そして霊になって踊り出し、古いものから消えていく。それら全てが同時にループ再生される…そんな映像が360度流れている。
<こ、これは…>
リンが見せている…。そう直感する。なら、メッセージは『ヒトの一生は100歳くらいなものだし、医療で無理矢理活かすのは良くない』と言いたいのだろうか?
「ちがう、かな」
どこからともなく声が響き、複数の映像が大きくなる。
<これは…>
義足や人工器具系、管など医療器具を用いて生活する人たちだった。これを見せるということは、医療器具との共生は否定するわけではない…。技術による延命には理解があるとなるはずだ。
「…まぁ、そぅ」
リンの返しが少し違和感があるのは……度が過ぎてはいけないかもと言ってるような気がした。体を変えてまで延命するグルバン様が脳裏に浮かぶが…、悪いとは言いたくない。非の打ち所がない正義だとは言わないが…あの方も被害者なのだから多少は許されると思ってしまう。
「……」
映像が切り替わる。それは様々な時代の歴史だ。革命や魔女狩り、飢饉、宗教戦争、独裁、資本主義、世界恐慌…。
ゴクリッ…
唾を飲んだ。
<世界ではこういうことがあった。人が築いた歴史だ。なんのために…?>
「そういうもの。ヒト、だもの」
リンは…リン様は、死生観を共有したかったんだと思う…。死にたいのかもしれないリン様を前にどう対応するかの質問の後に、理解するかは別として、世界の真理に近しい死生観を伝えたかったんじゃないだろうか…。
「ん」
少し、柔らかい言い方から、当たっているよという意思を感じる。
********************
現実世界に戻る。元からさっきのような世界自体、妄想だったのかもしれないが、
「…ホント」
噓じゃないらしい。リン様は心も読めるし、ああいった世界観で生きているんだと思う。自然に任せたようで、どこか諦観したそんな子供らしからぬ思想だ。
「リン…言うタイミング逃したけど、胡坐…はしたない…」
「…ごめん」
リンお嬢様は目を閉じて、メハの助言を聞き入れて足を伸ばす。
「ジュース…もらう」
「何味にしましょう?」
「…とまと」
「トマトですね?」
「ん」
私は持ってきたコップに音を立てずに注ぎ込む。
「よろしく、ルピカ」
「はい…リンお嬢様」
「余計…」
「リン…様?」
「…わかった…」
私のご主人様は…少々特殊だ。でも、これほどまでに使えがいのある家族が他にいるだろうか。仕事が大好きで、誇りを持っている》
sideルピカ
「あぁ…くそ。こんなに生々しく覚えてるのによ…」
私の記憶ではないらしい。家族、家庭、職場、なくなったと思って、最後に残されたのがリン様の傍だと思っていた。始めから居場所なんてなかった。
「ヒュー……ヒュー……」
ドクドクドクッ!
階段を上り切った段階で疲労感に耐えられず倒れる。
「………;….ッ……」
ドクドクドク……!
声にならない…。思い返してみても、ここに来てからリン様に頼り切りだ。人間の体だろうが、邪魔だったことには分かりない。思い上がりだ。涙を零しながら、這いずることくらいしか私には…
「意外と人生。そういう訳でもない…」
聞き覚えのある声が聞こえた――
私はずっとずっと…ずっとずっと走った。
「はぁはぁはぁ……」
ジャングルがこんなに長かっただろうか。リン様の匂いがまだついているからか襲われることはなかった。
《sideルピカ
それは私が使えていて、先代のお世話役からマニュアルを教えてもらったばかりのある日のことだった。
カラカラカラ……コンコンコン…
テーブルを廊下に置いて、ノックする。ながらノックは失礼だから、当然と言える。寝たきりのリンには、ノックも必要ないと言われるかもしれないが、グルバン様にも言われている上、礼儀としてしたいからする。
「失礼しま…え?」
リンが窓際の椅子に座っていた。グルバン様がお見舞いに来た際に座る椅子、だった。
<これまで目覚めたことがないはずなのに…ど、どうして…>
「……」
「ほら、することあるでしょ?リンが起きたのよ」
私に命令をしたのはケイト様が作り出した丸っこい自律ロボ『メハ』だ。
「準備します!」
「……」
元から、お薬と栄養補給のために伺ったのだが、こう言って起きることも想定して、いつでもご飯が用意できるようにテーブルの下の段には、いっぱい準備されていた。ただ、リンからの明確なアクションはない。顔は外に向いていた。
<眼が見えないって聞いたんだけどな…>
長らく使うことがなかった食器や食材をテキパキと準備するが、もちろん埃などはない。
<グルバン様も家で食べないからな…>
あえて質素で薄味なものから、お腹に優しく食べやすいようカットされたお肉、あらゆる味を揃えた飲み物に、錠剤や点滴と、簡単に用意できるものをまとめる。
コンコンコン
「…どうぞ」
「失礼します…」
テーブルを動かし、食べやすいように並べる。無心で、所作を意識していた。雑念が見透かされるような不思議な雰囲気がその場にはあった。
面接のような視線を、もっと…やんわりとした感じだ。
雑念を排除しようと試みていた。が、漏れる。
<…目覚めたのは…きっかけがあるのかな…>
「…ねてた」
「っ!?」
聞き間違いかと耳を疑った。リンは振り返る。
「…から?」
盲目なはずなのに、眼が合った気がした。
「…あー、やっぱり読めちゃうの?」
「ん…」
「……??」
メハとリンの会話についていけない。
「信じられないかもしれませんけど…リンはその、心が読めるんですよ…秘密にしてくださいよ?」
メハはロボらしくレンズを光らせる。私の人間性を疑っているのが見て取れる。
「もちろんですよ…!」
力強く答える。グルバン様への憧れや尊敬は本気だ。誰にも負けない自信があった。
<この心意気すら…読まれているってことだよな…?>
「……がんばって」
「……ぁ!」
リンはそう言って立ち上がる。息を飲む。それは通常立てるわけがない水面に直立するような不思議な錯覚を覚える。リンは歩くたびに波紋が小さく広がる。
錯覚だ
そう見えるほどに、不思議な力があった。余計な力が入ったり、ふらついたりすることがない。
「よ」
ボフン…
「リン。無理しないでね…」
「してない…」
ベッドまで移動しただけ、ゆっくりとしたただの歩みだけで、なにかの次元が違うことを確信する。食事には特に触られなかったが、久々に起きてお疲れなのだろう。眠った後に保存が利かないものの整理をしよう。
「ねぇ…」
「な、なんでしょうか」
リンはベッドにうつ伏せになったまま、続ける。
「100…歳だよ」
「そ、そんなわけ無いでしょう…!?」
メハは困ったような顔をする。
「脳は…起きてたんもんね…」
「しにたい…な」
!!!
「死んだらご両親が悲しみますよ!!」
反射的に口が答えていた。
「そう、かも…」
回答を間違えたような感覚に陥る。声色から感情が読みにくいのもある。でも、リンとメハには違う思惑があったように思えて仕方ない。
〈2人は親友〉〈2人でも相談はする。そこで解決するなら振られるものじゃない〉
〈…わざと振った話題?〉
〈私を試している?〉〈一番良い答えは…〉
「…話を聞かせてくれませんか…?」
何か裏があるんじゃないですか?と質問をぶつける。
「…ジョーダンですよ~~。ねぇ、リン?」
「しよ」
「…リン?」
リンはぎこちなく姿勢を変える。胡坐だろうか…、座り直している。正直、メハの声色はリンの何倍も読み易い。
<おそらく、リンがこの流れを望んでメハと芝居を打って、メハは冗談で言ったという保険を作った>
「あってる」
疑うつもりはなかったが、本当に心を読まれている。あのご両親の愛娘なのは伊達じゃない。
「……」
「私が考えるに…私の反応を試したい。もしくは、死んでもいいかもって少し思っている、からではないでしょうか?」
「…ちかい、ね」
渾身の推理だったが、少々違ったらしい。なんのためにやったのか傾聴しよう。
「…そういうもの、だから」
********************
<…へ?>
見え方が変わる。それは魔法にかけられたような空間だった。恐竜に、深海生物、ウィルスまでも生物の一生、そして霊になって踊り出し、古いものから消えていく。それら全てが同時にループ再生される…そんな映像が360度流れている。
<こ、これは…>
リンが見せている…。そう直感する。なら、メッセージは『ヒトの一生は100歳くらいなものだし、医療で無理矢理活かすのは良くない』と言いたいのだろうか?
「ちがう、かな」
どこからともなく声が響き、複数の映像が大きくなる。
<これは…>
義足や人工器具系、管など医療器具を用いて生活する人たちだった。これを見せるということは、医療器具との共生は否定するわけではない…。技術による延命には理解があるとなるはずだ。
「…まぁ、そぅ」
リンの返しが少し違和感があるのは……度が過ぎてはいけないかもと言ってるような気がした。体を変えてまで延命するグルバン様が脳裏に浮かぶが…、悪いとは言いたくない。非の打ち所がない正義だとは言わないが…あの方も被害者なのだから多少は許されると思ってしまう。
「……」
映像が切り替わる。それは様々な時代の歴史だ。革命や魔女狩り、飢饉、宗教戦争、独裁、資本主義、世界恐慌…。
ゴクリッ…
唾を飲んだ。
<世界ではこういうことがあった。人が築いた歴史だ。なんのために…?>
「そういうもの。ヒト、だもの」
リンは…リン様は、死生観を共有したかったんだと思う…。死にたいのかもしれないリン様を前にどう対応するかの質問の後に、理解するかは別として、世界の真理に近しい死生観を伝えたかったんじゃないだろうか…。
「ん」
少し、柔らかい言い方から、当たっているよという意思を感じる。
********************
現実世界に戻る。元からさっきのような世界自体、妄想だったのかもしれないが、
「…ホント」
噓じゃないらしい。リン様は心も読めるし、ああいった世界観で生きているんだと思う。自然に任せたようで、どこか諦観したそんな子供らしからぬ思想だ。
「リン…言うタイミング逃したけど、胡坐…はしたない…」
「…ごめん」
リンお嬢様は目を閉じて、メハの助言を聞き入れて足を伸ばす。
「ジュース…もらう」
「何味にしましょう?」
「…とまと」
「トマトですね?」
「ん」
私は持ってきたコップに音を立てずに注ぎ込む。
「よろしく、ルピカ」
「はい…リンお嬢様」
「余計…」
「リン…様?」
「…わかった…」
私のご主人様は…少々特殊だ。でも、これほどまでに使えがいのある家族が他にいるだろうか。仕事が大好きで、誇りを持っている》
sideルピカ
「あぁ…くそ。こんなに生々しく覚えてるのによ…」
私の記憶ではないらしい。家族、家庭、職場、なくなったと思って、最後に残されたのがリン様の傍だと思っていた。始めから居場所なんてなかった。
「ヒュー……ヒュー……」
ドクドクドクッ!
階段を上り切った段階で疲労感に耐えられず倒れる。
「………;….ッ……」
ドクドクドク……!
声にならない…。思い返してみても、ここに来てからリン様に頼り切りだ。人間の体だろうが、邪魔だったことには分かりない。思い上がりだ。涙を零しながら、這いずることくらいしか私には…
「意外と人生。そういう訳でもない…」
聞き覚えのある声が聞こえた――
0
~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~ 敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu 世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒) 得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
転生先は上級貴族の令息でした。元同級生たちと敵対しつつスローライフで戦記します。人気者への道は遠いよ。オタノリのまま貴族生活を満喫したい。
川嶋マサヒロ
ファンタジー
僕は中学二年生、自称中流人間の左近孝朗(さこん たかよし)少年です。
ある日の放課後、教室で僕とヤツらは戦いを始め、そして異世界に転生してしまった。
気が付けば僕は伯爵貴族の赤ん坊で、産まれたてほやほやの男児。
中流改め、上級人生となっていた。
仲良く喧嘩してばかりのお父さん、お母さん。僕赤ちゃんを可愛がりしてくれる令嬢様。お爺ちゃん、お婆ちゃんたちに優しく持ち上げられていたが、元同級生たちが幸せな暮らしに魔の手を伸ばす。
敵は魔獣と魔人の軍団(たぶん魔王もいる)。
それと何かと僕のお邪魔をする、謎のクマさん【アバター】。
スキル【統率】を使い、異世界を支配するとか何とかしつこくホザいている謎の同級生。
家族と令嬢たちを守るため、「ぼくのかんがえた」最強無双の異世界戦記が始まった。
ユルてん【ユルユル異世界クラス転移】~スローライフで成長する赤ん坊だけど、アバターでユルユル戦記もします。~
ちょっとは戦いますか。異世界だし。
知識0から創る異世界辞典(ストラペディア)~チャラ駄神を添えて~
degirock/でじろっく
ファンタジー
「【なろうぜ系】って分かる?」
「分かりません」
「ラノベ読んだ事無い?」
「ありません」
「ラノベって分かる?」
「ライトノベルの略です」
「漫画は?」
「読みません」
「ゲーム」
「しません」
「テレビ」
「見ません」
「ざけんなおらあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
サブカル0知識の私が死んだ先で背負わされたのは、
異世界情報を詰め込んだ【異世界辞典】の編纂作業でした。
========================
利己的な人間に歪まされた自分の居場所を守る為に、私は私の正しさを貫く事で歪みを利己的な人間ごと排斥しようとした。
結果、利己的な人間により私の人生は幕を下ろした。
…違う。本当に利己的であったのは、紛まぎれも無く、私だ。間違えてしまったのだ。私は。その事実だけは間違えてはならない。
「……私は確かに、正しさという物を間違えました」
「そうだよなァ!? 綺麗事はやめようよ、ねェ! キミは正義の味方でも何でもないでしょォ!?」
我が意を得たり、と言わんばかりに醜くく歪んだ笑顔を見せる創造主。
そんな主に作られた、弄れるかわいそうな命。
違う…、違う!! その命達を憐れむ権利など私には無い!
「───だから?」
「……へっ?」
「だから、それがどうかしたんですか。私は今度こそ私の正しさを貫き通します。あなたが生み出したこの星の命へ、そしてあなたへ」
彼等のその手にそれぞれ強制的に渡されたとある本。それは目の前に浮かぶ地球によく似た星そのものであり、これから歩む人生でもある。二人の未熟なカミサマに与えられた使命、それはその本を完成させる事。
誰の思惑なのか、何故選ばれたのか、それすらも分からず。
一人は自らの正しさを証明する為に。
一人は自らの人生を否定し自由に生きる為に。
───これは、意図せず『カミサマ』の役目を負わされてしまった不完全な者達が、自ら傷付きながらも気付き立ち上がり、繰り返しては進んでいく天地創造の軌跡である。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる