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第3章 ~よう
閑話~あのヒ、あのトキ、あのバショで~⑥
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《弟の買い物は○○ちゃんの買い物とは異なる。あっちはネットで買えることもできるが、あえて、買いに行かせることで実物も見れる、社会勉強にもなるなど一石何鳥もある前提である上で○○ちゃんの好きなものを買っていいというご褒美さえ兼ねている。
これは違う。
ギリィ…
うちの家族の嫌がらせだ。
奥歯を噛み締める音か、胃が軋む音か、そんなんじゃなくて、複雑な感情から引き起こされた錯覚による音情報か。
<盲目で、ドジで、弱々しい…。弟は家族に疎まれている>
[赤赤赤鼠赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤■赤赤赤猫赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤]
思考が赤く染まる。
<俺は視た><アレは事故だ><母は叫び、父の眼は鋭くなった><噂はあっと言う間に広がる><■■が孤独になる><同情の眼だった人たちも、理解できない狂気を感じ取ってあからさまに距離ができる><■■が絶望する…><俺以外から拒絶される><そしたら…><そしたら……>
「死相が見られる」
「っ!!」
耳障りの悪い言葉で飛び起きる。
「…おはよ」
「……なんだ、○○ちゃんか~~」
「そろそろ起きなきゃだろうし、音読してた」
外を見れば夕暮れ時、トワイライトになりつつある外は美しさすらあった。寝てしまっていたようだ。
「アピス。起きたのね。はい」
「ありがとう」
友人が黒めのココアを持ってきてくれる。ココアを飲んでるのが妹ちゃんにバレたら恥ずかしいからな。身体があったまる。が…、
まだ鳥肌が収まらない。
あれは、そとからの夕日から想起されたものではなく、心の奥にしまっていた最悪の想定だ。『死相』なんて、○○ちゃんは言っていない。○○ちゃんが言ったのは、『思想』だ。冷静に状況を理解する。ぐいっとココアを飲み干して、一呼吸する。
<■■は…>
「幸せになれるかな…」
「………」
<ん?>
「ははは、気にしないでくれ」
「アピスは独りで抱え込もうとし過ぎだよ!」
友人が一喝いれる。反射的に姿勢を正す。
「別に、怒ってるわけじゃないけど、気負い過ぎ。■■を常に心配してるのが傍目でも分かる。過保護になれないのは自分がいなくなったことを想定してのこと。■■を許容してくれる施設を裏でいっぱい探してるのも、無駄なわけない。誰もあなたを責めることはないの。必ず報われるから」
友人は女子だが、イケメンだ。
「…アイドル志望だけあるな」
嫌味なくそう言う。本来のアイドルとはこうやって、口を動かすだけで人の心を救うのだろう。
「少しは元気でたみたいね」
「あぁ、君に言葉を貰えると、素直に事態が好転する気がするんだ。感謝してるさ。いつも」
「ありがと。ま~こっちが助けられたらそれが一番なんだろうけど、経済力はないし…」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「■■の視力もしくは異常な出来事のどちらかは原因が突き止められないと施設も厳しいよ」
「○○!」
「○○ちゃん。あれは事故なんだ。■■は悪くない」
「そうだとしても、証明しないと確信が得られない。何も知らない人にとって、違和感に警戒し、異常は恐れに繋がる…」
「○○。まだ言うことあるんでしょ…?」
「……頑張って」
恥ずかしそうに言う○○に保護欲的なもの掻き立てられ、軽く頭を撫でる。
「や、やめてよ」
「…ありがとう」
「ぅう…」
抵抗しようとするも、大人しく受け入れる。それに対して、俺たちはまた笑顔になる。幸せな空間だった。俺はこれからの未来に希望を強く抱けていた。支えてくれる友がいる。何より、ここに敵はいないと思ってた。あの時までは……。
2人きりになった。俺は、友人になんて言われるかドキドキしながら、待っていた。そう、待っていた。開口一番。想定外の言葉が聞こえ、聞き直す。
「え、ごめん。なんて言った??」
友人は一度こちらを伺い、言いずらそうに目線を反らされながら言葉を絞り出す。
「…■■は危険な考えしてるかも……」
緋色に染まった世界には、もはや、言葉も色も非言語領域に溶ける》
これは違う。
ギリィ…
うちの家族の嫌がらせだ。
奥歯を噛み締める音か、胃が軋む音か、そんなんじゃなくて、複雑な感情から引き起こされた錯覚による音情報か。
<盲目で、ドジで、弱々しい…。弟は家族に疎まれている>
[赤赤赤鼠赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤■赤赤赤猫赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤]
思考が赤く染まる。
<俺は視た><アレは事故だ><母は叫び、父の眼は鋭くなった><噂はあっと言う間に広がる><■■が孤独になる><同情の眼だった人たちも、理解できない狂気を感じ取ってあからさまに距離ができる><■■が絶望する…><俺以外から拒絶される><そしたら…><そしたら……>
「死相が見られる」
「っ!!」
耳障りの悪い言葉で飛び起きる。
「…おはよ」
「……なんだ、○○ちゃんか~~」
「そろそろ起きなきゃだろうし、音読してた」
外を見れば夕暮れ時、トワイライトになりつつある外は美しさすらあった。寝てしまっていたようだ。
「アピス。起きたのね。はい」
「ありがとう」
友人が黒めのココアを持ってきてくれる。ココアを飲んでるのが妹ちゃんにバレたら恥ずかしいからな。身体があったまる。が…、
まだ鳥肌が収まらない。
あれは、そとからの夕日から想起されたものではなく、心の奥にしまっていた最悪の想定だ。『死相』なんて、○○ちゃんは言っていない。○○ちゃんが言ったのは、『思想』だ。冷静に状況を理解する。ぐいっとココアを飲み干して、一呼吸する。
<■■は…>
「幸せになれるかな…」
「………」
<ん?>
「ははは、気にしないでくれ」
「アピスは独りで抱え込もうとし過ぎだよ!」
友人が一喝いれる。反射的に姿勢を正す。
「別に、怒ってるわけじゃないけど、気負い過ぎ。■■を常に心配してるのが傍目でも分かる。過保護になれないのは自分がいなくなったことを想定してのこと。■■を許容してくれる施設を裏でいっぱい探してるのも、無駄なわけない。誰もあなたを責めることはないの。必ず報われるから」
友人は女子だが、イケメンだ。
「…アイドル志望だけあるな」
嫌味なくそう言う。本来のアイドルとはこうやって、口を動かすだけで人の心を救うのだろう。
「少しは元気でたみたいね」
「あぁ、君に言葉を貰えると、素直に事態が好転する気がするんだ。感謝してるさ。いつも」
「ありがと。ま~こっちが助けられたらそれが一番なんだろうけど、経済力はないし…」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「■■の視力もしくは異常な出来事のどちらかは原因が突き止められないと施設も厳しいよ」
「○○!」
「○○ちゃん。あれは事故なんだ。■■は悪くない」
「そうだとしても、証明しないと確信が得られない。何も知らない人にとって、違和感に警戒し、異常は恐れに繋がる…」
「○○。まだ言うことあるんでしょ…?」
「……頑張って」
恥ずかしそうに言う○○に保護欲的なもの掻き立てられ、軽く頭を撫でる。
「や、やめてよ」
「…ありがとう」
「ぅう…」
抵抗しようとするも、大人しく受け入れる。それに対して、俺たちはまた笑顔になる。幸せな空間だった。俺はこれからの未来に希望を強く抱けていた。支えてくれる友がいる。何より、ここに敵はいないと思ってた。あの時までは……。
2人きりになった。俺は、友人になんて言われるかドキドキしながら、待っていた。そう、待っていた。開口一番。想定外の言葉が聞こえ、聞き直す。
「え、ごめん。なんて言った??」
友人は一度こちらを伺い、言いずらそうに目線を反らされながら言葉を絞り出す。
「…■■は危険な考えしてるかも……」
緋色に染まった世界には、もはや、言葉も色も非言語領域に溶ける》
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