解放

かひけつ

文字の大きさ
上 下
76 / 136
第3章 ~よう

■⑫

しおりを挟む
《sideメハ
一番良い所で暗くなった画面になけなしの力で不平を垂れる。

 「…tOぉめ…んNaぁ@」

よく言葉になったと、思える余裕がなぜあるのか分からない。そこへ冷め切った声色でアピスは、言う。

 「図に乗るな?俺がお前の喜ぶ過去の映像を見せるだけなわけないだろ??見ろ」

嫌な予感しかしなかったことやアピスへの嫌悪感から反射的に目を反らそうとするが、間に合わない。

 「お前は浮足立って何でも肯定的に捉え、盲目的にⅡ▽を崇拝していた。だろ?」

核心を突かれ、言い返す言葉などない。

 「お前にとって自分の用意した電脳世界やカードゲームがお気に召して最高に気分がいい一日だっただろうな」

否定などできない。だからこそ、怖い。次の一言が、ジェットコースターのてっぺんのように、確実に来る絶望に気持ちを備えることしかできない。

 「Ⅱ▽にとっては違うだろ?w」

 「……」

 「電脳世界も、カードゲームも大したことない。Ⅱ▽が達観してるのは、全ての事象を軽視できただけ。大切なものがなかっただけ」

 「ちGa」

 「口をみりゃ分かる」

ゾクっ!

 「一見、笑ってるように見えるが、Ⅱ▽は作り笑いだと、一方の口角が上がりきらない」

 「sOれa」

 「お前の視点だと美化しすぎてる。カメラで記録したのに、お前の想いでと現実データに差があるんだぜ?何回も見直してるのに、だ。イカレてるだろ、いや、目腐ってるだろ、お前w。Ⅱ▽より酷い盲目っぷりだ。ま、その中身は天と地くらい掛け離れてるけどなww」

 「d:」

 「これまでの記憶も全部見直してやるよ」

 やめ…

Ⅱ▽との思い出は明らかに私の根幹だった。もぬけの殻となっているのくらい、自覚していた。だから、これが幻想でもあるだけ、まだ、心の支えになっていたんだ…。

 「真実から目を背けるなよw。下手な霊と接してる時の方が心を許してるじゃないか。お前に対する態度はまるで…」

さっきから、ずっと声が出ない。

 まだ、真実を受け止められるほどの勇気も、余裕もありはしない……

 「駄々をこねるクソガキをあやしてやってるだけだ。愛もクソもねぇ。カマって来るから仕方なく相手してるだけだろ?現実を見ろよ」

ぐぅわぁん!!

震盪しんとうを起こしたような衝撃と共に景色が一変する。激情と虚無感が交錯する………》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

処理中です...