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第3章 ~よう
■⑦
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《sideメハ
私は、考えることをやめた。リンの名前を念仏のように心の中で唱えては、欠片の思い出を覚えてる範囲でループ再生。
……………
流れてもない心臓の逸る音も、感じないはずの熱気も一気に遠退き、いつの間にか消え去って…『無』…。五感に似た知覚なんて忘れてしまいそうになる中で、どれだけ時間が過ぎたかなんて分かりはしない。無限のようにも思えるが、一瞬だったかもしれない。
<…リンが寝て…、見返すものも、朝の準備も終わってしまってからの時間に似てる…>
なんてことない時間だ。他にもっと重要で、覚えておきたいことが山ほどあるのに……だ。
<終わりなんて…あるのかな…>
無限の夢幻だなんて、ゲーム開発者らしい、中二チックなことも思い付いた。でも、それは半ば正しい。いつからが夢幻で、いつまで夢幻があるかなんて分かりはしない。だから、夢幻なのだろうという結論に至る。
<……>
なんとまぁ、都合良く…リンの姿が見え始める。警戒すべきってことくらい分かってる。リンじゃないかもしれない。どうでもよかった。どれだけ考えても意味がない気がした。
「□Π!」
名前を呼んで駆け寄ったつもりでも、届かない。いや、分かっていた。でも、走るのをやめられなかった。上も下も、走れてるかも分からないけど、本気で追い求めれば、きっと...!!
リン!
声になっていないかもしれない。でも、リンなら伝わる。これでいい。リンは喋らなかった。のっぺらぼうのように顔がなかった。
関係ない!
心臓の逸る音はまたしても、這い寄る。熱気は視界を狭めていく。
関係ない!!
風を切っている気がした。落下してるのかもしれない。上昇してるのかもしれない。動けてないのかもしれない。息苦しさが上半身に集中していき、顔がどんどん熱くなる。
バタン…
明確に…ではないが、そう聞こえた。
<聞こえた?振動も感じないのに?>
脳裏の声を無視して、這い寄る。目が言う情報を、心が信じる情報を、手掛かりに、前に前にと、進むのは止めない。
風を感じない…
明らかな失速からだろうか。そんなことを想った。息苦しさに囚われたまま、虚脱感は頂点に達し、遂に止まってしまう。リンは一定の距離を保ったまま、こちらを見ていた。
リン
手を伸ばす。手が届くか届かないか、その刹那。
____________!!
重低音らしき圧迫感と同時にリンに闇の孔ができあがる。空いてしまった孔は、光輝くリンとは正反対のイメージを植え付ける。リンの体から生命力が見るからに抜けていく…。
はぁ?
客観的に観察をしていても、現実味がなく、対応に遅れる。リンが伸ばしていた手が触れ合い思考が加速する。
<リン!リン!!>
リンが倒れても、影は後ろに残っていた。いや、それは、
「あ、ピス」
悪意の象徴を前に、私は……》
私は、考えることをやめた。リンの名前を念仏のように心の中で唱えては、欠片の思い出を覚えてる範囲でループ再生。
……………
流れてもない心臓の逸る音も、感じないはずの熱気も一気に遠退き、いつの間にか消え去って…『無』…。五感に似た知覚なんて忘れてしまいそうになる中で、どれだけ時間が過ぎたかなんて分かりはしない。無限のようにも思えるが、一瞬だったかもしれない。
<…リンが寝て…、見返すものも、朝の準備も終わってしまってからの時間に似てる…>
なんてことない時間だ。他にもっと重要で、覚えておきたいことが山ほどあるのに……だ。
<終わりなんて…あるのかな…>
無限の夢幻だなんて、ゲーム開発者らしい、中二チックなことも思い付いた。でも、それは半ば正しい。いつからが夢幻で、いつまで夢幻があるかなんて分かりはしない。だから、夢幻なのだろうという結論に至る。
<……>
なんとまぁ、都合良く…リンの姿が見え始める。警戒すべきってことくらい分かってる。リンじゃないかもしれない。どうでもよかった。どれだけ考えても意味がない気がした。
「□Π!」
名前を呼んで駆け寄ったつもりでも、届かない。いや、分かっていた。でも、走るのをやめられなかった。上も下も、走れてるかも分からないけど、本気で追い求めれば、きっと...!!
リン!
声になっていないかもしれない。でも、リンなら伝わる。これでいい。リンは喋らなかった。のっぺらぼうのように顔がなかった。
関係ない!
心臓の逸る音はまたしても、這い寄る。熱気は視界を狭めていく。
関係ない!!
風を切っている気がした。落下してるのかもしれない。上昇してるのかもしれない。動けてないのかもしれない。息苦しさが上半身に集中していき、顔がどんどん熱くなる。
バタン…
明確に…ではないが、そう聞こえた。
<聞こえた?振動も感じないのに?>
脳裏の声を無視して、這い寄る。目が言う情報を、心が信じる情報を、手掛かりに、前に前にと、進むのは止めない。
風を感じない…
明らかな失速からだろうか。そんなことを想った。息苦しさに囚われたまま、虚脱感は頂点に達し、遂に止まってしまう。リンは一定の距離を保ったまま、こちらを見ていた。
リン
手を伸ばす。手が届くか届かないか、その刹那。
____________!!
重低音らしき圧迫感と同時にリンに闇の孔ができあがる。空いてしまった孔は、光輝くリンとは正反対のイメージを植え付ける。リンの体から生命力が見るからに抜けていく…。
はぁ?
客観的に観察をしていても、現実味がなく、対応に遅れる。リンが伸ばしていた手が触れ合い思考が加速する。
<リン!リン!!>
リンが倒れても、影は後ろに残っていた。いや、それは、
「あ、ピス」
悪意の象徴を前に、私は……》
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~ 敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu 世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒) 得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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