解放

かひけつ

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第3章 ~よう

塵モ⑨

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アピスのターン。

 「上書き!設置[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]」

 <マズイ……>

ただでさえ山札も手札もみられている監視状態。カードの効果が弱くなるのを視野に入れると……。

 <キツイ>

逆転の芽を摘まれたに等しい、絶望的な盤面。

 「進軍。…[神童]破壊」

リンは山札を引く。

 「……[互譲ごじょう]」

 〔……〕

 魔法[互譲]:相手と譲り合って落としどころを決める交渉する。

[互譲]のように自由にできたのは、メハがシステムの反映するのを努力したからだ。リンを喜ばせるため、考えさせるため、社会性を身に着けるため色々含めて、[the best]はリンのためのゲームだ。

 <ここが、勝負だぞリン。頼む>

スゥーー

小さいが部屋に音で満たす。目を開けられなかった。

 <運ゲーと言っても過言でない。オレが言うのもアレだが、神頼みでしかない>

 「わたしは、手札が欲しい」

 <よし!頑張りすぎてない!>

アピスは動かなかった。リンをただ眺めるだけだ。

 「どうか、したの?」

リンの純粋な問いにアピスは応える。

 「そうだね。じゃあオレは墓地を回収したい」

 「何枚?」

 「君は手札を増やしたいなら墓地から五枚引こう」

 「山札、引きたい」

そこは譲らない姿勢を見せる。

 「…いいだろう」

 <通った!!>

ここしかないと言えた。戦力が低いものばかりのリンのデッキに真っ向から抵抗する手段なんてない。

 「三枚」

 「もっと」

 「仕方ねぇーな。五枚で手を打とう」

 「ありがと」

 「墓地からも三枚は、欲しいな」

 <リンたちがなぜ、奇数にこだわっているのかというと[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]によりカードの効果が半減するので、不公平さがないようにみせてかけている。あえてアピスが歩み寄っている>

アピスの眼は仲良くしたがっている眼ではない。あれは、楽しんでいる。完全に勝ち確証した上で遊んでいる。アピスとリンの話し合いは、そのまま話が進む。

 山札-5 墓地-3 手札+5+3

これはアピス。つまり、リンは、

 山札-3 墓地-2 手札+3+2

厳しい盤面ではある。でも、死んでない。



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