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第3章 ~よう
塵モ⑦
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☆sideシン
アピスは一気に捲し立てる。
「あの時まで、ずっと…カードの名称をちゃんと呼んでいた。まーこの機会はあくまで、持っているカードの名称や効果などから、最初になんて発音しているかで作動することが粗方分かってたんだろう?」
「……」
「その上、国民じゃなくて、民にしたろ…。音声での認証を避けるためだろ?あんな~~俺が見抜かないわけないだろ?」
〔……〕
「国王暗殺は起こらない。なぜって?俺が魔法を使ったのは俺の国民だから」
言葉がでなかった。全てを読まれたような気味悪さは、疑いを向けられたリンでないのに感じてしまう漠然とした圧だけでなく、理詰めの粗探しは正確無比を極めていた。リンすら時間が止まったかのように固まって動かない。
「いいんだぜ?土下座したら、少しくらい、手加減してやろうか?」
「……」
そんな挑発乗れない。現状、本当に終わるカードがある。
[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]
二つ効果がある。伏せの兵を破壊する。そして、手札か山札を八割把握していれば、リンが使えるカードの効果と戦力は半減だ。
<和やかに楽しむリンとメハの作るゲームには、少々似つかわしくない一枚…>
この存在は大きい。途轍もなく、大きい。
「無視ってのは心証悪いだろ~~」
目が笑っていない。
「優しく言ってるうちに、行動しろよ……まーさーか…勝てるとか、足掻けるとか、まだ思ってるのかな~~~~~?」
「……『お願い』」
「その気になった?」
<こ い つ>
もっと謝らせる気かよ。
「やってくれるよね?土 下 座」
は??
リンに何させようと……
「ん?ん?ん?やってくれるよね~~。だって、こんままじゃ圧勝だし、もう勝っていいのか?」
取引内容がゴミだ。分かっていたが、最低な要求。
だが……
〈出されたハズのアピスの[チリツモ]の場所も分からないし、戦車は自陣前衛まで来ている。対策はしているだろうが、あまりにも押されている。リンだって、この異常事態の真っ最中。冷静とは言い難い…〉
選択肢なんて…なかった。静かに立ち上がらせ、ゆっくりと膝立ちの状態にする。
<ごめんな、リン>
「……」
リンは何も言わない。
「?まーだーかーなー。こっちは気が長いんだけどさーー待たされるの腹立つんだよね」
眼が本気だった。アピスなら何をしてもおかしくない。
「…『勝たせて、下さい』」
言葉と共に土下座させる。
「手加減するかもな~とは言ってたけど、勝たせるなんて言ってないんだよなぁあ」
子供の頭だろうが容赦せずに硬い靴のままぐりぐりと踏みつける。
「勝たなきゃ…」
「ん~~ん?なんか言った?」
「勝たなきゃ。会えないでしょ?」
「勝っても会えるかわからねーだろ」
「!?」
「でも、安心しろ。勝とうが負けようが、あの世で逢える」
「!!!」
ドッ!ガゴーン!!
リンを蹴っ飛ばし、完全に勝った気でいるアピスはさらに挑発を続ける。
「早く起きろよ。もしかしたら、助かる命があるかもしれないぜ」
「……」
〔……〕
沈黙。静寂。一時的不動……。
《これでいい。これがマシ》
「……」
リンは声を出さなかった。
《聡い子だ》
オレらの人情劇で声一つ上げやしない。たじろぐこともなく、感情を抑え込んで、メハの元へ行った。
今、椅子には誰もいない。
《もう、失敗できない》
アピスの言うことに渋々従うリンをそこに作り出す。ゆっくりと身体を引きずりながら、でも、眼に光を残したまま。
「うんうん感心感心。『異能』は使っていないようだね」
アピスは場を掌握したような顔で満足げに頷く。
〔……〕
ここで、殺気を漏らす。それが成り行き的に当然であるのと同時に、アピスにアピールする機会だからでもある。フリで充分だった。
《さぁ、もう…舞台は整った!》
オレはこれほど断罪すべき人間を見たことがない。これで終わりにする。決意を力に、繋がりは裏切らない、
アピスは一気に捲し立てる。
「あの時まで、ずっと…カードの名称をちゃんと呼んでいた。まーこの機会はあくまで、持っているカードの名称や効果などから、最初になんて発音しているかで作動することが粗方分かってたんだろう?」
「……」
「その上、国民じゃなくて、民にしたろ…。音声での認証を避けるためだろ?あんな~~俺が見抜かないわけないだろ?」
〔……〕
「国王暗殺は起こらない。なぜって?俺が魔法を使ったのは俺の国民だから」
言葉がでなかった。全てを読まれたような気味悪さは、疑いを向けられたリンでないのに感じてしまう漠然とした圧だけでなく、理詰めの粗探しは正確無比を極めていた。リンすら時間が止まったかのように固まって動かない。
「いいんだぜ?土下座したら、少しくらい、手加減してやろうか?」
「……」
そんな挑発乗れない。現状、本当に終わるカードがある。
[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]
二つ効果がある。伏せの兵を破壊する。そして、手札か山札を八割把握していれば、リンが使えるカードの効果と戦力は半減だ。
<和やかに楽しむリンとメハの作るゲームには、少々似つかわしくない一枚…>
この存在は大きい。途轍もなく、大きい。
「無視ってのは心証悪いだろ~~」
目が笑っていない。
「優しく言ってるうちに、行動しろよ……まーさーか…勝てるとか、足掻けるとか、まだ思ってるのかな~~~~~?」
「……『お願い』」
「その気になった?」
<こ い つ>
もっと謝らせる気かよ。
「やってくれるよね?土 下 座」
は??
リンに何させようと……
「ん?ん?ん?やってくれるよね~~。だって、こんままじゃ圧勝だし、もう勝っていいのか?」
取引内容がゴミだ。分かっていたが、最低な要求。
だが……
〈出されたハズのアピスの[チリツモ]の場所も分からないし、戦車は自陣前衛まで来ている。対策はしているだろうが、あまりにも押されている。リンだって、この異常事態の真っ最中。冷静とは言い難い…〉
選択肢なんて…なかった。静かに立ち上がらせ、ゆっくりと膝立ちの状態にする。
<ごめんな、リン>
「……」
リンは何も言わない。
「?まーだーかーなー。こっちは気が長いんだけどさーー待たされるの腹立つんだよね」
眼が本気だった。アピスなら何をしてもおかしくない。
「…『勝たせて、下さい』」
言葉と共に土下座させる。
「手加減するかもな~とは言ってたけど、勝たせるなんて言ってないんだよなぁあ」
子供の頭だろうが容赦せずに硬い靴のままぐりぐりと踏みつける。
「勝たなきゃ…」
「ん~~ん?なんか言った?」
「勝たなきゃ。会えないでしょ?」
「勝っても会えるかわからねーだろ」
「!?」
「でも、安心しろ。勝とうが負けようが、あの世で逢える」
「!!!」
ドッ!ガゴーン!!
リンを蹴っ飛ばし、完全に勝った気でいるアピスはさらに挑発を続ける。
「早く起きろよ。もしかしたら、助かる命があるかもしれないぜ」
「……」
〔……〕
沈黙。静寂。一時的不動……。
《これでいい。これがマシ》
「……」
リンは声を出さなかった。
《聡い子だ》
オレらの人情劇で声一つ上げやしない。たじろぐこともなく、感情を抑え込んで、メハの元へ行った。
今、椅子には誰もいない。
《もう、失敗できない》
アピスの言うことに渋々従うリンをそこに作り出す。ゆっくりと身体を引きずりながら、でも、眼に光を残したまま。
「うんうん感心感心。『異能』は使っていないようだね」
アピスは場を掌握したような顔で満足げに頷く。
〔……〕
ここで、殺気を漏らす。それが成り行き的に当然であるのと同時に、アピスにアピールする機会だからでもある。フリで充分だった。
《さぁ、もう…舞台は整った!》
オレはこれほど断罪すべき人間を見たことがない。これで終わりにする。決意を力に、繋がりは裏切らない、
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~ 敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu 世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒) 得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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