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第3章 ~よう
塵モ②
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オレらは扉の前にいた。ここまでの道のりは大したことない。もはや、流れ作業になってさっきまで階段を上っていたことすら記憶にないのだ。ここからが鬼門……。もう終わりにしてやる。
ヤツは余裕の表情でオレらを待ち受ける。
「初めまして。いや、そんなこと言う必要もないよな??」
言葉から溢れ出る悪意が、分かり切った挑発の裏に潜む残忍さが、ただただ不愉快で吐き気がしてくる。
「お前はメハとかいうAIのためにきたんだろ?」
「……」
「ここは一つ、公平で平和的なゲームで決着をつけようではないか」
「…やる」
淡々と、それでいて意志の片鱗を見せてそう言う。アピスは意外そうに一瞬硬直する。くるりと方向転換をし、指を鳴らす。
パチン
リンとアピスの間に大きな台が現れる。リンが腰かけるとアピスは満面の笑みで話しかける。
「プレゼントは楽しんでもらえたかな?」
「別に…」
リンは台の上のカードを触りながら、興味なさそうに応える。[the best]。メハとリンがずっとやってきた思い出の品…。存在を知っているのも、ゲームを再現できるのも、メハの記憶を除いたからだ。
「そっか。そうそう、安心してよ。それ、リンちゃんがよく使っていたデッキだから。まー欲しいのあったらデッキの調整はしていいよ」
「…そう」
リンは大した反応も見せずデッキを台に置く。台はその重みを検知してか一度デッキを台の中に収納し、同じ場所に同じ枚数のカードが現れる。
「安心してくれ。それは公平かつ平等、つまり不正はないと神に誓って断言しよう」
何が真実で何が間違ってるかなんてオレなんかが断言することはできなかった。リンは静かに肯定する。
「…そう」
「お、信じてくれた?話が分かる~~」
「ところで、自称カミはどうした?どうせいるんだろ?他の保護者どもは、さておいて」
《ここで文句も対話も必要はない》
<これで最後だ。最小限の犠牲と声高々と言えるかは分からない……。が、ここで終止符を打つんだ>
リンのために、リンを殺すなんて、正気とは思えない。
ッ……
乾ききった心は笑う真似事しかできやしない。
ヤツは余裕の表情でオレらを待ち受ける。
「初めまして。いや、そんなこと言う必要もないよな??」
言葉から溢れ出る悪意が、分かり切った挑発の裏に潜む残忍さが、ただただ不愉快で吐き気がしてくる。
「お前はメハとかいうAIのためにきたんだろ?」
「……」
「ここは一つ、公平で平和的なゲームで決着をつけようではないか」
「…やる」
淡々と、それでいて意志の片鱗を見せてそう言う。アピスは意外そうに一瞬硬直する。くるりと方向転換をし、指を鳴らす。
パチン
リンとアピスの間に大きな台が現れる。リンが腰かけるとアピスは満面の笑みで話しかける。
「プレゼントは楽しんでもらえたかな?」
「別に…」
リンは台の上のカードを触りながら、興味なさそうに応える。[the best]。メハとリンがずっとやってきた思い出の品…。存在を知っているのも、ゲームを再現できるのも、メハの記憶を除いたからだ。
「そっか。そうそう、安心してよ。それ、リンちゃんがよく使っていたデッキだから。まー欲しいのあったらデッキの調整はしていいよ」
「…そう」
リンは大した反応も見せずデッキを台に置く。台はその重みを検知してか一度デッキを台の中に収納し、同じ場所に同じ枚数のカードが現れる。
「安心してくれ。それは公平かつ平等、つまり不正はないと神に誓って断言しよう」
何が真実で何が間違ってるかなんてオレなんかが断言することはできなかった。リンは静かに肯定する。
「…そう」
「お、信じてくれた?話が分かる~~」
「ところで、自称カミはどうした?どうせいるんだろ?他の保護者どもは、さておいて」
《ここで文句も対話も必要はない》
<これで最後だ。最小限の犠牲と声高々と言えるかは分からない……。が、ここで終止符を打つんだ>
リンのために、リンを殺すなんて、正気とは思えない。
ッ……
乾ききった心は笑う真似事しかできやしない。
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