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第3章 ~よう
塵モ②
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☆sideシン
オレらは扉の前にいた。ここまでの道のりは大したことない。もはや、流れ作業になってさっきまで階段を上っていたことすら記憶にないのだ。ここからが鬼門……。もう終わりにしてやる。
ヤツは余裕の表情でオレらを待ち受ける。
「初めまして。いや、そんなこと言う必要もないよな??」
言葉から溢れ出る悪意が、分かり切った挑発の裏に潜む残忍さが、ただただ不愉快で吐き気がしてくる。
「お前はメハとかいうAIのためにきたんだろ?」
「……」
「ここは一つ、公平で平和的なゲームで決着をつけようではないか」
「…やる」
淡々と、それでいて意志の片鱗を見せてそう言う。アピスは意外そうに一瞬硬直する。くるりと方向転換をし、指を鳴らす。
パチン
リンとアピスの間に大きな台が現れる。リンが腰かけるとアピスは満面の笑みで話しかける。
「プレゼントは楽しんでもらえたかな?」
「別に…」
リンは台の上のカードを触りながら、興味なさそうに応える。
[the best]
2人の思い出の結晶。再現できるのもメハの記憶を覗いたからに過ぎない。
「…そうそう、安心してよ。それ、リンちゃんがよく使っていたデッキだから。まー欲しいのあったらデッキの調整はしていいよ」
「…そう」
リンは大した反応も見せずデッキを台に置く。台はその重みを検知してか一度デッキを台の中に収納し、同じ場所に同じ枚数のカードが現れる。
「安心してくれ。それは公平かつ平等、つまり不正はないと神に誓って断言しよう」
何が真実で何が間違ってるかなんてオレなんかが断言することはできなかった。リンは静かに肯定する。
「…そう」
「お、信じてくれた?話が分かる~~」
「ところで、自称カミはどうした?どうせいるんだろ?他の保護者どもは、さておいて」
《ここで文句も対話も必要はない》
<これで最後だ。最小限の犠牲と声高々と言えるかは分からない……。が、ここで終止符を打つんだ>
リンのために、リンを殺すなんて、正気とは思えない。
ッ……
乾ききった心は笑う真似事しかできやしない。
オレらは扉の前にいた。ここまでの道のりは大したことない。もはや、流れ作業になってさっきまで階段を上っていたことすら記憶にないのだ。ここからが鬼門……。もう終わりにしてやる。
ヤツは余裕の表情でオレらを待ち受ける。
「初めまして。いや、そんなこと言う必要もないよな??」
言葉から溢れ出る悪意が、分かり切った挑発の裏に潜む残忍さが、ただただ不愉快で吐き気がしてくる。
「お前はメハとかいうAIのためにきたんだろ?」
「……」
「ここは一つ、公平で平和的なゲームで決着をつけようではないか」
「…やる」
淡々と、それでいて意志の片鱗を見せてそう言う。アピスは意外そうに一瞬硬直する。くるりと方向転換をし、指を鳴らす。
パチン
リンとアピスの間に大きな台が現れる。リンが腰かけるとアピスは満面の笑みで話しかける。
「プレゼントは楽しんでもらえたかな?」
「別に…」
リンは台の上のカードを触りながら、興味なさそうに応える。
[the best]
2人の思い出の結晶。再現できるのもメハの記憶を覗いたからに過ぎない。
「…そうそう、安心してよ。それ、リンちゃんがよく使っていたデッキだから。まー欲しいのあったらデッキの調整はしていいよ」
「…そう」
リンは大した反応も見せずデッキを台に置く。台はその重みを検知してか一度デッキを台の中に収納し、同じ場所に同じ枚数のカードが現れる。
「安心してくれ。それは公平かつ平等、つまり不正はないと神に誓って断言しよう」
何が真実で何が間違ってるかなんてオレなんかが断言することはできなかった。リンは静かに肯定する。
「…そう」
「お、信じてくれた?話が分かる~~」
「ところで、自称カミはどうした?どうせいるんだろ?他の保護者どもは、さておいて」
《ここで文句も対話も必要はない》
<これで最後だ。最小限の犠牲と声高々と言えるかは分からない……。が、ここで終止符を打つんだ>
リンのために、リンを殺すなんて、正気とは思えない。
ッ……
乾ききった心は笑う真似事しかできやしない。
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~ 敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu 世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒) 得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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※お陰様をもちまして2015年3月に書籍化いたしました。書籍化該当箇所はダイジェストと差し替えております。
このダイジェスト化は書籍の出版をしてくださっているアルファポリスさんとの契約に基づくものです。ご容赦のほど、よろしくお願い申し上げます。
※2016年9月より、ハーメルン様でも合わせて投稿させていただいております。
※2019年10月28日、完結いたしました。ありがとうございました!
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