解放

かひけつ

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第3章 ~よう

始め④

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☆sideシン
弾幕は激しさを増していく。直線の軌道ではなくなりフェイントも入り混じる。

 「……」

威力がなく意識を割かせるだけ光線や発射口でリンを追うだけのレーザーを出すことなく仕舞われるものと様々だ。

 だが、一番の変化は鏡による反射

反射を想定して躱さなければならないのに、レーザーが増えたり、逆に突然減っていたりと、兎に角、思考スピードと集中力、その身体能力のすべてが人外のスペックを持っていてもクリアできるかどうかのレベルであった。

 〔……〕

終わらない。1時間ほどは続いただろうか。アピスの性格上一日中続いても不思議ではない。慣れてほぼ独りで対処しているリンを横目にそわそわしながら打開策を考えていた。が、不意に更なる変化が訪れる。

ガ  コ ン …

忘れていてもおかしくない背後からの攻撃の可能性が実現した。リンは見ずしと悟っていた。これが最後の大技なのだろうと。弾幕をいくら厚くても安全地帯が無くなることはなかった。だから最後に隙間なく攻撃をすることは分かっていた。

 「…っ!」

 〔は?!!〕

リンの目の前の壁が、舞台の幕開けの如く壁一枚、引き上がる。うずくまって震えている子供と目が合う。

 子供 リン レーザー!!

ザァァアアアアン!!!

大きすぎるレーザーは耐え難い重低音と共に迫る。その中でリンは振り向く。対面したソレに対して異能を扱う。

 「シン!!」

 〔分かってる!!!〕

異能の根幹となる能力で、主となる【操作】【感知】【制御】を使うより前に必要な行為。名前を付けるとするなら、【支配】だ。リンは手を向け、『予測』で物理的に解析し、『流眼』で感じ取り理解する。

 「……っ」

レーザーが明らかに遅くなる。苦痛に歪めたリンの顔を見るだけで苦しくなった。それでも、だからこそ、オレは自分の役割を果たす。

 〔下には誰もいない!開放するんだ!〕

 「ぅん!」

いずれかの方向に解き放ったとしても、そこに罪のない人が、メハがいたら、リンの精神に悪い。

ダァアアアアアン!!……パラ パラ……

床の破壊による粉塵が視界を邪魔するが、リンは巨大な穴とレーザーの発射口を粗方確認することで追撃がないことを察する。振り返れば、壊れかけの巨大な電子モニターがあった。無表情で見つめるリンに慌ててなるべく明るい声で話しかける。

 〔情で訴える癖にそれすら虚構って、アピスクソだなっ…!!〕

電子モニターに手を触れ、異能を発動していた。【操作】というより【観測】なのだが、データメハを探しているようだ。そこで自らオレの過ちに気付く。

 <かける言葉を間違えたな。まだ完全なダミー張りぼてかは確認してなかった>

そして、リンは静かに手を離し、声にする。

 「そう」

ダ ン !

 〔リン!〕

リンが膝をつく。本人はその変化が予測できなかったようで困惑している。

 〔大丈夫かい?〕

 「…のはず。…無傷だけど、疲れたみたい」

リンは特に頭部が熱かった。

 <そりゃあ、そうだろ。常人だと速すぎるレーザーにそもそも流れを感じること自体難しい。その上で親和力が高くなければ干渉しにくい。それをたった一時間でできる方がすげぇーのに、直前の一時間では超絶頭を酷使するようなレーザーの弾幕…。オレがリンを守らなければ……>

リンは立ち上がる。

 「RTA …」

 〔リン!〕

先を急ごうとするリンを抑止する。熱望に執念、リンにも変化が起きている。痩せた見た目は狂気染みたものを予感させる。
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~                                                    敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu                                                   世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒)                                                    得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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