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第3章 ~よう
きめ②
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リンは隣でうなされていた。逆に言えば、それほどまで回復したのだ。
「ぅ…めハ……」
<なんとか乗り切れた……>
現状に最もふさわしい言葉だと思う。なんとかリンをあそこから連れ出して、なんとか生還させられた。
「本当にごめんなさい。わてらの尻拭いでどんどん厄介事や心労が増えてる気がするわ」
リンの回復に一番力となったのはケイトだと言える。ケイトの魂を僅かに借りて妖精による応急手当ができた。リンは安静にしておけばもうしばらくはもつ。安全圏である。
〔君たちは悪くない。アピスさえいなければこんなことにはならない〕
リンの救出には、グルバンやケイト、ルコまで協力してやっとである。メハという犠牲はオレに責任がある。もっと用心深くすべきだった。リンの生活する範囲のリサーチが、メハの電脳空間の異常をチェックするなど事前にすべきことがもっとあった。アピスをまた侮ったが故の失態なのだ。
<メハはオレが殺したようなもんだ。責任を持ってリンを護る。そして、オレがメハを……>
歯痒い気持ちは解消されることなく、多少のイライラを抱えながらリンの起床を待った。
目が覚めた。リンは起き上がって辺りを見渡す。ここが公園で浮かんで寝ていたのを悟る。
〔お、おはよう〕
「うん」
〔これは、現実だ。そして、謝罪させて欲しい。オレのせいで〕
「いいよ。シンの気持ち…わかるから」
〔あぁ…すまない〕
「助けに行く」
〔!!ま、待ってくれ。それはオレが裏でしておくから〕
「いや」
〔君は怪我や病でボロボロだ。身体にさわるし、足手纏いになる〕
こう言えばついて来ないと知っていた。合理的で理解の早い子だ。
「それでも、いや」
〔分かってくれよ。アピスの前に性別も年齢も関係ない。あいつは、悔しいが強い〕
「協力する。勝算、高い」
リンは興奮しているのか言葉が雑になっている。
〔メハは君がくることを望んでいない!〕
「分かってるよ」
〔……〕
言いたそうにしているリンを止めることができなかった。ここで止めなければ、止まらないそんな既視感を肌で感じながらも、オレが止まってしまった。
「ずっと守ってもらった。今回も…。他の霊も護ってくれてる。わたしはお返ししなきゃ」
〔しなくてもいいって言ってくれるさ。彼らは世話好きで君に見返りなんて求めていない。したいからしてる。善いことなら一方通行でも許されるんだよ〕
「なら、わたしもしたいからする」
〔それとこれとじゃ〕
「わては良いと思うぞ」
ケイトが口を挟む。
「守られているだけじゃ決して強くなれない。可愛い子には旅をさせよというように少々危険に触れておくのもいい経験じゃ」
〔分かってるだろ?アピスが絡んでる。リンが死んでもいいのか?!〕
「なわけなかろう。おぬしを信頼してこその提案じゃ」
ケイトはそこでオレに小声で、
「ここで行かせなかったら一生禍根が残る。リンは表にはあまり出さんが、まだ子どもなんじゃ。精神的成長にも、精神の安定のためにも必要なんじゃ」
〔…でも〕
「おぬしが心配してくれて本当に助かっておる。今回の件、責任に感じてくれてるのも分かっておる。用心することは構わんが、過保護になって子の成長に害する保護者は、本当に保護者としてふさわしいかのぅ?」
〔分かった……。ただ手伝ってもらうかもしんねーぞ〕
「構わんよ。おぬしの善意である限り」
「決まった」
リンがそう言ってきてふと思ってしまう。覚悟を決めれてないのはオレだけだったのかもな。
「ぅ…めハ……」
<なんとか乗り切れた……>
現状に最もふさわしい言葉だと思う。なんとかリンをあそこから連れ出して、なんとか生還させられた。
「本当にごめんなさい。わてらの尻拭いでどんどん厄介事や心労が増えてる気がするわ」
リンの回復に一番力となったのはケイトだと言える。ケイトの魂を僅かに借りて妖精による応急手当ができた。リンは安静にしておけばもうしばらくはもつ。安全圏である。
〔君たちは悪くない。アピスさえいなければこんなことにはならない〕
リンの救出には、グルバンやケイト、ルコまで協力してやっとである。メハという犠牲はオレに責任がある。もっと用心深くすべきだった。リンの生活する範囲のリサーチが、メハの電脳空間の異常をチェックするなど事前にすべきことがもっとあった。アピスをまた侮ったが故の失態なのだ。
<メハはオレが殺したようなもんだ。責任を持ってリンを護る。そして、オレがメハを……>
歯痒い気持ちは解消されることなく、多少のイライラを抱えながらリンの起床を待った。
目が覚めた。リンは起き上がって辺りを見渡す。ここが公園で浮かんで寝ていたのを悟る。
〔お、おはよう〕
「うん」
〔これは、現実だ。そして、謝罪させて欲しい。オレのせいで〕
「いいよ。シンの気持ち…わかるから」
〔あぁ…すまない〕
「助けに行く」
〔!!ま、待ってくれ。それはオレが裏でしておくから〕
「いや」
〔君は怪我や病でボロボロだ。身体にさわるし、足手纏いになる〕
こう言えばついて来ないと知っていた。合理的で理解の早い子だ。
「それでも、いや」
〔分かってくれよ。アピスの前に性別も年齢も関係ない。あいつは、悔しいが強い〕
「協力する。勝算、高い」
リンは興奮しているのか言葉が雑になっている。
〔メハは君がくることを望んでいない!〕
「分かってるよ」
〔……〕
言いたそうにしているリンを止めることができなかった。ここで止めなければ、止まらないそんな既視感を肌で感じながらも、オレが止まってしまった。
「ずっと守ってもらった。今回も…。他の霊も護ってくれてる。わたしはお返ししなきゃ」
〔しなくてもいいって言ってくれるさ。彼らは世話好きで君に見返りなんて求めていない。したいからしてる。善いことなら一方通行でも許されるんだよ〕
「なら、わたしもしたいからする」
〔それとこれとじゃ〕
「わては良いと思うぞ」
ケイトが口を挟む。
「守られているだけじゃ決して強くなれない。可愛い子には旅をさせよというように少々危険に触れておくのもいい経験じゃ」
〔分かってるだろ?アピスが絡んでる。リンが死んでもいいのか?!〕
「なわけなかろう。おぬしを信頼してこその提案じゃ」
ケイトはそこでオレに小声で、
「ここで行かせなかったら一生禍根が残る。リンは表にはあまり出さんが、まだ子どもなんじゃ。精神的成長にも、精神の安定のためにも必要なんじゃ」
〔…でも〕
「おぬしが心配してくれて本当に助かっておる。今回の件、責任に感じてくれてるのも分かっておる。用心することは構わんが、過保護になって子の成長に害する保護者は、本当に保護者としてふさわしいかのぅ?」
〔分かった……。ただ手伝ってもらうかもしんねーぞ〕
「構わんよ。おぬしの善意である限り」
「決まった」
リンがそう言ってきてふと思ってしまう。覚悟を決めれてないのはオレだけだったのかもな。
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