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第3章 ~よう
別れ②
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病室に戻って来た。リンも苦しそうではあるが、眠っている。だが、病室の清潔感などありはしない。そこは火の海だった。
「あーあ、もう時間切れか。押し切れるかと思ったってのに」
「すまない。あまり余裕がない」
アピスとグルバンがここで戦っていたようだ。グルバンが戦えているのは、妖精たちに協力を促したからである。妖精たちもリンを護りたいという利害一致での協力。あまり妖精は頭が良くないからこそ、グルバンが妖精たちを指揮する。ただの隣人や神子であっても多少の時間稼ぎはできる。が……。
〔リン行くぞ〕
ほぼ意識のないリンを再度浮かばせる。
〔グルバン…頼む〕
オレはグルバンに背を向けて窓から飛び降りる。
「待てよ!」
「させんよ」
後ろを見すらしない。信じているんだ。まず、リンだ。
――わしはただシンがリンのいる電脳世界に行ったのを見送った。妖精は見えるはずもなくただ時間が過ぎるのを待った。すると突然、ドアが開く。間違いないアピスだ。
「さて、行ったみたいだな」
アピス愛用のレールガンを取り出す。
ダーーン!
リンに向けられた凶弾はリンにあたることはなかった。その明確な殺意に歯ぎしりする。
「指一本触れさせるかよ」
【雷】は受け流し、【風】で牽制と声を伝える。お返しに分かりやすく敵意をのせて声を飛ばす。
「失せろ」
「グルバン様ではありませんか~いらしたんですね。リンちゃんの病気は最新の科学で周りの人に害があることがわかったんですよ。ですから、非常に心苦しいのですが私の手で」
「もういい」
話にならない。嘘しかない自己弁護なんぞ反吐がでる。
<お前だけは……許さん>
「話し合いができないなんて残念です」
<どの口が…っ!>
アピスは心にもないことを言いながら試験管のようなものから液体を零す。アピスの足元を起点に火の手が回る。こうなるとリンのために清浄な空気が回るように【風】を使うことになる。
<あいつの得意なのは【雷】下手に【水】は使えない。【土】はこの辺にあるわけがない。流れているものなんて……>
そこでシンが戻ってくる。
「あーあ、もう時間切れか。押し切れるかと思ったわ」
「すまない。あまり余裕がないんじゃ」
〔グルバン…頼む〕
シンはグルバンに背を向けて窓から飛び降りる。
「待てよ!」
「させんよ」
アピスがシンのいた窓に手榴弾とレールガンを打ち込む。手榴弾は【水】の壁を作り上げ、レールガンは【雷】で受け流す。視野を広くして確認できていないと詰んでいた。
<どこまでも…こいつは!!>
燃え盛る炎に熱苦しさを感じることはない。ふつふつ湧き上がるこの熱を噛み締める。正念場。誰に言われなくとも分かる場面。アピスを睨みつける――
「あーあ、もう時間切れか。押し切れるかと思ったってのに」
「すまない。あまり余裕がない」
アピスとグルバンがここで戦っていたようだ。グルバンが戦えているのは、妖精たちに協力を促したからである。妖精たちもリンを護りたいという利害一致での協力。あまり妖精は頭が良くないからこそ、グルバンが妖精たちを指揮する。ただの隣人や神子であっても多少の時間稼ぎはできる。が……。
〔リン行くぞ〕
ほぼ意識のないリンを再度浮かばせる。
〔グルバン…頼む〕
オレはグルバンに背を向けて窓から飛び降りる。
「待てよ!」
「させんよ」
後ろを見すらしない。信じているんだ。まず、リンだ。
――わしはただシンがリンのいる電脳世界に行ったのを見送った。妖精は見えるはずもなくただ時間が過ぎるのを待った。すると突然、ドアが開く。間違いないアピスだ。
「さて、行ったみたいだな」
アピス愛用のレールガンを取り出す。
ダーーン!
リンに向けられた凶弾はリンにあたることはなかった。その明確な殺意に歯ぎしりする。
「指一本触れさせるかよ」
【雷】は受け流し、【風】で牽制と声を伝える。お返しに分かりやすく敵意をのせて声を飛ばす。
「失せろ」
「グルバン様ではありませんか~いらしたんですね。リンちゃんの病気は最新の科学で周りの人に害があることがわかったんですよ。ですから、非常に心苦しいのですが私の手で」
「もういい」
話にならない。嘘しかない自己弁護なんぞ反吐がでる。
<お前だけは……許さん>
「話し合いができないなんて残念です」
<どの口が…っ!>
アピスは心にもないことを言いながら試験管のようなものから液体を零す。アピスの足元を起点に火の手が回る。こうなるとリンのために清浄な空気が回るように【風】を使うことになる。
<あいつの得意なのは【雷】下手に【水】は使えない。【土】はこの辺にあるわけがない。流れているものなんて……>
そこでシンが戻ってくる。
「あーあ、もう時間切れか。押し切れるかと思ったわ」
「すまない。あまり余裕がないんじゃ」
〔グルバン…頼む〕
シンはグルバンに背を向けて窓から飛び降りる。
「待てよ!」
「させんよ」
アピスがシンのいた窓に手榴弾とレールガンを打ち込む。手榴弾は【水】の壁を作り上げ、レールガンは【雷】で受け流す。視野を広くして確認できていないと詰んでいた。
<どこまでも…こいつは!!>
燃え盛る炎に熱苦しさを感じることはない。ふつふつ湧き上がるこの熱を噛み締める。正念場。誰に言われなくとも分かる場面。アピスを睨みつける――
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