解放

かひけつ

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第3章 ~よう

ご機嫌②

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☆sideシン
リンから見せられた景色を思い返す。龍児やソウのように視える人間の視界世界だった。だが、その2人の精度、性能ともに上位互換と言える。

 異能なしで、ここまで至っている。

視覚情報より死角がなく、質量や密度など、この世の真理が見えているかに錯覚しそうなレベルの芸当である。『流眼』は流れを見ていたが、リンは妖精どころか死者の魂すら…捉えている。リンの周りにはAI以外にも妖精や子どもの霊が抱きついていた。みんなから愛されているのだろうと察せられる。

 〔……〕

 「……」

 「え?なに?どうしたの?」

現在に思考が追いついて確信する。

 <心も、記憶も視えるのか…>

それは超能力と俗に言われるレベルの範疇を超えている。世の中に出回る超能力者は言ってしまえば、一般人に怪我生えた程度で少し充実した生活が送れる。魔女狩りのようなレアなケースもあるが、世渡りをきちんとすれば一般人の上位互換とも言えてしまう。

 その範疇に収まっていないのである。

言わば、やろうと思えば個人の域を超えて、市場を、国を、世界を手中に収める可能性があるのだ。なにより、リンの理性が充実していた。霊や妖精に好かれているのが最たる例だ。だからこそ、惜しい。

 <これほどの才能があればアピスすら凌駕できる可能性が……>

 「神様…なんでしょ」

それはあまりにも平坦で、淡々としてるが故に現実味を伴っていなかった。こちらの考えを全て見通しているかのような聡い表情は底知れなさよりも、オレは納得した。この能力があるからこの人格があり、この人格だからこの能力を得たことを。

 「リン…?なにを言って」

 〔あぁ、そうだよ〕

 「わたしが…やればいいの?」

 「リン?」

オレもAI同様に驚きが隠せなかった。が、その真意を察して言葉を返す。

 〔本当にやりたいのかい?〕

 「すべきでしょ?」

その言葉は声色よりずっと重い意味が滲み出ていた。しなきゃいけないからするのだと。しかし、一切嫌味はなく、そうなることを知っていたかのような覚悟すらあったのだ。運命を受け入れる。達観にも近い感性は子供らしくない。だからこそ、オレは決心する。

 「リンやめt」

 〔やらせない〕

 「…どうして?」

 〔今のリンは、条件を満たしていない……〕

 「ん?分かんない」

 〔もっと成長したら、考えるかもな。まぁ、強制はしないし、されてもいけない・・・・・・・・

この子は現状を把握して、その上で誰かが神子となって立ち上がらなければならないこともわかっていた。しなければならないからするなんて、大人がすべきなのに、だ……。合理性や効率で考えるなら、この子と共にアピスを倒すべきではある。それは状況がよく見えてるが故に責任を感じているのかもしれない。でも、過去を知っているが故にオレらの業で苦しめてはいけないんだ。オレがそこまで関わらなければアピスに害されることもないはずなんだ。

 「そっか…」

少しだけ表情を曇らせるだけで、さほど驚いている様子がない。受け入れてしまうのだ。リンの人生がその感性を作ってしまったのだろう。

コンコンコン

扉がノックされた。
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~                                                    敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu                                                   世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒)                                                    得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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