解放

かひけつ

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第3章 ~よう

塵モ③

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☆sideシン
アピスは長ったらしい嫌味を吐いていた。聞くに堪えなくて、半分は耳が拾おうともしない。

 「……俺に挑むのは無駄だ。無意味だ。ただの餌だ」

 「わたしの心は死んでない」

リンは強すぎることも、弱すぎることもない声量で、芯のある声がオレの心を潤す。

 「わたしの仲間も、友達も、死んでない」

 「…はーあ。頭と心は違うってことを…、現実を、教えてやるよ」

パチン!!

流れるようにアピスは指を鳴らす。

 「このゲームでは、自分の城の耐久値がなくなれば、負けを意味する」

 「……」

リンはじっとアピスの言動を目で追う。そして、予想していたことが現実になる。

 「おい!放せ!!」

 「どこなんだ一体!」

 「アピスさんの声がする!助けてください!!」

様々な声が飛び交う。目隠しをされている男たちが身動きをとれない状態で現れた。アピスは冷たく言い放つ。

 「外野は黙ってろ」

 「ぁが………っ!」

 「まー。分かっているだろうが、耐久値が減らされるとその分だけこいつらが犠牲になる。俺でも、お前でも」

 「………」

 「………」

リンの顔は澄んでいた。アピスは笑みを貼り付けてこちらを見ているが、迷いも同情も欠片も感じさせないリンに違和感を感じてか、眼が笑っていない。

パッパ…!

 「やっぱ、全員殺しちゃおう!」

アピスは手を控えめに叩く。

バジュンン!……ドサァァ

いとも簡単に男たち人質を全員にトドめをさす。血飛沫しぶきに断末魔、死を目撃する。そんなことが起こっても、リンの表情は曇らない。ついにアピスの笑みが消え、低い声で脅す。

 「余裕だか、虚栄だか知らねーが、お前の大事な大事な、ただのメカは俺の手にあることを忘れるなよ」

 「分かってる」

リンは顔色を変えない。静かに怒っている雰囲気も纏っているが、感情を読むのが難しい。オレにとってもそうだから、アピスも読めやしないだろう。アピスは僅かに眉をひそめる。

 「人の死を軽視するなんて人間としてどうなんだ?」

 〔ぉま〕

バンッ

オレの条件反射の声を遮るようにリンは台を両手で叩く。アピスはおもむろに現状を面白がるようにニヤつきだす。

 「始めよ」

 「あぁそうしよう」

ゲームが始まる。負けられないゲームが……。
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~                                                    敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu                                                   世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒)                                                    得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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