解放

かひけつ

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第3章 ~よう

ご機嫌

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――sideアピス
順調だ。可能性は無限大と聞くが、とある事実でかなり広がった。思わず口角が上がってしまう。いや、いつも上がっていたか、思い通りに行き過ぎて…。

 「…」

歪んだ口元に手を当てて、コンマ一秒も満たない一瞬で無表情にする。油断は良くない。地震には初期微動がある。竜巻には兆候がある。大きな異変の前には些細な異変はあるものだ。さぁ、確認しようか――



☆sideシン
オレは電脳世界に入って、二人に話しかける。

 〔見つかっちゃったみたいだね。初めまして、オレの名はシンだ〕

一人は多少驚いているようだが、そこまで衝撃ではないようだ。もう一人、いや、一体はと言った方が正しいのだろうか、人工知能がグルバンの娘目的の少女の後ろにいた。

 〔きみがリンかい?〕

少女が小さく頷いた。人工知能が流暢にしゃべりながら前に出る。

 「あなたは何者ですか?何しにきたんですか?それ以上近寄らないで下さい」

少女を庇うように立つ姿は、血のつながった姉のようだった。

 〔あー…危害を加えるつもりはない。お話したいだけだよ〕

 「大丈夫。嘘じゃない…から」

 「…リン」

 「現実で…」

 「わかった…。リンは現実で話したがってるからログアウトさせるつもり。あなたもくるでしょ?」

 〔あぁ、構わないよ〕

少女たちの身体は光り始め粒子となって消える。勝手に侵入ログインしたように脱出ログアウトすればいいだけだ。



丁寧に清掃されていて、綺麗なのだが、どこか生活感のない…殺風景な病室だった。高級そうなベッドでリンは眠っていた。時が止まったかのように静かで何も動くものがない部屋だった。が、ゆっくりと静かに瞼を開けることなく起き上がる。

 〔おはよう〕

 「うん」

リンの枕もとの小さな機械が動く。丸っこいボディで愛嬌があるのだが、とげとげしい視線を感じた。

 「変なこと言い出したら人呼ぶから」

 〔分かったって。身構えないでくれよ〕

 「気にしないで…。こういう子だから……」

 「リン!多少は警戒しなさいよ!嘘をついてなくても裏切られることはあるんだからね!」

 「ん」

微笑ましい気持ちになる。アピスへの憎悪が少し薄れる。少なくともこんな警戒がかわいらしく見える内は、平和で幸福な時間なのだろう。オレは…この子達を守らなければならない。この幸せを壊しちゃいけない。

 〔フーーッ〕

この子を見守るんだと覚悟を決め、リンと向かい合おうとリンのいた場所を見るが、いない?

 「…大丈夫?」

死角から手が伸びる。リンはベッドに膝立ちでオレの顔に手を添えて、顔色を伺ってきたのだ。

 「ちょっ、リン触ってるでしょ!不用意に触らないの!」

 〔なんでもな!〕

********************

周りの景色が変質する。オレが無意識に、別視点の感覚が

********************

 <こ、これは…?!!>

 「?」

一瞬だったが、間違いない。リンの視点だ。運命的な出会いを感じた時、自律神経などの作用で想像力が刺激される現象にも似ているが、これはレベルが違う。

 <偶発?不安定な条件?関係ない。これは、超能力の域だ>

 「はーなーれーるーの」

リンは丸っこいAIに体を押し付けられているが、気にも留めていない。ゆっくりと理解する。リンがオレを認識できたのは、盲目でも音などを頼らずにオレの顔に触れられたのも……。これのおかげだ。確信する。ケイトに並ぶ、本物の天才であることを。
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~このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なく、すべて空想です~                                                    敬語や言葉選びはよく考えてはいるつもりだが、拙い文は長い目で見てやって欲しい。更新は調整中だが、頑張って完結予定。 X始めました!!! →https://x.com/kahiketu                                                   世界観は独特で人を選ぶかもだけど、結構ジャンルは荒ぶると思う。ただ、単純にホラーとミステリーは得意じゃないから触れないかも。好きなのは、ファンタジー、異能、神、科学、記憶、(デス)ゲームなど。幽霊や呪いも使いはする(ホラーにはならないはず)。 辻褄を合わせたがるので、凝り性。設定チュウ(毒)                                                    得意でないのは、恋愛やミステリー(=謎解き)、あとハーレムとか、R18系は基本無理。
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