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第二章
焦燥と熱量と君
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二週間後、サルタン王子主催の夜会がある。
強制的にランは参加する事になった。
それを知ったサウスがずっと怒り狂っており、ずっと宥めていて、ランはずっと胃が痛い。
夜会にイツと一緒に行く事は決まっているが、ランが着用する服はミグリ家が用意する事になった。
ランの保護は、形式上ダグス・ラルズ家が行うが、ミグリ家が実質保護人になると見せる為だという。
貴族の礼儀作法も何も知らない平民に、いきなり夜会に飛び込ませるなんて、どんな刑罰だろう。
匂いを押さえる薬も止められている。
サウスは、いつもの業務と登城が増えたらしい。
蜜人と夜会に関する事のようだが、貴族同士の話し合いのようで、ランは茅の外だった。
そして、今もサウスは目の前で、怒り狂っている。
「なんで、ランは私のお嫁さんじゃないの?」
「サウス」
「なんでなんで!?」
「お、落ち着いてください」
一人になると、不安定になるのか、サウスは暴れまわる。
まだ、ラン自体に危害を加えないのは救いかもしれない。
一頻りサウスが暴れた後で、ランは宥めるために、サウスの部屋に来ていた。
夜会まで、サウスの後宮で過ごす事になっている。
グリーダ家も話が行ったらしいが、サウスが潰したらしい。
ダグラズ家は公爵家だ。
自分が下なのは分かっている。
それでも、ランが自分ではなく、他の貴族のものとして、横に立つのか許せない。
「私が最初に求愛したのに!私が1番、好きなのにっ!」
「サウスっ!・・・・・今回、だけです。名義上、仕方がない事です。王族に対抗できるネームバリューを持ってるのは、イツ様だけだから」
その言葉に、サウスがかっとなり、ランを押さえつけた。
「私じゃ、物足りないと言うのか?金や地位を持っている方を取るのか?」
「ちがっ」
ぎらぎらした目で睨み付けられ、肉食獣にしか見えない。
被食者のランが恐怖で泣きそうになる。
震える頬を触りながら、サウスは猟奇的に笑う。
「・・・・ランは、弱い立場だから仕方がないよね。一番強い者に追従するしかない」
「本意では、ないよ・・・・・・」
「じゃあ、なんでイツに尻尾を振ったの?近付くなって言ってたよね?王族にも、媚を売るつもり?」
「違う」
「私の事、好きだと言ったのに。嘘ばかりだ」
「嘘なんて、言ってないよ・・・・・・」
弱々しく返した。
ギラギラした目を、ランは大人しくする術を知らない。
「壊してしまおう。素直なランにしてあげるから」
いきなりランの腰を持ち上げた。
「嫌っだ!おろしてっ!」
「お仕置きだよ。ランがいい子になるように、閉じ込めてあげる」
「誰か、助けっ」
叫ぼうとして、タオルで口を塞がれた。
「私以外、選らばないようにしてあげるから」
怒りの熱量は全て、ランが受け入れることになる。
ランが逃げようとしたが、抱き上げられそのままベッドに投げ落とされた。
「愛してるよ、ラン」
衣服を剥ぎ取りながら、サウスがにっこりと微笑んだ。
殺される・・・・っ!!
これ以上、話したら本当に殺されると感じ、ランが口をつぐんだ。
ランの目には絶望しか映らなかった。
それから一晩中、嫌だと泣き叫んでも、サウスは決してランを寝かさなかった。
ぱちぱちと頬を叩かれる感触で、ランは眼を覚ました。
喉か叫びすぎて痛い。
がらがらの声で、嘆願する。
「サウ、ス・・・・ご、めん、なさ・・、許し・くださ・・・」
「旦那様は、城にあがっておられます」
目の前には、黒の細い目がある。
「ひっ・・・・アカ、シさん・・・・・」
ランが起きあがろうとして、アカシにがっちりと腰を捕まれ、深く中に入れ込まれている事に気付いた。
アカシも裸だった。
サウスの後宮に作られた、ランの部屋だ。
いつの間に、部屋に連れてこられていた。
「な、んで・・・・」
「中断したら、回復してしまうでしょう?貴方はすぐ逃げ出す。旦那様が、自分の留守中は私がお仕置きを続行するように、仰せつかっております」
「ひ、やめ、て・・・・っ!」
身体が強ばったせいか、きつくアカシを締め付け、アカシは呻いた。
「力を抜いてくださいね、ラン様。すぐいきそうです」
サウスに一晩中愛されたランの身体は、アカシを易々と飲み込んでいる。
「抜い、て・・・・・・っ!」
「私も、本意ではないのですよ?貴方と身体の相性がとてもいいから、仕方がなく」
冷静にアカシは耳元で囁いた。
「嫌・・・やめ、てくだ・・・・」
「女にしろと旦那様から、ご命令がありましたので」
ランの意思関係なく、アカシは腰を動かし出した。
ランが暴れようとしたが、アカシは易々と押さえつけにっこりと笑った。
「大丈夫ですよ、ラン様。腹は壊しません。貴方は、旦那様の子供を産む予定ですから。ただ、貴方の心が、壊れるくらい優しくしていかせてやれと命令されております」
ランが声なき悲鳴をあげたが、アカシの口にかき消された。
薄暗い部屋の中、はあはあと自分の息を吐く音が聞こえる。
「ここ?ここですね?」
身体に力が入らないランが、顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら喘いでいる。
もう男ではないなと、アカシは冷静な目で見る。
蜜人の甘い匂いが、脳髄を直撃する。
「あっあっあっ」
ランは短い間隔で、突かれる度に痙攣を繰り返す。
サウスがやり尽くしているはずなのに、ランは可愛らしくアカシを受け入れる。
「ふふ、気持ちいい?竿を触っていないのに、すぐいってる。私と相性が本当にいい」
ランの反応がある場所を中心に突くと、ランは無意識に締め付け飲み込もうとする。
切なげにもどかしげに、ランがアカシの下で悶える。
可愛らしい。
こんな顔を主人のサウスではなく、自分にするのだ。
「いや、だ。怖い・・・・・・っ」
「ここ?」
「んんんっ」
未知の快楽に、ランが怯える。
「ここ?ここですね?ほらほら、いってください」
激しく突くと、かくかくと身体が震える。
「いや、嫌あああっ!サ・・・・・・ウスっ」
名前を呼ぶようにしつけた。
主人は喜んでくれるだろう。
頭を撫でると、まるで子供のようにすり寄せる。
「・・・・いい子です、ちゃんと旦那様を呼んで、いってください」
「あー・・・・・・」
空イキをしているランは、既に痙攣を繰り返すのみだった。
ランの目は、虚空を向いており何も映していない。
ぐしゃぐしゃになった顔を舐めながら、アカシは囁いた。
「もう壊れちゃいましたか?」
何度出しても、自分のものが衰えない。
蜜人の体液に、身体が馬鹿になっているのだ。
ランは浅く息を繰り返している。
潤滑剤を腹に垂らしながら、ランを抱き起こした。
ランの口の中を舌で探りながら、腰を掴み、位置を調整する。
ランの汗さえも、全部舐めとってしまいたい。
『自我が無くなるくらい、壊してしまおう』
うっとりと意識のないランを抱き締めるサウスは、異常だ。
男に興味のない自分に、ランを抱かせる位異常だ。
ランが自分を苦手にしていることは、どうみても分かるだろうに。
サウスは、周りの人間を物としか見えていないのだ。
唯一、人と認識しているランに対して、異常な執着を見せるのは、ロジムの貴族の性なのかもしれない。
ランが蜜人でなかったら、とっくにここに監禁されていただろう。
我々も、ラン一人の犠牲で、サウスが〝まとも〟になるのなら、喜んで監禁する。
平民が一人消えた位で、誰も波風を立てれない。
残念だと思う。
ランが蜜人であったばっかりに、サウスが、我が主人が、余計な心の負担を強いられるのだ。
部下の自分としては、蜜人を抱けるのは、役得かもしれないが。
サウスは、ランを男好きにしたいと言いながら、アカシ以外の部下にランを抱かせていない。
少しでも、ランが目移りすることが許せないのだ。
サウスは、自分以外の人間が、ランに必要以上に好意を持ち初めている事に気付いている。
蜜人の体液は、麻薬だ。
ものすごい多幸感と、体力の万能感をもたらす。
男を抱こうとは思わないが、ランは別だ。
蜜人がどれだけ貴重なのか、サウスもあまりよく分かっていないのだと思う。
ランの身体は女と違うが、ごつい男とも違っていて、相性が本当にいいのか、とても具合がいい。
ランも、自分の少しの動作で乱れるらしく、サウスが自分に嫉妬の目を向けているのを知っている。
『物』と思っているからこそ、ランの相手をさせてるのだ。
自我が薄れて、甘えるランは、きっと自分だと分かっていない。
それでも。
「おかしくなりましたか?」
もう一度聞くと、回された足がきゅうと腰を締め付けた。背中の手は、軽く爪を立てている。
「ひゃ、もっと・・・・・・サウス、サウス」
大分、ベッドでは、ランも従順になってきた。
その腕がまるで本当の恋人のように、アカシを優しく抱き締めると錯覚する。
甘えてアカシにすがり付き、ランが泣き出した。
むず痒い所をもっと擦ってくれと、ランが腰を擦り付ける。
アカシが愛しげに、ランの額に張り付いた髪をはらった。
「可愛い。いい子です。・・・・・・アカシ、と呼んでください」
「アカ、シ・・・・?」
その言葉に、アカシの肉棒が一段と膨張した。
ランが甘えたように、胸板に顔を埋める。
「そうです、アカシです。いい子です」
「アカシ、アカシ・・・・・」
アカシがうっとりとランを抱き締めた。
耳元で誰かが、話している。
「なんで、アカシだけなんだ?おかしいだろう」
ベッドの横でクスノが、何か言っている。
ランはうっすら目を開けた。
クスノとウツギが言い争ってる。
二人とも上着を脱いでいる。
サウスの登城は終わったのだろうか。
起きた事に気付いたのか、クスノが駆け寄った。
「・・・・・・」
「ね、ラン殿、私たちにも、憐れみをくださいね?」
「も、無理・・・・・・」
指一本動かせない。
サウスは、まだ帰って来ていないのか。
もう、お仕置きは終わったのだろうか。
途中から、何も覚えていない。
アカシは、いつのまにか居なくなっていた。
身体中が痛いし、ダルい。
サウスが帰って来たら、またやらなければいけないのか。
本当に、死ぬかもしれない。
なんて、嫌な死因だ。
男同士で腹上死なんて、末代迄言われてしまう。
「我々を見てくださいっ」
ぐいっと腕を引かれたが、ランは力なくされるままになった。
「やめろ、クスノ。これ以上は、ラン殿が壊れる」
ウツギがクスノの腕をひねり上げ、ランから離した。
「お前、悔しくないのか。アカシばかり。俺だって、旦那様の部下なのに」
「・・・・ラン殿が壊れるのは避けたい」
「ちょっと触るくらいだっ」
ランはぼんやり二人を見ている。
ウツギがランを抱き起こし、後ろから抱き上げた。
「な、に・・・・?」
ランがのろのと顔をあげる。
「アカシと楽しんだのでしょう?」
少し不服そうに、無表情にウツギが覗き込んでいる。
「・・・・・・」
あれは楽しんだというのか?
散々いかされて、もうよく分からない。
「ずるいです。同じ旦那様の部下なのに。我々にも憐れみをください。」
必死にクスノが、何か言っている。
「憐れみ・・・・・・?」
何を言ってるのだろう?
「ラン殿、身体の力を抜いてください。クスノが無理に抱こうとしているから、今止めているのです」
「無理、で、す・・・・・・」
「だから、それ以外をください。別に精液じゃなくてもいいんです。体液なら」
「血・・・・・?」
考えれない頭で答える。
「そんな事をしたら、旦那様に我々が殺されてしまいます」
「血以外なら、大丈夫ですよね?ラン殿」
にぃとクスノがランを見て、口角を上げた。
ああ・・・・彼らが何か、私に酷いことをしようとしている。
ランはもがこうとしたが、がっちりとウツギが
身体を固定している。
ぽろぽろとランが泣き出したが、ウツギが丁寧に頬を嘗めた。
「痛い事はしないですから。言うとおりにしてくださいね」
それから、ランはクスノの前で恥ずかしくて死にそうになるくらいの恥辱を味わった。
「ラン様、赤ちゃんみたい」
クスノは、言葉でもランを辱しめる。
ランは大泣きして、暴れようとしたが、ウツギの腕力には勝てなかった。
泣くランの涙を、ウツギは一生懸命舐めている。
「ウツギばかり甘えるから、ずるい。俺にも抱きつかないかな」
口元を拭い、細いガラスの管を振りながら、クスノが羨ましそうに、ウツギを睨んだ。
ランがビクリと、クスノの言葉に震える。
ウツギは、ランにあえて行動しない事にしている。
奥手で人見知りのランは、人を怖がってる。
激しい愛情や執着は、旦那様だけで充分だろう。
クスノやクコが、乱暴にランを扱えば扱うほど、ウツギの強かな思惑は強くなる。
「乱暴にするな。ラン様、本当に壊れてしまうぞ?」
ウツギがランを抱きしめ、クスノに触らせなかった。
「乱暴にしてないだろ。出さなかったから、中に管を入れた位だ。大人しくいい子になっていたら、こんな道具使わない」
ウツギがクスノを睨む。
そして、うっとりとクスノがランを見た。
ランは呆然としている。
「壊れたら駄目だ。ラン殿は旦那様の奥方なんだから」
「もう、やだ・・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・」
何百回と言った言葉を、ランは繰り返す。
「ほら、ラン殿、大人しくしてくださいね。暴れたら、酷い目にあいますよ?」
「ひぃ、おねがい、酷い事をしないで・・・・」
ランの目には怯えしかない。従順な様子に、クスノはぞくぞくしていた。
「ラン殿が、いい子ならこんなお仕置きしなくてもいいんですよ?」
「いい子になる!いい子になるから・・・・・・」
「じゃあ、俺にキスして」
「おい」
ランが素直に、クスノの唇に唇を付けた。
クスノの表情が、パアッと明るくなる。
がばりと噛みつくようなキスをして、口腔内を探る。 逃げようとする舌を絡みとり、口の中を丁寧に犯していった。
「ん・・・・・・んん・・・」
暫く続けると、ランの中心が立ち上がりだした。
「・・・・・・おい!長過ぎだ」
痺れを切らして、ウツギが叫んだ。
口を離すと、ランがトロリとした顔をしていた。
「へへ、ラン殿、可愛い」
「ラン殿、私にも。私にも、キスしてください」
「ん・・・・・・」
ちゅうとランがウツギにキスをした。
ウツギが可愛くて堪らないように、ぎゅうぎゅうとランを抱きしめた。
その様子にクスノが睨み付ける。
明らかに、ウツギはランに特別な感情を抱いているように見えた。
「ぬけがけすんな。ラン殿は旦那様のものなんだぞ。お前、殺されるぞ」
「私はラン殿の護衛だから、護衛らしくしてる。ラン殿は、お前より私のほうが気持ちいいみたいだ」
「ほざけ。お前は、ラン殿を固定しとけばいいんだ。俺は、お前と違って、旦那様の為に開発してるんだからな。ねぇ、ラン殿」
「ひやぁああああああああ」
グリグリと指で先端を弄ると、泣き叫んだ。
「ああ、弄りすぎたかな?暫く、きついかな?大丈夫ですよ。俺がちゃんと管理してあげますから。旦那様に怒られるかな?」
泣き声も甘いなあとうっとりする。
薬を塗り込んだが、少し染みたかもしれない。
「女が抱けなくなるなら、別にいいだろ。お仕置きも兼ねてる」
泣くランの頬を撫でながら、吐き捨てるようにウツギが言った。
ランが女に甘く、自分たちに塩対応なのを思い出したのだ。
「ラン殿、女を抱いちゃだめですよ?旦那様以外の貴族とも駄目ですよ?」
その言葉を聞きながら、ランは完全に意識を失った。
夜会迄、ミグリ家に滞在するランは、サウスに熱量をぶつけられて以来、すっかり従順にな
った。
大人しく部屋で待っているランに、サウスの機嫌も直っていった。
サウスたちにプライドも体力も潰されたランは、何も考えずに日々を過ごした。
強制的にランは参加する事になった。
それを知ったサウスがずっと怒り狂っており、ずっと宥めていて、ランはずっと胃が痛い。
夜会にイツと一緒に行く事は決まっているが、ランが着用する服はミグリ家が用意する事になった。
ランの保護は、形式上ダグス・ラルズ家が行うが、ミグリ家が実質保護人になると見せる為だという。
貴族の礼儀作法も何も知らない平民に、いきなり夜会に飛び込ませるなんて、どんな刑罰だろう。
匂いを押さえる薬も止められている。
サウスは、いつもの業務と登城が増えたらしい。
蜜人と夜会に関する事のようだが、貴族同士の話し合いのようで、ランは茅の外だった。
そして、今もサウスは目の前で、怒り狂っている。
「なんで、ランは私のお嫁さんじゃないの?」
「サウス」
「なんでなんで!?」
「お、落ち着いてください」
一人になると、不安定になるのか、サウスは暴れまわる。
まだ、ラン自体に危害を加えないのは救いかもしれない。
一頻りサウスが暴れた後で、ランは宥めるために、サウスの部屋に来ていた。
夜会まで、サウスの後宮で過ごす事になっている。
グリーダ家も話が行ったらしいが、サウスが潰したらしい。
ダグラズ家は公爵家だ。
自分が下なのは分かっている。
それでも、ランが自分ではなく、他の貴族のものとして、横に立つのか許せない。
「私が最初に求愛したのに!私が1番、好きなのにっ!」
「サウスっ!・・・・・今回、だけです。名義上、仕方がない事です。王族に対抗できるネームバリューを持ってるのは、イツ様だけだから」
その言葉に、サウスがかっとなり、ランを押さえつけた。
「私じゃ、物足りないと言うのか?金や地位を持っている方を取るのか?」
「ちがっ」
ぎらぎらした目で睨み付けられ、肉食獣にしか見えない。
被食者のランが恐怖で泣きそうになる。
震える頬を触りながら、サウスは猟奇的に笑う。
「・・・・ランは、弱い立場だから仕方がないよね。一番強い者に追従するしかない」
「本意では、ないよ・・・・・・」
「じゃあ、なんでイツに尻尾を振ったの?近付くなって言ってたよね?王族にも、媚を売るつもり?」
「違う」
「私の事、好きだと言ったのに。嘘ばかりだ」
「嘘なんて、言ってないよ・・・・・・」
弱々しく返した。
ギラギラした目を、ランは大人しくする術を知らない。
「壊してしまおう。素直なランにしてあげるから」
いきなりランの腰を持ち上げた。
「嫌っだ!おろしてっ!」
「お仕置きだよ。ランがいい子になるように、閉じ込めてあげる」
「誰か、助けっ」
叫ぼうとして、タオルで口を塞がれた。
「私以外、選らばないようにしてあげるから」
怒りの熱量は全て、ランが受け入れることになる。
ランが逃げようとしたが、抱き上げられそのままベッドに投げ落とされた。
「愛してるよ、ラン」
衣服を剥ぎ取りながら、サウスがにっこりと微笑んだ。
殺される・・・・っ!!
これ以上、話したら本当に殺されると感じ、ランが口をつぐんだ。
ランの目には絶望しか映らなかった。
それから一晩中、嫌だと泣き叫んでも、サウスは決してランを寝かさなかった。
ぱちぱちと頬を叩かれる感触で、ランは眼を覚ました。
喉か叫びすぎて痛い。
がらがらの声で、嘆願する。
「サウ、ス・・・・ご、めん、なさ・・、許し・くださ・・・」
「旦那様は、城にあがっておられます」
目の前には、黒の細い目がある。
「ひっ・・・・アカ、シさん・・・・・」
ランが起きあがろうとして、アカシにがっちりと腰を捕まれ、深く中に入れ込まれている事に気付いた。
アカシも裸だった。
サウスの後宮に作られた、ランの部屋だ。
いつの間に、部屋に連れてこられていた。
「な、んで・・・・」
「中断したら、回復してしまうでしょう?貴方はすぐ逃げ出す。旦那様が、自分の留守中は私がお仕置きを続行するように、仰せつかっております」
「ひ、やめ、て・・・・っ!」
身体が強ばったせいか、きつくアカシを締め付け、アカシは呻いた。
「力を抜いてくださいね、ラン様。すぐいきそうです」
サウスに一晩中愛されたランの身体は、アカシを易々と飲み込んでいる。
「抜い、て・・・・・・っ!」
「私も、本意ではないのですよ?貴方と身体の相性がとてもいいから、仕方がなく」
冷静にアカシは耳元で囁いた。
「嫌・・・やめ、てくだ・・・・」
「女にしろと旦那様から、ご命令がありましたので」
ランの意思関係なく、アカシは腰を動かし出した。
ランが暴れようとしたが、アカシは易々と押さえつけにっこりと笑った。
「大丈夫ですよ、ラン様。腹は壊しません。貴方は、旦那様の子供を産む予定ですから。ただ、貴方の心が、壊れるくらい優しくしていかせてやれと命令されております」
ランが声なき悲鳴をあげたが、アカシの口にかき消された。
薄暗い部屋の中、はあはあと自分の息を吐く音が聞こえる。
「ここ?ここですね?」
身体に力が入らないランが、顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら喘いでいる。
もう男ではないなと、アカシは冷静な目で見る。
蜜人の甘い匂いが、脳髄を直撃する。
「あっあっあっ」
ランは短い間隔で、突かれる度に痙攣を繰り返す。
サウスがやり尽くしているはずなのに、ランは可愛らしくアカシを受け入れる。
「ふふ、気持ちいい?竿を触っていないのに、すぐいってる。私と相性が本当にいい」
ランの反応がある場所を中心に突くと、ランは無意識に締め付け飲み込もうとする。
切なげにもどかしげに、ランがアカシの下で悶える。
可愛らしい。
こんな顔を主人のサウスではなく、自分にするのだ。
「いや、だ。怖い・・・・・・っ」
「ここ?」
「んんんっ」
未知の快楽に、ランが怯える。
「ここ?ここですね?ほらほら、いってください」
激しく突くと、かくかくと身体が震える。
「いや、嫌あああっ!サ・・・・・・ウスっ」
名前を呼ぶようにしつけた。
主人は喜んでくれるだろう。
頭を撫でると、まるで子供のようにすり寄せる。
「・・・・いい子です、ちゃんと旦那様を呼んで、いってください」
「あー・・・・・・」
空イキをしているランは、既に痙攣を繰り返すのみだった。
ランの目は、虚空を向いており何も映していない。
ぐしゃぐしゃになった顔を舐めながら、アカシは囁いた。
「もう壊れちゃいましたか?」
何度出しても、自分のものが衰えない。
蜜人の体液に、身体が馬鹿になっているのだ。
ランは浅く息を繰り返している。
潤滑剤を腹に垂らしながら、ランを抱き起こした。
ランの口の中を舌で探りながら、腰を掴み、位置を調整する。
ランの汗さえも、全部舐めとってしまいたい。
『自我が無くなるくらい、壊してしまおう』
うっとりと意識のないランを抱き締めるサウスは、異常だ。
男に興味のない自分に、ランを抱かせる位異常だ。
ランが自分を苦手にしていることは、どうみても分かるだろうに。
サウスは、周りの人間を物としか見えていないのだ。
唯一、人と認識しているランに対して、異常な執着を見せるのは、ロジムの貴族の性なのかもしれない。
ランが蜜人でなかったら、とっくにここに監禁されていただろう。
我々も、ラン一人の犠牲で、サウスが〝まとも〟になるのなら、喜んで監禁する。
平民が一人消えた位で、誰も波風を立てれない。
残念だと思う。
ランが蜜人であったばっかりに、サウスが、我が主人が、余計な心の負担を強いられるのだ。
部下の自分としては、蜜人を抱けるのは、役得かもしれないが。
サウスは、ランを男好きにしたいと言いながら、アカシ以外の部下にランを抱かせていない。
少しでも、ランが目移りすることが許せないのだ。
サウスは、自分以外の人間が、ランに必要以上に好意を持ち初めている事に気付いている。
蜜人の体液は、麻薬だ。
ものすごい多幸感と、体力の万能感をもたらす。
男を抱こうとは思わないが、ランは別だ。
蜜人がどれだけ貴重なのか、サウスもあまりよく分かっていないのだと思う。
ランの身体は女と違うが、ごつい男とも違っていて、相性が本当にいいのか、とても具合がいい。
ランも、自分の少しの動作で乱れるらしく、サウスが自分に嫉妬の目を向けているのを知っている。
『物』と思っているからこそ、ランの相手をさせてるのだ。
自我が薄れて、甘えるランは、きっと自分だと分かっていない。
それでも。
「おかしくなりましたか?」
もう一度聞くと、回された足がきゅうと腰を締め付けた。背中の手は、軽く爪を立てている。
「ひゃ、もっと・・・・・・サウス、サウス」
大分、ベッドでは、ランも従順になってきた。
その腕がまるで本当の恋人のように、アカシを優しく抱き締めると錯覚する。
甘えてアカシにすがり付き、ランが泣き出した。
むず痒い所をもっと擦ってくれと、ランが腰を擦り付ける。
アカシが愛しげに、ランの額に張り付いた髪をはらった。
「可愛い。いい子です。・・・・・・アカシ、と呼んでください」
「アカ、シ・・・・?」
その言葉に、アカシの肉棒が一段と膨張した。
ランが甘えたように、胸板に顔を埋める。
「そうです、アカシです。いい子です」
「アカシ、アカシ・・・・・」
アカシがうっとりとランを抱き締めた。
耳元で誰かが、話している。
「なんで、アカシだけなんだ?おかしいだろう」
ベッドの横でクスノが、何か言っている。
ランはうっすら目を開けた。
クスノとウツギが言い争ってる。
二人とも上着を脱いでいる。
サウスの登城は終わったのだろうか。
起きた事に気付いたのか、クスノが駆け寄った。
「・・・・・・」
「ね、ラン殿、私たちにも、憐れみをくださいね?」
「も、無理・・・・・・」
指一本動かせない。
サウスは、まだ帰って来ていないのか。
もう、お仕置きは終わったのだろうか。
途中から、何も覚えていない。
アカシは、いつのまにか居なくなっていた。
身体中が痛いし、ダルい。
サウスが帰って来たら、またやらなければいけないのか。
本当に、死ぬかもしれない。
なんて、嫌な死因だ。
男同士で腹上死なんて、末代迄言われてしまう。
「我々を見てくださいっ」
ぐいっと腕を引かれたが、ランは力なくされるままになった。
「やめろ、クスノ。これ以上は、ラン殿が壊れる」
ウツギがクスノの腕をひねり上げ、ランから離した。
「お前、悔しくないのか。アカシばかり。俺だって、旦那様の部下なのに」
「・・・・ラン殿が壊れるのは避けたい」
「ちょっと触るくらいだっ」
ランはぼんやり二人を見ている。
ウツギがランを抱き起こし、後ろから抱き上げた。
「な、に・・・・?」
ランがのろのと顔をあげる。
「アカシと楽しんだのでしょう?」
少し不服そうに、無表情にウツギが覗き込んでいる。
「・・・・・・」
あれは楽しんだというのか?
散々いかされて、もうよく分からない。
「ずるいです。同じ旦那様の部下なのに。我々にも憐れみをください。」
必死にクスノが、何か言っている。
「憐れみ・・・・・・?」
何を言ってるのだろう?
「ラン殿、身体の力を抜いてください。クスノが無理に抱こうとしているから、今止めているのです」
「無理、で、す・・・・・・」
「だから、それ以外をください。別に精液じゃなくてもいいんです。体液なら」
「血・・・・・?」
考えれない頭で答える。
「そんな事をしたら、旦那様に我々が殺されてしまいます」
「血以外なら、大丈夫ですよね?ラン殿」
にぃとクスノがランを見て、口角を上げた。
ああ・・・・彼らが何か、私に酷いことをしようとしている。
ランはもがこうとしたが、がっちりとウツギが
身体を固定している。
ぽろぽろとランが泣き出したが、ウツギが丁寧に頬を嘗めた。
「痛い事はしないですから。言うとおりにしてくださいね」
それから、ランはクスノの前で恥ずかしくて死にそうになるくらいの恥辱を味わった。
「ラン様、赤ちゃんみたい」
クスノは、言葉でもランを辱しめる。
ランは大泣きして、暴れようとしたが、ウツギの腕力には勝てなかった。
泣くランの涙を、ウツギは一生懸命舐めている。
「ウツギばかり甘えるから、ずるい。俺にも抱きつかないかな」
口元を拭い、細いガラスの管を振りながら、クスノが羨ましそうに、ウツギを睨んだ。
ランがビクリと、クスノの言葉に震える。
ウツギは、ランにあえて行動しない事にしている。
奥手で人見知りのランは、人を怖がってる。
激しい愛情や執着は、旦那様だけで充分だろう。
クスノやクコが、乱暴にランを扱えば扱うほど、ウツギの強かな思惑は強くなる。
「乱暴にするな。ラン様、本当に壊れてしまうぞ?」
ウツギがランを抱きしめ、クスノに触らせなかった。
「乱暴にしてないだろ。出さなかったから、中に管を入れた位だ。大人しくいい子になっていたら、こんな道具使わない」
ウツギがクスノを睨む。
そして、うっとりとクスノがランを見た。
ランは呆然としている。
「壊れたら駄目だ。ラン殿は旦那様の奥方なんだから」
「もう、やだ・・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・」
何百回と言った言葉を、ランは繰り返す。
「ほら、ラン殿、大人しくしてくださいね。暴れたら、酷い目にあいますよ?」
「ひぃ、おねがい、酷い事をしないで・・・・」
ランの目には怯えしかない。従順な様子に、クスノはぞくぞくしていた。
「ラン殿が、いい子ならこんなお仕置きしなくてもいいんですよ?」
「いい子になる!いい子になるから・・・・・・」
「じゃあ、俺にキスして」
「おい」
ランが素直に、クスノの唇に唇を付けた。
クスノの表情が、パアッと明るくなる。
がばりと噛みつくようなキスをして、口腔内を探る。 逃げようとする舌を絡みとり、口の中を丁寧に犯していった。
「ん・・・・・・んん・・・」
暫く続けると、ランの中心が立ち上がりだした。
「・・・・・・おい!長過ぎだ」
痺れを切らして、ウツギが叫んだ。
口を離すと、ランがトロリとした顔をしていた。
「へへ、ラン殿、可愛い」
「ラン殿、私にも。私にも、キスしてください」
「ん・・・・・・」
ちゅうとランがウツギにキスをした。
ウツギが可愛くて堪らないように、ぎゅうぎゅうとランを抱きしめた。
その様子にクスノが睨み付ける。
明らかに、ウツギはランに特別な感情を抱いているように見えた。
「ぬけがけすんな。ラン殿は旦那様のものなんだぞ。お前、殺されるぞ」
「私はラン殿の護衛だから、護衛らしくしてる。ラン殿は、お前より私のほうが気持ちいいみたいだ」
「ほざけ。お前は、ラン殿を固定しとけばいいんだ。俺は、お前と違って、旦那様の為に開発してるんだからな。ねぇ、ラン殿」
「ひやぁああああああああ」
グリグリと指で先端を弄ると、泣き叫んだ。
「ああ、弄りすぎたかな?暫く、きついかな?大丈夫ですよ。俺がちゃんと管理してあげますから。旦那様に怒られるかな?」
泣き声も甘いなあとうっとりする。
薬を塗り込んだが、少し染みたかもしれない。
「女が抱けなくなるなら、別にいいだろ。お仕置きも兼ねてる」
泣くランの頬を撫でながら、吐き捨てるようにウツギが言った。
ランが女に甘く、自分たちに塩対応なのを思い出したのだ。
「ラン殿、女を抱いちゃだめですよ?旦那様以外の貴族とも駄目ですよ?」
その言葉を聞きながら、ランは完全に意識を失った。
夜会迄、ミグリ家に滞在するランは、サウスに熱量をぶつけられて以来、すっかり従順にな
った。
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