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第一章
繁殖期と魔性と執着と
しおりを挟むランが昨日から、一歩も出てこない。
ランの実家に確認したら、病気で寝込んだと言われた。
スズ母が、早く仲直りしなさい。と言っていたので、何か気がついているのかもしれない。
「ラン、入るよ」
勝手に作った合い鍵で、サウスは扉を開けた。
部屋は暗いままだ。
「ラ、ラン・・・・・・?」
奥の部屋で、ランがシーツを被り、うずくまっていた。目の下には、大きなクマが出来ている。
「来ないでください。貴方は、もう友人じゃない」
サウスは大きく深呼吸をした。
「わ、私は一度も友人と思ってない。ずっと、ランは私のお嫁さんになると思っていた」
ベッドに腰掛け、サウスはランを見つめた。
「・・・・・だから、前は強姦したんですか」
忌まわしい記憶だった。
繁殖期になった不安定なサウスが、何かのきっかけでランを襲ったのだ。サウスは当時の事をあまり覚えていないと言っていたが、ランの心には大きな傷ができた。
繁殖期は記憶を無くすことがあると聞いていたから、信じていたけれど。
サウスは、泣きそうな顔をした。
「だって。だってあの時、ランが別の男と話すから。ランは私のお嫁さんになるんだ。ずっと決めていた。だから、それを阻止するなら、本人でも許さない」
「・・・・・結婚は、本人の同意が必要ですよ」
「私は貴族だ。貴族の位がないランは、どうとでもできる。拒絶されるなら、私の権限や人や物を使って、閉じ込める。貴族の権限でランの家をつぶして、屋敷から一歩も出さない」
「・・・・・・」
「だから、嫌いにならないで、私を拒絶しないでほしい。拒絶しないなら、ひどい事はしない。ちゃんと、ランの意見をきいてもいい」
堂々とサウスが言った。あまりの傲慢ぶりに思わずランが笑う。
「・・・・・どこまで、暴君なんですか」
「私の性格は知っているだろう?粘着質で陰湿だ。それに、執念深い」
「わかってますね。なんで、私なんですか。他に貴方に似合う人間は、沢山いる」
「ずっと、ランだけだった。わ、私はかっこいいし、モテるだろう?」
「・・・・・・・」
サウスはゆるがない。
「ランの為にいろいろしたんだ。勉強も運動も、身体も逞しくして、話し方もよくして、仕事も業績をあげて。全部ランの為だ。ランが男を選ぶ時、自分をえらぶように」
「私が、男を選ぶと思っているんですか」
呆れたように言うランに、サウスが頷く。
「ランは女にも男にも興味がないだろう?興味を示したのは、本と職人が作る道具だった。きっと、強引な人間がいたら、ふらふら流される」
「私は、そんな尻軽じゃありませんよ」
「妻の話しは、保留でいい。前みたいに、無視しないで、相手にして、何でもするから」
2人の間に沈黙が落ちた。
答えないと、ずっと動かないことを、ランは知っていた。
あきらめたように、ランは呟いた。
「・・・・・わかりました。正妻の話は聞かなかった事にします。貴方は暴走するから、迷惑だ。私に二度と求婚しないでください」
「う、うん。約束だ」
薄暗い部屋の中、サウスが嬉しそうに頷いた。
「ずっとそばに居てね。私は、ランが居ないと暴れるからな」
「・・・・・暴君過ぎる」
「うん」
しっかりとランの手をにぎりながら、サウスが嬉しそうに笑った。
サウスの求愛事件から、しばらく時間がたった。
ランは大通りから、少し離れた通りを歩いていた。馬車しか通らず、めったに人は歩いていない。
散歩がてらに、買い物を楽しんでいた。
サウスは約束通り、何も言ってこないし、前のように接してくる。
ランは正直、ほっとしていた。
数少ない友人がいなくなるのは、やはり寂しかった。
自分と結婚したいなんてなんて、馬鹿げたことを言うのだろう。サウスには可愛いお嫁さんが似合うのに。
そんな事を考えていると、真横に、馬車が止まった。
「?」
ドアが開いたと思ったら、そのまま引きずり込まれた。手元にあった紙袋が、道ばたに散乱した。
「うわあ!?」
「ラン、ラン・・・・・」
とろんとした瞳で、サウスがランを呼んだ。
馬車の中で、サウスがしっかりとランを抱き締める。
「サウス?風邪?」
目が虚ろで、熱っぽい。
「お久しぶりです。ラン殿」
横には、アカシがいた。
一瞬で、ランの顔が無表情になる。
「なんの冗談ですか?やめてください。迷惑だ」
「ラン殿、貴方にサウスザリア様の繁殖期の相手をお願いしたい」
サウスはゴロゴロと喉を鳴らすように、ランを抱きしめて離さない。
繁殖期で前後不覚に陥ってるサウスをわざわざ連れてきたのか。
「はあ?冗談を。男同士でばかげてるし、若い血気盛んな貴族の相手が、出来る訳がない。」
「男だったら、万が一がなくていいでしょう。旦那様も、壊れない男性を好まれる」
「だったら、見目美しい男性を雇えばいいでしょう」
「・・・・貴方に進言した日以来、旦那様の我々に対する風当たりはきつい」
アカシの細目が、益々細くなる。ランが睨み付けた。
「貴方達の為の、人身御供なんてません。知りません。実力で見返せばいいでしょ」
「話し合いの結果、貴方を旦那様にあてがっておけば、話はうまくいく事に気づきました」
「・・・・馬鹿げてる」
アカシは大げさに嘆くふりをした。
「ああ、貴方が無断で貧民区に入り浸っていることを、城に報告しなければいけません」
「それは、ダグラス家は知っている」
「でも、城は知りませんよね?医者の免許を持つ者が、治外法権外の場所にいくことは、禁止されている。免許も剥奪されて、ダグラス家にも迷惑がかかるでしょうね」
「・・・・・脅迫ですか」
嫌そうにランがアカシを睨んだ。
「まさか。旦那様は危険な場所によく行かれているラン殿に、心を痛めていますよ。私が大丈夫ですと、止めている所です。旦那様の強引さは、ご存知でしょう?」
ランがしばらく黙っていたが、諦めたように答えた。
「・・・・・サウスの相手は、最初だけです。仕事もあるし、体力馬鹿の貴族の相手なんか持つわけがない」
「・・・・よい返事です」
眼鏡を外され、顎を持ち上げられた。
アカシか値踏みするように、ランを見つめた。
「そんなに美貌の持ち主でもない。少し女顔ぐらいだ。我々も何故あなたが、旦那様の琴線に触れたのかわからないのです。幼なじみは得ですね」
「求婚されるのが得とは思わないけど。金と権利は要求しますよ。痛い思いをしなきゃいけないんでしょ」
「大丈夫です。旦那様は男とのやり方もよくわかっている」
「ラン・・・・・」
きつくサウスが抱きしめた。
「私は、何をすればいいんです?」
出来たばかりの後宮の部屋に連れてこられたようだった。
新築の香りがする。
柔らかなシーツの上、ランが心許なげに座っていた。
馬鹿でかい風呂に入らされ、身体には高い香油を塗られた。
髪にも、付けたことがない香りがつよい油で手入れされ、艶々していた。
「ランは、そのままで、いいよ」
サウスが、とろんとした目をしていたが、ランの身の回りの世話を焼いていた。
人払いされているのか、人の気配がない。
甘い香りの香も焚きしめられ、よくわからないグラスに入ったオイルが並べられている。
ランはなにも知らない少女のように、戸惑った眼差しでサウスを見つめている。
「ラン、・・・・・嬉しい。ずっといてくれるの?」
膝をつき、サウスがランの目の前まで移動してきた。ランがのけぞった。
サウスが眼鏡を外してあげながら、ちゅうと瞳に口づけた。
いつもと違う本気に、ランが怯えた。
「ひ・・・・あ、お願い、だ。痛く、しないで」
ランの髪も肌もきちんと手入れされ、中性的な容姿がますます強くなる。まるで、少女みたいだ。サウスはうっとりと見つめた。
「うん。全部、私がやってあげるからね。ランは、言うとおりにしてね。このままだったら、ゆっくり入れても裂けちゃうかな?」
こくこくと脅えた目でランが頷く。
ローブを脱がされ、ランは、戸惑った目でサウスを見つめた。
「可愛い」
「み、見ないで、ください・・・・」
ランのそこはいまだに小さく、未熟だった。まだ繁殖期も迎えていないのだ。自分は出来損ないだと、認識してしまう。
貧弱な自分の身体に比べて、サウスの身体は均整のとれた見事な体躯だった。服の上からでも、サウスの股間の膨らみが分かり、ランが真っ赤になって目を逸らした。
「ラン、私のここ。ちゃんと満足させれるようにするからね」
そう言って、サウスが股間の布をあげた。
鎌首がもたげた、その狂暴さに、ランが悲鳴を上げ、後ずさる。
「無理、ですっ!裂け、る!」
「駄目っ!ランは私の、だっ」
逃げようとしたランの足をつかみ、サウスが首に噛みついた。
「いっ!」
犬歯がめり込んだ。本当に噛まれて、ランがショックで、がたがた震えだした。
ロジムの愛情表現の一つであったが、ランは恐怖で動けなくなった。
ペロペロと首の傷を舐めながら、サウスが優しく呟いた。
「大人しくしてね。じゃないと、食べてしまうかも。ゆっくりほぐしてあげるから」
ランが有無を言わせないサウスの眼差しに、絶望を感じながら頷いた。
しばらく時間がだった。
泣いても喚いても、サウスは放してくれなかった。
体中を舐められたら後、サウスの頭は、ランの下半身から離れない。
「助け・・・・・・」
「私がいるよ?他の人をよんじゃだめだ」
散々、指と器具で中身をほぐされ、下半身の感覚が馬鹿になったのかよくわからない。
ランの未熟な性器からは、だらだらと白濁した液体が流れている。無理に剥かれて、赤くなっている。
長い指が卑猥な音を立てて、抜き差ししている。内臓を内側から探られている。
「大分、やわらかくなったよ。指、三本いれても、痛くないでしょう?」
ランが涙にぬれた目で頷いた。
サウスが興奮しながら、自分の膨らんだ逸物にオイルを大量に垂らした。
「ゆっくり、入れるからね」
「ううう!」
メリメリとした圧迫感に、ランが歯を食いしばった。
「ラン、緩めて。大きく息を吐いて」
言われて、深呼吸して緩んだ所に、サウスが一気にねじ込んだ。
「あ!」
ランが一瞬、白目を剥いた。
意識を飛ばして、サウスに頬を叩かれた。
「ほら、全部入った。切れてないよ。痛くないでしょ?」
涙目で訴えたが、サウスは血走った目で見つめ返した。
「苦し・・・・お腹、いっぱ・・・・・抜い、て・・・・・・」
「大丈夫、しばらくこうしていようね。すぐ、なれる。前も弄ってあげるね」
萎えたランの竿を優しく握り、弄りだした。
「やめ、て・・・う、うう・・・・」
ランがサウスの下で、もがく。
サウスが初めての少年のように、激しく興奮していた。滅茶苦茶に犯したいが、なにも知らないランを泣かせたくない心が、葛藤していた。
前みたいに無理やりしたら、ランが自分を嫌いになる。
本能が強くなる期間だが、ただランに嫌われたくないと言うだけで、理性を保っていた。
ランは、おとなしく言うとおりにしている。
ブルブル震えているのも可愛らしい。
「初めての時より、痛くないだろう?私が入ってないときは、雛型で広げておこうね」
「う、う、う・・・・・」
聞こえていないのか、ランはずっと呻いている。
この苦しみも全部、自分が与えているんだ。
そう思うと、目が眩む幸福感がある。
「ほら、ランが好きな飲物だよ」
サウスが、深紅の酒を口に含む。
口移しでランが飲み干していく。
アルコールの喉を焼く感覚に、ランがもっとと欲しがる。
甘い味がする。身体が欲しがる。苦しさが少し和らいだ気がした。
サウスの肉棒に、内肉が急に、ぐにぐにぐにと締まりだし、絡みついた。
「あ、っ!ラン、そんな、締め付けるな!あっ!」
サウスザリアが震えた。
ランの腹の中に、熱い何がが流れ込む。
サウスがいったのだ。
「あつ、い、お腹の中、も」
ランが終わったと少し安堵した。
身体に入ってるサウスが小さくなっていくのがわかる。
「う、ん、ご、ごめん。こんな早くないんだ!興奮してしまって!すぐ、大きくなるからっ」
その瞬間、ランの中でまた、肉棒が大きくなりだし、ランが悲鳴をあげた。
「抜いて・・・・・っ!」
「ず、ずっとするね。大丈夫、ランもいかせるからね」
ランが泣き叫んだが、後宮にくるものは誰一人いなかった。
「お楽しみだったのようですね」
ランが、シーツの上でピクリとも動かない。うつ伏せに倒れ、上には毛布が掛けられている。
姿を見られるのを嫌うランの為に、後宮に近づいていいのは、アカシだけになっていた。
「・・・・・アカシ、さん?サウス、は?」
ランが目を凝らした。アカシが少し肩を竦めると、タオルを持って近づいた。
ランは、体中に噛み跡と鬱血した傷がついていた。立ち上がれないのか、きだるげな表情でアカシを見た。
「旦那様は、食事をされています。ラン殿は、眠らせておくようにと」
「お風呂、入りたい、です」
「用意しましょう。シーツも替えましょう。寝ててかまいませんよ。立ち上がれないでしょう?」
「もう、・・・・無理、です。身体が、もたない。明日、には、帰ります」
ランが逃げださないように、周りの警備強化したのだが、杞憂でおわった。
サウスが、文字通りランを離さなかった。
「後、一週間ほど、辛抱されてください。旦那様も今回の繁殖期は非常にいい。昼間は仕事も出来ている」
そう言って、後ろから抱き上げると、手慣れた手付きで、シーツを替える。
ランの髪から、ふわりとランの甘い香りがした。一瞬、アカシの視界がぐらりと揺れる。
ランはぐったりしたまま、呟いた。
「私の、仕事が溜まっています」
「許されません。少し、旦那様に加減するように言いましょう」
身体を濡れたタオルで拭きながら、アカシが無表情に言った。
「もう、無理、です。身体、もたない」
「・・・・こんな、体をひくひくさせて、説得力ありませんよ」
そう言って、ランを倒し、散々サウスになぶられた窄まりに指をぐりりと入れた。中を探ると、引っ掛けをみつけ、引くと丸い栓がずるりと抜けた。
「ひやっ!あー・・・・」
ランが跳ねたが、アカシが押さえつけた。
窄まりから、たらたらと白い液体が漏れ出す。
排泄感にランが震える。
女を孕ませる為の栓だが、サウスはよほどランと子供を作りたいのだろうとアカシが失笑する。
繁殖期で、ランを女と錯覚しているのかもしれない。
アカシは、全部抜くと、それをおもむろに器に置いた。
ランの太ももが震え、その後に白い跡が通った。
「結構大きい玉でしたね。腹も旦那様のでいっぱいみたいですね。かきだしましょうか?潤滑剤替わりになるかもしれないけど、多すぎです」
冷静にいわれ、かあああっと、真っ赤になり逃げようととして、もがいた。
「あ、あ、あ、見ない、で・・・・」
押さえ込みながら、ランの身体を濡れタオルで拭いた。
「大人しい従順なラン殿は、大歓迎ですよ。だいぶ、よい声で鳴くようになったと、旦那様も喜んでいらっしゃいます」
「言わないで、ください」
耳まで赤くなり下をむく。
ランの白いうなじが目下に見える。強く吸われ、赤い鬱血した痕が花びらのように散らばっている。
ランの吐息に、アカシは高揚した。
くらくらとアカシは目眩を起こした。
「・・・・・ラン殿、私に憐れみをください」
「ひあ?」
アカシは服を着たまま、ランの腰をつかみあげると、そのまま指で弄っていた場所に大きく膨らんだ自分の肉棒を突き刺した。
「え?あああ!」
ランが何が起きたのかわからない顔で、アカシを見上げ、次に暴れたが、易々と押さえ込んだ。
肉棒は、ずるずると何の抵抗もなく入っていく。
「旦那、様より、大きくないから、痛くない、でしょ?」
「ひ、やぁ、どうし、て・・・・どうして?」
「味見、したく、なりました。すごい、いい、感触、です。女と同じだ」
ランの髪から甘い香りがする。
「やめ、やめ・・・てっ!」
ビクビクと、中をすられて、ランが跳ね上がった。
サウスと違うむず痒いような熱いような感覚に戸惑ってアカシを見る。
「ここ?ここですね?ふふ、旦那様より私のがよく当たるみたいですね」
前立腺の裏側をすりあげられ、ランが悶えた。
「あ、あ、あ!あ!ああああ!」
ランが跳ね上がる。
きゅうきゅうと中でアカシを締め付け、ランが無意識にアカシの腰を足で締めた。
「ひゃ?嘘、うそだっなん、で」
「いい、締め付け、です。はまり、そうだ・・・・っ!」
ランがシーツを掴み、ポタポタと先端から雫を落とす。
ランが震えた。
「ひやあ、い、あ!あ!」
散々なぶられた身体は、簡単に快楽を追うように変わっていた。
アカシの逸物は、丁度、ランのいい場所に当たるようだった。逃げようにも、アカシが離さない。
「くうぅんっ」
小刻みな痙攣と締め付けで、ランがいったことに気付いたが、腰を動かすのはやめなかった。とりつかれたように、むさぼる。
「いってもやめませんよ?私がまだです。貴方の気持ちいい所ずっと擦ってあげますね。ふふ、相性は私のほうがいいみたいですね。旦那様が居ない時は、こうやって柔くしてあげます」
「あああああっ!」
ランが泣き叫んだ。
しばらく時間がたった。
本当に、ランが泣き叫んでも、アカシは腰を振り続けている。
アカシの加虐心に火がついていた。
「もっともっと泣いて、乱れてください。すご、い。すごいです。いい匂いで、す。ラン、殿」
「許して、くだ、さ・・・」
堅くシーツを握り、ランが喘いでいる。
カチャリとドアが開いた。アカシの動きが止まった。
とろんとした瞳のサウスザリアが立ち尽くしていた。
「ラ、ン・・・・・?何して、る・・・?」
「サウ、ス、助け・・・・・」
「正妻の憐れみを、頂いており、ます。どうぞ、旦那様、ラン殿を喜ばしてくだ、さい」
そう言って、アカシが繋がったまま、ランの両太股を持ち、サウスに雫で濡れる中心を見せた。
「助け・・・・・」
ランの中心は起立はしていなかったが、白濁した液体が流れ出ていた。アカシが突き上げると、ピンと赤い中央が立ち上がった。
「ラン、可愛い」
「舐めてあげてください。こんなに喜んでいるのに、嫌がる訳ないです」
「ラン」
「ひゃう」
サウスが口に含んだ。生暖かくざらざらとした舌の感触に、ランが悲鳴をあげた。
後ろの刺激と、前の刺激で、ランが身悶える。
「いああああああ!」
がっちりとランの太ももを握り、喉の奥でサウスがしごく。
「うあ、すご、い。中が・・・・・」
ランの内壁が、きつくアカシを締め付けた。
アカシがたまらず、呻きながら、ずるりと抜くと、ランの背中に白濁した液体を散らした。
はあはあと、アカシが息をつく中、サウスが口を離し、ランの腰を掴んだ。
「ラ、ン」
「ひやあああん!」
そのまま持ち上げられ、サウスザリアの上に乗せられた。簡単にずぶずぶと入っていく感触に、ランが悲鳴を上げながら反り返る。
「アカシは、気持ち、良かった?私の、方が気持ちいいはずだよ?もっとしてあげるね」
「休ませ、て・・・・」
「うん?ラン、ゆっくりゆっくり、入れてあげる。後で、お風呂に入って、洗いっこしようね」
サウスザリアがうっとりとしながら、ランの涎を垂らしながらあえぐ姿を見て、腰を動かしている。突き上げられ、ランが人形のようにがくがくと揺れ、声なき声をあげている。
背中を濡れた布で拭きながら、アカシが立ち上がった。
「素晴らしい正妻の味、でした。旦那様、湯浴みの準備をして参ります」
「ラ、ン、かわ、いい。可愛い、よ・・・・っ」
「あ、あ、あ・・・・・た、すけ、」
「・・・・・失礼いたします。ラン様、ご実家とダグラス家には、一週間後に復帰すると伝えておきます。ごゆっくり、お楽しみください」
助けを伸ばすランの手は、サウスに優しく握られた。
アカシが一礼すると扉が閉められた。
サウスから、解放されたのは10日後だった。一週間でサウスも繁殖期が落ち着いたのだが、ランの身体が持たず、寝込んだのだ。
サウスは当たり前のように、自分の後宮で過ごさせたのもしゃくに触る。
動けるようになって、サウスがいない内に、自分の家に戻って来た。
少しふらふらしながら、ひさしぶりに昼間に歩く事を噛み締めながら、ランは恐る恐るダグラス家の門を開けた。
首元や手首には、まだサウスの噛み跡が残っている。詰め襟の厚い服をランは、着用していた。
「ラン」
ぶんぶんとイツが、いつものように遠くから手を振っている。
ランは、ほっとした。
「ラン、久しぶりだね。もう、僕の補佐は嫌になったかと思った」
イツが嬉しそうに見上げた。
「まさか、長く休暇、申し訳ありませんでした。少し所用が長引きました」
「サウスザリア侯の繁殖期の相手してたんでしょ?」
かあ、とランが頬を赤らめ戸惑った。
イツがにこにこ笑っている。
「友人のよしみで、相手をしていました」
「友達では、繁殖期の相手はしないよ。サウスザリア侯、ランがここに戻って来ないように、勝手に退職届を出したから、握り潰しちゃった」
おどけたように笑う。
「はあ?馬鹿サウス、なにを考えてるんだ」
「僕、脅されたよ?」
「え?」
「このまま、ランを雇うつもりなら、犯してボロ雑巾のように捨ててやるって」
「はああ?」
「僕は外見が子供だから、あまりそう言った脅迫は受けないんだけど、サウスザリア侯には効かないみたいだ。面白かったよ。お返しはしたけどね」
けらけら笑う。そして、冷酷な瞳を垣間見せた。
イツは外見の成長が緩やかなだけで、大人の思考をもっている。
イツは、わざと子供のふりをしている。
「僕の本質を知ってるみたい。僕が渋るまねをしたら、ランを辞めさせる代わりに、取引まで持ち出してきたよ。有利な条件で、特定の酒の権利を譲渡するってね。あそこは、家が酒の輸入を牛耳ってるからね」
「取引されたんですか?」
ランが青くなる。イツが楽しげに笑った。
「もちろん、つり上げるだけつり上げて、書類作って利権を全部取ってやったよ。ランは関係ないよ」
「イツ様・・・・・」
「僕、一言もランを解雇するって言ってないもん。勝手に渡してくれたんだ」
「サウスは執念深いから、恨まれますよ」
「大丈夫大丈夫。ランを雇ってる時点で、すでに恨まれてるから。そろそろ、来るんじゃないかな?ランがこっちに来るなんて聞いていないって。腹黒いけど、まだ甘いよね」
「・・・・・・」
「彼等は、家に入れるように手配してるよ。ちょっと、ガツンと言ってあげる。ランは、優しいから言えないでしょ」
どこかしら嬉しそうに、幼い容姿とは裏腹に狡猾そうに笑った。
「白坊!貴様!」
イツの予想通り、サウスは直ぐにやってきた。側近全員もついて来ていたが、主人の暴走を止めるために仕方がなくついてきたようだった。
「やめろ!サウス!」
殴りかかろうとしたサウスに、イツの専属の護衛が首元に短剣を突きつけた。
「お静かに。我が主は、暴力は嫌いです」
「くっそ」
「旦那様、落ち着かれてください」
アカシ達がサウスを取り囲んでいる。
「お茶でもどうぞ。サウスザリア侯。ミリ、皆さんにお茶を」
「はい」
嬉しそうに、ミリか足早に歩いていく。
「この詐欺師!ランを餌にして!」
「倍返しは当たり前でしょ?僕の商売場所に店を出す嫌がらせは頂けない」
飄々とイツが言った。
「見ろ!ラン。白坊はこんなに性格が悪いんだぞ!だから、私の所にくるんだ!」
「嫌です。元は、サウスがちょっかいかけたからでしょ。それにイツ様が、可愛いだけの方ではありません」
「そうそう、ランは僕の先生でもあり、補佐でもあるんです。全部とってやろうと思って、貴方に関連した書類を隠すのは、骨が折れました」
「サウス、イツ様にまで迷惑かけて!」
ランが言うと、サウスが子供のように言った。
「ランは、私の繁殖期の相手をして、私の正妻になるんだ!おかしいだろう、正妻が他の貴族の所で働いてるなんて!」
「私は了承していません!」
言い合うラン達の前に、お茶が置かれた。
「まあまあ、お茶でも飲んで。ミリが入れるお茶は美味しいのだよ。うちの新作の紅茶なんです。いい香りでしょ。温かい内にどうぞ」
ミリが全員にお茶を渡していく。
不毛と思ったか、皆が一様にお茶を啜った。沈黙が落ちる。
しばらくして、イツが静かに言った。
「ラン、サウスザリア候の正妻として、籍を移すのも一つの案だよ」
「イツ様」
咎めるようにランが言った。
「男が正妻に入って、主人の片腕として働く事は珍しい事じゃない。有能な部下を流出させたくない主人の、引き止めだ。まあ、僕の部下のままだから、働くなら、部下を貸し出す事になるだけどね」
「働かせる訳ないだろう!ランは、私の後宮で幸せに暮らすんだ」
イツが鼻で笑う。
「たかが、一度の繁殖期の相手をさせたぐらいで、旦那面をするのもいかがな事かと思いますよ」
「なんだと・・・?」
子供らしからぬ表情をイツが浮かべた。
「ランは、貴方が好きで相手をしていた訳じゃないでしょう。もっと、貴方の事を気遣ってるんじゃないんですか?」
「・・・・・・・?」
「ね?ラン。好きだから、相手をしたわけじゃないだろう?」
「イツ様。・・・・・サウスは大事な友人なんです」
ランが静かにいった。
「ランは友達思いだから。一人で悩んでない?例えば、サウスザリア侯の行動がおかしいとか」
「侮辱か、白坊」
イツは全部知っているのもしれない。漠然とランは、思った。
「・・・・・・サウスは、他人と少し違うんです」
「違う?どこが?」
「・・・・・・サウスは外面はいいけれど、少し趣向が」
言いにくそうに、ランが言うと、周りにいたアカシ達がぎっと睨みつけた。
「ランがサウスザリア侯の我が儘を聞いているのは、変態だと思ってるからなの?」
「い、え・・・・・」
「ラン、正直に言っていいぞ。思うことがあれば、改善する」
ランが諦めたように口を開いた。
「・・・・・・あの、例えば、サウスは匂いに対して、異常な執着をするんです。私の使い古した服や靴を集めてます」
「な・・・・・っ!我が主人を侮辱する気ですか!」
アカシが叫んだ。
「止めろ!本当だ」
「旦那様?」
「ふうん?ランの匂いを気に入ってるんだ」
「・・・・・サウスは、私が落とした髪の毛や捨てるゴミまで、持って帰ってます。」
横で聞いていたミリが、嫌そうな顔をした。両手を身体をに回し、汚らわしそうにサウスを見た。
「捨てるなら、コレクションしてもいいじゃないか!」
「下着も持って帰っていたから、近頃は焼いて灰にして捨てていました。匂いフェチだと思うのですが」
「だから、近頃、なかったのか。もったいない。匂いフェチじゃない。ただのコレクションだ!」
「・・・・ランは、何故我慢してるの?」
ランが思いつめた顔をした。
「サウスは若い時から、事業を任されているから、人よりプレッシャーがあって精神的に不安定になってるんだと・・・・。だから、他人のゴミを集めたり、奇行に走ってる」
「集めてるのは、ランのだけだ!ランは、可愛いし、いい匂いがするから、捨てるなんてもったいだろう!かわりに、私がランを守ってあげるんだ。ずっとずっとそばにいたんだ」
「で、自分の血を飲ませていたんだ」
しらりとイツが言った。
「え?」
「なんで知ってる!?」
「ど、ういう、事ですか・・・・?」
ランの顔がみるみる青ざめていく。
「従業員の体調管理は当たり前だからね。ランは、いつも週明けは顔色がいいから定期的に検査していたんだ。改善してるけど、本人が気付いていないなら、第三者が何かしてるはずでしょう。接点があるのはサウスザリア侯爵だ。食べ物に何かいれたか、飲ませたか。ランは、サウスザリア侯が、いつももってくる赤ワインが好物だって。カマを掛けてみたの」
イツが悪戯っ子の笑みをした。
サウスが慌てたように口早に言った。
「む、無理やりじゃない!ランは、ひどい貧血だし。ランは他の奴にも欲しがったから、私があげてただけだ!ランがほかの奴から、血を貰うのは嫌だったんだ!だから」
「だから、ワインに血を入れて飲ませていたと」
ランが今にも倒れそうだった。
「ここまで、おかしいなんて・・・・」
サウスの後ろに控えていた側近たちも、どん引きしている。
「ラン、ものは考えようだよ。ランのひどい貧血は改善しているんだから。それに、サウスザリア侯は、ランに血を飲ませるために、定期的に健康診断を受けて食べ物にも気を使っていたんだから。病気もないし、いい数値だよ」
「何で、お前が知ってる」
「サゾルの病院はほとんどダグラス家が出資してるから。薬や備品もね。まあ、次からは、ランは食事療法に変えれば貧血は改善するよ。でも、サウスザリア侯の血を呑んでるおかげで、男のままなんだから面倒臭くなくていいんじゃない?」
何気にイツが言うと、ランが不可解そうに見つめ返した。
「え?」
「え?」
ランのキョトンとした顔にイツがしまったという顔をした。
「どういう意味ですか?イツ様」
詰め寄るランに、イツが目をそらした。
「え?あ、やっぱり知らなかったんだ」
「男のままって?何か、私の身体に異常があるんですか!?」
「側近、サウスザリア侯を押さえつけて!」
慌てて、イツが叫んだ。
「や、やっぱり、ランは天使になるのか!」
「旦那様、いけません。騒がれてはっ」
ランに近づこうとして、周りから押さえ込まれた。
サウスが落ち着くまで、暫く時間がたった。
「ランは、古代種の血筋なんだ。母方がそうだし」
「古代種?知りません」
「蜜人だよ。母親のスズは蜜人として国に保護されてる」
「蜜人は、伝説でしょう」
アカシが呟いた。
体液全てが、ロジムの貴族を虜にする蜜人。男にも女にもなり、人を魅了して破滅させる。貴族を堕落させる魔性の人間。
「初耳です・・・・・・」
「表立っていないからね。蜜人の血筋でも、先祖帰りしない事が多い。ランは、蜜人の匂いもほぼないし、分化してたから」
「じゃ、ただのイツ様の思い込みです・・・・」
「違うよ。ランは、蜜人だよ。血液検査でも、蜜人だったし、近づいたら、すごく美味しい匂いがするもの。だから、僕、たまに腕を噛んでたじゃないか」
「・・・・・本当に食べようとしていたんですか?」
思い出し、ランが青ざめる。
「いつも、おやつを用意してくれてたから、ランのそばにいるとお菓子が食べたくなる。サウスザリア侯爵の血を飲んでいたから、初めから分化したんだよ。本当は僕と同じで、まだ成人するには時間がかかるのに」
「は、母は、女ですよ」
イツは首を傾げた。
「周期的に変わってると思うよ?保護されてるし、身の危険もあるから、極力外には出ないでしょ。蜜人は必然的に、手先が器用で内職技術が素晴らしい人が多いんだ」
ランの母親は、刺繍を趣味にしている。
「・・・・・・・・・」
「だから、スズ母は、うちにしか来ないのか」
納得したように、サウスが呟いた。冷静を取り戻したので、側近たちが力を抜いた。
サウスがどっかりと椅子に座り直す。
「蜜人は、国家機密並に護られてるから、ミグリ家の当主も知らないんじゃないかな?夫人は知ってるけど」
「・・・・・はあ?母上が?」
「ミレンダ夫人は、ランの母親のよき協力者だ。口も硬い。蜜人は血肉が貴重だからね。麻薬は薬にもなるし、毒にもなる。ミグリの当主は野心家だから。まあ、ランはまだ血が薄いからよほどそばにいないと、分からないよ」
「蜜人なら、ラ、ランは私の、子供、産めるんだ・・・・」
サウスがにやあと笑い、泣き笑いにもにた笑みを浮かべた。
ランがゾクゾクと背筋が寒くなる。
慌てて、イツに助けを求めた。
「ひぃ。イツ様、助けてください。サウスに監禁される」
サウスは本気で閉じ込める。ランは確信した。
「うん、いいよ。ダグラス家が保護するよ。大事な片腕だもの。だから、サウスザリア侯、ランを監禁したら、没落させちゃうから」
「こ、の!くそ白坊!殺すぞ!」
立ち上がり詰め寄ろうとして、ランが怒鳴った!
「やめろ!サウス!」
止めようとして、ランが立ち眩みをして、そのままひっくり返った。
「ラン!?」
急に立ち上がったせいか、目の前が真っ暗になったようだった。
サウスが叫んでいるのが聞こえたが面倒なので、そのまま意識がなくなるのに任せた。
もう何もかも面倒臭い。
ふっくらとしたシーツの中で、ランは、ゆっくり目を覚ました。
「ラン、起きた?寝てていいよ。急に立ち上がったから、貧血を起こしたんだね。過労だから、暫く安静だよ」
「・・・・すいません」
「サウスザリア侯はうるさいから、追い出したよ」
「・・・・・はい」
「いろんな事があったから、混乱してるんだ。今日は泊まって行って。ここ来客用だから空いてるし、ミリがお世話するって」
「・・・・・はい」
イツが、ちょこちょこと歩き回っている。
ふわりと若草の眠り香の香りが漂ってきた。イツが水やコップを横に置いている。
世話をするのが楽しいのだろう。その様子を見つめながら、ランがぼんやり呟いた。
「・・・・・イツ様、私が蜜人だから、雇われたのですか?」
イツが顔をあげ、笑った。青い瞳がキラキラとしている。
「まさか。僕が蜜人ぐらいで、雇うわけないだろう。僕も蜜人とは違うけど、古代種の血をひいてるから、あまりそこは気にしていない。ランの才能に僕が惚れたんだよ」
・・・・・・・
ランがぽろぽろと泣き出した。
イツがタオルで、拭いてあげる。
「なにも心配することはないよ。薬を服用したら、ほぼ現状維持だ。今は、身体を戻すことを考えようね」
「・・・・・はい」
「ゆっくりお休み。体力が戻ってから考えようね」
小さな手で頭を撫でられ、ランがまたうとうと眠りだした。
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