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121. ※バレました
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いきなりミケが引っ込んで、フロラインは大慌てする。
うそ、丸投げ?!なんで?!
この男が、カマかけて来たから?そんなのどう転ぶかわからないじゃない。
そもそも、私が、このフロラインが、シェドと寝てもいいわけ?
それって、浮気だと思うわ!
あと、危ないわよ?私がいきなり舌をかんだら?
私が、この男をめちゃくちゃに怒らせて、ボロボロになるまでこの体を痛めつけさせたらどうする気?
治癒どころか、殺されるかもしれないわよ?
ちょっと、かえってきなさいってば!
呼ぼうが叫ぼうが、ミケは、こころの奥の、隅っこの隅っこで、猫のようにまぁるくなって目を閉じ、耳をふさぎ、完全なブロック体制にはいってしまった。こうなるともうミケの体は、完全にフロラインのものだ。
「フロライン、俺、ルードに乗っ取られたことがある。だから多分、あんたが思っているより、今の状態に確信もっているよ。ミケを、抑え込んだだろ」
え。ルードは、そんなに濃く『居る』の?魂のリサイクルルートに乗って、流れて来ただけではなくて、私のように、記憶と意思をもって『居る』の?
全身が耳になったように、シェドの言葉に体が向いてしまう。自分がフロラインだと言葉にしなくても、ここまであからさまに話を聞きたがったら、バレバレなのに。
フロラインは、シェドをにらみつけるようにして、ひとこと
「あなたが嫌い」
といった。
☆
ミケの声が、というか、フロラインが、あまりに辛そうに啼くから。
しばらく完全に現実世界をシャットダウンしていたミケの出歯亀根性が、ちらりと顔を出した。
あの優しいシェドに、何をされたらそんな声がでるのかな、なんて。
で、よせばいいのに、ちらりと覗いてみたりする。
うわ。
なんつーか、かなり淫靡?な感じ。
ミケの体は、二つ折の抱き枕を跨がされたまま前に倒されて、うつ伏せと四つ這いの間みたいな恰好で、お尻を突き出さされていた。120度だった座椅子の背は180度まで倒されて、遮るものは何もない。
抱き枕は、お腹らへんまでしかないから、四つん這いで下向きに突き出した胸も嬲られ放題だ。実際、両方の乳房が吸盤に吸い込まれて、吸盤の真ん中にある鉄の玉に乳首が虐められている。
シェドのほうは、平らになった背もたれの上に陣取っていた。これはもう、足を広げてお尻を突き出した、ミケのあり得ない程に恥ずかしい後ろ姿に、何でもできてしまうポジションで。
お尻は白い粉まみれだった。10本の指の爪が、バラバラに左右の尻たぶを掠った軌跡がついていて、すごくたくさん、くすぐったいさわられかたをしたのがわかる。
今は、後ろから筆でいじめられていた。蜜口に筆を浅く入れられてグリグリされたり、さらされた割れ目を何度もなぞられて後ろの窄まりまでこちょこちょされたり。
そして、ほんの短い時間、鉄の玉が花芯に押し付けられて、イキそうなギリギリまで持ちあげられては離される。
フロラインはイキたいのにイカせてもらえなくて、頭を振りたてて泣いている。
意識してやっているとしたら、かなりだと思うのだけれど、シェドの目は、心なしか、金色だった。
「苦しそうだな。別にショーみたく卑猥な言葉言わそうとかじゃないぞ。『シェド、好き』とか『シェド、優しくして』とか、ミケだったら普通に言ってくれる言葉でいい。言えばすぐに楽にしてやる」
おう。シェドって意地悪。
それはフロラインには相当ハードルが高い。
私は本人を前にすると、パチドの名前すらろくに呼べなかった。
ましてやパチドの小指にシェドとおんなじホクロ見つけて、触れたくて泣きそうなときに、『パチド、好き』って言うとか、まず無理だ。
シェドに飢餓状態で、優しくされないと死にそうな極限の時に、『酷くして』も無理。
「い、や。言わない、嫌い、きらい!酷くしてよ、死ねって言ってよ!」
わお。これも、これで、挑発激しいと思う。
シェドは後ろから、ぱんぱんに尖っている花芯に、あのカールが一杯の数穂の束を噛ませた。
「ぐあぁっ」
「イケると、思うか?」
容赦なくひねりを加えながら、数穂が動かされ、それは、充分に立ち上がった花芯を、さらに根もとから引っ掻きだし、弾きまわり、叩きのめす。
「あひっ、あひーっ、うああ」
数穂に花芯を押し付けてイこうとしても、すこし引かれるともうだめで。弾かれても掻きむしられても、パチパチと表面で火花がはじける感じで、実体がないものに甚振られているみたいで、イケない。
炙られながら静電気でフルボッコにされている感じだ。
「むぐーっ、や、やめてぇっ」
ついに耐えられなくなったフロラインが制止の言葉を吐く。
シェドは、その手を、わずかに緩めはしたけれど、止めることなく、ゆっくりと花芯を甚振りながら、蜜口の方に棒付きの鉄の玉をあてて焦らした。
「ほら、どうした、俺は要望に応えているだろう?足りないか?」
「うう、うう」
口はパクパク、体はビクビク。ミケの体はひどいありさまだったが、フロラインは言葉を発しない。
シェドは、数穂を置いて、棒付きの鉄の玉を蜜口から、花芯にずらした。
そして、数秒押し当てては離す、という残酷な動きを何度も繰り返しながら、言葉で脅しにかかる。
先刻さんざんフロラインに涙を流させた筆を見せつけるようにしながら、化粧セットもどきの陶器をみせる。赤い液の蓋には中和剤と書かれていた。
「青は痒みで、緑は劇痛だそうだ。痒み剤を乳首や蜜口に塗られた女優がどうなったと思う?冷や汗を流しながら、後生だから鞭打ってくれ、気が狂いそうだと泣き叫んだぞ。演技かと思ったが、赤でこれではな」
筆で後ろの窄まりを擽り、ドロドロの割れ目をなぞり上げられると、ミケの体が一瞬反りあがり、吸盤付きの鉄の玉で甚振られていた乳首が床に押し付けられてしまう。
「あが、ぎう、いーっ」
追加された刺激でイケそうだった寸前で、鉄の玉をどけられて。のたうちまわらんばかりに苦しんでいるフロラインの耳に、シェドが追い打ちをかける。
「痒み剤つきで繰り返されたいか?俺はあんたに請われてもミケの体を鞭打ったりしないから、ショーより酷いな?鞭の慈悲を乞いながら焦らされ続けることになる」
シェドが化粧セットもどきの箱をもって後ろに回ると、フロラインの目は恐怖で一杯になった。必死にいやいやと首をふる。
「お、おねがい、やめて、それだけは・・」
「だめ。ちゃんと言えるまで焦らしぬきます」
それから、いかにも、ぼてぼてになるまで液につけられました、と言った体の筆が、蜜口に押し込まれる。
「あっ、あっ、ぎゃーっ」
痒みへの恐怖のあまり、前にずり上がって逃げようとするフロラインだったが、腰はがっちりと抑えこまれ、筆は何度も襲って来る。
たっぷりと薬液を塗りこまれた後は、再び花芯への鉄の玉責めで。
震えあがっている体でさえすぐにいきかける。
二度三度とイク直前で鉄の玉を離され、半狂乱になるフロラインに、シェドは、いくらなんでもイキそうになるのが早すぎるといって、恐ろしい攻め具を追加した。
初めに使った擽り用の粉が入った箱からだされたそれは、でこぼこした球型のローラーが、枠の左右の部分に二個づつ通されて、ぱっと見は、足とか首とかを挟んでマッサージする、ローラーマッサージャー。
でもそれが挟まれたのは背中から胸の全体で、ローラーがあてこまれたのは脇の下で。
見ただけで辛そう。
リンナちゃんが号泣して失禁したというのはきっとこれだ。
「イキそうになるたびに5往復な。窒息したくなければ我慢した方がいいぞ」
それでも鉄の玉で花芯を揺らされると、ミケの体は数秒で内股が震えはじめる。
シェドは両脇に備えられたもち手を両手で持ち、でこぼこの球ローラーで両脇をゴリゴリとえぐりながらマッサージャーもどきを往復させた。
「ぐっぎぃ、がはっ、ぎゃぁあ、うわぁあっ」
絶えがたいくすぐったさに悶絶しながらも、フロラインは何が起こっているか、よくわかっていないようだった。
「3、4、5、と。暴れると自動にするぞ。ほら、もう一度寸止め我慢タイムな」
鉄の玉を花芯にあてこまれ、ぎりぎりまで追い込まれては、寸止めの辛さに絶叫し、寸止めになるたびに。両脇の下をゴリゴリと揉み込まれて息も絶え絶えになるまで苦しめられる。
時間にして2、3分の数サイクルで、フロラインの心はもう限界だった。
「ひっく、も、ゆるしてぇ。あああ」
「期待通りに酷いか?これで痒み剤が効いたら、どうなるか楽しみだな?」
「嫌、ルード様、助けて、ルードさま、たすけてぇ!いかせてよぉ!苦しいの、もぉ、だめぇ!」
シェドは、ほっとしたような顔をして、鉄の玉をぎゅうぎゅう押し付けて、フロラインをイカせにかかった。
「あ―――ッ」
全身をがくがく言わせて、絶頂に上り詰めたフロラインは、なかなかおりてこられないようで。胸の吸盤と、両脇にローラーがあたるマッサージャーもどきをはずされても、ただ呻くだけだった。
「う、ぁ。ああ、あ・・」
痙攣が止まらない体を抱きしめながら、シェドが聞く。
「なぁ、あんた。ちゃんとルードに希望言った?本当に、酷くされたかったのか?」
そんなはず、ない。ただ、酷くされる以外、ルードの感じ方が思いつかなかっただけ。
フロラインの涙は、ミケの涙より、うんと苦い。
貴方の望むとおりに、狂妃だとみとめたのに。なぜ、殺しに来てくれなかったの?
ねぇ、本当に、死んでほしくて、鞭打った?
お腹ばかり打った?
子どもが、できないと言われたから?
それとも、子どもができたと気付いて?
「ルード様、私が、嫌、でしたか。いつから、嫌、でしたか」
「・・・。よくは知らないが、ルードはおかしくなるほど、フロラインのことばかり考えていた。ほんとうだ。あいつが起きたら、呼んでやるから、ミケに面倒かけずに、しばらく眠っていろ」
ルード様は、いつか起きるの?
そうしたら、呼んでくれるの?
私の子を、殺したのは、きっとこの魂では、ない。
だって、この人は、腹立ちとか、嫌いとか、憎悪とかが、横滑りしないの。
この人は、憎々しさを、無関係な場所に叩きつける気がないの。
お腹の跡に残った残滓から感じたのは、出どころがわからない程ぐちゃぐちゃの憎悪と、それを発散して得たカタルシスみたいな気持ちの悪い喜悦。
でもちがう。この魂は、何も知らぬ胎児に憎悪を叩きつけてもカタルシスを得られない。ルード様も、たとえ私を疎んでも、それを、子どもに負わせて喜べる魂ではなかったと、いまなら信じられる。
眠るわ、言うとおりにする。
ミケ、あなたを全力で守るから、私を嫌わないで。
フロラインの思考がだんだんとゆっくりになっていく。
眠ったのか、ミケの意識に溶けたのか。
そうして、ミケは、ミケに戻った。
「・・・シェドぉ」
「ミケ?あー、おどろいたな。大丈夫か?どこか痛かったり、気分悪かったりしないか?」
さすさす。
シェドが、抱きしめたままミケの背をさする。
「えーと、ケガはさせてないと思うが、筋肉痛とかあるかも。あ、粉も液体も体に害は・・」
だよねぇ。どうせ、痒み剤つけるとか言ったのも、フロライン脅すフェイクでしょ。絶対赤いやつ使ったよね。
「も、やだぁ。ちらっと覗いたら、すごーく、したくなっちゃったのに、朝になっちゃったぁ」
窓の外は薄いブルーに変わりかけていた。
シェドは、今日も早朝から予定がびっしりだ。
「うわ、本当だ。俺、今日休む・・・。ミケとちゃんとエッチしないと死ぬかも。欲求不満で心臓麻痺」
言うだけあって、シェドのそれはとても元気だった。
「・・・ここに、ちゅ、ってする?」
ぱぱっと、ささっと、何とかなるかも?
「ミケ、今、ぱぱっと、ささっと、何とかしようとか思っただろう。やだやだ、ちゃんとしたい!」
シェドとしては、『ここに、ちゅ』関連は、ルードがミケにむちゃくちゃやらかした事件に直結で、とても、センシティブな内容なのだ。ぱっ、も、さっ、もあり得ない。
「無理だよぉ。今日は、レーブルの要人が来る日じゃない。ソナ刺しやがったやつの国~!油断大敵~!」
うっ。確かに、それもそうで。
おっしゃる通り、です、とばかりに、シェドは、ぐったりと蹲ったのだった。
うそ、丸投げ?!なんで?!
この男が、カマかけて来たから?そんなのどう転ぶかわからないじゃない。
そもそも、私が、このフロラインが、シェドと寝てもいいわけ?
それって、浮気だと思うわ!
あと、危ないわよ?私がいきなり舌をかんだら?
私が、この男をめちゃくちゃに怒らせて、ボロボロになるまでこの体を痛めつけさせたらどうする気?
治癒どころか、殺されるかもしれないわよ?
ちょっと、かえってきなさいってば!
呼ぼうが叫ぼうが、ミケは、こころの奥の、隅っこの隅っこで、猫のようにまぁるくなって目を閉じ、耳をふさぎ、完全なブロック体制にはいってしまった。こうなるともうミケの体は、完全にフロラインのものだ。
「フロライン、俺、ルードに乗っ取られたことがある。だから多分、あんたが思っているより、今の状態に確信もっているよ。ミケを、抑え込んだだろ」
え。ルードは、そんなに濃く『居る』の?魂のリサイクルルートに乗って、流れて来ただけではなくて、私のように、記憶と意思をもって『居る』の?
全身が耳になったように、シェドの言葉に体が向いてしまう。自分がフロラインだと言葉にしなくても、ここまであからさまに話を聞きたがったら、バレバレなのに。
フロラインは、シェドをにらみつけるようにして、ひとこと
「あなたが嫌い」
といった。
☆
ミケの声が、というか、フロラインが、あまりに辛そうに啼くから。
しばらく完全に現実世界をシャットダウンしていたミケの出歯亀根性が、ちらりと顔を出した。
あの優しいシェドに、何をされたらそんな声がでるのかな、なんて。
で、よせばいいのに、ちらりと覗いてみたりする。
うわ。
なんつーか、かなり淫靡?な感じ。
ミケの体は、二つ折の抱き枕を跨がされたまま前に倒されて、うつ伏せと四つ這いの間みたいな恰好で、お尻を突き出さされていた。120度だった座椅子の背は180度まで倒されて、遮るものは何もない。
抱き枕は、お腹らへんまでしかないから、四つん這いで下向きに突き出した胸も嬲られ放題だ。実際、両方の乳房が吸盤に吸い込まれて、吸盤の真ん中にある鉄の玉に乳首が虐められている。
シェドのほうは、平らになった背もたれの上に陣取っていた。これはもう、足を広げてお尻を突き出した、ミケのあり得ない程に恥ずかしい後ろ姿に、何でもできてしまうポジションで。
お尻は白い粉まみれだった。10本の指の爪が、バラバラに左右の尻たぶを掠った軌跡がついていて、すごくたくさん、くすぐったいさわられかたをしたのがわかる。
今は、後ろから筆でいじめられていた。蜜口に筆を浅く入れられてグリグリされたり、さらされた割れ目を何度もなぞられて後ろの窄まりまでこちょこちょされたり。
そして、ほんの短い時間、鉄の玉が花芯に押し付けられて、イキそうなギリギリまで持ちあげられては離される。
フロラインはイキたいのにイカせてもらえなくて、頭を振りたてて泣いている。
意識してやっているとしたら、かなりだと思うのだけれど、シェドの目は、心なしか、金色だった。
「苦しそうだな。別にショーみたく卑猥な言葉言わそうとかじゃないぞ。『シェド、好き』とか『シェド、優しくして』とか、ミケだったら普通に言ってくれる言葉でいい。言えばすぐに楽にしてやる」
おう。シェドって意地悪。
それはフロラインには相当ハードルが高い。
私は本人を前にすると、パチドの名前すらろくに呼べなかった。
ましてやパチドの小指にシェドとおんなじホクロ見つけて、触れたくて泣きそうなときに、『パチド、好き』って言うとか、まず無理だ。
シェドに飢餓状態で、優しくされないと死にそうな極限の時に、『酷くして』も無理。
「い、や。言わない、嫌い、きらい!酷くしてよ、死ねって言ってよ!」
わお。これも、これで、挑発激しいと思う。
シェドは後ろから、ぱんぱんに尖っている花芯に、あのカールが一杯の数穂の束を噛ませた。
「ぐあぁっ」
「イケると、思うか?」
容赦なくひねりを加えながら、数穂が動かされ、それは、充分に立ち上がった花芯を、さらに根もとから引っ掻きだし、弾きまわり、叩きのめす。
「あひっ、あひーっ、うああ」
数穂に花芯を押し付けてイこうとしても、すこし引かれるともうだめで。弾かれても掻きむしられても、パチパチと表面で火花がはじける感じで、実体がないものに甚振られているみたいで、イケない。
炙られながら静電気でフルボッコにされている感じだ。
「むぐーっ、や、やめてぇっ」
ついに耐えられなくなったフロラインが制止の言葉を吐く。
シェドは、その手を、わずかに緩めはしたけれど、止めることなく、ゆっくりと花芯を甚振りながら、蜜口の方に棒付きの鉄の玉をあてて焦らした。
「ほら、どうした、俺は要望に応えているだろう?足りないか?」
「うう、うう」
口はパクパク、体はビクビク。ミケの体はひどいありさまだったが、フロラインは言葉を発しない。
シェドは、数穂を置いて、棒付きの鉄の玉を蜜口から、花芯にずらした。
そして、数秒押し当てては離す、という残酷な動きを何度も繰り返しながら、言葉で脅しにかかる。
先刻さんざんフロラインに涙を流させた筆を見せつけるようにしながら、化粧セットもどきの陶器をみせる。赤い液の蓋には中和剤と書かれていた。
「青は痒みで、緑は劇痛だそうだ。痒み剤を乳首や蜜口に塗られた女優がどうなったと思う?冷や汗を流しながら、後生だから鞭打ってくれ、気が狂いそうだと泣き叫んだぞ。演技かと思ったが、赤でこれではな」
筆で後ろの窄まりを擽り、ドロドロの割れ目をなぞり上げられると、ミケの体が一瞬反りあがり、吸盤付きの鉄の玉で甚振られていた乳首が床に押し付けられてしまう。
「あが、ぎう、いーっ」
追加された刺激でイケそうだった寸前で、鉄の玉をどけられて。のたうちまわらんばかりに苦しんでいるフロラインの耳に、シェドが追い打ちをかける。
「痒み剤つきで繰り返されたいか?俺はあんたに請われてもミケの体を鞭打ったりしないから、ショーより酷いな?鞭の慈悲を乞いながら焦らされ続けることになる」
シェドが化粧セットもどきの箱をもって後ろに回ると、フロラインの目は恐怖で一杯になった。必死にいやいやと首をふる。
「お、おねがい、やめて、それだけは・・」
「だめ。ちゃんと言えるまで焦らしぬきます」
それから、いかにも、ぼてぼてになるまで液につけられました、と言った体の筆が、蜜口に押し込まれる。
「あっ、あっ、ぎゃーっ」
痒みへの恐怖のあまり、前にずり上がって逃げようとするフロラインだったが、腰はがっちりと抑えこまれ、筆は何度も襲って来る。
たっぷりと薬液を塗りこまれた後は、再び花芯への鉄の玉責めで。
震えあがっている体でさえすぐにいきかける。
二度三度とイク直前で鉄の玉を離され、半狂乱になるフロラインに、シェドは、いくらなんでもイキそうになるのが早すぎるといって、恐ろしい攻め具を追加した。
初めに使った擽り用の粉が入った箱からだされたそれは、でこぼこした球型のローラーが、枠の左右の部分に二個づつ通されて、ぱっと見は、足とか首とかを挟んでマッサージする、ローラーマッサージャー。
でもそれが挟まれたのは背中から胸の全体で、ローラーがあてこまれたのは脇の下で。
見ただけで辛そう。
リンナちゃんが号泣して失禁したというのはきっとこれだ。
「イキそうになるたびに5往復な。窒息したくなければ我慢した方がいいぞ」
それでも鉄の玉で花芯を揺らされると、ミケの体は数秒で内股が震えはじめる。
シェドは両脇に備えられたもち手を両手で持ち、でこぼこの球ローラーで両脇をゴリゴリとえぐりながらマッサージャーもどきを往復させた。
「ぐっぎぃ、がはっ、ぎゃぁあ、うわぁあっ」
絶えがたいくすぐったさに悶絶しながらも、フロラインは何が起こっているか、よくわかっていないようだった。
「3、4、5、と。暴れると自動にするぞ。ほら、もう一度寸止め我慢タイムな」
鉄の玉を花芯にあてこまれ、ぎりぎりまで追い込まれては、寸止めの辛さに絶叫し、寸止めになるたびに。両脇の下をゴリゴリと揉み込まれて息も絶え絶えになるまで苦しめられる。
時間にして2、3分の数サイクルで、フロラインの心はもう限界だった。
「ひっく、も、ゆるしてぇ。あああ」
「期待通りに酷いか?これで痒み剤が効いたら、どうなるか楽しみだな?」
「嫌、ルード様、助けて、ルードさま、たすけてぇ!いかせてよぉ!苦しいの、もぉ、だめぇ!」
シェドは、ほっとしたような顔をして、鉄の玉をぎゅうぎゅう押し付けて、フロラインをイカせにかかった。
「あ―――ッ」
全身をがくがく言わせて、絶頂に上り詰めたフロラインは、なかなかおりてこられないようで。胸の吸盤と、両脇にローラーがあたるマッサージャーもどきをはずされても、ただ呻くだけだった。
「う、ぁ。ああ、あ・・」
痙攣が止まらない体を抱きしめながら、シェドが聞く。
「なぁ、あんた。ちゃんとルードに希望言った?本当に、酷くされたかったのか?」
そんなはず、ない。ただ、酷くされる以外、ルードの感じ方が思いつかなかっただけ。
フロラインの涙は、ミケの涙より、うんと苦い。
貴方の望むとおりに、狂妃だとみとめたのに。なぜ、殺しに来てくれなかったの?
ねぇ、本当に、死んでほしくて、鞭打った?
お腹ばかり打った?
子どもが、できないと言われたから?
それとも、子どもができたと気付いて?
「ルード様、私が、嫌、でしたか。いつから、嫌、でしたか」
「・・・。よくは知らないが、ルードはおかしくなるほど、フロラインのことばかり考えていた。ほんとうだ。あいつが起きたら、呼んでやるから、ミケに面倒かけずに、しばらく眠っていろ」
ルード様は、いつか起きるの?
そうしたら、呼んでくれるの?
私の子を、殺したのは、きっとこの魂では、ない。
だって、この人は、腹立ちとか、嫌いとか、憎悪とかが、横滑りしないの。
この人は、憎々しさを、無関係な場所に叩きつける気がないの。
お腹の跡に残った残滓から感じたのは、出どころがわからない程ぐちゃぐちゃの憎悪と、それを発散して得たカタルシスみたいな気持ちの悪い喜悦。
でもちがう。この魂は、何も知らぬ胎児に憎悪を叩きつけてもカタルシスを得られない。ルード様も、たとえ私を疎んでも、それを、子どもに負わせて喜べる魂ではなかったと、いまなら信じられる。
眠るわ、言うとおりにする。
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フロラインの思考がだんだんとゆっくりになっていく。
眠ったのか、ミケの意識に溶けたのか。
そうして、ミケは、ミケに戻った。
「・・・シェドぉ」
「ミケ?あー、おどろいたな。大丈夫か?どこか痛かったり、気分悪かったりしないか?」
さすさす。
シェドが、抱きしめたままミケの背をさする。
「えーと、ケガはさせてないと思うが、筋肉痛とかあるかも。あ、粉も液体も体に害は・・」
だよねぇ。どうせ、痒み剤つけるとか言ったのも、フロライン脅すフェイクでしょ。絶対赤いやつ使ったよね。
「も、やだぁ。ちらっと覗いたら、すごーく、したくなっちゃったのに、朝になっちゃったぁ」
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「うわ、本当だ。俺、今日休む・・・。ミケとちゃんとエッチしないと死ぬかも。欲求不満で心臓麻痺」
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「・・・ここに、ちゅ、ってする?」
ぱぱっと、ささっと、何とかなるかも?
「ミケ、今、ぱぱっと、ささっと、何とかしようとか思っただろう。やだやだ、ちゃんとしたい!」
シェドとしては、『ここに、ちゅ』関連は、ルードがミケにむちゃくちゃやらかした事件に直結で、とても、センシティブな内容なのだ。ぱっ、も、さっ、もあり得ない。
「無理だよぉ。今日は、レーブルの要人が来る日じゃない。ソナ刺しやがったやつの国~!油断大敵~!」
うっ。確かに、それもそうで。
おっしゃる通り、です、とばかりに、シェドは、ぐったりと蹲ったのだった。
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