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117. 倦怠期?
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パチドが屋敷に戻ると、大量の箱の前に、ミケがしょぼんと座っていた。
「ただいま、ミケ。どうした?」
ミケは、ふにゅ、と顔をゆがませる。
「シェドぉ、倦怠期?」
・・・は?
どうやったら、やっと一緒に居られるようになって、ミケの顔色が普通になって数日で、デートすらまともに行けていなくて、自分がやらかした諸々のフォローすらできていない状況で、倦怠期になれる?
この箱のせいか?とばかりに、いちばん上の蓋をカパッと開けて仰け反る。
さっきのショーで、ロイがリンナにつかっていた小道具だ。
「誤解だ。捨てよう」
「だめ!それくれた会社、ロクト村のスポンサー!そんなことより、倦怠期~」
げ、俺がショーを見に行ったせいで、スポンサー企業からの玩具売り込み?!
あれ全部か!
焼却したいけど、こいつら、仕事相手は立てるからなぁ。
「あのな。7年も思春期拗らせたシェドと、200年も誤解を拗らせたルードが、ぎゅう、と詰まった俺が、ムーガルなんかの長時間仕事でお預けされて、ミケとロクにイチャイチャもできないこの状態で、そういうことをまじめに言うか?」
「ヤギとか同じ個体に乗っかるの4回で限界っていうもん!パチドの頃も入れたら、それ位すぐだよ。リンナちゃん、完全に恋愛対象女性なのに~」
うん、なにが『なのに~』にかかっているのかさえ理解できない。
とりあえず、俺はヤギじゃないぞ、の、説得抱っこ。
「刺激欲しさに行ったわけじゃありません。倦怠以前にミケの抱っこにすら、慣れる気がしません」
「捨てない?」
・・・
「恐ろしいこと言わないでくれ。どうやったらそう言う質問が出る」
ミケが、寒そうに、体を縮めていく。
「1番じゃなくていい。5番でも10番でも、ポットでもいい」
唯一に、1番も2番もない。もう、言っている意味が解らない。信用できないと、ゆるせないと言われているのか。それとも、俺が捨てられかけているのか。
「ミケ、多分俺がひどいことしたせいだとは思うが、しまいには俺が泣くぞ?シェドはミケが好きだって何度も伝えているよな?」
抱きしめる手に、力が入り過ぎないように、呼吸を深くする。気を抜くと、ルードも出ないのに潰しちまいそう。
「ルードは、好きって言ったけど捨てたよ?ヤギより早かったよ?フロラインをぽいって側近にあげたの。ルードじゃなきゃ嫌だから逃げたら、すごく怒って。そのくせ、自分で殺しにすら、来なかった」
ミケの口から、ルードの名前が出たのははじめてだった。
まぁ、魔の森周辺はルードの昔話がたくさん出回っているし、チャド・フロラインだってきけば隠さないだろうから不思議ではないけれど、なんとなく、聞いた話、という感じがしない。
「・・・夢でも、見たのか?ルードは、いかれているが、ミケとフロラインへの執着で一杯だったよ。誤解だ」
「じゃぁ、タイムラグ、かな。最初は、そう時もあったの、かも。まだ、結婚、してなくて、一緒に居るのが、大変だったころ、とか」
「ミケ、ミケ。違う。ルードは、側近に、弟に、騙されていた。ミケをみて狂うほどフロラインが好きだった。心変わりとかじゃ、ない」
ミケは、ふるっと頭を振って、気合いの抜けた顔で『へへへ』と笑った。
「シェドは、優しいね。大好き。お休みのキスしてくれたら、大人しく寝る」
だ、駄目だ。ぜんぜん、通じた感じがしない。
俺の方が寝られない気がするのだが?
キスをする。たくさんする。
本当はこのままミケの部屋になだれ込みたいけれど、時間が時間だし、ミケの謎のカウントダウン方式が怖くて踏み込めない。
言葉をつくしても、そばにいても、想いをあらわにしても。
ヤギさんまでに、あと何回?
幸せは、使い切ったら終わってしまう?
いつが最後か分らなくて、いつも最後みたい?
怖いな。ミケが、怖がっているのが、怖い。
「ただいま、ミケ。どうした?」
ミケは、ふにゅ、と顔をゆがませる。
「シェドぉ、倦怠期?」
・・・は?
どうやったら、やっと一緒に居られるようになって、ミケの顔色が普通になって数日で、デートすらまともに行けていなくて、自分がやらかした諸々のフォローすらできていない状況で、倦怠期になれる?
この箱のせいか?とばかりに、いちばん上の蓋をカパッと開けて仰け反る。
さっきのショーで、ロイがリンナにつかっていた小道具だ。
「誤解だ。捨てよう」
「だめ!それくれた会社、ロクト村のスポンサー!そんなことより、倦怠期~」
げ、俺がショーを見に行ったせいで、スポンサー企業からの玩具売り込み?!
あれ全部か!
焼却したいけど、こいつら、仕事相手は立てるからなぁ。
「あのな。7年も思春期拗らせたシェドと、200年も誤解を拗らせたルードが、ぎゅう、と詰まった俺が、ムーガルなんかの長時間仕事でお預けされて、ミケとロクにイチャイチャもできないこの状態で、そういうことをまじめに言うか?」
「ヤギとか同じ個体に乗っかるの4回で限界っていうもん!パチドの頃も入れたら、それ位すぐだよ。リンナちゃん、完全に恋愛対象女性なのに~」
うん、なにが『なのに~』にかかっているのかさえ理解できない。
とりあえず、俺はヤギじゃないぞ、の、説得抱っこ。
「刺激欲しさに行ったわけじゃありません。倦怠以前にミケの抱っこにすら、慣れる気がしません」
「捨てない?」
・・・
「恐ろしいこと言わないでくれ。どうやったらそう言う質問が出る」
ミケが、寒そうに、体を縮めていく。
「1番じゃなくていい。5番でも10番でも、ポットでもいい」
唯一に、1番も2番もない。もう、言っている意味が解らない。信用できないと、ゆるせないと言われているのか。それとも、俺が捨てられかけているのか。
「ミケ、多分俺がひどいことしたせいだとは思うが、しまいには俺が泣くぞ?シェドはミケが好きだって何度も伝えているよな?」
抱きしめる手に、力が入り過ぎないように、呼吸を深くする。気を抜くと、ルードも出ないのに潰しちまいそう。
「ルードは、好きって言ったけど捨てたよ?ヤギより早かったよ?フロラインをぽいって側近にあげたの。ルードじゃなきゃ嫌だから逃げたら、すごく怒って。そのくせ、自分で殺しにすら、来なかった」
ミケの口から、ルードの名前が出たのははじめてだった。
まぁ、魔の森周辺はルードの昔話がたくさん出回っているし、チャド・フロラインだってきけば隠さないだろうから不思議ではないけれど、なんとなく、聞いた話、という感じがしない。
「・・・夢でも、見たのか?ルードは、いかれているが、ミケとフロラインへの執着で一杯だったよ。誤解だ」
「じゃぁ、タイムラグ、かな。最初は、そう時もあったの、かも。まだ、結婚、してなくて、一緒に居るのが、大変だったころ、とか」
「ミケ、ミケ。違う。ルードは、側近に、弟に、騙されていた。ミケをみて狂うほどフロラインが好きだった。心変わりとかじゃ、ない」
ミケは、ふるっと頭を振って、気合いの抜けた顔で『へへへ』と笑った。
「シェドは、優しいね。大好き。お休みのキスしてくれたら、大人しく寝る」
だ、駄目だ。ぜんぜん、通じた感じがしない。
俺の方が寝られない気がするのだが?
キスをする。たくさんする。
本当はこのままミケの部屋になだれ込みたいけれど、時間が時間だし、ミケの謎のカウントダウン方式が怖くて踏み込めない。
言葉をつくしても、そばにいても、想いをあらわにしても。
ヤギさんまでに、あと何回?
幸せは、使い切ったら終わってしまう?
いつが最後か分らなくて、いつも最後みたい?
怖いな。ミケが、怖がっているのが、怖い。
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