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81. ライヒの復権
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ちょっとした流血アクシデントで完遂はできなかったものの、ミケとのいちゃ度に満足で、シェドの気分が上を向いた翌日。
昨日の内に送り届けた出資の約定書をぴらぴらさせて、頭を下げるソナが出た。
「ご出資の確約、ありがとうございます、パチド様。さっそく買付と量産と流通に渡りをつけました」
「あー、売れると思うわ。あれをたった数週間で企画したのか?すごいな」
虫の害が公になって、まだ1月経っていない。
「大抵の企画はミケの受け売りですよ。それより、無事に完遂できました?」
「・・・いいや」
「マジで?あそこまで押してもダメ?それはどちらかと言うとパチド様に問題があるのでは?」
医者を紹介しようかと言わんばかりの目で見られた。
「お前、ホントに、容赦ないなぁ。途中で鼻血だしてぶっ倒れられたんだよ!花酒じゃなくてマムシ酒なんじゃないのか?!」
「なるほど、やる気はでた、と。んじゃ、ミケ、寝るのが嫌とかとは、別の感じだったでしょう?なんか、生き延びてごめんなさい的な、謎の自虐病」
「あー、あれなぁ。ミケ、毒親持ちで、もとから持病化していて。でも確かに悪化が激しいな。きっかけとか、理由とか、あると思うんだが」
「うえ、親由来・・表面地雷原なのに、根っこにも爆弾抱えているのか。手ごわいですねぇ」
「でもまぁ、俺とするのが嫌とかじゃないのはわかったから。ありがとう」
過去の傷が痛すぎて、今が、今でなくなることを恐れている。それでも、ミケの、今を感じる心は閉じていない。痛みや恐怖や不安が何度ぶり返そうと、開いてくれている。
「恐縮です、出資者殿。たぶん、ミケとの打ち合わせも忙しくなるので、しょっちゅうお邪魔することになるかと。お騒がせしますがよろしく」
そういって頭を下げて、ソナは帰って行った。
☆
その後の俺シェドは、正直、浮かれていたと思う。
仕事なんて、片っ端から最短であげて。あとは全部ミケ。晩飯も朝飯も一緒して、遠乗りしたり、ピクニックしたり。
グリーンへの牽制もあったから、街にもしょっちゅう連れ出して、俺が完全にミケに落ちて溺愛していること、むしろアピールした。
流石にこの状態で、カラダで落として嫁に入ろうと言う勇者は出てこないと思う。
あと俺は大義名分を覚えた。いや、外向きにはもちろん、大義名分は大事にしていたが、プライベートというか内側向きに大義名分を使うなんて言う考え方は、パチド時代を含めても皆無だったので。ソナ様々だ。
例えば、ミケは、街でイチャイチャするのを、はじめのうち極端に遠慮していた。理由は軍の評判とかグリーンへの手前とか。
でも、王都のフェルニア人が、パチドがフェルニア女性に落ちたのをとても嬉しそうに語って、先の見えない占領生活もきっとそう悪くはならないだろうと楽観して、笑顔を見せ始めたのを教えてやると、積極的にいちゃつき始めた。
おかげで、ミケの持病系の思考をストップさせて、うれしそうな顔をさせるのが前より簡単になったし、ソナは万年油注ぎ系なので、誰も止める人間はおらず。
俺は、かなり幸せで。
だから、上申書を上げた奴らの事とか、わりと本気でスルーしていた。
☆
「真剣にまずいですよ。パチド様は大層ミケがお気に入りで、何でも言うことを聞いてしまうのだとか。我々は、恨まれているはずです」
「そもそも公妾ミケは会話自体せんだろうが!ペラペラ告げ口をする頭があるとでも?」
「ミケが話さずとも、我々が監禁所でどんな状態だったかは、ライヒの調査で記録されているはずだ」
「万一、公妾ミケが、正妻にでもなったら。我々の出世の道は潰えたも同然では?」
「飼えば済む、外見とカラダだけの女を正妻に据えるとでもいうのか?!いや、そもそも死体の継ぎ接ぎが、結婚?!」
どれだけ、都合が悪くとも、入ってくる情報は、
ミケとパチドがお互いに視線を合わせて笑い合い、仲睦まじく会話をしていた、
グリーン総司令がパチドに嫁を取らせようとしたが、ミケに太刀打ちできない、
パチドがミケの監禁所での様子を揶揄したムーガルの役人を、仕事から外した、
パチドが街だろうが軍部だろうが大っぴらにミケを連れ歩き、恋人だと言った、
王都での市街戦を避けたパチドがフェルニア女性への寵愛を公開して、王都の人々に人気を得ている、
と、ミケを辱めることを楽しんだ人間にはどれも都合の悪いものばかりで。
故郷から離れた、このフェルニアという慣れない土地で、グリーン頼み、パチド頼みの、自分たちが思うように平定作業に力を発揮できていないことがわかっているだけに。
失脚、という言葉が、彼らの脳裏を駆け巡る。
「どうすればいい?どうすればいいんだ!」
「パチド様に、権力が集中し過ぎなのが、問題ではないでしょうか」
「仕方があるまい、ライヒがやらかして軍はパチド一極だ」
「だから、ライヒを復権させてはどうでしょう」
「は?あいつはティムマインを殺してムーガルに痛手をおわせたのだぞ」
「ティムマインは、敵国の王です。ムーガルが保護していたことは極秘だった。ライヒも知らなかった。情報のいき違いで、敵の頭を殺してしまったことが、そんなに大きな罪ですか?」
「・・・ミケに一番ひどく当たったのも、ライヒだな。パチドもミケも、我々より奴に恨みがあるはずだ」
「ライヒに恩を売って復権させ、パチドを抑えさせる。潰し合ってくれても良し、我々のかわりに恨まれてくれても良し、ライヒが勝って力を持つなら恩を受けた我々も安泰だ」
「なるほど、それは正論だ。どう転んでも我々に損はない」
久々の全会一致だ。彼らはいそいそと根回しを始めた。
☆
「はぁ?ライヒに恩赦?どういうことです!」
最低限とはいえ一応働いているパチドは、司令官室で、グリーンに詰め寄った。
「上申が絶えなくてな」
グリーンは疲れたように、眉間をもんだ。
「あいつがミケや花街の女に何をしたと?ティムマインに同情はしませんが、ムーガルの無能と弱点を世界中に知らしめたも同然ですよ?!」
「お前が、簡単にあの女に篭絡されて、ミケミケと腑抜けをさらすからだろうが。役人連中は、お前の不興を買った自覚がある。失脚を心配してライヒを盾にするつもりだ」
「ミケ関連のやらかし以前に、あいつらまともに働いていないでしょうが!能力的に重用しようがないんですって!」
「ああ、そうだろうな。だが、囚人のまま本国に送り返すにはライヒの罪が中途半端なのも確かだ」
「強姦・虐殺・死姦で営倉入りになり、出た途端に捕虜の虐待、占領下の王都で若い女を2名殺害、王城の警備を破ってのティムマイン殺害、いったいどこが半端ですか!」
「どれも騒ぐものがいないか内部処理が可能な被害者だろうが。いずれも、戦時下という非常時に、敵国人に対する制圧行動が少々行き過ぎただけだと、言い張れなくもない。実際役人どもが本国に手を回してその方向で圧力が来た」
ぺらり。
無造作に差し出されたのは、無造作に書かれた手紙で。
ムーガルの王とグリーンは旧知の中だ。まるでメモ書きのような手紙が、ホットラインのように王から届く。
で、その内容が、
『グリーン、うちの軍事力は既に弱小だ。ライヒのような奴でも、他国へのはったりには大事な駒だ。腹が立つこともあろうが適当に納めてくれ。外見的な軍事力重視だ、減らすなよ、いいな!』
と。
やれやれ。痛いところをついてくる。
外見的な軍事力。はったり。
その方面で行けば、パチドの最近の評判は揺らぎ気味だ。
ミケと王都をイチャイチャ練り歩いているわけで、残忍非道にして冷酷無惨はどこへ行った、ということになる。
一方のライヒは、そういう意味では揺らがない。
ティムマイン殺害は、確かに新生フェルニアを諦めきれないムーガル上層部にとっては痛手だったが、ライヒ個人の狂犬ぶりを示すだけならかえってプラスだ。
ムーガルは、ムーガルが他国からなめられないために、軍を維持し、戦い、フェルニアを平定する必要があったのであって、フェルニアの人心の安定や、フェルニア王都の機能と治安の維持や、フェルニア金山などの実益などはおまけなのだ。
それをはっきり口にだす王も徹底しているし、それを受け入れているグリーンも揺らがない。
はぁ。パチドはため息をついた。
ライヒの復権は既定路線なのだ。
当面、ミケを外に連れ出すのはやめよう。ライヒは、ミケを逆恨みしている可能性がある。
グリーン達は知らないが、ティムマイン殺害の裏で糸を引いたのは、ミケとルカなのだし。
流石にライヒ本人は自分がはめられたことに気づいているはずだ。
昨日の内に送り届けた出資の約定書をぴらぴらさせて、頭を下げるソナが出た。
「ご出資の確約、ありがとうございます、パチド様。さっそく買付と量産と流通に渡りをつけました」
「あー、売れると思うわ。あれをたった数週間で企画したのか?すごいな」
虫の害が公になって、まだ1月経っていない。
「大抵の企画はミケの受け売りですよ。それより、無事に完遂できました?」
「・・・いいや」
「マジで?あそこまで押してもダメ?それはどちらかと言うとパチド様に問題があるのでは?」
医者を紹介しようかと言わんばかりの目で見られた。
「お前、ホントに、容赦ないなぁ。途中で鼻血だしてぶっ倒れられたんだよ!花酒じゃなくてマムシ酒なんじゃないのか?!」
「なるほど、やる気はでた、と。んじゃ、ミケ、寝るのが嫌とかとは、別の感じだったでしょう?なんか、生き延びてごめんなさい的な、謎の自虐病」
「あー、あれなぁ。ミケ、毒親持ちで、もとから持病化していて。でも確かに悪化が激しいな。きっかけとか、理由とか、あると思うんだが」
「うえ、親由来・・表面地雷原なのに、根っこにも爆弾抱えているのか。手ごわいですねぇ」
「でもまぁ、俺とするのが嫌とかじゃないのはわかったから。ありがとう」
過去の傷が痛すぎて、今が、今でなくなることを恐れている。それでも、ミケの、今を感じる心は閉じていない。痛みや恐怖や不安が何度ぶり返そうと、開いてくれている。
「恐縮です、出資者殿。たぶん、ミケとの打ち合わせも忙しくなるので、しょっちゅうお邪魔することになるかと。お騒がせしますがよろしく」
そういって頭を下げて、ソナは帰って行った。
☆
その後の俺シェドは、正直、浮かれていたと思う。
仕事なんて、片っ端から最短であげて。あとは全部ミケ。晩飯も朝飯も一緒して、遠乗りしたり、ピクニックしたり。
グリーンへの牽制もあったから、街にもしょっちゅう連れ出して、俺が完全にミケに落ちて溺愛していること、むしろアピールした。
流石にこの状態で、カラダで落として嫁に入ろうと言う勇者は出てこないと思う。
あと俺は大義名分を覚えた。いや、外向きにはもちろん、大義名分は大事にしていたが、プライベートというか内側向きに大義名分を使うなんて言う考え方は、パチド時代を含めても皆無だったので。ソナ様々だ。
例えば、ミケは、街でイチャイチャするのを、はじめのうち極端に遠慮していた。理由は軍の評判とかグリーンへの手前とか。
でも、王都のフェルニア人が、パチドがフェルニア女性に落ちたのをとても嬉しそうに語って、先の見えない占領生活もきっとそう悪くはならないだろうと楽観して、笑顔を見せ始めたのを教えてやると、積極的にいちゃつき始めた。
おかげで、ミケの持病系の思考をストップさせて、うれしそうな顔をさせるのが前より簡単になったし、ソナは万年油注ぎ系なので、誰も止める人間はおらず。
俺は、かなり幸せで。
だから、上申書を上げた奴らの事とか、わりと本気でスルーしていた。
☆
「真剣にまずいですよ。パチド様は大層ミケがお気に入りで、何でも言うことを聞いてしまうのだとか。我々は、恨まれているはずです」
「そもそも公妾ミケは会話自体せんだろうが!ペラペラ告げ口をする頭があるとでも?」
「ミケが話さずとも、我々が監禁所でどんな状態だったかは、ライヒの調査で記録されているはずだ」
「万一、公妾ミケが、正妻にでもなったら。我々の出世の道は潰えたも同然では?」
「飼えば済む、外見とカラダだけの女を正妻に据えるとでもいうのか?!いや、そもそも死体の継ぎ接ぎが、結婚?!」
どれだけ、都合が悪くとも、入ってくる情報は、
ミケとパチドがお互いに視線を合わせて笑い合い、仲睦まじく会話をしていた、
グリーン総司令がパチドに嫁を取らせようとしたが、ミケに太刀打ちできない、
パチドがミケの監禁所での様子を揶揄したムーガルの役人を、仕事から外した、
パチドが街だろうが軍部だろうが大っぴらにミケを連れ歩き、恋人だと言った、
王都での市街戦を避けたパチドがフェルニア女性への寵愛を公開して、王都の人々に人気を得ている、
と、ミケを辱めることを楽しんだ人間にはどれも都合の悪いものばかりで。
故郷から離れた、このフェルニアという慣れない土地で、グリーン頼み、パチド頼みの、自分たちが思うように平定作業に力を発揮できていないことがわかっているだけに。
失脚、という言葉が、彼らの脳裏を駆け巡る。
「どうすればいい?どうすればいいんだ!」
「パチド様に、権力が集中し過ぎなのが、問題ではないでしょうか」
「仕方があるまい、ライヒがやらかして軍はパチド一極だ」
「だから、ライヒを復権させてはどうでしょう」
「は?あいつはティムマインを殺してムーガルに痛手をおわせたのだぞ」
「ティムマインは、敵国の王です。ムーガルが保護していたことは極秘だった。ライヒも知らなかった。情報のいき違いで、敵の頭を殺してしまったことが、そんなに大きな罪ですか?」
「・・・ミケに一番ひどく当たったのも、ライヒだな。パチドもミケも、我々より奴に恨みがあるはずだ」
「ライヒに恩を売って復権させ、パチドを抑えさせる。潰し合ってくれても良し、我々のかわりに恨まれてくれても良し、ライヒが勝って力を持つなら恩を受けた我々も安泰だ」
「なるほど、それは正論だ。どう転んでも我々に損はない」
久々の全会一致だ。彼らはいそいそと根回しを始めた。
☆
「はぁ?ライヒに恩赦?どういうことです!」
最低限とはいえ一応働いているパチドは、司令官室で、グリーンに詰め寄った。
「上申が絶えなくてな」
グリーンは疲れたように、眉間をもんだ。
「あいつがミケや花街の女に何をしたと?ティムマインに同情はしませんが、ムーガルの無能と弱点を世界中に知らしめたも同然ですよ?!」
「お前が、簡単にあの女に篭絡されて、ミケミケと腑抜けをさらすからだろうが。役人連中は、お前の不興を買った自覚がある。失脚を心配してライヒを盾にするつもりだ」
「ミケ関連のやらかし以前に、あいつらまともに働いていないでしょうが!能力的に重用しようがないんですって!」
「ああ、そうだろうな。だが、囚人のまま本国に送り返すにはライヒの罪が中途半端なのも確かだ」
「強姦・虐殺・死姦で営倉入りになり、出た途端に捕虜の虐待、占領下の王都で若い女を2名殺害、王城の警備を破ってのティムマイン殺害、いったいどこが半端ですか!」
「どれも騒ぐものがいないか内部処理が可能な被害者だろうが。いずれも、戦時下という非常時に、敵国人に対する制圧行動が少々行き過ぎただけだと、言い張れなくもない。実際役人どもが本国に手を回してその方向で圧力が来た」
ぺらり。
無造作に差し出されたのは、無造作に書かれた手紙で。
ムーガルの王とグリーンは旧知の中だ。まるでメモ書きのような手紙が、ホットラインのように王から届く。
で、その内容が、
『グリーン、うちの軍事力は既に弱小だ。ライヒのような奴でも、他国へのはったりには大事な駒だ。腹が立つこともあろうが適当に納めてくれ。外見的な軍事力重視だ、減らすなよ、いいな!』
と。
やれやれ。痛いところをついてくる。
外見的な軍事力。はったり。
その方面で行けば、パチドの最近の評判は揺らぎ気味だ。
ミケと王都をイチャイチャ練り歩いているわけで、残忍非道にして冷酷無惨はどこへ行った、ということになる。
一方のライヒは、そういう意味では揺らがない。
ティムマイン殺害は、確かに新生フェルニアを諦めきれないムーガル上層部にとっては痛手だったが、ライヒ個人の狂犬ぶりを示すだけならかえってプラスだ。
ムーガルは、ムーガルが他国からなめられないために、軍を維持し、戦い、フェルニアを平定する必要があったのであって、フェルニアの人心の安定や、フェルニア王都の機能と治安の維持や、フェルニア金山などの実益などはおまけなのだ。
それをはっきり口にだす王も徹底しているし、それを受け入れているグリーンも揺らがない。
はぁ。パチドはため息をついた。
ライヒの復権は既定路線なのだ。
当面、ミケを外に連れ出すのはやめよう。ライヒは、ミケを逆恨みしている可能性がある。
グリーン達は知らないが、ティムマイン殺害の裏で糸を引いたのは、ミケとルカなのだし。
流石にライヒ本人は自分がはめられたことに気づいているはずだ。
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